この章では、リリース10.1.3.3.3で導入されリリース10.1.3.3.3〜10.1.3.4に適用されるBI Publisher機能について説明します。これらの機能については、リリース10.1.3.4用に更新されたBI Publisherドキュメント・セットにも記載されています。この章の内容は次のとおりです。
リリース10.1.3.3.3のBI Publisherでは、HyperionブランドのDataDirect Connect for JDBCドライバが付属しています。このドライバは、BI Publisherスケジューラ・データベースへの接続を設定するために使用できます。このドライバは、データベース・ベンダーが用意したネイティブJDBCドライバの代替ドライバとして使用できます。DataDirectドライバはBI Publisherとともにパッケージ化されているので、ドライバを手動でダウンロードしてインストールする必要はありません。
DataDirect Connect for JDBCドライバは、次のデータベース用に用意されています。
IBM DB2 v8.1、v9.1
Microsoft SQL Server 2000、SQL Server 2005
Oracle 9i、Oracle 10g
また今回のリリースでは、BI Publisherの「スケジューラ構成」ページも機能拡張されており、サポート対象スケジューラ・データベースの設定が容易になっています。
次の表は、サポート対象スケジューラ・データベース用のドライバ推奨事項を示しています。
データベース | ネイティブJDBCドライバ | DataDirect JDBCドライバ |
---|---|---|
Oracle 9i、Oracle 10g | 推奨 | サポート対象 |
IBM DB2 v8.1、v9.1 | サポート対象 | 推奨 |
Microsoft SQL Server 2000、SQL Server 2005 | サポート対象 | 推奨 |
MySQL 4.1.10a-NT、5.0 | サポート対象 | 未提供 |
次の手順に従って、DataDirect Connect for JDBCドライバを使用してスケジューラ・データベースを設定します。
管理者資格証明を使用してBI Publisherにログインし、「管理」タブを選択します。
「システム・メンテナンス」で、「スケジューラ構成」を選択します。
次の各項に示すように、適切な接続文字列とデータベース・ドライバ・クラスを使用して、使用しているデータベース用のデータベース接続情報を入力します。
使用しているデータベース用の「ユーザー名」と「パスワード」を入力します。ユーザーは、データベースに接続しテーブルを作成できる権限が付与されている必要があります。
「接続のテスト」をクリックし、BI Publisherがデータベースに接続できることを確認します。接続が失敗した場合、前述に示したフィールドに適切な情報が入力されていて、データベースが適切に設定されていることを確認します。
「スキーマのインストール」をクリックし、BI Publisherスケジューラのスキーマをデータベースにインストールします。
BI Publisherアプリケーションを再起動します。
スケジューラ・データベースがIBM DB2かMySQLの場合、データベースで新規作成したスケジューラ・テーブルのBLOB列のサイズを設定します(該当する場合)。第24.1.3項「BLOB列のサイズの設定」を参照してください。
スケジューラ・データベースがIBM DB2 v8かIBM DB2 v9の場合、次を入力します。
注意: スケジューラを構成するために入力するユーザーが、32Kページのサイズの表領域で設定されていることを確認してください。設定されていない場合、テーブルを作成しユーザーに割り当てます。またユーザーは、データベースに接続しテーブルを作成できる権限が付与されている必要があります。 |
データベース・タイプ: 「IBM DB2 v9」か「IBM DB2 v8」をリストから選択します。
接続文字列: 次の接続文字列パラメータを入力します。
jdbc:hyperion:db2://<hostname>:<port>;DatabaseName=<DATABASENAME>
次に例を示します。
jdbc:hyperion:db2:// 130.35.50.180:50000;DatabaseName=SAMPLE
データベース・ドライバ・クラス: hyperion.jdbc.db2.DB2Driver
スケジューラ・データベースがMicrosoft SQL Server 2000かSQL Server 2005の場合、次を入力します。
注意: 使用しているMicrosoft SQL Serverが混合認証モードで設定されていることを確認してください。また、スケジューラを構成するために入力するユーザーにdb_ownerロールが付与されていることを確認してください。 |
データベース・タイプ: 「Microsoft SQL Server 2000」か「Microsoft SQL Server 2005」をリストから選択します。
接続文字列: 次の接続文字列パラメータを入力します。
jdbc:hyperion:sqlserver://<hostname>:<port>;DatabaseName=<Databasename>
次に例を示します。
jdbc:hyperion:sqlserver://my.databaseserver.com:1433;DatabaseName=BIPublisher
データベース・ドライバ・クラス: hyperion.jdbc.sqlserver.SQLServerDriver
スケジューラ・データベースがOracle 10gかOracle 9iの場合、次を入力します。
注意: 入力するデータベース・ユーザーには、データベースに接続しセッションやテーブルを作成できる権限が付与されているだけでなく、割当て制限(たとえば、USERSには100M、TEMPには1M)が割り当てられていることを確認してください。 |
データベース・タイプ: 「Oracle 10g」か「Oracle 9i」をリストから選択します。
接続文字列: 次の接続文字列パラメータを入力します。
jdbc:oracle:thin:@<hostname>:<port#>:<oracle SID>
次に例を示します。
jdbc:oracle:thin:@bipub.mycompany.com:1521:bipub
データベース・ドライバ・クラス: oracle.jdbc.driver.OracleDriver
スケジューラ・データベースがMySQL 4.1かMySQL 5.0の場合、次を入力します。
注意: MySQLのJDBCドライバをダウンロードしてから、BI Publisherが実行しているアプリケーション・サーバーに登録する必要があります。MySQLのJDBCドライバは、次のページからダウンロードできます。
ドライバの登録方法の詳細は、ご使用のアプリケーション・サーバーのドキュメントを参照してください。 |
データベース・タイプ: 「MySQL 4.1」か「MySQL 5.0」をリストから選択します。
接続文字列: 次の接続文字列パラメータを入力します。
jdbc:mysql://<hostname>:<port#>:<database name>
次に例を示します。
jdbc:mysql://localhost:3306/bipublisher
データベース・ドライバ・クラス: com.mysql.jdbc.Driver
BI Publisherでスケジューラのスキーマがデータベースにインストールされると、XMLP_SCHED_OUTPUTという名前のテーブルが作成されます。このテーブルにはBLOB列があり、BI Publisherスケジューラの出力とデータがこの列に格納されます。BLOB列のサイズは2GB以上に設定することをお薦めします。この推奨サイズより小さいと、スケジューラでは大きなレポートを処理できない場合があります。スケジューラのスキーマをIBM DB2かMySQLのデータベースにインストールした場合、次に示すBLOB列のサイズを更新する必要があります。
XMLP_SCHED_OUTPUTテーブルのBLOB列を次に示します。これらの列のサイズを2GB以上に再設定します。
XML_DATA
DOCUMENT_DATA
IBM DB2データベースの列のサイズを更新するコマンドの例を次に示します。
alter table xmlp_sched_output alter column STATUS_DETAIL set data type BLOB(1000000000);
列のサイズを再設定する方法の詳細は、ご使用のデータベースのドキュメントを参照してください。
BI Publisherのレポート・ビューアでレポートを表示すると、「このレポートへのリンク」リンクが表示され、現在のレポートのURLをコピーできるようになります。以前はこのリンクの表示を無効にすることはできませんでした。リリース10.1.3.3.3では、この機能に「レポートリンクの表示」レポート・プロパティが追加されました。このプロパティは、「レポート」定義の「一般設定」ページで設定できます。この機能強化により、レポートへのリンクをユーザーが使用できるかどうかを選択できるようになりました。
デフォルトでは、「レポートリンクの表示」プロパティは有効です。
レポートの設定を変更する手順は次のとおりです。
管理者資格証明かレポート開発者資格証明を使用してBI Publisherにログインします。
適切なレポートにナビゲートし、「編集」リンクをクリックします。
レポート定義の「レポート・プロパティ」ペインにある「一般設定」で、「レポートリンクの表示」ボックスを選択すると、レポートの「このレポートへのリンク」機能が有効になります。ボックスの選択を解除すると、レポートの当該機能が無効になります。
以前のBI Publisherでは、次のPDF出力用ページ区切り制御コマンドのみ認識されていました。
次の段落と分離しないで保持するコマンド
段落を分割しないでそのまま保持するコマンド
表のタイトル行を繰り返すコマンド
表の行をまとめるコマンド
リリース10.1.3.3.3では、これらがRTF出力で同様にサポートされています。
RTF標準には、次の段落と分離しないで保持するコマンドがあります。このコマンドにより、有効にされている段落と次の段落との間における改ページが抑止されます。
次の段落と分離しないで保持するコマンドをMicrosoft Wordで有効にする手順は次のとおりです。
ページでまとめる対象となる段落を選択します。
「書式」メニューで、「段落」を選択してから「改ページと改行」タブをクリックします。
「次の段落と分離しない」ボックスを選択します。
RTF標準には、段落にあるすべての行をまとめるコマンド(段落を分割しないでそのまま保持するコマンド)があります。これによって、段落が複数のページにまたがることがなくなります。
段落を分割しないでそのまま保持するコマンドをMicrosoft Wordで有効にする手順は次のとおりです。
「書式」メニューで、「段落」を選択してから「改ページと改行」タブを選択します。
「段落を分割しない」ボックスの選択を解除します。
カスケード・パラメータにより、リレーションシップのあるパラメータのセットにおいて各パラメータで使用できる値をフィルタ処理できます。カスケード・パラメータのセットにおいて最初のパラメータから選択したものにより、次のパラメータで使用できる値が決まります。この方法により、各カスケード・パラメータで選択可能な値の数を管理可能な数にフィルタ処理できます。以前のリリースでは、カスケード・パラメータのレベルは2つまでサポート可能でした。リリース10.1.3.3.3のBI Publisherでは、カスケード・パラメータのレベルは2つ以上サポートされています。
リリース10.1.3.3.3のBI Publisherでは、FO要素であるexternal-graphicのvertical-align属性がサポートされています。これによって、外部参照されるイメージ・インラインをテキストとともに位置合せのフォーマット処理ができます。XSL-FOテンプレートやRTFテンプレートのコードを記述する際、この属性を適用できます。
属性の有効な値を次に示します。
bottom
top
middle
text-top
text-bottom
URL参照を使用してイメージを挿入する方法の詳細は、『Oracle Business Intelligence Publisherレポート・デザイナーズ・ガイド』のガイドラインを参照してください。
テンプレートでダミーのイメージを挿入します。
イメージを選択してから、Microsoft Wordの「図の書式設定」ダイアログを起動します。「Web」タブを選択します。
「代わりに表示する文字列」リージョンで、イメージURLを参照する次の構文を入力します。
url:{'http://image location'}
次に例を示します。
url:{'http://www.oracle.com/images/ora_logo.gif'}
垂直位置合せをフォーマット処理するには、URLの前にXSL属性値を宣言します。たとえば、イメージをテキストの下部(text-bottom)に位置合せするには、次を入力します。
<xsl:attribute name="vertical-align">text-bottom</xsl:attribute> url:{'http://www.oracle.com/images/ora_logo.gif'}
format-currency関数では、3番目のパラメータであるdisplaySymbolOrNotを指定できるようになりました。これによって複数の通貨コードを1つのレポートで表示できます。format-currency関数に渡すレポート・データにおいて、ISO(国際標準化機構)通貨コードを指定する必要があります。
format-currency関数のパラメータを次に示します。
<?format-currency:
Amount;
CurrencyCode;
displaySymbolOrNot?>
前述の内容に関する説明を次に示します。
Amount: データにおいて金額値のあるXML要素のタグ名を指定します。
CurrencyCode: 3文字のISO通貨コードのあるXML要素のタグ名を指定します。通貨コードのある要素をデータで指定する必要があります。
displaySymbolOrNot: trueまたはfalseを指定します。trueに設定すると、CurrencyCodeの値に基づいてレポートに通貨記号が表示されます。
通貨記号を表示しない場合、falseを入力するか単純にパラメータを指定しないことができます。
次のXML例には、Amount(Trans_amount)のある要素と、ISO通貨コード(Cur_Code)のある要素が指定されています。
<ROW> <Trans_Amount>123</Trans_Amount> <Cur_Code>USD</Cur_Code> </ROW> <ROW> <Trans_Amount>-456</Trans_Amount> <Cur_Code>GBP</Cur_Code> </ROW> <ROW> <Trans_Amount>748</Trans_Amount> <Cur_Code>EUR</Cur_Code> </ROW> <ROW> <Trans_Amount>-987</Trans_Amount> <Cur_Code>JPY</Cur_Code> </ROW>
これらの金額をそれぞれ適切な通貨記号とともに表示するには、テンプレートにおいて表示対象となる金額のフィールドに次を入力します。
<?format-currency:Trans_Amount;Cur_Code;'true'?>
次の図は、実行可能な出力例を示します。
format-currency関数の使用方法の詳細は、Oracle BI Publisherのブログで複数の通貨記号のあるレポートに関するエントリ(http://blogs.oracle.com/xmlpublisher/2007/08/14
)を参照してください。
ISO通貨コードの詳細は、ISOのWebサイト(http://www.iso.org/iso/home.htm
)を参照してください。