ヘッダーをスキップ

Oracle Enterprise Manager アドバンスト構成
10gリリース5(10.2.0.5.0)

B53907-01
目次
目次
索引
索引

戻る 次へ

15 ソフトウェア・ライブラリの使用方法

この章では、Enterprise Managerのソフトウェア・ライブラリ機能について説明します。この章に含まれる項は次のとおりです。

15.1 ソフトウェア・ライブラリの概要

ソフトウェア・ライブラリは、認可されたソフトウェアのイメージ(たとえば、Oracle Database、オペレーティング・システム、Oracle Real Application Clusters、サード・パーティのソフトウェアなど)およびその他の関連エンティティを格納するリポジトリとして機能します。格納されたイメージやエンティティは、ソフトウェア、ソフトウェアの更新およびサーバーをプロビジョニングするために、Oracle Enterprise Mangerによって、信頼性の高い反復可能な方法で大量に自動デプロイされます。このプロビジョニング操作は、自動で行われる上にスケジュール設定が可能なため、大幅な経費削減につながります。

ソフトウェア・ライブラリで格納できるのは、次のタイプのエントリです。

15.2 ソフトウェア・ライブラリの設定

ソフトウェア・ライブラリは、マウントされた任意のファイルシステムを使用して構成でき、Oracle Management Service(OMS)から読込みおよび書込み可能です。Enterprise Managerが単一サーバー設定として構成されている場合は、ローカル・ディレクトリを使用してソフトウェア・ライブラリを構成できます。ソフトウェア・バイナリの記憶域に十分な使用可能領域があること、および作成して格納するエンティティにスクリプトが関連付けられていることを確認する必要があります。

Enterprise Managerが複数サーバー設定として構成されている場合は、ソフトウェア・ライブラリを構成するディレクトリは、すべてのOMSからアクセス可能である必要があります。コンポーネントおよびその他のエンティティのバイナリ・データが保存されているファイルを格納するために必要な使用可能領域が、共有記憶域にあることを確認する必要があります。

ソフトウェア・ライブラリを構成するには、次の手順に従います。

  1. 「デプロイ」タブにナビゲートしてOracle Enterprise Managerのプロビジョニング・アプリケーションにアクセスします。

  2. 「デプロイ」タブで「プロビジョニング」タブに移動します。コンポーネント、ディレクティブ、およびその他のエンティティを作成するためのタブが多数あります。これらのタブにアクセスできるかどうかは、割り当てられている権限によって決まります。

  3. 「管理」タブにアクセスします。アクセスするには、SYSMANユーザーのようなスーパー管理者権限が必要です。スーパー管理者の作成の詳細は、OTNの『Best Practices for Bare Metal Provisioning』の2.2項「Creating Super Administrator for Enterprise Manager」を参照してください。

  4. 「管理」タブの「ソフトウェア・ライブラリ構成」セクションで、「追加」ボタンをクリックします。

  5. 「ソフトウェア・ライブラリの場所の追加」ページでディレクトリの場所を入力し、「OK」をクリックします。

ソフトウェア・ライブラリが構成されると、即時利用可能プロビジョニング・アーカイブ・ファイル(PARファイル)がデプロイされます。これらのファイルには、コンポーネントやディレクティブなど、ベア・メタル・プロビジョニングやパッチ適用などのアプリケーションに使用される、ビルド前のエンティティが含まれています。PARファイルとはデプロイメント・プロシージャとソフトウェア・ライブラリのエンティティの集合またはバンドルであり、様々なプロビジョニング・アプリケーションやパッチ適用アプリケーションで使用されます。


注意:

ソフトウェア・ライブラリの場所を最初に追加する際は、構成に時間がかかることがあります。それ以降のソフトウェア・ライブラリの場所の追加には、時間はかからなくなります。 


15.3 ソフトウェア・ライブラリの使用方法

プロビジョニング・アプリケーションのグラフィカル・ユーザー・インタフェースには、ソフトウェア・ライブラリに格納するコンポーネント、ディレクティブ、イメージ、ネットワーク・テンプレートおよびハードウェア・テンプレートを作成するための様々なタブがあります。ソフトウェア・ライブラリでは、エンティティを格納するための様々なサブディレクトリを作成できます。ソフトウェア・ライブラリに格納されているエンティティの削除および編集は、これらのタブで行えます。また、エンティティのメタデータ情報も参照できます。複数のソフトウェア・ライブラリの場所を構成できます。ファイルやバイナリがエンティティに関連付けられている場合は、最も領域の大きい場所が選択されます。

エンティティの作成の詳細は、OTNの『Best Practices for Bare Metal Provisioning』を参照してください。

図15-1に、「管理」ページの「ソフトウェア・ライブラリ」セクションを示します。

図15-1    「ソフトウェア・ライブラリ構成」セクション


「ソフトウェア・ライブラリ」セクションには、ディレクトリの場所、空き領域、使用領域、および削除済エンティティで使用されていた領域が示されます。また、「ソフトウェア・ライブラリ構成」セクションには次の機能もあります。

パージ

エンティティが削除されても、エンティティに関連付けられたバイナリ・ファイルは、完全に削除されるまではディスク上に存在します。このようなバイナリ・ファイルによる領域の使用量は、それぞれの場所の「エンティティが削除された使用済領域」列で監視できます。「ソフトウェア・ライブラリ」セクションのパージ機能を使用すると、削除済エンティティとそのバイナリ・ファイルをソフトウェア・ライブラリから完全に消去できます。

リフレッシュ

ソフトウェア・ライブラリのすべての場所の領域使用量は、リフレッシュ機能で計算できます。「リフレッシュ」をクリックすると、「空き領域」、「使用済領域」、および「エンティティが削除された使用済領域」にそれぞれの場所の最新の領域使用量に関する詳細が表示されます。「最終計算」列には、空き領域が最後に計算された日付が表示されます。

アクセシビリティの確認

「アクセシビリティの確認」を使用すると、Enterprise Managerに複数のOMSがデプロイされている場合に、すべてのOMSからソフトウェア・ライブラリの場所にアクセスできることを確認できます。Oracle Management Serviceを実行するすべてのホストで通常の優先資格証明が設定されており、アクセシビリティの確認機能を使用できることを確認します。また、Enterprise Managerの即時利用可能ポリシーである「非共有ソフトウェア・ライブラリの存在」を使用し、共有されないソフトウェア・ライブラリの場所がすべてのOMSに存在することを確認します。

エクスポートとインポート

ソフトウェア・ライブラリ・エンティティをエクスポートし、プロビジョニング・アーカイブ(PAR)ファイルをソフトウェア・ライブラリにインポートできます。詳細は、「Oracle Enterprise Managerのデプロイメント間でのエンティティのエクスポートおよびインポート」を参照してください。

追加、削除および編集

ソフトウェア・ライブラリの新しいディレクトリの場所を追加して編集するか、既存のソフトウェア・ライブラリのディレクトリの場所を削除できます。

15.3.1 Oracle Enterprise Managerのデプロイメント間でのエンティティのエクスポートおよびインポート

ソフトウェア・ライブラリ・エンティティは、様々なEnterprise Managerのデプロイメントで使用される、異なるソフトウェア・ライブラリ間でエクスポートおよびインポートできます。

プロビジョニング・アーカイブ・ファイル(PARファイル)には、デプロイメント・プロシージャ、またはソフトウェア・ライブラリのコンポーネントやディレクティブなどのソフトウェア・ライブラリ・エンティティが含まれます。Oracleには、Oracleベスト・プラクティス・デプロイメント・プロシージャ、およびプロビジョニング・アプリケーションとパッチ適用アプリケーションでこのプロシージャを実行するために必要なソフトウェア・ライブラリ・エンティティを含むPARファイルが用意されています。

「ソフトウェア・ライブラリ」セクションで「エクスポート」をクリックし、PAR(プロビジョニング・アーカイブ(PAR)ファイルとしてエクスポートされる「コンポーネント」、「イメージ」、「ディレクティブ」、「スイート」、「ネットワーク」を選択します。その後、新しいリポジトリにPARファイルをインポートします。図15-2に、「ソフトウェア・ライブラリ・エンティティのエクスポート」ページを示します。

図15-2    「ソフトウェア・ライブラリ・エンティティのエクスポート」ページ


ソフトウェア・ライブラリ・エンティティをエクスポートするには、次の値を指定する必要があります。

要素  説明 

ディレクトリの場所 

PARファイルが作成される場所。これは必須パラメータです。 

PARファイル名 

ファイル名の拡張子は.parです。指定のファイル名が指定の場所にすでに存在する場合は、ファイル名_1.parが作成されます。それも存在する場合は、ファイル名_2.parが作成されます。ファイルの名前は、「ジョブ出力」ページで確認できます。これは必須パラメータです。 

Oracleウォレット・パスワード 

暗号化されたOracleウォレットで、すべてのシークレット・プロパティ値を安全に保存するために使用されます。これは必須パラメータです。ただし、このパスワードは、エクスポートされたエンティティにシークレット・プロパティがある場合にのみ使用されます。 

除外するファイル 

エクスポートされるエンティティに関連付けられたファイル、バイナリ、またはスクリプトを除外する場合は、このオプションを選択します。 

エクスポート 

すべてのエンティティをエクスポートするか、選択したエンティティのみをエクスポートするかを指定できます。

選択したエンティティのみをエクスポートする場合は、「追加」をクリックし、エンティティを選択します。エンティティを選択するためのポップアップで、エクスポートするエンティティを検索して選択し、追加します。参照されたエンティティをすべて選択する必要はありません。たとえば、イメージがコンポーネントとディレクティブを参照している場合は、イメージのみを選択します。エクスポート処理によって、コンポーネントとディレクティブもエクスポートされます。 

「インポート」をクリックし、ソフトウェア・ライブラリにPAR(プロビジョニング・アーカイブ)ファイルをインポートします。図15-3に、「ソフトウェア・ライブラリ・エンティティのインポート」ページを示します。

図15-3    「ソフトウェア・ライブラリ・エンティティのインポート」ページ


ソフトウェア・ライブラリ・エンティティをインポートするには、次の値を指定する必要があります。

要素  説明 

PARファイルの場所 

PARファイルの場所。この場所は、Oracle Management Serverからアクセス可能である必要があります。 

Oracleウォレット・パスワード 

これはオプションのフィールドです。PARファイルに、秘密のプロパティ値が保存されたOracleウォレットが含まれている場合には、パスワードが必要です。Oracleが提供するPARファイルには、Oracleウォレットは関連付けられていません。そのため、Oracleが提供するPARファイルをインポートする場合は、パスワードを入力する必要はありません。ただし、(Enterprise ManagerコンソールまたはPARDeployスクリプトを使用して)エクスポート処理時に作成されたPARファイルをインポートする場合は、このパスワードを入力する必要があります。

エクスポート時に使用されたものと同じパスワードを、インポート時にも使用する必要があります。PARファイルにOracleウォレットが含まれていない場合は、このパスワードを無視してください。PARファイルにOracleウォレットが関連付けられている場合は、パスワードを入力しないとインポート処理は失敗します。 

新規リビジョンを強制  

インポートされるエンティティがソフトウェア・ライブラリにすでに存在する場合は、このオプションにより、エンティティの新しいリビジョンをインポート時に強制的に作成できます。このオプションが選択されておらず、リポジトリにすでに存在するディレクトリ内のエンティティがPARファイルに含まれている場合は、インポート処理は失敗します。 

また、deploymentLibrabryExport deploymentLibrabryImportスクリプトを使用し、ソフトウェア・ライブラリ・エンティティのインポートとエクスポートをそれぞれ実行することもできます。これらのスクリプトはOMS Oracleホームのbinディレクトリにあり、これらのスクリプトを使用することで、テストから本番への転送または異なる本番環境間での転送を柔軟に行えます。

スクリプトは、次に示すインポートまたはエクスポートのユースケースをサポートします。

エクスポート・スクリプトは、LinuxまたはWindowsの
<OMS HOME>/bin/deploymentLibraryExport.plにあります。

インポート・スクリプトは、LinuxまたはWindowsの
<OMS HOME>/bin/deploymentLibraryImport.plにあります。

インポート・スクリプトとエクスポート・スクリプトの使用の詳細は、コマンドラインで--helpと入力します。

15.3.2 ソフトウェア・ライブラリ・エンティティの削除およびパージ

ソフトウェア・ライブラリ・エンティティの削除は、プロビジョニング・アプリケーションで提供される関連タブから行えます。ただし、エンティティを削除しても、エンティティに関連付けられているファイルは、ソフトウェア・ライブラリのファイルシステムからパージされません。エンティティを削除すると、ユーザー・インタフェースには表示されなくなりますが、ディスクには存在し、ディスク領域を使用し続けます。ソフトウェア・ライブラリのファイルシステムから、エンティティを完全にクリーンアップおよび削除するには、削除済エンティティをパージする必要があります。

削除済エンティティをパージするには、「ソフトウェア・ライブラリ」セクション」の「パージ」をクリックします。

またはpurgeDeploymentLibraryスクリプトを実行し、削除済エンティティをパージすることもできます。このスクリプトは、次の場所にあります。

LinuxのOMSの場合: <OMS HOME>/bin/ purgeDeploymentLibrary

15.4 ソフトウェア・ライブラリの構成解除

「管理」タブの「ソフトウェア・ライブラリ」セクションに移動し、ソフトウェア・ライブラリのエントリを選択して「削除」ボタンをクリックすると、ソフトウェア・ライブラリの構成が解除されます。ソフトウェア・ライブラリのエントリが削除されると、そのエントリにはアクセスできなくなります。

削除された場所は、それ以降は、新規作成されたソフトウェア・ライブラリ・エンティティのバイナリ、ファイルおよびスクリプトの保存には使用されませんが、作成済エンティティのファイルを保存できます。すべてのOracle Management Serverからこの場所にアクセスできない場合、後でこのエンティティをデプロイする際に問題が生じることがあります。

ソフトウェア・ライブラリに複数の場所が構成されている場合は、ソフトウェア・ライブラリの構成を解除すると、1つのソフトウェア・ライブラリの場所以外はすべて削除できます。

15.5 ソフトウェア・ライブラリのメンテナンス・タスク

ソフトウェア・ライブラリを正常に機能させるため、システム管理者は、次の管理タスクを定期的に実行することをお薦めします。

これらの機能に関する情報は、「ソフトウェア・ライブラリの使用方法」を参照してください。

15.6 ソフトウェア・ライブラリの問題

コンポーネントの作成に失敗し、「ソフトウェア・ライブラリの下に作成できません。管理者に連絡してください」というエラーが表示される場合があります。

これは、Enterprise Managerでソフトウェア・ライブラリが構成されていない場合に発生します。15.2項に従ってソフトウェア・ライブラリを構成します。ソフトウェア・ライブラリを構成した後、コンポーネントを作成してください。

エンティティのメタデータが管理リポジトリ内で正常なのに対し、関連ファイルが格納されているソフトウェア・ライブラリのファイルシステムが破損することがあります。

ファイルシステムをリストアすること自体には問題はありませんが、最後のバックアップ以降に作成されたエンティティは失われます。失われたエンティティは、その後もプロビジョニングのUIに表示されますが、アクセスやデプロイを試みるとエラーが発生します。

その他のトラブルシューティングについては、OTNの『Best Practices for Bare Metal Provisioning』を参照してください。


戻る 次へ
Oracle
Copyright © 2003, 2009 Oracle Corporation.

All Rights Reserved.
目次
目次
索引
索引