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Oracle® TimesTen In-Memory Database TimesTen to TimesTen開発者および管理者ガイド
リリース11.2.1
B56053-02
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13 レプリケーションの変更

この章では、既存のレプリケーション・システムを変更する方法について説明します。表13-1に、既存のレプリケート・システムに対してよく実行するタスクを示します。

表13-1 既存のレプリケート・システムに対して実行するタスク

タスク 説明

レプリケーション・スキームの変更または削除

「レプリケーション・スキームの変更」および「レプリケーション・スキームの削除」を参照してください。

レプリケーション・スキームで使用されている表の変更

「レプリケート表の変更」を参照してください。

レプリケーション・スキームで使用されている表の切捨て

「レプリケート表の切捨て」を参照してください。

サブスクライバ・データベースのレプリケーション状態の変更

「サブスクライバのレプリケーション状態の設定」を参照してください。

更新競合の解消

第14章「レプリケーション競合の解消」を参照してください。

障害からのリカバリ

第11章「データベースのフェイルオーバーおよびリカバリの管理」を参照してください。

データベースのアップグレード

ttMigrateおよびttRepAdminユーティリティを使用します(『Oracle TimesTen In-Memory Databaseインストレーション・ガイド』のデータベースのアップグレードに関する説明を参照)。


レプリケーション・スキームの変更

ALTER REPLICATIONを使用して、マスターおよびサブスクライバのデータベースのレプリケーション・スキームを変更することができます。また、マスター・データベースに対する変更は、そのサブスクライバに対しても行う必要があります。


注意:

ALTER REPLICATION文を使用するには、ADMIN権限が必要です。

ALTER REPLICATIONを使用してDATASTORE要素を指定するレプリケーション・スキームを変更する場合は、次のことに注意してください。

ほとんどのALTER REPLICATION処理は、レプリケーション・エージェントが停止している場合(ttAdmin -repStop)にのみサポートされます。ただし、レプリケーション・エージェントの実行中にデータベースをレプリケーション・スキームに動的に追加することは可能です(「サブスクライバ・データベースの作成および追加」を参照)。

レプリケーション・エージェントを停止する必要があるALTER REPLICATION処理の手順は、次のとおりです。

  1. ttRepStopプロシージャまたはttAdmin -repStopを使用して、マスターおよびサブスクライバのデータベースのレプリケーション・エージェントを停止します。レプリケーション・エージェントの停止中、マスター・データベースへの変更はログに格納されます。

  2. マスターとサブスクライバの両方のデータベースで、同じALTER REPLICATION文を発行します。

  3. ttRepStartプロシージャまたはttAdmin -repStartを使用して、マスターおよびサブスクライバのデータベースのレプリケーション・エージェントを再起動します。マスター・データベースのログに格納されている変更がサブスクライバ・データベースに送信されます。

この項の内容は次のとおりです。

既存のレプリケーション・スキームへの表または順序の追加

既存のレプリケーション・スキームに表または順序を追加するには、次の2つの方法があります。

  • レプリケーション・スキームの要素レベルがTABLEまたはSEQUENCEの場合は、ADD ELEMENT句を指定してALTER REPLICATION文を使用し、表または順序を追加します。詳細は、例13-1を参照してください。

  • レプリケーション・スキームの要素レベルがDATASTOREの場合は、ALTER ELEMENT句を指定してALTER REPLICATION文を使用し、表または順序を含めます。詳細は、例13-2を参照してください。

例13-1 レプリケーション・スキームへの順序および表の追加

この例では、例9-29で定義したレプリケーション・スキームr1を使用します。レプリケーション・スキームr1を変更して、順序seqおよび表westleadsを追加します。この表は、データベースwestdsで更新され、データベースeastdsにレプリケートされます。

ALTER REPLICATION r1
  ADD ELEMENT elem_seq SEQUENCE seq
    MASTER westds ON "westcoast"
    SUBSCRIBER eastds ON "eastcoast"
  ADD ELEMENT elem_westleads TABLE westleads
    MASTER westds ON "westcoast"
    SUBSCRIBER eastds ON "eastcoast";

例13-2 DATASTORE要素への順序および表の追加

順序my.seqおよび表my.tab1my.rep1レプリケーション・スキームのds1 DATASTORE要素に追加します。

ALTER REPLICATION my.rep1
  ALTER ELEMENT ds1 DATASTORE
    INCLUDE SEQUENCE my.seq
  ALTER ELEMENT ds1 DATASTORE
    INCLUDE TABLE my.tab1;

既存のレプリケーション・スキームへのDATASTORE要素の追加

ADD ELEMENT句を指定してALTER REPLICATION文を使用すると、既存のレプリケーション・スキームにDATASTORE要素を追加できます。INCLUDEまたはEXCLUDE句を使用しない場合、一時表を除くすべての表、マテリアライズド・ビューまたは非マテリアライズド・ビューがデータベースに含まれます。「DATASTORE要素追加時の表または順序の挿入」および「DATASTORE要素追加時の表または順序の除外」を参照してください。

例13-3 レプリケーション・スキームへのDATASTORE要素の追加

既存のレプリケーション・スキームにDATASTORE要素を追加します。

ALTER REPLICATION my.rep1
  ADD ELEMENT ds1 DATASTORE
       MASTER rep2
       SUBSCRIBER rep1, rep3;

DATASTORE要素追加時の表または順序の挿入

既存のレプリケーション・スキームにデータベースを追加する場合、レプリケーションを特定の表または順序に制限できます。ADD ELEMENT句と、INCLUDE TABLE句またはINCLUDE SEQUENCE句を指定してALTER REPLICATION文を使用します。同じALTER REPLICATION文の表または順序ごとに1つのINCLUDE句を使用できます。

例13-4 DATASTORE要素への表および順序の挿入

ds1 DATASTORE要素をmy.rep1レプリケーション・スキームに追加します。DATASTORE要素に表my.tab2および順序my.seqを挿入します。

ALTER REPLICATION my.rep1
ADD ELEMENT ds1 DATASTORE
MASTER rep2
SUBSCRIBER rep1, rep3
INCLUDE TABLE my.tab2
INCLUDE SEQUENCE my.seq;

DATASTORE要素追加時の表または順序の除外

既存のレプリケーション・スキームにDATASTORE要素を追加する場合、表または順序を除外できます。ADD ELEMENT句と、EXCLUDE TABLE句またはEXCLUDE SEQUENCE句を指定してALTER REPLICATION文を使用します。同じALTER REPLICATION文の表または順序ごとに1つのEXCLUDE句を使用できます。

例13-5 DATASTORE要素からの表または順序の除外

ds2 DATASTORE要素をレプリケーション・スキームに追加しますが、表my.tab1および順序my.seqを除外します。

ALTER REPLICATION my.rep1
ADD ELEMENT ds2 DATASTORE
MASTER rep2
SUBSCRIBER rep1
EXCLUDE TABLE my.tab1
EXCLUDE SEQUENCE my.seq;

レプリケーション・スキームからの表または順序の削除

この項の内容は次のとおりです。

DATASTORE要素の一部としてレプリケートされる表または順序の削除

DATASTOREレベルでレプリケーション・スキームに含まれている表または順序を削除するには、次のタスクを実行します。

  1. レプリケーション・エージェントを停止します。

  2. レプリケーション・スキームのDATASTORE要素から表または順序を除外します。

  3. 表または順序を削除します。

その表または順序が含まれているDATASTORE要素が複数存在する場合は、それを削除する前に各要素からその表または順序を除外する必要があります。

例13-6 DATASTORE要素からの表の除外およびその後の表の削除

my.rep1レプリケーション・スキームのds1 DATASTORE要素から表my.tab1を除外します。その後、その表を削除します。

ALTER REPLICATION my.rep1
  ALTER ELEMENT ds1 DATASTORE
    EXCLUDE TABLE my.tab1;
DROP TABLE my.tab1;

TABLEまたはSEQUENCE要素としてレプリケートされる表または順序の削除

TABLEまたはSEQUENCEレベルでレプリケーション・スキームに含まれている表を削除するには、次のタスクを実行します。

  1. レプリケーション・エージェントを停止します。

  2. 要素をレプリケーション・スキームから削除します。

  3. 表または順序を削除します。

例13-7 レプリケーション・スキームからの要素の削除およびその後の順序の削除

レプリケーション・スキームr1からSEQUENCE要素elem_seqを削除します。その後、順序seqを削除します。

ALTER REPLICATION r1
  DROP ELEMENT elem_seq;
DROP SEQUENCE seq;

サブスクライバ・データベースの作成および追加

レプリケーション・エージェントの実行中は、新しいサブスクライバ・データベースを追加できます。データベースをレプリケーション・スキームに追加するには、次のタスクを実行します。

  1. 新しいデータベースが存在しないことを確認します。

  2. 関連するすべてのデータベースに適切な文を適用します。

    ALTER REPLICATION ...
      ALTER ELEMENT ...
        ADD SUBSCRIBER ...
    
  3. ttRepAdmin -duplicateコマンドを実行し、新しく作成したサブスクライバにマスター・データベースの内容をコピーします。-setMasterRepStartオプションを使用すると、複製処理後にマスターに対して行われた更新もサブスクライバにコピーできます。

  4. 新しく作成したデータベースでレプリケーション・エージェントを起動します(ttAdmin -repStart)。

例13-8 レプリケート表へのサブスクライバの追加

この例では、r1レプリケーション・スキームを変更して、サブスクライバ(backup3)をwestleads表に追加します(前述の手順2)。

ALTER REPLICATION r1
  ALTER ELEMENT elem_westleads
    ADD SUBSCRIBER backup3 ON "backupserver";

サブスクライバ・データベースの削除

サブスクライバ・データベースを削除する前に、レプリケーション・エージェントを停止します。

この例では、r1レプリケーション・スキームを変更して、westleads表のbackup3サブスクライバを削除します。

例13-9 レプリケート表のサブスクライバの削除

ALTER REPLICATION r1
  ALTER ELEMENT elem_westleads
    DROP SUBSCRIBER backup3 ON "backupserver";

TABLEまたはSEQUENCE要素名の変更

TABLEまたはSEQUENCE要素名を変更する前に、レプリケーション・エージェントを停止します。

westleads表の要素名をelem_westleadsからnewelnameに変更します。

例13-10 表名の変更

ALTER REPLICATION r1
  ALTER ELEMENT Eelem_westleads
    SET NAME newelname;

注意:

SET NAME句を使用して、DATASTORE要素の名前を変更することはできません。

マスター・データベースの交換

マスター・データベースを交換する前に、レプリケーション・エージェントを停止します。

この例では、現在はマスターとしてwestdsが構成されているすべての要素に新しいマスターnewwestdsを構成します。

例13-11 マスター・データベースの交換

ALTER REPLICATION r1
  ALTER ELEMENT * IN westds
    SET MASTER newwestds;

競合検出の無効化

この例では、例14-2に示されているスキームのCHECK CONFLICTS句で構成した競合検出を、elem_accounts_1表に対して無効にします。

例13-12 表の競合検出の無効化

ALTER REPLICATION r1
  ALTER ELEMENT elem_accounts_1
    SET NO CHECK;

競合検出の詳細は、第14章「レプリケーション競合の解消」を参照してください。

RETURN RECEIPTサービスの無効化

この例では、例9-29に示されているスキームの最初のサブスクライバに対してRETURN RECEIPTサービスを無効にします。

例13-13 サブスクライバのRETURN RECEIPTサービスの無効化

ALTER REPLICATION r1
  ALTER ELEMENT elem_waccounts
    ALTER SUBSCRIBER eastds ON "eastcoast"
      SET NO RETURN;

ポート番号の変更

ポート番号とは、サブスクライバ・データベースのレプリケーション・エージェントがマスター・レプリケーション・エージェントからの接続リクエストを受け入れるTCP/IPポート番号のことです。レプリケーション・エージェントへのポートの割当て方法の詳細は、「ポート割当て」を参照してください。

この例では、r1レプリケーション・スキームを変更して、eastdsのポート番号を22251に変更します。

例13-14 データベースのポート番号の変更

ALTER REPLICATION r1
  ALTER STORE eastds ON "eastcoast"
    SET PORT 22251;

レプリケーション・ルートの変更

レプリケーション・ホストにネットワーク・インタフェースが複数ある場合は、レプリケーション・トラフィックに使用するインタフェースをROUTE句で指定できます。レプリケーションで使用するインタフェースの変更が必要な場合は、ROUTE句のIPアドレスを削除または追加して変更できます。

例13-15 レプリケーション・ルートの変更

この例では、rep.r1レプリケーション・スキームを変更して、マスター・データベースの優先順位2のIPアドレスを192.168.1.100から192.168.1.101に変更します。

ALTER REPLICATION r1
  DROP ROUTE MASTER eastds ON "eastcoast"
             SUBSCRIBER westds ON "westcoast"
             MASTERIP "192.168.1.100"
  ADD ROUTE MASTER eastds ON "eastcoast"
            SUBSCRIBER westds ON "westcoast"
            MASTERIP "192.168.1.101" PRIORITY 2;

ログ障害しきい値の変更

STOREパラメータのFAILTHRESHOLD属性を使用すると、ログ障害しきい値を再設定できます。レプリケーション・エージェントを停止してから、ALTER REPLICATIONまたはALTER ACTIVE STANDBY PAIRを使用して新しいしきい値を定義します。その後、レプリケーション・エージェントを再起動します。

ログ障害しきい値の詳細は、「ログ障害しきい値の設定」および「ログ障害しきい値の設定」を参照してください。

レプリケート表の変更

ALTER TABLEを使用すると、マスター・データベースで列を追加または削除できます。ALTER TABLE処理をレプリケートすると、サブスクライバ・データベースが変更されます。

双方向レプリケーションに構成されているデータベースでALTER TABLEを使用する場合は、まず、すべてのレプリケーション・データベース上にある表への更新を停止し、表へのすべてのレプリケート対象の更新がデータベースによって受信されていることを確認してから、ALTER TABLE文を発行します。ALTER TABLE処理がすべてのデータベースにレプリケートされるまで、更新は再開しないでください。これは、すべてのデータベースで表が変更された後まで書込み処理が行われないようにするために必要です。


注意:

データベースで更新が受信およびコミットされたことを確認するには、第12章「レプリケーションの監視」で説明されているttRepSubscriberWaitプロシージャまたはモニタリング・ツールを使用できます。

また、データベース上で連続した多数のALTER TABLE処理を実行する場合は、前のALTER TABLEがすべてのサブスクライバに到達したことを確認してから、次のALTER TABLEに進む必要があります。


注意:

ALTER TABLE文を使用してデフォルトの列値を変更することはできますが、ALTER TABLE文はレプリケートされません。したがって、すべてのノードでデフォルトの列値を同じにする必要はありません。

レプリケート表の切捨て

TRUNCATE TABLEを使用すると、表自身を削除せずに表のすべての行を削除できます。表の切捨ての処理は、DELETE FROM Table文よりも高速です。

レプリケート表の切捨て処理がレプリケートされると、結果としてサブスクライバ・データベースの表が切り捨てられます。ただし、削除処理とは異なり、個々の行は削除されません。切捨て処理時に表の内容が一致していない場合でも、サブスクライバ・データベースの行は削除されます。

TRUNCATE文を使用すると、処理対象の行が存在しない場合でも、サブスクライバにレプリケートされます。

タイムスタンプ競合検出が有効な状態で表をレプリケートすると、競合はレポートされません。

レプリケーション・スキームの削除

DROP REPLICATION文を使用して、データベースからレプリケーション・スキームを削除できます。レプリケーション・スキームがデータベース内の唯一のレプリケーション・スキームでないかぎり、マスター・キャッチアップが必要な場合はレプリケーション・スキームを削除できません。


注意:

DROP REPLICATION文を使用するには、ADMIN権限が必要です。

レプリケーション・スキームを削除する前に、レプリケーション・エージェントを停止する必要があります。

例13-16 レプリケーション・スキームの削除

データベースからrepschemeレプリケーション・スキームを削除するには、次のように入力します。

DROP REPLICATION repscheme;

レプリケート表を削除する場合は、レプリケート表を削除する前にレプリケーション・スキームを削除する必要があります。そうしない場合、レプリケート表または索引を削除しようとしたことを示すエラーを受信します。

例13-17 データベースからの表およびレプリケーションの削除

データベースからtab表およびrepschemeレプリケーション・スキームを削除するには、次のように入力します。

DROP REPLICATION repscheme;
DROP TABLE tab;