この項では、このマニュアルで説明するOracle TimesTen In-Memory Databaseリリース11.2.1の新機能の概要、および各機能の詳細への参照先を示します。
この項では、このリファレンスに記載されているリリース11.2.1.6.0の新機能を示し、追加情報の参照先も示します。
ODBC管理者のGUIには、新しくパラレル・レプリケーション接続属性が追加されました。詳細は、「WindowsでのData Manager DSNの作成」を参照してください。
TimesTenでは、必要な権限が付与されていればシノニムを作成できます。
シノニムは、データベース・オブジェクトの別名です。オブジェクト名およびオブジェクト所有者にマスクをかけるために使用できるため、多くの場合はセキュリティおよび利便性のために使用されます。また、シノニムでSQL文を簡略化できます。シノニムによって独立性が実現するため、シノニムがどのオブジェクトを指すかにかかわらず、変更なしでアプリケーションの動作が可能になります。シノニムはDML文の他、一部のDDLやIMDBキャッシュ文で使用できます。
シノニムの詳細は、「シノニムの理解」を参照してください。シノニムの作成および使用時に必要な権限の詳細は、「シノニムのオブジェクト権限」を参照してください。
マテリアライズド・ビューを作成する際、所有者にはマテリアライズド・ビューが参照する各表(ディテール表ともいう)に対するSELECT
権限が必要です。ディテール表に対するSELECT
権限を失うと、マテリアライズド・ビューは無効になります。マテリアライズド・ビューに必要なすべての権限、および無効なマテリアライズド・ビューのリカバリ方法の詳細は、「マテリアライズド・ビューのオブジェクト権限」を参照してください。
ttIsql
ユーティリティを使用すると、SQLコマンド・キャッシュに含まれるコマンドまたはその実行計画を表示できます。詳細は、「SQLコマンド・キャッシュからのコマンドおよび実行計画の表示」を参照してください。
図1-8「PL/SQL属性」で示すとおり、PL/SQLには初期接続属性および一般接続属性があります。
このマニュアルで説明されている新機能は、次のとおりです。
Oracle TimesTen In-Memory Databaseリリース11.2.1には、新しいアクセス制御モデルが実装されています。これまでのTimesTenアクセス制御モデルは削除されました。2つのモデル間に下位互換性はありません。
ユーザーは、インストール・レベルではなくデータベース・レベルで定義されます。権限はオブジェクト・レベルで定義されます。TimesTenリリース7.0とそれより前のシステム権限は、Oracle Databaseのシステム権限に似たシステム権限に置き換えられました。
このリリースにおけるアクセス制御に対する主な変更点は、次のとおりです。
アクセス制御は常に有効です。アクセス制御を無効にしてTimesTenをインストールすることはできなくなりました。
データベースを作成および破棄できるのはインスタンス管理者のみです。
同じインスタンス内の個別のデータベースに、異なるユーザーを設定できます。
すべてのオブジェクトには、データベースのユーザーである所有者が存在する必要があります。ユーザーbob
がデータベースに存在しない場合、オブジェクトbob.t1
は作成できません。
すべてのオブジェクト所有者は、自分のオブジェクトにアクセスできます。他のユーザーが所有するオブジェクトには、そのオブジェクトの所有者またはADMIN
権限を持つユーザーから明示的にアクセス権を付与されないかぎり、アクセスできません。また、PUBLIC
ロールに特定のオブジェクトへのアクセス権が付与されている場合、すべてのデータベース・ユーザーがそのオブジェクトにアクセスできます。
権限は、準備時と文の初回実行時にチェックされます。それ以降に文を実行したときにさらに権限のチェックが必要になるのは、データベースで取消し処理が行われる場合のみです。
クライアント/サーバー接続をまたいでCREATE USER
user
IDENTIFIED BY PASSWORD
password
またはALTER USER
user
IDENTIFIED BY PASSWORD
password
SQL文を実行して、ユーザーを作成または変更することはできません。
既存のオブジェクトを所有するユーザーは破棄できません。
ユーティリティおよび組込みプロシージャの多くは、その実行に特定の権限を必要とします。また、一部の初期接続属性では、変更または接続時に特定の権限を必要とします。それぞれに必要な権限の詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のユーティリティ、組込みプロシージャまたは初期接続属性に関する説明を参照してください。
ttRepAdmin -duplicate
ユーティリティを実行できるのはインスタンス管理者のみです。ttRepAdmin -duplicate
を実行する場合、インスタンス管理者は、ソースとターゲットの両方のマシンで同じオペレーティング・システムのユーザー名を使用する必要があります。詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』を参照してください。
以前のバージョンでは、任意の所有者名でオブジェクトを作成でき、その名前のユーザーが存在している必要はありませんでした。たとえば、ユーザーterry
は、ユーザーpat
がデータベースに存在しなくてもオブジェクトpat.table1
を作成できました。ただし、今後はすべてのオブジェクトに所有者が存在するため、ttMigrate
ユーティリティを使用して11.2.1より前のリリースからTimesTenデータベースをリストアすると、このオブジェクト用にユーザーpat
が自動的に作成されます。ユーザーpat
には権限は付与されず、内部的に生成されたパスワードが設定されます。詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseインストレーション・ガイド』の「データベースのアップグレード」を参照してください。
ttMigrate
ユーティリティを使用してTimesTenデータベース全体を保存またはリストアする場合は、ADMIN
権限が必要です。ただし、ttMigrate
を使用して一部のデータベース・オブジェクトを保存またはリストアする場合は、該当するデータベース・オブジェクトの読取りまたは作成に必要な権限のみが必要です。詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のttMigrate
に関する説明を参照してください。
ユーザーの作成、およびデータベース・オブジェクトにアクセスするための権限の割当ての詳細は、第4章「アクセス制御の管理」を参照してください。
マテリアライズド・ビューは、指定した時間に、または手動で開始することによって、非同期にリフレッシュできます。遅延トランザクションは、増分または完全リフレッシュで更新できます。非同期マテリアライズド・ビューにはマテリアライズド・ビュー・ログが作成および関連付けられ、ディテール表からのデータの増分リフレッシュに対応します。詳細は、「マテリアライズド・ビューの理解」および「マテリアライズド・ビューの処理」を参照してください。
SQL文、組込みプロシージャなど、実行されたすべてのコマンドは、一時メモリーを使用するSQLコマンド・キャッシュに格納されます。コマンドはSQLコマンド・キャッシュの制限に達するまで格納され、その後は最後に使用されたコマンドが削除された後に新しいコマンドが格納されます。SQLコマンド・キャッシュに格納されているこれらのコマンドを1つ以上取得できます。SQLコマンド・キャッシュの詳細は、「SQLコマンド・キャッシュに格納されているSQLコマンドの表示」を参照してください。
問合せ計画情報を使用して、問合せの監視およびトラブルシューティングを行うこともできます。詳細は、「SQLコマンド・キャッシュに格納されているコマンドに関連付けられた問合せ計画の表示」を参照してください。
TimesTenはビットマップ索引をサポートします。「索引タイプの概要」を参照してください。
トランザクション・ログ・バッファのファイル・サイズの構成は、KBでサイズを定義するLogBuffSize
から、MBで定義するLogBufMB
に変更になりました。これは、「データベースのサイズ指定」で説明するとおり、データベース・サイズの構成方法に影響します。パフォーマンスを構成するにはLogBufMB
を使用します。詳細は、「LogBufMBの増加(必要な場合)」を参照してください。
アクティブ・スタンバイ・ペアのレプリケーション・スキームを使用するデータベースに対して、自動クライアント・フェイルオーバーを構成できます。これにより、クライアントは、スタンバイ・データベースが存在するサーバーに自動的にフェイルオーバーできるようになります。「自動クライアント・フェイルオーバーの構成」を参照してください。
データソース名(DSN)でPL/SQL接続属性の値を指定できます。「DSNでのPL/SQL接続属性の指定」を参照してください。
ttIsql
ユーティリティを使用してPL/SQLブロックを作成および実行できます。「PL/SQLブロックの作成および実行」および「OUTパラメータを使用したPL/SQLからのデータの受渡し」を参照してください。
ttIsql
ユーティリティを使用してPL/SQLオブジェクトを表示できます。「オブジェクト・タイプ別のデータベース・オブジェクトのリスト」を参照してください。
RecoveryThreads
初期接続属性を使用して、アクティブ・スタンバイ・ペアのパフォーマンスを向上させることができます。「アクティブ・スタンバイ・ペアのレプリケーション・スループットの向上」を参照してください。