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Oracle Enterprise Manager管理
10gリリース5(10.2.0.5)
B56251-01
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11 情報パブリッシャ

Enterprise Managerの強力なレポート・フレームワークである情報パブリッシャを使用すると、エンタープライズ全体で対象読者が管理対象の環境に関する情報にアクセスできるようになります。戦略的には、レポートは、エンタープライズの監視情報のビューをビジネス・インテリジェンス目的で提示するために使用されますが、管理対象ターゲットのアクティビティ、リソース使用率および構成を示すことで管理目的でも役立ちます。IT管理者は、レポートを使用して、一連の管理対象システムの可用性を示すことができます。エグゼクティブは、一定期間におけるアプリケーション(エンタープライズの電子メールなど)の可用性に関するレポートを表示できます。

このレポート・フレームワークにより、カスタマイズされたレポートを作成および公開でき、HTMLベースの直感的なレポートをWeb経由で公開、格納、または選択した受信者に電子メールで送信できます。情報パブリッシャには、事前定義済レポートの包括的なライブラリが用意されており、これを使用することで、追加の設定や構成を行うことなく、レポートを即時に生成できます。

この章の内容は、次のとおりです。

情報パブリッシャについて

情報パブリッシャは、強力なレポートおよび公開機能を備えています。情報パブリッシャのレポートには、管理リポジトリに格納されている意思決定用の重要な情報に対する直感的なインタフェースが用意されています。一方で、Enterprise Managerのセキュリティおよびアクセス制御を利用して、この情報のセキュリティが確保されます。

情報パブリッシャの直感的なユーザー・インタフェースを使用すると、わずかな作業でレポートを作成および公開できます。情報パブリッシャを使用する主な利点は次のとおりです。

情報パブリッシャには、社内の中央情報ソースとなる、機能豊富なフレームワークが用意されています。

即時利用可能なレポート定義

情報パブリッシャの中核は、レポート定義です。レポート定義により、レポート・コンテンツ、ユーザー・アクセス、レポート生成のスケジュールなどのレポート・プロパティが定義され、特定のレポートを生成する方法がレポート・フレームワークに指示されます。

情報パブリッシャには、事前定義済レポート定義の包括的なライブラリが用意されており、追加の構成や設定を行うことなく、重要な業務やビジネス情報を提示する完全な形式のHTMLレポートを生成できます。図11–1は、グループの全メンバーの可用性情報を表示する「可用性履歴(グループ)」レポートの例を示しています。

図11-1 「可用性履歴(グループ)」レポート

これは「可用性履歴(グループ)」レポートのページです。
「図11-1 「可用性履歴(グループ)」レポート」の説明

このHTMLレポートの生成では、次の3つの簡単な手順が実行されました。

手順1: レポート定義リストで「可用性履歴(グループ)」をクリックします。

手順2: レポートを実行するグループを選択します。

手順3: 「続行」をクリックし、完全な形式のレポートを生成します。

提供されるレポート定義は、機能カテゴリ別に体系化されており、各カテゴリの主な領域をカバーしています。次の表に、主な機能カテゴリと、即時利用可能なレポートの対象となる領域のリストを示します。

表11-1 事前定義済レポート定義

機能カテゴリ 対象領域

デプロイおよび構成

「クライアント構成」、「ハードウェア」、「オペレーティング・システム」、「Linuxオペレーティング・システム」、「パッチ適用」、「Application Server構成」、「Oracle Application Serverソフトウェア」、「Oracleデータベース構成」、「Oracle Databaseソフトウェア」、「Oracleホーム・パッチ・アドバイザ」、「Oracleホームのパッチ履歴」

Enterprise Managerの設定

Management Packのアクセス権

監視

アラートおよびポリシー違反

「可用性履歴」、「ダッシュボード」、「無効化されたポリシー」、「サービス・アラート」、「サービス・パフォーマンスおよび使用状況」、「サービス・テスト」、「Webアプリケーションのページ・パフォーマンス」、「Webアプリケーションのリクエスト・パフォーマンス」、「Webアプリケーションのトランザクション・パフォーマンス」

セキュリティ

Oracleデータベース監査、Oracleデータベース権限、「セキュリティ・ポリシー概要」

記憶域

「Oracleデータベースの領域の問題」、「Oracleデータベース領域使用量」


カスタム・レポート

情報パブリッシャに付属の事前定義済レポート定義は、一般的なレポートのほとんどのニーズに対応していますが、特殊なレポートの作成が必要になる場合もあります。情報に対する要件を事前定義済レポートがほぼ満たしていても、完全には満たしていない場合は、情報パブリッシャの類似作成機能を使用して、既存のいずれかのレポート定義に基づいて新しいレポート定義を作成できます。

カスタム・レポートの作成

カスタム・レポートを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 既存のレポート定義を変更するか、最初から作成するかを選択します。既存のレポート定義がニーズをほぼ満たしている場合は、類似作成機能を使用して簡単にカスタマイズできます。

  2. 名前、カテゴリおよびサブカテゴリを指定します。Grid Controlには、即時利用可能なレポートに使用されているデフォルトのカテゴリとサブカテゴリが用意されています。ただし、カスタム・レポートを任意の方法でも分類できます。

  3. 期間パラメータやターゲット・パラメータを指定します。レポートの表示中に、これらのパラメータの入力を求められます。

  4. レポート要素を追加します。レポート要素とは、事前定義済のコンテンツのビルディング・ブロックであり、これを使用することで、様々な情報をレポートに追加できます。レポート要素の例としては、グラフ、表、イメージなどがあります。

  5. レポートのレイアウトをカスタマイズします。レポート要素をアセンブルした後は、レポートのレイアウトをカスタマイズできます。

レポート・パラメータ

レポート・パラメータを宣言することで、レポートにどのデータが表示されるかをユーザーが制御できるようになります。パラメータには、ターゲットと期間の2種類があります。

例: 問題の診断に使用されるレポート(メモリー使用率レポートなど)を定義すると、対象のターゲットの情報の表示が可能になります。

期間パラメータを指定することで、対象の期間の履歴データの分析が可能になります。

履歴データの分析

情報パブリッシャでは、次のように、様々な期間のレポートを表示できます。

  • 過去24時間/7日間/31日間

  • 直前のX日/週/月/年(カレンダ単位)

  • 今週/今月/今年(現時点では今週)

  • 任意のカスタム日付範囲。

レポート要素

レポート要素は、レポート定義構築のためのブロックです。一般に、レポート要素は、パラメータを受け取り、表示可能な情報を生成します。たとえば、「SQLからのグラフ」要素は、データを管理リポジトリから抽出するためのSQL問合せと、データを円、棒または線のどの形式のグラフで表示するかを指定するパラメータを受け取ります。レポート要素により、情報パブリッシャのユーザー・インタフェースを使用して、カスタム・レポート定義をアセンブルできます。

情報パブリッシャには、様々なレポート要素が用意されています。汎用レポート要素では、任意の情報をグラフ、表またはイメージの形式で表示できます。たとえば、会社のロゴや、会社のWebサイトへのリンクを表示できます。監視要素では、管理対象ターゲットの可用性やアラートなどの監視情報を表示できます。サービス・レベル・レポート要素では、可用性、パフォーマンス、使用状況および達成されたサービス・レベルが表示され、サービス・レベル合意に準拠しているかの追跡、および達成されたサービス・レベルの顧客およびエグゼクティブとの共有が可能です。

次の表に、情報パブリッシャに付属しているレポート要素のリストを示します。

表11-2 レポート要素

レポート要素 説明

汎用レポート要素

要素の説明

SQLからのグラフ

SQLまたはPL/SQL問合せを受け取り、線、円または棒グラフをレンダリングします。

イメージ表示

指定されたイメージを表示します。

セパレータ

水平セパレータを表示します。

スタイル・テキスト

選択したスタイルでテキストを表示します。

SQLからの表

SQLまたはPL/SQL問合せの結果を表で表示します。

サービス・レベル・レポート要素

要素の説明

サービス・レベルの詳細

一定期間にわたって達成された実際のサービス・レベルと、それに影響を与えた違反を表示します。

サービス・レベル違反

一定の期間範囲にわたるサービス・セットのサービス・レベル違反に関する詳細を表示します。

サービス・レベルのサマリー

複数の期間におけるサービス・レベルに関する情報を表示します。

サービス監視ダッシュボード

サービス・セットのステータス、パフォーマンス、使用状況およびサービス・レベルの情報を表示するサービス監視ダッシュボードを表示します。

サービスのステータス・サマリー

サービスの現在のステータス、パフォーマンス、使用状況およびコンポーネント・ステータスに関する情報を表示します。

Enterprise Managerの設定要素

要素の説明

Management Packのアクセス権

Management Packのアクセス権を持つライセンス供与可能なターゲットを表示します。

監視要素

要素の説明

Application Serverクラスタ

Application Serverクラスタの監視および構成情報を表示します。

Application Serverターゲット

Application Serverターゲットの監視および構成情報を表示します。

可用性タイムライン(グループ)

一定期間におけるターゲットの可用性を表示します。グループ、システム、冗長性グループおよびクラスタがサポートされています。

メトリック詳細

一定期間にわたって同じ時間のターゲット・セットに関する特定のメトリックのグラフを表示します。

オープン・アラート

ユーザーがカスタマイズ可能な一連のターゲットおよび重大度に関する未処理のアラートの詳細を表示します。

Oracle HTTP Traffic

Oracle HTTP/HTTPS Trafficの情報を表示します。

サービス・メトリック詳細

特定のサービスに関するパフォーマンスおよび使用状況のメトリックのグラフを表示します。

システム監視ダッシュボード

グループまたはシステムのステータスおよびアラート情報を表示します。

Webアプリケーションのページ・パフォーマンス

特定のWebアプリケーションに関するページ・パフォーマンス情報をレンダリングします。

カテゴリごとのWebアプリケーションのページ・パフォーマンス

ドメイン/リージョン/ビジター/Webサーバー別にページ・パフォーマンス情報をレンダリングします。

Webアプリケーションのリクエスト・パフォーマンス

Webアプリケーションのリクエスト・パフォーマンスに関する詳細を表示します。

Webアプリケーションのトランザクション・パフォーマンスの詳細

特定のトランザクション・パフォーマンスの詳細を表示します。

Webアプリケーションのトランザクション・パフォーマンスのサマリー

トランザクション・パフォーマンスのサマリー情報を表示します。

WebアプリケーションのURLパフォーマンス

指定されたURLのパフォーマンスを示す時系列のグラフを表示します。


レポートのスケジュール

Enterprise Managerを使用すると、レポートの対話方式での表示や、柔軟なスケジュールによるレポート生成のスケジュールが可能です。たとえば、環境内のすべてのサーバーに関するインベントリ・スナップショット・レポートを毎日午前0時に生成できます。

柔軟なスケジュール

Grid Controlには、次のスケジュール・オプションが用意されています。

  • 即時、または将来のある時点における1回かぎりのレポート生成

  • 定期的なレポート生成

    • 頻度: 任意の分数/時間数/日数/週数/月数/年数

    • コピーの無期限な生成または将来の特定の日付までの生成が可能です。

レポートのコピーの格納およびパージ

Enterprise Managerを使用して、スケジュールした任意の枚数のコピーを将来の参照用に格納できます。格納した各コピーを手動での削除、または格納したコピー枚数または保存時間に基づいた自動パージの設定が可能です。たとえば、保存時間が90日を過ぎたすべてのレポートをパージするよう設定できます。

レポートの電子メール送信

電子メールで、任意の数の受信者にスケジュールしたレポートを送信できます。電子メールの返信先アドレスと件名を指定できます。

レポートの共有

情報パブリッシャを使用すると、ユーザー・コミュニティ全体で簡単にレポートを共有できるようになります。Enterprise Managerの管理者は、他の管理者およびロールとレポートを共有できます。ただし、顧客やエグゼクティブなどのEnterprise Managerの管理者以外のユーザーとのレポート共有が必要になる場合もあります。これらのユーザーとの情報の共有を簡易化するために、Enterprise Managerでは、ユーザー認証を必要としない別のレポート用Webサイトを提供します。


注意:

機密情報が損われることがないように、Enterprise Managerのレポート用Webサイトにレポートを公開できるのは、特別なシステム権限を持つEnterprise Manager管理者のみに制限されています。

情報パブリッシャではEnterprise Managerのロールと権限が適用されます。このため、表示可能な情報に関するレポートを作成できるのは、Enterprise Manager管理者のみに制限されます。レポートを共有する場合、管理者はユーザーに対し、所有者の権限付きでレポートの表示を許可できます。たとえば、システム管理者は、サーバーを使用してホストのパフォーマンス情報はDBAと共有し、ホスト・ターゲットに対する権限はDBAに付与しないようにできます。この場合、システム管理者がホストのパフォーマンス・レポートを作成し、DBAはシステム管理者の権限を使用してレポートを表示できます。これによって、ホストのホームページへのアクセス権を付与することなく、参照を許可する情報のみをDBAが参照できるようになります。