この章では、Oracle Studioを使用して、Oracle Connectを構成する方法について説明します。
Oracle ConnectのモデリングはすべてOracle Studioを使用して実行します。Oracle Studioを使用するには、最初に、IMS/TMが動作しているIBM z/OSプラットフォームにアクセスできるようにOracle Studioを構成します。
この章の構成は、次のとおりです。
注意: 次の各タスクは、ユーザーにIBM z/OSプラットフォームへのアクセス権限があり、このコンピュータでOracle Connectデーモンが実行されていることを前提としています。これらの要件が満たされていることを、システム管理者に確認してください。 |
Oracle Studioを使用してIBM z/OSを構成する手順は、次のとおりです。
「スタート」メニューから、「プログラム」→「Oracle」→「Studio」を選択します。
Configuration Explorerで「Machines」を右クリックし、「Add Machine」を選択します。「Add Machine」画面が表示されます(詳細は図2-1を参照)。
接続先のコンピュータの名前を入力するか、または「Browse」をクリックして、表示されているコンピュータ・リストから、デフォルト・ポート(2551)を使用するコンピュータを選択します。
Oracle Connectのインストール時に管理者として指定されたユーザーのユーザー名とパスワードを指定します。
注意: 「Anonymous connection」を選択すると、コンピュータへのアクセス権限があるすべてのユーザーが管理者になることができます。 |
次の図に、「Add Machine」画面を示します。
「Finish」をクリックします。
追加したコンピュータがConfiguration Explorerに表示されます。
Oracle Studioには、Oracle Connectへのアクセスを保護するためのメカニズムが、モデリング時とランタイム時の両方で用意されています。
モデリング時には、次のセキュリティ・メカニズムを適用できます。
ランタイム時は、ユーザー・プロファイルによってOracle Connectへのクライアント・アクセスが提供されます。
最初は、Oracle Studioを使用して実行する操作にパスワードは必要ありません。パスワードは、Oracle Studioからサーバーへのアクセスに関係する最初の操作で入力が必要になります。
次の手順を実行します。
「スタート」メニューから、「プログラム」→「Oracle」→「Studio」を選択します。Oracle Studioが開きます。
メニュー・バーから「Window」を選択し、「Preferences」を選択します。
次の図に示すように、「Preferences」画面が表示されます。
「Studio」ノードを選択します。
「Change master password」をクリックします。次の図に示すように、「Change Master Password」画面が表示されます。
「Enter current master password」フィールドは空白のままにし、新規マスター・パスワードを入力します。
確認のためにパスワードを再入力します。
「OK」をクリックします。
デフォルトでは、Oracle Studioからそのコンピュータの設定を変更する権限があるのは、インストール時に管理者として指定されたユーザーのみです。このユーザーは、選択したコンピュータに対する定義を変更または表示する権限を他のユーザーに付与できます。Oracle Studioへのコンピュータの追加方法は、「Oracle StudioでのIBM z/OSプラットフォームの設定」を参照してください。
注意: インストール時のデフォルトでは、すべてのユーザーが管理者になります。 |
管理権限を持つユーザーを指定する手順は、次のとおりです。
「スタート」メニューから、「プログラム」→「Oracle」→「Studio」を選択します。Oracle Studioが開き、「Design」パースペクティブが表示されます。
Configuration Explorerで必要なコンピュータを右クリックし、「Administration Authorization」を選択します。
次の図に示すように、「Administration Authorization」画面が表示されます。
このエディタには次のセクションがあります。
Administrators: 管理者は、選択したコンピュータに関するすべての定義をOracle Studioで表示および変更できます。Oracle Studioへの初回の登録時は、すべてのユーザーがシステム管理者として定義されます。
Designers: 設計者は、Oracle Studioでコンピュータの定義すべてを表示できます。また、選択したコンピュータについて、「Bindings」および「Users」ノードの下にある定義を変更できます。たとえば、Oracle Studioのデータベース管理者は、データソースおよびアダプタを新たに追加したり、データソースの表のメタデータ定義を変更できます。
Users: ユーザーは、選択したコンピュータに関するすべての定義をOracle Studioで表示できます。通常のユーザーは、定義を変更できません。
関連するセクションに対応する「Add User」または「Add Group」をクリックして、ユーザーまたはユーザー・グループを追加します。追加するユーザーまたはグループは、そのコンピュータに対する有効なユーザーまたはグループとして認識されている必要があります。
セクションに名前が追加されると、そのユーザー名でログインしたユーザーまたはグループにのみ、関連する権限が付与されます。
ランタイム時は、ユーザー・プロファイルによってOracle Connectへのクライアント・アクセスが提供されます。ユーザー・プロファイルには、匿名アクセスが許可されていない場合、ランタイム時にコンピュータ、データソースまたはアプリケーションへのアクセスに使用される名前とパスワードのペアが含まれます。
「Configuration」ビューで、ユーザー名とパスワードを設定するコンピュータのノードを開きます。
「Users」ノードを開きます。
「NAV」ユーザー・プロファイルを右クリックして「Edit User」を選択します。次の図に示すように、「User Editor」ペインが表示されます。
ユーザー・エディタで、「Add」をクリックして「Add Authenticator」画面を表示します。
次の図に示すように、「Resource type」リストから「Remote Machine」を選択します。
Oracle Studioで定義されているIBM z/OSコンピュータの名前を入力します。
コンピュータへのアクセスに使用される名前とパスワードを入力し、確認のためにパスワードを再入力します。
「OK」をクリックします。
OracleAS Adapter for IMS/TMの相互作用のモデリングでは、Oracle Studioを使用してOracle Connectのバックエンド・アダプタが定義されます。Oracle Studioで指定された定義はすべて、IBM z/OSプラットフォームに書き込まれます。
この項の構成は、次のとおりです。
Oracle Connectを使用するには、IBM z/OSプラットフォームでアダプタ定義を設定して、IMS/TMトランザクションとの相互作用を処理する必要があります。これらの定義を指定するには、Oracle Studioを使用します。
次の手順を実行します。
「スタート」メニューから、「プログラム」→「Oracle」→「Studio」を選択します。
Configuration Explorerで、「Oracle StudioでのIBM z/OSプラットフォームの設定」で定義したコンピュータのノードを開きます。
「Bindings」フォルダを開きます。このコンピュータで使用可能なバインディング構成がリストされます。
「NAV」バインディングを開きます。NAVバインディング構成には、コンピュータに格納されているデータソースとアダプタのブランチが含まれています。
「Adapters」を右クリックして「New Adapter」を選択し、「New Adapter」ウィザードを開きます。
バックエンド・アダプタの名前を入力します。
注意: eventは予約語であり、アダプタ名には使用できません。 |
次の図に示すように、「Type」リストから、バックエンド・アダプタ・タイプとして「IMS/TM」を選択します。
「Create event queue for the adapter」を選択します。
「Finish」をクリックします。バックエンド・アダプタがリストに追加され、編集用にその定義が開きます。
注意: 「Type」リストに表示されるその他のアダプタは、サイトにインストールされているOracle Connectのバージョンではサポートされません。 |
「Properties」タブを選択し、必要に応じてアダプタのプロパティを変更します。
次の図に、「Properties」タブを示します。
次の表に、IMS/TMアダプタのプロパティを示します。
表2-1 アダプタのプロパティ
プロパティ | 説明 |
---|---|
cachLastTpipe |
直前に使用したトランザクション・パイプのキャッシュ。 |
cacheXcfConnection |
XCF接続情報のキャッシュ。 |
maxSessions |
使用可能なセッションの最大数。デフォルト値は5です。 |
racfGroupId |
RACF機能グループID。 |
racfUserId |
RACF機能ユーザーID。 |
tpipePrefix |
トランザクションとそのトランザクション・パイプとの関連付けに使用するトランザクション・パイプの接頭辞。デフォルトはATTUです。 |
xcfClient |
システム間カップリング・ファシリティのクライアント名。 |
xcfGroup |
接続が属するXCFメンバーのシステム間カップリング・ファシリティの集合。グループは8文字以内で構成でき、複数のシステムにまたがることが可能です。 |
xcfImsMember |
システム間カップリング・ファシリティのブループ・メンバー。 |
Oracle Connectには、アダプタとの情報の受渡しで使用する構造など、アダプタ相互作用を記述したメタデータが必要です。
アダプタの入出力構造を記述するCOBOLコピーブックが使用可能な場合は、Oracle Studioの「Design」パースペクティブで「Metadata Import」ウィザードを使用してアダプタ定義をインポートし、相互作用メタデータを生成できます。 フィルタ設定が異なる(例: 先頭から6列を無視するかしないか)複数のCOBOLコピーブックでメタデータが提供されている場合は、最初に同じ設定のコピーブックからメタデータをインポートし、次に他のコピーブックからメタデータをインポートしてください。
入出力構造を記述するCOBOLコピーブックが使用可能でない場合は、メタデータを手動で定義する必要があります。
インポート手順では、次の情報が必要です。
COBOLコピーブック: インポート手順の一部として、Oracle Studioが動作しているコンピュータにコピーされます。
アプリケーション・アダプタを介して実行するIMS/TMトランザクションの名前。
次のように、メタデータのインポート手順を使用して、相互作用メタデータを生成します。
「Configuration」ビューで、「Oracle Connectアダプタの設定」で定義したIMS/TMバックエンド・アダプタを右クリックします。
「Show Metadata View」を選択して「Metadata」タブを表示します。アダプタ・リストの下にIMS/TMバックエンド・アダプタが表示されます。
「Imports」を右クリックして「New Import」を選択します。新規メタデータ・インポートの画面が表示されます。
「Import name」フィールドに、インポートの名前を入力します。名前に使用できるのは、文字と数字、およびアンダースコアのみです。
「Import type」リストで「ImsTm Import Manager」を選択します。
「Finish」をクリックします。「Metadata Import」ウィザードが表示されます。
「Add」をクリックします。「Add Resources」画面が表示されます。この画面で、ローカル・コンピュータからファイルを選択するか、別のコンピュータからファイルをコピーするかを選択できます。
ファイルが別のコンピュータにある場合は、「My FTP Sites」を右クリックして「Add」を選択します。または、「Add FTP site」をダブルクリックします。「Add FTP Site」画面が表示されます。
COBOLコピーブックが常駐しているサーバー名またはIPアドレスを入力し、有効なユーザー名とパスワードを入力してコンピュータにアクセスし(匿名アクセスを使用する場合は、「Anonymous connection」をクリック)、「OK」をクリックします。
次の図に示すように、使用可能なサイトのリストにFTPサイトが追加されます。
注意: 選択したサーバーへのアクセスには、高位修飾子としてユーザー名が使用されるため、ユーザーがファイルを参照および転送できます。 |
コンピュータを右クリックして「Set Transfer Type」を選択します。転送タイプ(「ASCII」または「BINARY」)を入力し、「OK」をクリックします。
追加したサイトのリストを開いて、必要なCOBOLファイルを探します。高位修飾子を変更するには、コンピュータを右クリックして「Change Root Directory」を選択します。新しい高位修飾子を引用符で囲んで入力し、「OK」をクリックします。
必要なCOBOLコピーブック・ファイルを選択(複数選択可)し、「Finish」をクリックします。選択したファイルが「Metadata Import」ウィザードに表示されます。
注意: 1つのCOBOLコピーブックからメタデータをインポートし、後でこのメタデータに追加するには、別のCOBOLコピーブックを使用してインポート手順を繰り返します。COBOLコピーブックは同じフォーマットであることが必要です。つまり、最初の6列を使用するCOBOLコピーブックを、最初の6列を無視するCOBOLコピーブックとともにインポートすることはできません。この場合は、インポート手順を繰り返す必要があります。 |
「Next」をクリックします。次の図に示すように、「Apply Filters」画面が表示されます。
必要に応じて、コピーブックにフィルタを適用します。
次の表に、使用可能なフィルタを示します。
表2-2 使用可能なフィルタ
フィルタ | 説明 |
---|---|
COMP_6 switch |
MicroFocus COMP-6コンパイラ・ディレクティブ。 COMP-6をCOMPデータ型として処理する場合は「COMP-6'1'」を、COMP-6をCOMP-3データ型として処理する場合は「COMP-6'2'」を指定します。 |
Compiler source |
コンパイラのベンダー。 |
Storage mode |
MicroFocus Integer Storage Mode。バイト・ストレージ・モードの場合は「NOIBMCOMP」を、ワード・ストレージ・モードの場合は「IBMCOMP」を指定します。 |
Ignore after column 72 |
COBOLコピーブックの73〜80列を無視します。 |
IgnoreFirst6 |
COBOLコピーブックの最初の6列を無視します。 |
Replace hyphens (-) in record and field names with underscores (_) |
COBOLから生成されたメタデータのレコード名またはフィールド名に使用されているすべてのハイフンをアンダースコアで置換します。 |
Prefix nested columns |
すべてのネスト列の先頭に、その上のレベルのヘッダーを付加します。 |
Case sensitive |
検索文字列の大/小文字を区別するかどうかを指定します。 |
Find |
指定した値を検索します。 |
Replace with |
「Find」に指定した値を、ここで指定した値で置換します。 |
インポート・ウィザードで、「Next」をクリックします。次の図に示すように、「Add Interactions」画面が表示されます。
「Add」をクリックしてIMS/TMアダプタに対する相互作用を追加します。次の表に示す情報を追加します。
表2-3 相互作用のパラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
Name |
相互作用名。指定されているデフォルト名は変更できます。 |
Mode |
相互作用モード。次のいずれかを選択できます。 sync-send-receive: 相互作用では、リクエストを送信し、レスポンスの受信を待機します。これがデフォルトのモードです。 sync-receive: 相互作用ではレスポンスの受信を待機します。 sync-send: 相互作用では、リクエストを送信しますが、レスポンスの受信は待機しません。 |
Input |
入力レコードを識別します。入力レコードは、相互作用に対するデータ構造です。手順の開始時に指定したCOBOLファイルから生成されたレコードがリストされます。相互作用に関連するレコードを選択します。 注意: 「Next」をクリックする前に、各相互作用に対する入力レコードを指定する必要があります。相互作用で入力レコードが不要な場合、ここで指定したレコードは無視されます。 |
Output |
出力レコードを識別します。出力レコードは、相互作用の結果に対するデータ構造です。手順の開始時に指定したファイルから生成されたレコードがリストされます。相互作用に関連するレコードを選択します。 注意: モードをsync-send-receiveまたはsync-receiveに設定した場合は、「Next」をクリックする前に、相互作用に対する出力レコードを指定する必要があります。 |
Description |
相互作用を説明する自由形式テキスト。 |
Interaction-Specific Parameters |
IMS/TM固有のパラメータ c: 相互作用コミット・モード。 maxSegmentSize: セグメントの最大サイズ。デフォルト値は32768(バイト)です。 transaction: 相互作用の実行時に実行されるトランザクションの名前。各相互作用に対してトランザクション名を指定する必要があります。 maxSegmentSizeパラメータを使用すると、大きいメッセージを小さいセグメントに動的に分割できるようになります。デフォルト値は変更できますが、それに応じてIMS/TMトランザクションのロジックをあわせる必要があります。 トランザクションでは、GUコールの後に一連のGNコールを実行し、入力メッセージ全体をコンパイルする必要があります。32KBを超えるトランザクション出力メッセージは、出力セグメントを単一のバッファに組み立てるタスクを実行するOTMS C/Iインタフェースによって処理されます。 |
必要な数の相互作用を追加し、「Next」をクリックして「Mark first data field」ステップに進みます。
「Mark first data field」ページが表示されます。
IMSトランザクションのCOBOLコピーブックは、常にIMSによって提供される3つのフィールドから始まります。これらのフィールドはメタデータの一部ではないため、インポートでスキップする必要があります。
このステップでは、入出力で使用する最初のデータ・フィールドを指定する方法を選択します。次のいずれかを選択できます。
Enter the number for the first input and output data fields: このオプションを選択する場合は、「First input field」および「First output field」の両方に行番号を入力します。 入力した行番号のデータが、入出力で使用される最初のデータになります。
Manually mark the first data field of the transaction following the LL ,ZZ and TRANSNAME fields: このオプションを選択する場合は、入出力で使用する最初の行を下のフィールドから選択します。
「Next」をクリックして「Import Metadata」ステップを開きます。 「Do you want to transfer the medadata to the server?」というメッセージに対して、「Yes」をクリックし、WindowsコンピュータからIBM z/OSコンピュータにメタデータを転送して、「Finish」をクリックします。
メタデータは指定したオプションに基づいてインポートされ、IBM z/OSプラットフォームに格納されます。メタデータのXML表記も生成されます。
インポートを実行した後は、Oracle Studioの「Design」パースペクティブの「Metadata」タブでメタデータを表示できます。また、必要に応じてメタデータの微調整および操作も実行できます。
アダプタ相互作用を記述したXMLスキーマは、メタデータをXMLとして表示するときに、「Source」タブを選択すれば表示できます。詳細は、付録E「Oracle StudioでのXMLファイルの編集」を参照してください。
アダプタ相互作用およびこれらの相互作用の入出力レコードを記述したXMLスキーマは、「アウトバウンド相互作用の生成」で説明したように、インポート手順の実行時に自動的に作成されます。