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Oracle Composite Application Monitor and Modelerユーザーズ・ガイド
リリース10.2.0.5
B56252-01
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5 パフォーマンス分析

CAMMは測定を収集すると、入力データを処理して、結果の情報をCAMM埋込みデータベースに格納します。その後、CAMMのパフォーマンス分析機能がこのデータベースを問い合せて、統計モデルを作成し、計算を実行します。

この章では、次のパフォーマンス分析機能について説明します。

5.1 エンティティ・パフォーマンス・ランキング

ポータルのメトリックについて、CAMMエンティティ・パフォーマンス・ランキングを使用するとボトルネックの分離を促進することができます。

エンティティ・パフォーマンス・ランキングは、1ノードに複数の子エンティティが含まれるときに使用できるようになります。たとえば、「ラベル」ノードに複数の子エンティティがある場合、ノードの「分析」タブをクリックするとエンティティ・パフォーマンス・ランキングが表示されます。

子エンティティを含むノードにエンティティ・パフォーマンス・ランキングが提供されます。

5.2 パフォーマンスの特徴付け

パフォーマンスの特徴付けは、CAMMによって提供される一連のパフォーマンス分析です。パフォーマンスの特徴付け分析を使用して、所定の時間フレームにおける監視対象エンティティの実際のパフォーマンスを視覚的に表します。この後で、CAMMで提供されるパフォーマンスの特徴付け分析のリストを示します。

これらのグラフを表示するには、統計に関する大容量のデータが必要です。いずれかのグラフを表示するには少なくとも1時間分の連続したロード、すべてのグラフを表示するには少なくとも5時間分の連続したロードが必要です。分析を行うには、ロード・メトリックが実際に存在していること、その分析の目的に合わないポイントが0であることが必要です。場合によっては、時間フレームを手動で拡大すると十分なデータ・ポイントを含むことができます。

5.2.1 マルチポイント・パフォーマンス/ロード回帰

CAMMによって、特定の時間フレームに収集されたパフォーマンスとロードの測定のデータセットに対応するように、マルチポイント・ラインが自動的に調整されます。この機能により、リアルタイムでの一定のロード・レベルにおけるエンティティのパフォーマンスの特徴付けを迅速に行うことができます。

CAMMは、マルチポイント回帰を実行し、データセットに対して3ポイント・ラインを調整します。

パフォーマンス分析ツールとして、マルチポイント・パフォーマンス/ロード回帰は大変有効です。このツールにより、一定のロード範囲でのシステムまたはコンポーネントのパフォーマンスの特徴付けができます。この分析を使用すると、特定のインフラストラクチャ構成(デプロイ済アプリケーション、アプリケーション・サーバー構成、ネットワーク・トポロジ、ハードウェア容量など)を持つシステムのパフォーマンス・ベースラインを取得して、特徴をロードすることができます。この分析は、キャパシティ・プランニングにも使用できます。回帰は、特定の構成での実際のアプリケーション・パフォーマンスを表します。この情報を使用すると、需要の見積りを適切に満たすには、どの程度コンピューティング・キャパシティを拡張すべきかを判断することができます。

5.2.2 パフォーマンス/ロード散布図

この機能では、特定の監視対象エンティティの受信率とレスポンス時間が交わる点が散布図に自動的にプロットされます。これにより、リアルタイムの一定範囲のロード(受信率)における実際のパフォーマンス(レスポンス時間)が視覚的に表されます。

受信のメトリックとレスポンス時間のメトリックが交わる点が散布図にプロットされます。

5.2.3 時間ベース・パフォーマンス分布

この機能では、指定した時間フレームにおける特定の監視対象エンティティのパフォーマンス(レスポンス時間)が自動的にプロットされます。X軸はレスポンス時間、Y軸は実際の時間です。このプロットにより、監視対象エンティティのパフォーマンスの経時的な変化が視覚的に表されます。

時間ベース・パフォーマンス分布は、異常なパフォーマンス・パターンを見つけるときに役立ちます。

5.2.4 パフォーマンス・ヒストグラム

この機能では、10の階級(パフォーマンスの範囲)を含むヒストグラムが自動的に作成され、各階級に属するレスポンス時間データがプロットされます。X軸は発生回数(頻度)、Y軸はレスポンス時間の範囲です。このヒストグラムを使用して、特定の監視対象エンティティのパフォーマンス分布を確認できます。

パフォーマンス・ヒストグラムは、パフォーマンス分布の視覚化に役立ちます。

5.2.5 時間ベース・パフォーマンス傾向

この機能では、指定した時間フレームにおける特定の監視対象エンティティのパフォーマンス(レスポンス時間)の傾向を示す線が自動的にプロットされます。X軸はレスポンス時間、Y軸は実際の時間です。この傾向を示す線により、監視対象エンティティのパフォーマンスの経時的な変化が視覚的に表されます。

時間ベース・パフォーマンス傾向を使用すると、特定の時間フレームにおける異常なパフォーマンス・パターンを素早く特定することができます。

5.3 メモリー・リーク検出

CAMMには、パフォーマンスのメモリー・リークを検出する分析が組み込まれています。

メモリー・リーク検出を利用するには、「リソース」の下の「JVM」ノードを選択します。「JVM」ノードを選択すると、指定した時間フレームのメモリー使用率のパターンが分析されます。2つのグラフ、メモリー・リーク・レートとメモリー・リーク・ステータスが、メイン表示ウィンドウに表示されます。

メモリー・リーク検出を使用するには、「JVM」ノードをクリックします。

メモリー・リーク・レート・グラフでは、時間ベースの傾向分析を実行できます。このグラフでは、所定の時間におけるJVMヒープ・メモリーの増加率(KB/分)が示されます。メモリー・リーク・ステータス・グラフでは、持続的なメモリー・リークの存在をすぐに特定することができます。


ヒント:

JVMヒープの増加が持続すると、メモリー・リークが発生することがあります。CAMMはメモリーの増加率を継続的に評価して、リーク・ステータスを判別します。メモリー・リーク・ステータス・グラフの値は2つ(0または1)です。値0はリークがないことを示します。値1はリークの可能性があることを示します。深刻なリークがある場合は、メモリー・リーク・ステータス・グラフの値が1のままになります。

5.4 ドリルダウン - ボトルネック分析

CAMMを使用するとパフォーマンスのボトルネックを容易に見つけることができます。多くの場合、ボトルネックの正確な場所が示されます。CAMMでドリルダウン操作を実行する基本の方法について説明します。

表5-1 ドリルダウンの方法

操作 説明

ダブルクリック

CAMMの多数のビューで実行できます。ダブルクリックすると、その時点で表示されている情報よりも論理レベルが1つ下の情報が表示されます。

右クリックメニュー

CAMMのほとんどのビューで使用できます。ほとんどのビューで、アーキテクチャ・ビューの表示オプションを選択すると診断セッションが開始します。アーキテクチャ・ビューでは、ドリルダウン操作を使用して1つ下のレベルに移動します。


可能な場合は必ず組込みの遅延分析を使用して、パフォーマンス・ボトルネックを分離します。遅延分析は、アーキテクチャ・ビューだけでなく「プロセス」ノードの下からも使用できます。CAMMの遅延分析によって、プロセスまたはアクティブなコール・パス内の特定のコンポーネントに由来する、全体の遅延に影響を及ぼす遅延の要因が明らかになります。

エンティティ・パフォーマンス・ランキングを使用して、異常な動作のコンポーネントやパフォーマンス・ボトルネックを特定することもできます。

操作ダッシュボードの赤いライトは、アプリケーションのパフォーマンスしきい値に違反があったことを示します。

診断ダッシュボードでアプリケーションの行をダブルクリックすると、詳しいパフォーマンス・データを含むポップアップ・ウィンドウが表示されます。

詳しいパフォーマンス・データを使用して、パフォーマンスの問題をさらに分離します。このポップアップ・ウィンドウには次の情報が含まれます。

このポップアップ・ウィンドウの特定の行をダブルクリックすると、選択した行に関連するアーキテクチャ・ビューが表示されます。

実行が遅いコンポーネントをダブルクリックすると、遅延分析を含むアーキテクチャ・ビューが表示されます。


ヒント:

右クリックしてその他の矢印を非表示オプションを選択すると、クリックしたコンポーネントの矢印のみが表示されます。最も遅いインバウンド・コールから、次のレベルの最も遅いコンポーネントに進みます。この方法を繰り返して、ボトルネックを探します。

まずファン・アウト表を見て、実行に問題があるアウトバウンド・コールがないかどうかを調べます。特定のコールの実行に問題がある場合は、そのコールをたどって宛先コンポーネントに進み、さらに調べます。

すべてのファン・アウト・コールを調べて、最も遅いファン・アウト・コールをたどります。

ファン・アウト・コールの実行に問題がない場合は、現在選択しているコンポーネント内にボトルネックが存在する可能性が大変高くなります。ファン・イン表を使用して、実行に問題があるコールを分離します。ファン・イン表で特定のインバウンド・コールをダブルクリックすると、そのインバウンド・コールに関連する詳しいパフォーマンス・データを含むポップアップ・ウィンドウが表示されます。

最も遅いファン・イン・コールをダブルクリックして、詳しいパフォーマンス・データを取得します。

CAMMでは、操作ダッシュボードから開始して、メソッド・レベルに存在するパフォーマンス・ボトルネックを探すことができます。


ヒント:

現在の遅延要因の内訳とベースライン遅延要因の内訳を比べて、異常な動作を特定します。これは、比較ビューを使用して実行できます。

5.5 ドリルアウト - 影響分析

パフォーマンス・ボトルネックを特定した後で、CAMM独自のドリルアウト機能を使用して、ボトルネックの影響を判別することができます。影響分析はアーキテクチャ・ビューで実行できます。

ドリルアウト・プロセスを開始するには、次のようにします。

  1. ボトルネックとして特定されたエンティティをアーキテクチャ・ビューで選択します。

  2. 右クリックしてドリルアウトを選択します。アーキテクチャ・ビューに1つ上の論理レベルが表示されます。

  3. ドリルアウトとコンテキストでの表示のナビゲーション手法を組み合せて使用し、影響の範囲を判別します。

パフォーマンス・ボトルネックの影響を判別するには、アーキテクチャ・ビューとコンテキストにクラスを含むモジュール(背景色が白)に再び注目します。

このウィンドウでは次の操作を実行できます。

たとえば、クラスの背景色が青い場合は、そのエンティティが所属するモジュールが現在のビュー・コンテキストとは異なることを意味します。