Oracle Business Intelligence Enterprise Editionリリース10.1.3.4には、Oracle BI Publisherの新機能がいくつか導入されています。次のリストにその概要を示し、BI Publisherリリース10.1.3.4用に更新されたドキュメントでこれらを詳細に説明します。
Oracle Enterprise Performance Management Workspace(EPM Workspace)は、Oracle Hyperion Foundation Servicesのコンポーネントです。これは、ユーザーがすべてのPerformance Managementコンテンツとツールにアクセスするための集中型Webインタフェースです。EPM Workspaceは簡単に使用でき柔軟性があるので、ユーザーはWeb上のウィンドウ操作を体感できます。リリース10.1.3.4では、Oracle BI PublisherをOracle Enterprise Performance Management Workspace, Fusion Editionリリース11.1.1に統合することができます。
詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisher管理者および開発者ガイド』の「Oracle Enterprise Performance Management Workspaceとの統合の設定」を参照してください。
Oracle Smart Space, Fusion Editionは、Business IntelligenceとEnterprise Performance Managementのために個別設定された情報配信ソリューションです。これによって、Windowsデスクトップを利用して、構成可能なデスクトップ・ガジェットにより企業内の各ユーザーにBIとEPMを配信します。さらに、Oracle Smart Spaceには新規ガジェット作成用開発キットが用意されています。これによって、意思決定を共有するためにセキュアなインスタント・メッセージ・システム、共通の開発言語および手法を活用します。
Oracle Smart Space, Fusion Editionリリース11.1.1のガジェットを使用して、リリース10.1.3.4のBI Publisherレポート・リポジトリにアクセスし、やり取りを行うことができます。たとえば、Oracle Smart Spaceコンテンツ・ビューアのBI Publisherレポートを開き、BI Publisherレポートを「Smart Book」ガジェットと「お気に入り」ガジェットに追加することができます。Oracle Smart SpaceのCollaboratorを使用して、BI PublisherのコンテンツをOracle Smart Spaceユーザーで共有することができます。
詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisherレポート・デザイナーズ・ガイド』の「Oracle Smart Space, Fusion EditionにおけるOracle BI Publisherの使用」を参照してください。
この統合により、すべてのBI Publisherユーザーがアクセス可能なOracle Smart Spaceクライアント用ダウンロード・ページへのリンクを設定することもできます。詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisher管理者および開発者ガイド』の「Oracle Smart Spaceクライアントとの統合の設定」を参照してください。
BI Publisherでは、オンライン分析処理(OLAP)用に構成されたデータベースに接続し、レポートXMLを返すようMDX問合せを発行することができるようになりました。今回のリリースのBI Publisherでは、次のマルチディメンショナル・データソースへの接続をサポートしています。
Hyperion Essbase
Microsoft SQL Server 2000 Analysis Service
Microsoft SQL Server 2005 Analysis Service
SAP Business Information Warehouse (SAP BW)
詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisher管理者および開発者ガイド』の「OLAPデータソースへの接続の設定」を参照してください。
リリース10.1.3.4ではBI Publisher WebサービスのPublicReportServiceが拡張され、さらにいくつかの操作をサポートするようになりました。これらの新しい操作は、次のとおりです。
レポートの実行を行う操作
uploadReportDataChunk
downloadReportDataChunk
スケジュール済レポートとそれらの履歴を管理する操作
suspendScheduledReport
resumeScheduledReport
deleteScheduledReport
getScheduledReport
getScheduledReportInfo
getScheduledReportHistoryInfo
deleteScheduledReportHistory
getScheduledReportStatus
レポートの作成と管理を行う操作
createReport
deleteReport
updateReportDefinition
createReportFolder
uploadTemplateForReport
removeTemplateForReport
uploadReport
downloadReport
レポート・サーバーに関する操作
getSecurityModel
getBIPHTTPSessionInterval
新しいWebサービス操作の詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisher管理者および開発者ガイド』の「BI PublisherのWebサービスの使用」を参照してください。
BI Publisherでは、レポート・スケジュールの一部としてHTTP通知の設定を行う機能が用意されています。レポートが完了すると、BI Publisherは指定のURLに対して、レポート・ジョブ情報とともに通知を送信します。リモート・アプリケーションは、BI Publisher APIとWebサービスと連動してこの情報を使用し、レポート出力やXMLデータなどのジョブの詳細にアクセスして、レポートに対してサード・パーティ型後処理を有効にすることができます。
詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisher管理者および開発者ガイド』の「After Reportトリガーの設定」を参照してください。
以前のリリースのBI Publisherでは、文字列型やブール型などの単純なデータ型を返す簡単なWebサービスのみを受け入れることができました。リリース10.1.3.4以降のBI Publisherでは、複合データ型を返すWebサービスを受け入れることができるようになりました。Webサービス・データソースのユーザー・インタフェースが強化されました。WSDLを渡すと、BI PublisherはWSDLから使用可能なWebサービス、選択したサービス内で使用可能な方法、および選択した方法で必要となるパラメータのリストが返されるようになりました。
詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisherレポート・デザイナーズ・ガイド』の「Webサービスのデータ・セット・タイプの定義」を参照してください。
このリリースのBI Publisherでは、レポート・データをExcelアナライザにダウンロードする方法が新たに導入されています。「Analyzer for Excelからのクライアント・アクセスを無効化」の新しいプロパティにより、データをMicrosoft Excelにダウンロードするために使用する方法をレポート・レベルで制御できます。このプロパティをオンにすることで、次のような効果があります。
レポート・データのダウンロードが高速化され、大きなデータ・セットがより効率的に処理されます。
データをダウンロードする際にマクロを有効にする必要がありません。
Microsoft Excelで独自のカスタム・マクロを有効にすることができます。
Microsoft ExcelセッションからBI Publisherサーバーにログインしたり接続したりすることはできません。したがって、Excelから直接テンプレートをアップロードしたり、レポート・パラメータの更新や新しいテンプレートの適用はできません。
このプロパティの詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisherレポート・デザイナーズ・ガイド』の「レポート・エディタの使用」を参照してください。
リリース10.1.3.4のBI Publisherでは、Template Builder for Microsoft Wordに対して次の機能が強化されています。
改ページのサポート
繰返しグループのプロパティを設定する際に、レポート・レイアウトで改ページを挿入できるようになりました。繰返しグループを挿入する際、「プロパティ」ダイアログに次のオプションが表示されます。
区切りなし
改ページ
セクション・ブレーク
改ページを選択すると、BI Publisherでは「各」フィールドで選択した要素が出現するたびに改ページが挿入されます。
ブレーク・オプションは、表のグループを定義する際に表ウィザード内でも使用可能です。
詳細は、Template Builderのオンライン・ヘルプにおいて繰返しグループの挿入に関する項を参照してください。
追加チャート・タイプのサポート
Template Builderのチャート・ウィザードで次のチャート・タイプがサポートされるようになりました。
組合せチャート
散布図プロット
バブル・チャート
株価チャート
詳細は、Template Builderのオンライン・ヘルプにおいてチャートの挿入に関する項を参照してください。
チャートでサポートされるその他のプロパティ
このリリースでは、チャート・ウィザード内においてチャート・プロパティの設定に対するサポートが強化されています。次のプロパティを設定できるようになりました。
フォント: x軸とy軸、チャートの凡例、およびチャート・ラベルに対して、フォント・サイズ、フォント・ファミリ、太さ、色(および効果)を定義できます。
色: 棒や線、チャートのプロット領域や凡例、背景、およびプロット領域や凡例の境界線において、色を指定できるようになりました。
チャート凡例のプロパティ: 凡例の背景色や境界線の色、凡例のフォント・ファミリやフォント・サイズなど、凡例のルック・アンド・フィールを定義できるようになりました。また、凡例を上下左右の位置に定義することもできます。
チャートにおける複数尺度のサポート
チャート・ビルダーでは、複数の尺度をサポートするようになりました。それぞれの尺度について凡例で表示される名前を指定することもできます。
クロス集計機能の強化
クロス集計ビルダーが強化され、次をサポートするようになりました。
合計オプション: 以前は合計のみが常に表示されていました。このリリースで、合計を表示するのか、合計、件数、最小、最大または平均に基づく合計を表示するのかを定義できるようになりました。
数値フォーマット: クロス集計ビルダー内でクロス集計尺度の数値フォーマットを定義できるようになりました。
小計と合計の作成や削除: クロス集計ビルダーでは、合計と小計の行や列を表示するのかを選択できるようになりました。
行レイアウト・オプション: 行グループをインラインで表示する(財務レポートと同様)のか、非インラインで表示する(Microsoft Excelと同様)のかを選択できるようになりました。