この章では、Enterprise Managerを使用して、Oracle Fusion Middleware 11g、Oracle WebLogic Server、Oracle Application Server 10gなどのミドルウェア・ソフトウェア、およびIBM WebSphere、JBossおよびMicrosoft.NETなどのOracle以外のミドルウェア・ソフトウェアを管理する方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle Fusion Middleware ControlとOracle Enterprise Manager Grid Controlの比較
Oracle Enterprise Manager Grid Controlを使用したOracle Fusion Middleware環境の管理
ミドルウェアは、ソフトウェア・コンポーネントまたはエンタープライズ・アプリケーションを結び付けるソフトウェアです。ミドルウェアは、分散コンピュータ・ネットワークの各箇所でオペレーティング・システムとアプリケーションの間に存在するソフトウェア階層です。通常、ミドルウェアは、分散した複雑なビジネス・ソフトウェア・アプリケーションをサポートします。ミドルウェアは、ビジネス・アプリケーションの作成を容易にし、同時実行性、トランザクション、スレッド、メッセージング、およびサービス指向アーキテクチャ(SOA)アプリケーションのSCAフレームワークなどのコア・サービスを提供するインフラストラクチャです。また、ミドルウェアは、セキュリティ機能を提供し、エンタープライズにおいて高可用性機能を実現できます。
ミドルウェアには、Webサーバー、アプリケーション・サーバー、コンテンツ管理システム、およびアプリケーションの開発および配信をサポートする類似のツールが含まれます。特に、ミドルウェアは、Extensible Markup Language(XML)、Simple Object Access Protocol(SOAP)、Webサービス、SOA、Web 2.0インフラストラクチャおよびLightweight Directory Access Protocol(LDAP)などに基づく情報技術にとって不可欠です。
これらのアプリケーションおよびその基礎となるミドルウェア技術の管理は困難になる場合があり、多くの場合、ITを管理する組織では、様々な専門ツールが使用されています。ただし、これは非効率的で、複雑性やリスクを生み出す場合があります。Enterprise Manager Grid Controlは、ミドルウェア管理の決定的なツールであり、OracleミドルウェアおよびOracle以外のミドルウェア・ソフトウェアが混在する環境で実行されるOracleアプリケーションとカスタムJava EEアプリケーションの両方を管理できます。
次の項では、OracleおよびOracle以外のミドルウェア技術のための独自の管理ソリューションを提供するEnterprise Manager Grid Controlの概要を説明します。
Oracle Fusion Middlewareのインストールと構成を終えると、Oracle Enterprise Manager 11g Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle Fusion Middleware環境を管理できます。Fusion Middleware Controlは、Webブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースであり、単一のOracle WebLogic Serverドメインを持つファームの監視および管理に使用できます。ファームは、Fusion Middleware Controlによって管理されるコンポーネントの集まりです。ファームには、1つのOracle WebLogic Serverドメイン、1つの管理サーバー、1つ以上の管理対象サーバー、クラスタ、およびインストール済および構成済で、ドメイン内で実行中のOracle Fusion Middlewareコンポーネントが含まれます。Fusion Middleware Controlは、様々なパフォーマンス・データおよび管理機能を、ファーム、ドメイン、サーバー、コンポーネントおよびアプリケーションごとの個別のWebベースのホームページに編成します。Fusion Middleware Controlのホームページにより、最も重要な監視データおよび最も頻繁に使用される管理機能をすべてWebブラウザから簡単に利用できます。ただし、Fusion Middleware Controlで管理できるのは、1つのFusion Middlewareファームのみです。一般的に、エンタープライズには複数のファームがあります。複数のファームを異なるFusion Middleware Controlコンソールから管理するのは、大変困難です。集中的に管理するには、また追加の管理機能(パフォーマンスの傾向分析のための履歴データの収集、潜在的な可用性またはパフォーマンスの問題(あるいはその両方)についての電子メールおよびポケットベルでの通知、サービス・レベル管理など)を使用するには、Enterprise Manager Grid Controlを使用できます。
Oracle Fusion Middleware環境は、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control(Fusion Middleware Control)またはOracle Enterprise Manager Grid Controlを使用して管理できます。
Fusion Middleware Controlでは、様々なパフォーマンス・データおよび管理機能が、ファーム、クラスタ、ドメイン、サーバー、コンポーネントおよびアプリケーションごとの個別のWebベースのホームページに編成されます。Fusion Middleware Controlのホームページにより、最も重要な監視データおよび最も頻繁に使用される管理機能をすべてWebブラウザから簡単に利用できます。
Fusion Middleware Controlは、Oracle Fusion Middleware 11gの一部としてインストールされます。Fusion Middleware Controlでは、次のことを行えます。
単一のOracle Fusion Middlewareファームおよび単一のWebLogicドメインの管理。
Fusion Middlewareソフトウェアの可用性およびパフォーマンスのリアルタイム・モードでの監視。
アプリケーションのデプロイ、パラメータの構成などの日常の管理タスクの実行。
詳細は、Oracle Fusion Middleware 11g管理者ガイドを参照してください。
Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlは、Webブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースであり、複数のOracle Fusion MiddlewareファームおよびOracle WebLogic Serverドメインの監視および管理に使用できます。実質的に、Grid Controlは、Oracleのパッケージ・アプリケーション、OracleデータベースおよびOracle VMなどのOracle技術のための、深いレベルまで網羅した管理ソリューションを提供します。また、Grid Controlは、Microsoft MOM、IBM WebSphere、JBoss、EMCストレージ、F5 BIG IP、Check Point Firewall、Remedyなどの20以上の異機種管理プラグインおよびコネクタを介してOracle以外の技術も幅広くサポートします。
Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlは、Oracle Fusion Middleware 11gの一部としてインストールされないため、個別にインストールする必要があります。Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlでは、次のことを行えます。
複数のOracle Fusion MiddlewareファームおよびWebLogicドメインの集中管理。
WebSphere、JBoss、TomcatおよびMicrosoft.NET Frameworkなどのサード・パーティ・ツールの管理。
基礎となるオペレーティング・システムなどのミドルウェア以外のソフトウェア、およびミドルウェア・ソフトウェアがインストールされるハードウェアの管理。この機能により、管理者はミドルウェアのパフォーマンスとその基礎となるホストのパフォーマンスを関連付けることができます。
データベース・ソフトウェアの管理、アプリケーションのパフォーマンスの問題の診断、および問題の根本原因と問題が発生した階層(ミドルウェア、データベース)の特定。
Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの可用性およびパフォーマンスのリアルタイムでの監視、および傾向分析のための履歴的側面からの監視。
可用性およびパフォーマンスの問題の診断。
クライアントからサービス・エンドポイントへの重要なエンドユーザー・リクエストについて、各トランザクションに関連するすべてのサーバーとアプリケーションにわたる監視および追跡。
アプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)を使用したJ2EEおよびSOAアプリケーションの分析。
JVM診断を使用したJavaアプリケーションの監視および本番環境でのパフォーマンスの問題の診断。
即時利用可能なシステムレベルのメトリックおよびエンドユーザー体験メトリックの観点からのサービス・レベル目標値(SLO)の定義。これにより、サービス・レベル契約(SLA)コンプライアンスを正確に監視し、レポートを作成できます。
次のような重要なタスクの実行。
パフォーマンス・メトリックについてのしきい値の設定。このしきい値の違反が発生した場合、電子メールおよびポケットベルの通知が送信されます。
構成変更の追跡、およびテスト環境と本番環境の構成の比較。
ミドルウェア関連のターゲット(Oracle Fusion Middleware 11g、Oracle WebLogicドメイン、Oracle Application Server 10g、JBoss Application Serverなど)をEnterprise Manager Grid Controlに追加するには、次の手順を実行します。
ログイン後、「ターゲット」→「ミドルウェア」をクリックします。次のページが表示されます。
「追加」ドロップダウン・リストからミドルウェア・ターゲットを選択します。ターゲットを追加する手順を示す追加ウィザードが表示されます。
終了したら「OK」をクリックします。選択したターゲットが追加され、「ミドルウェア」ページに表示されます。
ターゲットの追加後、そのターゲットのステータスおよび可用性などの一般情報が「ミドルウェア」ページに表示されます。各ターゲットをドリルダウンして、ターゲットの実行状況、デプロイされた場所、バージョン、ホーム・ディレクトリの場所などの詳細を知ることができます。
また、過去24時間に発生した様々なクリティカル、警告およびエラー・アラートの数も表示されます。これらのアラートは、特定のメトリック条件が発生したことを示します。たとえば、メトリックしきい値に達すると、アラートがトリガーされます。この詳細を使用し、ターゲットおよびアラートをトリガーした問題をドリルダウンして調べることができます。
Oracle Enterprise Manager Grid Controlを使用すると、次のコンポーネントを監視できます。
Oracle Fusion Middlewareコンポーネント
Oracle Application Serverコンポーネント
Oracle以外のミドルウェア・コンポーネント
Enterprise Manager Grid Controlを使用すると、次のOracle Fusion Middlewareコンポーネントを監視できます。
Oracle WebLogic Serverドメイン、クラスタおよび管理対象サーバー: WebLogic Serverドメインは、1つの単位として管理する、論理的に関連付けられたWebLogic Serverリソースのグループです。ドメインには、1つ以上のWebLogic Serverが含まれ、さらにWebLogic Serverクラスタが含まれる場合もあります。クラスタは、アプリケーションのスケーラビリティおよび高可用性を提供するために連携して機能するWebLogic Serverインスタンスのグループです。Oracle Enterprise Manager Grid Controlを使用すると、ファーム、ドメイン、クラスタ、サーバーおよびデプロイされたアプリケーションを監視および管理できます。
Oracle SOA Suite: Oracle SOA Suiteでは、サービスを作成および管理し、SOAコンポジット・アプリケーションにオーケストレートできます。コンポジット・アプリケーションでは、複数のテクノロジ・コンポーネントを1つのSOAコンポジット・アプリケーションに簡単にアセンブルできます。Oracle SOA Suiteは、異機種環境のインフラストラクチャにプラグインされ、SOAをエンタープライズに徐々に導入できます。次のことを実行できます。
BPEL Process Manager、Oracle Service Bus、Service EnginesなどのSOAコンポーネントの自動検出およびモデル化。
SOAコンポーネントの状態およびパフォーマンスの監視。
すべてのSOAインフラストラクチャ・アプリケーションにわたるインスタンスのフローの追跡。
システム、サービスおよび集合サービスの作成。
Oracle WebCenter: Oracle WebCenterは、ソーシャル・アプリケーション、エンタープライズ・ポータル、協調型コミュニティおよびコンポジット・アプリケーションを作成するための統合コンポーネント・セットであり、標準ベースのサービス指向アーキテクチャに基づき構築されます。Oracle WebCenterには、豊富な機能を持つインターネット・アプリケーションを開発するための動的なユーザー・インタフェース・テクノロジ、統合されたマルチチャネルのポータル・フレームワークの柔軟性とパワー、およびコンテンツ、コラボレーション、プレゼンスおよびソーシャル・ネットワークの機能を実現するサービスとして提供されるEnterprise 2.0の水平型の機能セットが組み合されています。また、Oracle WebCenterは、これらのコンポーネントに基づいて、即時利用可能でありかつカスタマイズ可能なエンタープライズ対応アプリケーションであるWebCenter Spacesも提供します。WebCenter Spacesは、個人およびグループが個々の作業および共同の作業をより効率的に行うことができる構成可能な業務環境を実現します。
Oracle WebTier: 次の要素から構成されます。
Oracle HTTP Server: Oracle HTTP Server(OHS)は、Oracle Fusion Middlewareでサポートされるすべてのプログラミング言語および技術の基礎となるデプロイメント・プラットフォームです。Webリスナー、およびWeb上の静的なページ、動的なページおよびアプリケーションをホストするフレームワークを提供します。実証済の技術であるApache 2.2.10インフラストラクチャに基づき、OHSには、ロード・バランシング、管理および構成を容易にする大幅な機能拡張が組み込まれています。また、他のエンタープライズ・アプリケーションおよびサービス向けの機能を拡張するHTTPサーバーへの機能拡張である、拡張モジュール(mod)も数多く含まれています。次のことを実行できます。
アプリケーション・サーバーで稼働中のOracle HTTP Serverの自動検出および監視。
サーバー・パフォーマンスおよび仮想ホスト・パフォーマンスを測定するメトリック・リストの表示。
アクセス中の上位URLの表示。
構成情報の表示、比較および検索などのエンタープライズ構成管理タスクの実行。
Oracle Web Cache: Oracle Web Cacheは、Web層で使用されるコンテンツ認識型のサーバー・アクセラレータ(リバース・プロキシ)で、Oracle HTTP ServerやOracle WebLogic Serverなど任意のWebサーバーまたはアプリケーション・サーバーで稼働するWebサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を改善します。Oracle Web Cacheは、Oracle Fusion Middlewareで提供されている主要なキャッシュ・メカニズムです。キャッシュ機能は、頻繁にアクセスされるURLをメモリーに格納することによって、Oracle Fusion Middlewareで稼働するWebサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を改善します。次のことを実行できます。
アプリケーション・サーバーで稼働しているOracleAS Web Cacheインスタンスの自動検出および監視。
ターゲットに関連付けられたメトリックの表示、およびそのパフォーマンスの分析。
構成情報の表示、比較および検索などのエンタープライズ構成タスクの実行。
Oracle Identity Management: エンタープライズ・リソース内のユーザーのアクセス権限を自動的に管理するエンタープライズ・アイデンティティ管理システムです。すべてのOracleアプリケーションに対して共有のインフラストラクチャを提供します。また、サードパーティ・エンタープライズ・アプリケーションの開発を容易にするサービスおよびインタフェースも提供します。このインタフェースは、アイデンティティ管理をアプリケーションに組み込む必要のあるアプリケーション開発者にとって役立ちます。
Oracle Portal: E-Businessポータルを構築しデプロイするためのWebベースのツールです。エンタープライズ・ソフトウェア・サービスおよび情報リソースにアクセスし相互に通信するためのセキュアで管理可能な環境を提供します。ポータル・ページにより、複数のソースからのデータに単一の場所からアクセスできます。
Oracle Forms Servicesは、複雑なトランザクション・フォーム・アプリケーションをイントラネットやインターネットなどのネットワークにデプロイするための中間層アプリケーション・フレームワークです。Oracle Forms Servicesを使用すると、ビジネス・アプリケーションの開発者は、Javaコードを作成することなく、インターネットに最適化され、専門的なユーザー・コミュニティの要件を満たす(あるいは超える)包括的なJavaクライアント・アプリケーションを短期間で構築できます。このJavaクライアント・アプリケーションは、オンデマンドで使用可能なWebにデプロイされるアプリケーションであり、大量のデータを高速で処理し、複雑な計算、分析およびトランザクションを短時間で完了できます。
Oracle Coherenceは、ミッション・クリティカルなアプリケーションの計画的な拡張を可能にするOracle Fusion Middlewareコンポーネントで、頻繁に使用されるデータに対する高速かつ信頼性の高いアクセス機能を提供します。Oracle Coherenceでは、複数のサーバーにわたってメモリー内のデータを自動的かつ動的にパーティション化することで、サーバー障害の発生時においても、継続的なデータの可用性およびトランザクションの整合性が実現されます。共有インフラストラクチャとして、Oracle Coherenceはデータ局所性とローカル処理能力を組み合せることによって、リアルタイム・データ分析、インメモリー・グリッド計算、トランザクションおよびイベントの並行処理を実行します。 Oracle Coherenceには、3つのエディションがあります。次のことを実行できます。
Coherenceクラスタおよびその様々なエンティティの検出と管理。
Coherenceクラスタのノード、キャッシュ、サービス、接続、接続マネージャ・インスタンスなど様々なコンポーネントの監視および構成。
プロビジョニング・アドバイザ・フレームワークに基づくCoherenceノードのデプロイおよびインストール。
Oracle Business Intelligenceは、ビジネス・インテリジェンス要件に対応する完全な統合ソリューションです。Oracle Business Intelligenceには、Oracle Business Intelligence Reporting and Publishing、Oracle Business Intelligence DiscovererおよびOracle Business Intelligence Publisherが含まれます。次のことを実行できます。
Oracle BI Suite EEのターゲットの手動での検出、および全体的な状態の監視。
Oracle BI Suite EEのターゲットにおけるパフォーマンスおよび可用性の問題の診断、通知および修正。
グラフおよびレポートを使用した、現在および履歴のパフォーマンス情報へのアクセス。
構成情報の表示、比較および検索などのエンタープライズ構成管理タスクの実行。
Oracle Application Server 10gのコンポーネント(Oracle Application Server Farms、Oracle Application Server Clusters、Oracle Application Servers、OC4J、Oracle HTTP Servers、Oracle Web Cache、Oracle Portal、Oracle Wireless、Oracle Forms Services、Oracle Reports Services、Oracle Business IntelligenceおよびOracle Identity Managementなど)を監視できます。
Enterprise Manager Grid Controlは、Oracleミドルウェア・コンポーネントの監視だけではなく、Oracle以外のミドルウェア・ソフトウェアの監視にも使用できます。監視できるサードパーティ・ミドルウェア・ソフトウェアには、次が含まれます。
WebSphere Application Server
WebSphere MQ
JBossアプリケーション・サーバー
Apache Tomcat
Apache HTTP Server
Microsoft Exchange Server
Microsoft Internet Information Services
Microsoft Active Directory
Microsoft Commerce Server
Microsoft BizTalk Server
Microsoft Internet Security and Acceleration
Microsoft .NET Framework
Enterprise Manager Grid Controlでは、様々なパフォーマンス・データおよび管理機能が、ファーム、クラスタ、ドメイン、サーバー、コンポーネントおよびアプリケーションごとの個別のWebベースのホーム・ページに編成されます。
Enterprise Manager Grid Controlでは、ドメイン全体の集中監視、構成管理、プロビジョニング、リアルタイムのパフォーマンスおよび履歴パフォーマンスの分析を行えます。ファーム内の管理タスクを実行しコンポーネントを管理するには、Oracle Fusion Middleware Controlにドリルダウンする必要があります。
ホームページにより、最も重要な監視データおよび最も頻繁に使用される管理機能をすべてWebブラウザから簡単に利用できます。
Enterprise Manager Grid Controlにログインし、ミドルウェア・ターゲットを選択すると、そのターゲットのホーム・ページが表示されます。たとえば、「ミドルウェア」ページで「WebLogic Server」ターゲットをクリックすると、次の画面が表示されます。
この図は、左側にターゲットのナビゲーション・ペイン、右側にコンテンツ・ページを示しています。ターゲット・ナビゲーション・ペインから、ツリーを開き、コンポーネントまたはアプリケーションを選択できます。ターゲットを選択すると、コンテンツ・ペインにターゲットのホームページが表示され、そのターゲットのメニューがページ上部のコンテキスト・ペインに表示されます。また、ナビゲーション・ペインでターゲットを右クリックすると、ターゲットのメニューを表示できます。
前述の図では、次の項目が付記されています。
ターゲット・ナビゲーション・ペインには、ナビゲーション・ツリー内のすべてのターゲットが示されます。
コンテンツ・ペインには、ターゲットの現在のページが表示されます。ターゲットを最初に選択したときは、ターゲットのホームページが表示されます。
動的ターゲット・メニューには、現在選択されているターゲットで実行できる操作のリストが表示されます。表示されるメニューは、選択したターゲットによって異なります。特定のターゲットのメニューには、右クリック・ターゲット・メニューで表示される操作と同じ操作が含まれます。
右クリック・ターゲット・メニューには、現在選択されているターゲットで実行できる操作のリストが表示されます。ターゲット・ナビゲーション・ペインでターゲット名を右クリックするとこのメニューが表示されます。図では、WebLogic Serverが選択されそのホームページが表示されていますが、右クリック・ターゲット・メニューには、MedRecServerが表示されています。これはユーザーがMedRecServerを右クリックしているためです。
ターゲット名には、現在選択されているターゲットの名前が示されます。
コンテキスト・ペインには、ホスト名、最後のページ・リフレッシュ時刻および「リフレッシュ」アイコンが表示されます。
すべて開く/すべて閉じるでは、ナビゲーション・ツリーを開いたり、閉じたりできます。
「リフレッシュ」アイコンは、ページがいつリフレッシュされているかを示します。ページを新しいデータでリフレッシュするには、このアイコンをクリックします。(ブラウザ・ウィンドウをリフレッシュした場合、ページはリフレッシュされますが、新しいデータは取得されません。)
ページ上で適切なリンクをクリックするか、適切なメニュー項目を選択することで、ホームページから、Fusion Middleware ControlおよびWebLogic Server管理コンソールにもアクセスできます。
Enterprise Manager Grid Controlには、各ミドルウェア・ターゲットに対して事前定義されたパフォーマンス・メトリックのセットが用意されています。これらのメトリックは、ドメイン、クラスタ、サーバー、アプリケーション、Webサービス、リソースなどに使用できます。メトリック・データは、収集された後管理リポジトリに格納されます。事前定義済のメトリックの詳細は、Oracle Fusion Middlewareメトリック・リファレンス・ガイドを参照してください。
たとえば、Enterprise Manager Grid Controlを使用すると、次のことを自動的に監視できます。
アプリケーション・サーバーのCPUまたはメモリー使用(Oracle WebLogic Serverによって実行されている個々のJava Virtual Machine(JVM)の詳細な監視を含む)。
アプリケーションから個々のサーブレットおよびEnterprise JavaBeans(EJB)までを含む、Java EEアプリケーションの応答性
リクエスト数、最大処理時間および最大平均処理時間に基づく上位サーブレット
パフォーマンス・メトリックでは、メトリックの詳細は、現在のリアルタイムの値(30秒、1分または5分)または過去の値(過去24時間、7日または31日)で表されます。履歴情報は、グラフおよび表で表示されます。傾向を確認する場合はグラフを使用し、過去のメトリック重大度履歴の詳細を調査する場合は、表を使用します。即時利用可能なメトリックは、次に示す「パフォーマンス・サマリー」ページで表示できます。
グラフの順序の変更、グラフのページからの削除、グラフの目盛りの変更、階層ツリー形式でのメトリックの表示などを行い、グラフをカスタマイズできます。
Enterprise Manager Grid Controlでは、履歴メトリック・データを分析し、傾向分析を実行できます。Fusion Middleware Controlでは、履歴パフォーマンスの表示および分析は行えません。メトリックは、収集され、管理リポジトリに格納されるため、状況が変化した後もデータの分析は可能です。たとえば、履歴データおよび診断レポートを使用すると、数日前または数週間前に発生したアプリケーションのパフォーマンスの問題を調べることができます。
さらに、データを管理リポジトリから取得する期間をカスタマイズすることもできます。カスタマイズできる期間は、次のとおりです。
過去24時間、過去7日間または過去31日間の事前定義済範囲
カスタマイズした任意の日、週、月、年数範囲
任意の開始日および終了日(ただし、この期間は99年以内)
注意: 履歴メトリック・データは、Enterprise Manager Grid Controlでのみ分析できます。Fusion Middleware Controlでは、履歴パフォーマンスは分析できません。 |
メトリック・スナップショットは、ターゲットの過去のパフォーマンスの名前付きのスナップショットです。メトリック・スナップショットを使用すると、この過去のパフォーマンスとの相違に基づくしきい値を計算できます。しきい値は、監視対象のメトリック値と比較される境界値です。たとえば、監視対象のメトリック値がしきい値を超えたときにアラートを生成するというように、しきい値を指定できます。監視対象のメトリックがそのクリティカルなしきい値を超えた場合にクリティカル・アラートを、または監視対象のメトリックがその警告のしきい値を超えた場合に警告のアラートを受け取ることができます。
Enterprise Manager Grid Controlには、アラートの自動監視および生成を簡単に行うための包括的な機能セットが用意されています。エンタープライズ全体に分散しているターゲットから診断情報を収集して評価できます。ミドルウェアの広範囲にわたるパフォーマンス・メトリックは、事前定義済しきい値に到達していないか自動的に監視されます。メトリックを選択すると、しきい値が特定のメトリックに対して定義されているかどうか確認できます。これらのしきい値は、アラートを生成するメカニズムとして使用されます。一方、このアラートを使用して、ターゲットが稼働中か停止中か、レスポンス時間が遅くなっていることなどが通知されます。つまり、全体的なパフォーマンスを監視できます。
アラート条件を自動的に解決するための修正処理を設定できます。これらの修正処理により、アラートに対する日々の対応が自動的に実行されるため、処理時間を短縮し、ユーザーに問題が著しく影響する前に問題に対処できるようになります。
また、監視テンプレートを使用して、エンタープライズ全体の監視設定を簡単に標準化することもできます。監視設定を1回指定するだけで、すべてのOracle Fusion Middlewareターゲットに適用できます。監視テンプレートには、次のような、通常Middlewareターゲットの監視に設定するすべてのパラメータが定義されています。
テンプレートを適用するターゲット・タイプ
メトリック(ユーザー定義のメトリックなど)、しきい値、メトリック収集スケジュールおよび修正処理
テンプレートを変更する場合、新しい変更内容を伝播するために、このテンプレートを関連するターゲットに再適用できます。監視テンプレートは必要に応じて何度でも再適用できます。
Enterprise Manager Grid Controlに同梱されるパフォーマンスおよび状態メトリックにより、使用する環境のアプリケーション・ターゲットを自動的に監視できます。メトリックが事前定義済の警告またはクリティカルしきい値に達すると、アラートが生成され、管理者に通知されます。
ただし、ミドルウェア・ターゲットでメンテナンス作業を実行する際に、ターゲットを停止している間、アラートを発生させたくない場合があります。その場合、ブラックアウトをスケジュールし、ミドルウェア・ターゲットの監視を一時停止できます。
ブラックアウトによって、1つ以上の監視対象ターゲットに対するデータ収集アクティビティを一時停止できるため、ターゲットに対して計画されたメンテナンスを実行できます。この間に監視を続行すると、収集されたデータには、通常の日常操作の結果にはみられない傾向とその他の監視情報が表示されます。ターゲットのパフォーマンスについて、より正確で長期にわたる実態を把握するには、ブラックアウトを使用してデータ分析から特殊な状況を排除する必要があります。Enterprise Manager Grid Controlでは、新しいブラックアウトの定義、既存のブラックアウトの表示、および不要なブラックアウトの編集、停止、削除ができます。
管理者の多くはしばしば、アプリケーション環境に固有の条件を確認するためのカスタム・ロジックを作成する必要があります。Enterprise Manager Grid Controlでは、Enterprise Manager Grid Controlのイベント監視インフラストラクチャにアプリケーション・インスツルメンテーションを統合できます。アプリケーション開発者がJMXまたはWebサービス操作などの規格を使用してアプリケーション・インスツルメンテーションを公開する場合、使いやすいコマンドライン・ツールを使用してインスツルメンテーション用の管理プラグインを作成し、Enterprise Manager Grid Controlのイベント監視システムを利用してインスツルメンテーションを監視できます。このようなインスツルメンテーションを統合するためにXMLファイルを編集したり、統合コードを作成する必要はありません。次の手順にそのまま従い、アプリケーション定義のインスツルメンテーションを統合します。
JMXのMBeanインタフェースとWebサービスのWSDLを分析するコマンドライン・インタフェースを使用して、管理プラグインを作成します。
管理プラグイン・アーカイブをEnterprise Manager Grid Controlにインポートします。
管理プラグインを管理エージェントにデプロイします。
管理プラグイン・アーカイブに定義されているターゲット・タイプのターゲット・タイプ・インスタンスを作成します。
監視テンプレート、修正処理、履歴およびリアルタイム・メトリック・ビュー、アラート、通知ルールのカスタマイズ、アプリケーション・インスツルメンテーション・メトリックから生成されたイベントのメソッドを含むEnterprise Manager Grid Controlのイベント監視システムを利用します。
Enterprise Manager Grid Controlリリース11.1では、管理者は、即時利用可能なパフォーマンス・メトリックの他に、Oracle WebLogic ServerにデプロイされるJMX装備のアプリケーション用のパフォーマンス・メトリックを追加できます。管理者は、管理プラグインを介して管理できる新しいターゲット・タイプを定義することでJMX対応のアプリケーションを監視でき、コマンドライン・ツールemjmxcli
を使用してターゲットのメタデータおよび収集ファイルの生成を自動化できます。WebLogic ServerにデプロイされるすべてのJMX対応アプリケーションは、統合され単一の管理ツールであるEnterprise Manager Grid Controlで監視できます。
リクエストの監視機能により、リクエストをエンドツーエンドで可視化でき、デプロイメント・モデルに基づいてエンドユーザーのパフォーマンスの問題を特定できます。サーバーがどのように連携してビジネス・エンドユーザーのリクエストを提供しているかを監視および把握し、可視化できます。重要なエンドユーザー・リクエストをクライアントからサービス・エンドポイントまで、各トランザクションに関連するすべてのサーバーとアプリケーションにわたり追跡できます。これらのリクエストのコールパスをモデル化するにはトレース・データを使用します。コールパスには、サーバー間の関係、およびリクエストのパフォーマンス・メトリックが示されます。監視できるのは、WebLogic Serverで実行中の同期トランザクションのみです。リクエストの監視では、次のことを実行できます。
エンドユーザーのトランザクションの追跡、および重要なリクエストの完全なコールパスの取得。
パフォーマンス低下の問題に対するリクエストを診断し、動作(サービス時間)が基準から最も逸脱しているサーバーを特定することによる、問題の発生の削減。
障害の検出時間の削減、およびリクエストのレスポンス時間に対するパフォーマンス・レベル目標値の設定。
Oracle Enterprise ManagerのJVM診断機能による障害原因の特定時間の削減。JVM診断では、発生している問題のコンテキスト内でのパフォーマンス診断が実行され、正常に稼働していたときの履歴統計も取られます。
リクエストは、Webブラウザまたはアプリケーションによって起動可能なサーバーのエントリ・ポイントです。共通の属性によって互いに関連しているリクエスト・インスタンスのグループはリクエストと呼ばれます。リクエストの集まりは、トランザクション・グループと呼ばれます。トランザクションは、1つ以上のトランザクション・グループに属すことができます。クリティカルおよび警告のしきい値を超えると、違反が発生します。管理者は、1つ以上の重要なリクエストをキー・リクエストとしてマークできます。アラートはキー・リクエストにのみ生成されます。
監視および追跡が必要なリクエストを定義し、レポート作成用にグループ化できます。事前定義済のリクエストおよびリクエスト・グループのセットがデフォルトで提供されています。新しいリクエストの作成、および既存のトランザクションの編集または削除が可能です。リクエストを定義するには、次のようにします。
Oracle Enterprise Managerにログインし、「ミドルウェア」タブをクリックします。
ミドルウェア・ターゲットがすべて表示されます。「関連リンク 」の下の「リクエスト監視」をクリックします。
「リクエスト・パフォーマンス」をクリックして、特定期間のリクエストのパフォーマンスを表示します。
リクエストをクリックして、「パフォーマンス」タブにドリルダウンします。パフォーマンス・グラフに、期間内のリクエストの量、およびその期間内のすべてのリクエストの平均レスポンス時間が表示されます。現在の期間と比較対象の期間の2つのパフォーマンス・グラフが表示されます。グラフには、選択した期間内のリクエストの履歴レスポンス時間の分析が表示されます。
「トポロジ」タブをクリックします。次の画面が表示されます。
トポロジ・グラフには、リクエストの集計サーバー・レベルのコール・パスが表示されます。グラフには、クライアントとクラスタまたはサーバー間のコールが示されます。クラスタを構成するすべてのサーバーを表示するには、クラスタのアイコンをクリックします。次の詳細を表示するには、クラスタまたはサーバーの上にカーソルを置きます。
レスポンス時間: 選択した期間内のすべてのコールを処理するためにサーバーが要した平均レスポンス時間。
件数: サーバーに対して行われたコールの合計数。
現在のアラート: このアラートは、サーバーまたはクラスタのステータスを表し、稼働中か停止中か、あるいはブラックアウト中か到達不可能かを示します。
「サーバーの使用量」タブをクリックします。次の画面が表示されます。
これらのグラフは、各サーバーにおける選択されたリクエストのワークロードの分散状況を表しています。グラフには、選択された期間内で各サーバーまたはクラスタが占める平均的な割合が表示されます。よいリクエスト、警告のしきい値に違反しているリクエストおよびクリティカルなしきい値に違反しているリクエストのワークロードの分散状況を確認できます。
この項では、パフォーマンスの問題の診断に使用するメソッドとツールについて説明します。次のことを実行できます。
最もアクティブなサーブレットおよびJSPの一覧表示、およびボトルネックの原因となっているサーブレットおよびJSPの特定。
アプリケーションの依存性とパフォーマンスを使用したJava EEおよびSOAアプリケーションの分析。
Java診断を使用した本番環境でのパフォーマンスの問題の診断。
パフォーマンスの問題をトラブルシューティングする場合、最もアクティブなサーブレットまたはJSPを認識しておくと役立ちます。WebLogic Serverのホームページの「最も頻度の高いリクエスト」セクションでは、WebLogic Serverインスタンスで実行されている最もアクティブなJavaサーブレット、JSP、WebサービスまたはJava EEサービスを識別できます。
アラート通知を受信した場合、Enterprise Manager Grid Controlを使用して簡単にその問題を調べ、必要に応じて修正処理を実行できます。たとえば、CPUがWebLogic Serverによって過剰に使用された場合は、そのインスタンスで実行されているアプリケーションが調べられることになります。WebLogic Serverのホームページの「最も頻度の高いリクエスト」セクション内の「サーブレットとJSP」タブを使用すると、ボリュームが最大または応答性が最小のアプリケーションを迅速に識別できます。その後、ボトルネックを特定するために、アプリケーションのサーブレット、Java Server Pages(JSP)またはEJBをドリルダウンして診断できます。
アプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)では、Java EEおよびSOAアプリケーションを分析し、AppSchemaモデル内の様々なアプリケーションの構成単位間の関係を取得できます。ADPは、即時利用可能なセルフカスタマイズ機能、変更に伴う機能向上、エキスパートの最小限の関与、および異機種間環境での全体的なサービス指向のビューの提供を実現するASMソリューションを提供できます。これにより、企業は、分散アプリケーションのより効率的な管理、管理における敏捷性の向上、および所有コストの低減を図れます。たとえば、ADPが Oracle WebLogicドメイン、IBM WebSphereセルまたはOracle SOA Suiteクラスタにポイントされると、デプロイされているすべてのアプリケーション、構成、リソースなどの、特定のドメインに関する情報が自動的に検出されます。この情報は、Oracle Enterprise Managerの「監視」タブに表示されます。
Grid Controlで提供されているアプリケーションの依存性とパフォーマンス機能を使用するには、次の手順を実行します。
Enterprise Managerにログインします。
Grid Controlのホームページから、「ターゲット」タブをクリックし、「ミドルウェア」タブをクリックします。
ページの下部にある「関連リンク」セクションで、「アプリケーションの依存性とパフォーマンス」を選択します。
「監視」、「構成」および「登録」タブが表示されます。
詳細は、SOA Management Pack Plusスタート・ガイドを参照してください。
JVM診断により、管理者はJavaアプリケーションを監視し、本番環境でのパフォーマンスの問題を診断できます。問題を再現する必要がないため、問題の解決に要する時間を削減できます。このため、アプリケーションの可用性とパフォーマンスが向上します。管理者は、パフォーマンスの問題をテスト環境または開発環境で再現することなく、本番環境で問題の根本原因を特定できます。
JVM診断により、リアルタイムのJVMの可視性および履歴診断が提供されます。ヒープを分析し、パフォーマンスの問題を診断する機能として、JVMプーリングおよびJVMトレースという機能もあります。主要機能は次のとおりです。
詳細な診断機能による低オーバーヘッドの監視機能
簡単なインストールおよびデプロイメント
リアルタイムのJVM可視性
階層間トランザクション・トレース
ヒープ分析
JVMプーリング
リアルタイム診断および履歴診断
JVMトレース
Enterprise Manager Grid Controlでは、複数のドメインを監視でき、構成管理、診断、自動化、および履歴パフォーマンスの分析を行えます。Enterprise Manager Grid Controlから、Oracle Fusion Middleware ControlまたはOracle WebLogic管理コンソールにドリルダウンし、Oracle Fusion Middleware環境を監視および管理できます。
Oracle Fusion Middleware Control: Fusion Middleware Controlは、Webブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースであり、ファームの監視および管理に使用できます。Fusion Middleware Controlでは、様々なパフォーマンス・データおよび管理機能が、ファーム、ドメイン、サーバー、コンポーネントおよびアプリケーションごとの個別のWebベースのホーム・ページに編成されます。Fusion Middleware Controlでは、SOA環境の管理、ADFアプリケーションのデプロイ、Fusion Middlewareコンポーネントの管理など様々なタスクを実行できます。
Oracle WebLogic Server管理コンソール: Oracle WebLogic Server管理コンソールは、Webブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースであり、WebLogic Serverドメインの監視および管理に使用できます。このコンソールへは、管理サーバーへのネットワーク・アクセスが可能な、サポートされているWebブラウザからアクセスできます。WebLogic Server管理コンソールでは、WebLogic Serverの管理、データ・ソースおよびJMSリソースの管理など様々なタスクを実行できます。
Enterprise Manager Grid Controlでは、ミドルウェア・ターゲットの起動、停止または再起動などのプロセス制御を実行できます。これらのタスクは、ターゲットのホームページからメニューの「コントロール」オプションを選択することで実行できます。また、これらの操作を実行するジョブをスケジュールすることもできます。たとえば、Oracle WebLogic Serverドメインの場合、ドメイン内のサーバーを自動的に起動、停止または再起動するジョブを作成できます。また、スケジュール済、稼働中、一時停止中のジョブ、または問題があるジョブの詳細を表示できます。
WebLogicドメイン・グループは、WebLogicドメインをメンバーとするカスタム・グループです。「すべてのターゲット」ページまたは「グループ」ページからWebLogicドメイン・グループを作成できるページに移動できます。WebLogic Serverドメインには、管理サーバーと呼ばれる特別なWebLogic Serverインスタンスが含まれます。この管理サーバーから、ドメイン内のすべてのリソースを集中的に構成および管理できます。また、通常、管理対象サーバーと呼ばれる1つ以上のWebLogic Serverインスタンスが含まれます。このインスタンス上でJava EEアプリケーションおよびコンポーネントが実行されます。
WebLogicドメイン・グループでは、次のタスクを実行できます。
平均レスポンス時間による上位5サーバーのレスポンス情報および負荷情報の表示。
ステータス、アラート、ポリシー違反および構成変更などのドメインの詳細の表示。
CPU使用率による上位5サーバーのリソース使用率の表示。
すべてのドメイン内のすべてのサーバーのJMS/JDBC/EJB/JSPSおよびサーブレットに関連する有用なパフォーマンス・データの確認
Enterprise Manager Grid Controlには、ミドルウェア・ターゲットに対して実行可能な一連の構成管理機能が用意されています。
Oracle管理エージェントは、個々の構成ファイルからOracle Fusion Middlewareターゲットに関する情報を収集し、HTTP/HTTPSを介してこの情報をOracle管理サービスに伝達します。この情報は管理リポジトリに格納されます。この情報は定期的に収集および更新され、変更内容の監査が実行されます。Enterprise Managerの構成管理機能により、ユーザーは特定のコンポーネントにある目的の構成データに効率的にアクセスできます。
関連項目: 第4章「エンタープライズ構成管理」の「ハードウェアとソフトウェアの構成」 |
これらの構成詳細を比較し、ミドルウェア・ターゲットの2つのインスタンス間の相違点と類似点を表示できます。最後に収集された2つの構成を比較したり、保存されている2つの構成ファイルを比較できるという柔軟性があります。また、1つの構成を複数の構成と比較したり、管理リポジトリ内の1つの構成を保存済構成ファイルと比較することもできます。
Enterprise Manager Grid Controlを使用して、複数のミドルウェア・ターゲットにわたって構成を検索し、構成の異常を検出できます。たとえば、Oracle Fusion Middlewareソフトウェアのインストール/パッチ・バージョンの組合せが適切でない、またはソフトウェア構成データの組合せが適切でないなどの異常があります。より高度な検索を実行すると、特定のアプリケーションまたはその他のリスナーをホストしているすべてのコンポーネントを識別できます。
また、BPEL Process Managerのターゲットの場合は、BPELプロセス、その様々なバージョン、および各バージョンに関連付けられているスーツケース・ファイルを表示できます。さらに、様々なバージョンのBPELプロセス・スーツケース・ファイルを比較し、各バージョンで実行された変更を追跡することもできます。図14-13は、バージョンの選択および比較方法を示しています。このように様々なバージョンを比較することにより、BPELプロセス・スーツケース・ファイル内の変更に起因するパフォーマンスの改善または劣化の原因を特定できます。
Enterprise Manager Grid Controlでは、アプリケーション・サーバー・ターゲットに違反する様々な情報、警告およびクリティカルなポリシー・ルールも表示されます。ターゲットに対する個別のポリシー・コンプライアンス・スコアをまとめて表示できます。コンプライアンス・スコアにより、ミドルウェア・ターゲットの状態を迅速に判断できます。また、過去24時間、過去1週間、過去1か月またはユーザー定義の期間でのポリシーの傾向の概要を表示し、ポリシー違反を解決する手段を決定できます。
また、Enterprise Manager Grid Controlでは、セキュリティ・ポリシー・ルールを最後に評価した時間を表示し、ターゲットの個別のポリシー・コンプライアンス・ソースをまとめて表示できます。
Enterprise Manager Grid Controlを使用すると、Oracle BPEL Process Managerターゲット、Oracle Service Busターゲット、Oracle SOAコンポジット・インスタンスおよびSOAインフラストラクチャ・インスタンスなどのミドルウェア・ターゲットに対してインフラストラクチャ・サービスを作成できます。
インフラストラクチャ・サービスは依存性サービスで、ミドルウェア・ターゲットが依存するインフラストラクチャ・コンポーネントを識別します。インフラストラクチャ・コンポーネントとは、ホスト、データベース、アプリケーション・サーバーなどの、連携してミドルウェア・ターゲットをホストするインフラストラクチャ・コンポーネントを指します。
インフラストラクチャ・サービスは新しいシステムまたは既存のシステムのいずれかに作成でき、すでにインフラストラクチャ・サービスがある場合は、それをリフレッシュしても構いません。インフラストラクチャ・サービスおよびシステムを作成すると、ミドルウェア・ターゲットおよびミドルウェア・ターゲットが依存するコンポーネントの管理が向上します。
たとえば、Oracle SOAインフラストラクチャ・ターゲットにインフラストラクチャ・サービスの作成が終了すると、Grid Controlを使用して該当するSOAインフラストラクチャ・ターゲット内のすべてのプロセスの集合サービスを作成できます。集合サービスは、サービスの論理グループ化で、ここでは、インフラストラクチャ・サービスおよび可用性サービスを指します。集合サービスにより、SOAインフラストラクチャ・ターゲットに作成されたサービスの全体がわかり、それらの可用性、パフォーマンスおよび使用状況の監視に役立ちます。サービスの可用性は、基礎となるターゲットについてのメトリックと、期間の統合的トランザクションの実行に対するサービス・テスト結果の両方から構成できます。
サービスにはサービス・レベル(サービス品質の指標)を定義できます。サービス・レベルは、サービスが特定の可用性、パフォーマンスおよびビジネス基準を満たす時間の営業時間に対する割合として定義されます。
サービス・レベルは、サービスがサービス・レベル・ルールで定義されたパフォーマンスと可用性の基準を満たす時間の割合を示します。デフォルトでは、サービスが指定の基準を満たす時間の割合は、定義された営業時間の85%とされています。このパーセント・レベルは、サービスへの期待値に従って上げることも下げることもできます。サービス・レベルでは、予測されるサービス・レベルと実際のサービス・レベルの2つのパラメータによりサービス品質が測定されます。
予測されるサービス・レベル: サービス・レベルは、サービスがサービス・レベル・ルールで定義されたパフォーマンスと可用性の基準を満たす時間の割合を示します。デフォルトでは、サービスが指定の基準を満たす時間の割合は、定義された営業時間の85%とされています。このパーセント・レベルは、サービスへの期待値に従って上げることも下げることもできます。
実際のサービス・レベル: 実際のサービス・レベルでは、サービス品質の定義に使用されるベースライン基準を定義します。
この項では、次の項目について説明します。
ジョブ・システム
プロビジョニング
ミドルウェア環境のクローニングおよびパッチ適用
Enterprise Manager Grid Controlのジョブ・システムを使用して、自動化するタスクをスケジュールできます。ホームページから「コントロール」メニュー・オプションを選択することでターゲットのジョブをスケジュールできます。たとえば、Oracle WebLogic Serverドメインの場合、ドメイン内のサーバーを自動的に起動、停止または再起動するジョブを作成できます。
スケジュール済、稼働中、一時停止中のジョブ、または問題があるジョブの詳細を表示できます。また、ジョブを使用して、WLST(WebLogic Scripting Tool)スクリプトの実行を自動化することもできます。
Oracle Application Serverコンポーネントは、すべてのタイプのイベントを記録するメッセージを含むログ・ファイルを生成します。これには、起動および停止情報、エラー、警告メッセージ、HTTPリクエストのアクセス情報および追加情報が含まれます。
ただし、ログ・ファイルに記録される情報は膨大なため、どの更新がいつ加えられたのかを追跡するのが困難です。また、定期的に大量の情報が更新されるため、ログ・ファイルのサイズが拡大し、一定期間にシステムに占める領域が増加します。このようなログ・ファイルは、別のファイルに内容を手動でアーカイブし、異なる場所に格納して管理します。
この問題を考慮して、Enterprise Manager Grid Controlはログ・ローテーション機能で拡張されているため、Oracle Application Serverコンポーネントのログをより効率的に管理できます。特に、Enterprise Manager Grid Controlを使用して、次のことができます。
スケジュールした日時に、自動的にログをローテーションするジョブをスケジュール
ローテーションしたログ・ファイルを異なるディレクトリに格納して、システムの領域を管理
Enterprise Manager Grid Controlを使用すると、特定のOracle Application Serverコンポーネント・タイプのログを表示し、ローテーションする必要があるログを選択できます。また、ログ・ローテーション・ジョブは、マルチタスク・ジョブの一部にできます。
ログ・ローテーション・ジョブが実行されると、Enterprise Manager Grid Controlはローテーションする必要があるログのコンポーネントを自動的に停止します。停止後、既存のログ・ファイルの内容は別のファイルに移され、実際のローテーションのタイムスタンプで区別されます。元のログ・ファイルは、新しいログを記録するために空になります。これが完了すると、Enterprise Manager Grid Controlはコンポーネントを再起動します。
注意: ログ・ローテーション機能は、WebLogic Serverでは使用できません。 |
管理者は、Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの手動でのインストールおよび構成にリソースを費やすより、戦略的イニシアチブに時間と費用をかけたいと考えるでしょう。これを実現するために、Enterprise Manager Grid Controlでは、Oracle SOA Suite 11gのクローニングやOracle WebLogicドメインの拡張など共通的なプロビジョニング操作が自動化されています。クリティカルなデータ・センターに対する操作を、容易で、効率的で、かつスケーラブルなものにすることで、操作上のリスクや所有コストも低減できます。これらのプロビジョニング操作にアクセスするには、Enteprise Manager Grid Controlの「デプロイメント」ページに移動し、「デプロイメント・プロシージャ」 をクリックし、次のいずれかを選択します。
Fusion Middlewareプロビジョニング
Fusion Middlewareドメイン・スケール・アップ
これらの手順の詳細は、Enterprise Managerのオンライン・ヘルプを参照してください。
一般的に、SOAアプリケーションをサポートする新しい環境を作成する場合、エラーの発生しやすい手動によるインストール手順や構成手順をいくつか伴います。Oracle Enterprise Managerでは、事前定義済でカスタマイズ可能なデプロイメント・プロシージャにより、わずかな作業と時間で新しい環境を作成できます。このデプロイメント・プロシージャでは、階層的な一連の手順により既存のSOA Suite環境を新しいハードウェア・セットにクローニングできます。この事前定義済の手順は、編集または無効化でき、新しい手順またはカスタム・スクリプトを独自のビジネス・ニーズに合わせてデプロイメント・プロシージャに追加することもできます。また、デプロイメント・プロシージャでは、sudo(super user do)またはPAM(Pluggable Authentication Modules)を使用したセキュアなホスト認証もサポートしています。管理者は、デプロイメント・プロシージャの実行時、ドメイン名、管理コンソールの資格証明、ポート値およびJDBCデータ・リソースなどの構成設定値を指定できます。プロシージャが完了すると、新たに作成されたSOA環境が検出され、集中管理および監視のために自動的にコンソールに追加されます。