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Oracle® Enterprise Manager概要
11gリリース11.1.0.1
B61020-01
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1 Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1の新機能

この章では、Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1の新機能について説明します。

Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1の新機能

Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1の新機能の概要を説明します。

データベースの管理

Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1は、Oracle Database 11gリリース2で提供される新機能をサポートします。このリリースでの新しいデータベース管理機能を次に示します。

パフォーマンスの診断

  • データベースの「パフォーマンス」ページの拡張

  • トップ・アクティビティ(上位SQL、上位セッションなど)に対するADDM結果の影響

  • スタンバイ・データベース(例: レポートに使用されるActive Data Guardデータベース)のトップ・アクティビティ

SQLチューニング

  • リアルタイムSQL監視およびSQL詳細に対するActive Reportsのサポート

  • SQL監視でのPL/SQL実行監視

  • リアルタイム・パフォーマンスまたは履歴パフォーマンスに基づくSQLチューニング・アドバイザにおける別の実行計画の識別

  • 長時間実行される問合せをパラレルで実行できるようにするためのSQLチューニング・アドバイザでのパラレルSQLプロファイルの推奨

Real Application Clusters

  • 11.2ポリシー管理型クラスタ・データベースの完全サポート

  • 新規インスタンスの追加時または既存インスタンスの再配置時のポリシー管理型インスタンスの自動検出

  • 単一インスタンス・データベースからポリシー管理型クラスタ・データベースへの変換

高可用性

  • OracleのMAAベスト・プラクティス構成の自動実装機能の拡張

  • Oracle Streamsおよびアドバンスト・キューイングの管理および監視機能の拡張

Oracleクラスタウェア

  • アプリケーションのリソース・タイプおよびリソースの監視および管理

  • サーバー・プールの構成および管理

  • Oracleクラスタウェア・リソースに関するEnterprise Managerへのプッシュ・ベースのアラート

  • Oracleクラスタウェアの起動および停止

Oracle Grid Infrastructure

  • Oracle Grid Infrastructureの重要なコンポーネントであるOracle Restartの監視

  • ASMクラスタ・ファイルシステムの管理

    • ACFS、動的ボリュームおよびACFSスナップショットの管理

    • ACFSコンポーネントの可用性、領域使用量およびパフォーマンスの監視

    • ASMファイルおよびボリュームの最適なディスク配置

    • SYSDBA権限とSYSASM権限の分離などの拡張セキュリティ・モデルのサポート

データ・マスキングの拡張機能

  • マスク定義でのマスク前SQLサポート

  • マスク定義のインポート、スクリプトの生成およびマスキングの実行などのマスキング操作のEMCLIサポート

  • Oracle Database Gatewaysを使用した異機種データベース(SQL Server、DB2など)のマスキングのサポート

変更管理の拡張機能

  • Enterprise Manager環境間で転送するためのディクショナリ・ベースラインの外部ファイルへのエクスポートおよびインポート

  • Oracle Database 11gデータベースでサポートされているスキーマ変更のリアルタイム追跡

Real Application Testingの拡張機能

  • リプレイ・フィルタのサポート

  • SQLパフォーマンス・アナライザ・レポートに対するActive Reportのサポート

ミドルウェアの管理

Oracle Fusion Middleware 11gを管理するための拡張インタフェース

Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1では、Oracle Fusion Middleware 11gの管理に使用されるインタフェースは、より機能が豊富になり操作性が向上しています。たとえば、ページ左側にあるナビゲーション・ツリーによって、右側に表示される詳細を制御できます。さらに、コンテキスト依存のメニューにより、よく使用される操作や機能に簡単にアクセスできます。Oracle Enterprise Manager 11g Fusion Middleware ControlおよびOracle WebLogic Server管理コンソールの管理インタフェースへのコンテキスト内ドリルダウン・サポートも提供されています。

Oracle Fusion Middleware 11gコンポーネントの管理および監視

Enterprise Manager Grid Controlは、Oracle Fusion Middleware 11gコンポーネント・ファミリ全体の検出、監視および中央管理をサポートするようになりました。この新機能により、Enterprise Manager Grid Control、Fusion Middleware ControlおよびWebLogic Server管理コンソール・ユーザー・インタフェースを切り替えることなく、Enterprise Manager Grid Control内から直接すべてのFusion Middlewareターゲットを効率的に管理できます。

サポートされているターゲットは次のとおりです。

  • Oracle WebLogic Server

  • Oracle SOA Suite

  • Oracle HTTP Server

  • Oracle Web Cache

  • Oracle Identity Management

  • Metadata Servicesリポジトリ

  • Oracle WebCenter

  • Oracle Portal

  • Oracle Business Intelligence Discoverer

  • Oracle Forms Services

  • Oracle Reports

  • User Messaging Service

  • Oracle Application Development Framework(ADF)を使用して構築したアプリケーション

Oracle Fusion Middleware 11gのカスタマイズ可能なパフォーマンス・サマリー

Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1では、Oracle Fusion Middleware 11gコンポーネントのカスタマイズ可能なパフォーマンス・サマリー・ページが提供されています。新しい「パフォーマンス・サマリー」ページでは、次のようにデフォルト設定を変更できます。

  • 表示するパフォーマンス・メトリックのグラフの選択

  • グラフの順序の指定

  • パフォーマンス・データを表示する時間範囲の指定

  • 複数のコンポーネントのパフォーマンス・データの単一のグラフへの表示

  • 現在のパフォーマンス・データと過去のパフォーマンス・データの並列表示

  • パフォーマンス・サマリー・ページへのカスタマイズを、将来使用できるように名前付きのグラフ・セットとして保存

新しいパフォーマンス・サマリー・ページでは、パフォーマンスの問題をより迅速に解決し、傾向の分析をより簡単に実行し、メトリックのパフォーマンス・データをより効率的に関連付けることができます。

Oracle Fusion Middleware 11gのサポート・ワークベンチのサポート

Fusion Middleware環境内の問題を調査し報告するツールであるサポート・ワークベンチは、Oracle Fusion Middleware 11gをサポートするように拡張されました。サポート・ワークベンチを使用することで、最初の障害の診断データの収集、サポート・リクエスト番号の取得、および診断データのOracleサポートへのアップロードを短時間で簡単に行えます。

WebLogic Serverの検出および管理機能

WebLogic Serverおよびその他のOracle Fusion MiddlewareターゲットをOracle Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1に追加する新機能が導入されており、ユーザー・エクスペリエンスが向上しています。

  • EMCLIユーティリティを使用したWebLogic ServerドメインのGrid Controlへの追加

    Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース(EMCLI)を使用した、1つ以上のWebLogic ServerドメインのGrid Controlへの追加がサポートされています。

  • WebLogic Serverドメインの継続的な再検出

    WebLogic Serverドメインのリフレッシュ・プロセスは自動化されており、監視中のWebLogic Serverドメインは常にGrid Controlコンソールに正確に表示されます。

  • WebLogic ServerドメインのGrid Controlへの追加に関するユーザー・エクスペリエンスの向上

    中央管理および監視のためにWebLogic ServerドメインをEnterprise Manager Grid Controlに追加するプロセスは、さらに自動化が進み、生産性の向上および管理コストの削減が実現されています。リモート管理エージェントを使用してWebLogic Serverドメインを追加する際、WebLogic jarファイルをリモート管理エージェント・マシンに手動でコピーする必要がなくなりました。

  • 管理サーバー停止中のWebLogic Serverドメインの監視

    Enterprise Manager Grid Controlでは、WebLogic Serverドメインおよびその内容を監視および管理するためにWebLogic管理サーバーが起動中である必要はありません。管理サーバーがメンテナンス期間中でも、WebLogic Serverドメインおよびその内容を継続的に監視および管理できます。

  • ドメイン内の各管理対象サーバーの単独での監視

    WebLogic ServerドメインをEnterprise Manager Grid Controlに追加する際、ドメイン内の各管理対象サーバーの監視にどの管理エージェントを使用するかを選択できます。たとえば、管理対象サーバーがインストールされているマシンに対してローカルなエージェントを選択すると、WebLogic Serverのパフォーマンスおよび構成データと、その基礎となるハードウェアおよびオペレーティング・システムのパフォーマンスおよび構成データを関連付けることができます。また、Oracle Fusion Middlewareのプロビジョニングも可能になります。

  • WebLogic Serverにデプロイされたアプリケーションの監視機能の拡張

    Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1では、即時利用可能なパフォーマンス・メトリックの他に、Oracle WebLogic ServerにデプロイされるJMX装備のアプリケーション用のパフォーマンス・メトリックを追加できます。WebLogic ServerにデプロイされたすべてのJMX対応アプリケーションの監視を、単一の管理ツールであるEnterprise Manager Grid Controlに統合できるようになりました。

  • WebLogic Serverのインストールおよびパッチ・バージョンの追跡

    Enterprise Managerでは、Oracle WebLogic Serverのインストール関連の情報が追跡されます。したがって、データセンター全体に存在するWebLogic Serverのインストール数、関連するバージョンおよびインストール場所を簡単に追跡し、適用済のパッチも特定できます。

  • WebLogic Serverの構成収集機能の拡張

    リソース・アダプタ、Webサービス、ノード・マネージャおよびマシンの設定などの追加構成アイテムは、Enterprise Manager 11g Grid Controlによって毎日収集されるWebLogic管理対象サーバーの構成データの一部として収集されます。これにより、WebLogic Server構成のより包括的なビューを入手できます。その結果、構成全体の追跡、分析、比較および検索がより完全なものとなります。

  • アプリケーション・デプロイメントおよびクラスタ化アプリケーション・デプロイメントの新しいターゲット・タイプ

    Oracle Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1では、アプリケーション・デプロイメントおよびクラスタ化アプリケーション・デプロイメントに新しいターゲット・タイプが導入されています。デプロイ済Java EEアプリケーションの特定のターゲット・タイプにより、デプロイ済Java EEアプリケーションのプロセス制御、しきい値、アラート通知およびターゲット権限が有効化され、アプリケーションの監視機能が強化されます。

  • WebLogicドメイン・グループの作成

    Oracle WebLogicドメイン全体を表す新しいカスタム・グループ・ターゲットの作成を可能にすることで、このドメインの監視が簡素化されます。このカスタムWebLogicドメイン・グループ・ターゲット・タイプにより、ドメイン全体の可用性、パフォーマンス、構成および潜在的な問題箇所の概要を把握できます。各ドメインのページに個別に移動することなく、わずか数ページから前述のような状態に関する情報にアクセスできます。

WebCenter Suiteの監視

Enterprise Manager Grid Controlでは、Oracle WebCenterおよびOracle WebLogic Portalの両方に対して次の機能によりアプリケーションのパフォーマンスを管理できます。

  • ADFタスク・フロー、ポータル・デスクトップ、ポートレット、JSFなどの重要なコンポーネント、およびこれらの依存関係が自動検出されます。

  • コンテキスト依存のドリルダウンでは、WebCenterおよびWebLogic Portal環境内のパフォーマンスのボトルネックを可視化できます。アプリケーション全体のそのコンテナの水平方向での問題、およびデータベースまでのアプリケーション・スタックの垂直方向での問題を迅速に特定するためのクリティカルなメトリックが提供されます。

  • 変更の検出機能により、コンポーネント間の依存関係および関連を識別する基礎となるモデルが常に最新の状態に保たれます。

Oracle Fusion Middleware SOA Suiteの監視

Fusion Middleware 11g Service-Oriented Architecture(SOA)コンポジットおよびインフラストラクチャの管理機能が強化され、監視、障害管理、構成管理、SLMおよびデプロイメントが提供されています。

  • 複数のドメインにわたるセンサー値に基づくSOAコンポジット・インスタンス・トレース。

  • BPEL、メディエータ、ドメイン・サービスおよびヒューマン・ワークフロー・エンジンにわたるサービス、参照およびコンポーネント・メトリック。

  • BPELコンポーネントのアクティビティ・レベル・メトリックまでのドリルダウン。

  • インスタンス実行での業務上の問題および技術的な障害のエラー監視および報告。

  • コンポーネント間を線で接続した内部的な依存関係のビュー。

SOAアーチファクトのクローニング・サポート

SOAアーチファクトのプロビジョニングを自動化する新しいデプロイメント・プロシージャが数多く提供されています。

  • SOAコンポジットのプロビジョニング

    新しいSOAコンポジットのプロビジョニング、または既存のSOAコンポジットの新しいバージョンのプロビジョニングを1つ以上のWebLogicドメインに対して行えます。

  • SOAアーチファクトの自動クローニング

    SOAアーチファクトを参照インストールまたはソフトウェア・ライブラリ内のゴールド・イメージから既存のWebLogic Serverドメインに簡単にクローニングできます。クローニングされるSOAアーチファクトには、SOAコンポジット、Webサービス・ポリシーおよびJavaプラットフォーム・セキュリティ(JPS)構成が含まれます。

  • SOAコンポジットの自動デプロイメント

    SOAドメインのクローニングの自動化により、既存のSOAドメイン(基礎となるWebLogic Serverインフラストラクチャを含む)をクローニングすることで、新しいSOAドメインをプロビジョニングできます。

Webサービス管理およびポリシー機能

Fusion MiddlewareのWebサービス管理機能が、Enterprise Manager Grid Controlを介して使用可能になりました。

Webサービスのテスト機能がサポートされています(RESTスタイルのWebサービス・エンドポイントのテスト機能など)。

  • 一般的に最も使用されるポリシーを詳細なポリシー違反メトリックとともにリストした新しいドメインレベルのダッシュボードが提供されています。

  • コアSOAガバナンスの新機能が提供されています。これにより、1つのセントラル・コンソールから重要なWebサービスを監視および管理できます。

  • WSILまたはUDDIレジストリに登録されているサービスを参照およびインポートできます。

  • 履歴データや傾向をサポートするように監視機能が強化されています。また、クリティカル・メトリックに対するアラートの設定と表示が可能です。

Oracle Identity and Access Managementの新機能

以前のアイデンティティ管理プラグインは、Enterprise Manager Grid Controlのベース・インストールに含まれています。このため、Oracle Identity Management Suite 10g(OID、DAS、DIPおよびSSOなど)の監視用に個別のプラグインをインストール必要はなく、デプロイメント・プロシージャが簡素化されています。

Enterprise Manager Grid Controlでは、Oracle Identity Management 11gのコンポーネント(Oracle Internet Directory、Oracle Virtual Directory、Directory Integration Platform、Oracle Identity Federationなど)に関する次の管理機能が提供されています。

  • Oracle Identity Management 10gおよびOracle Identity Management 11gの両方のコンポーネントを1つの手順で検出でき、これにより、監視環境を迅速に設定できます。

  • Identity Managementのコンポーネントの検出、システムおよびサービスの作成、Identity Management環境全体の監視を行う中央の場所である、「Identity and Access」ページが提供されています。

  • CPU使用率、成功/失敗の認証または認可、平均レスポンス時間、プロビジョニング・メトリック、サーバーおよびコンポーネントのステータスなど、即時利用可能な幅広いパフォーマンス・メトリックが提供されています。これらのメトリックは、パフォーマンスの低下、レスポンス時間の悪化または停止の発生などの根本原因の特定に役立ちます。

    • パフォーマンス・グラフのドラッグ・アンド・ドロップが可能な「メトリック・パレット」を使用してパフォーマンス・サマリーをカスタマイズできます。

    • 次の使用状況およびパフォーマンス統計にドリルダウンできます。

      • 認証のリクエストおよびレスポンス、HTTPおよびSOAPのリクエストおよびレスポンス、認証レスポンス処理時間を表示するOracle Identity Federationプロバイダ。

      • 追加、バインド、比較、削除、変更および検索など、LDAPの失敗および完了操作を表示するOracle Internet Directoryユーザー統計。

      • ジョブ・ステータス、成功、スキップまたは失敗した変更、完了時間およびエラーを表示するDirectory Integration Platformの同期化およびプロビジョニング・プロファイル。

  • 主要な構成管理タスクを実行します。例として、診断および規制に関する目的での構成変更の継続的な追跡、構成を格納するスナップショットの作成、同じ環境または異なる環境内で構成の一貫性を保持するためのコンポーネント構成の比較などがあります。

  • Enterprise Manager Grid Controlでは、Identity and Accessシステムを作成するための新しいウィザードが提供されています。このウィザードでは、インストール別にターゲットが自動的にグループ化され、管理者はシステムの作成中にコンポーネントを追加または削除できます。

My Oracle Supportの統合

My Oracle Supportへのシームレスなアクセス

My Oracle Support(旧名称はOracle MetaLink)と完全に統合されており、エンタープライズを管理およびサポートするための単一のインタフェースとして機能するEnterprise Manager Grid Controlの機能がさらに強化されています。このため、Enterprise Manager Grid Controlユーザー・インタフェースから離れることなく、My Oracle Supportコンソールのページにシームレスにアクセスして、サービス・リクエストの管理、パッチのデプロイおよびナレッジ・ベースの記事の確認を行えます。

My Oracle Supportコンソールは、ユーザーのログインに基づいてパーソナライズされるため、各ユーザーの環境に関連するパッチ推奨が表示されます。特定のパッチに対してユーザーが指定した評価およびコメントを表示することもできます。

ライフサイクル管理およびプロビジョニング

Oracle Database 11gリリース2(11.2)製品スイートのパッチ適用サポート

この機能は、フィジカル・スタンバイおよびOracle Data Guard環境へのオーケストレートされたパッチ適用をサポートし、停止時間を発生させない自動化された単一のフローで、データ・リカバリ環境のローリング・パッチを可能にします。この機能は、Oracle Database 11gリリース2ターゲットのオーケストレートされたパッチ適用をサポートします。

Oracle Database Machineのプロビジョニング

Sun Oracle Database MachineでのReal Application Clusters(RAC)バージョン11.2の自動デプロイメントおよび構成がサポートされるようになりました。Enterprise Managerベースのデプロイメント・プロシージャを使用することで、必要な入力作業が最小限に抑えられRACのデプロイメントおよび構成の作業が格段に簡略化されます。

Real Application ClusterプロビジョニングのOracle Database 11gリリース2(11.2)のサポート

この機能により、データベース・クラスタ上のReal Application Clustersスタックのプロビジョニングが可能になります。これは、クラスタ・マシン上のOracle Database 10gおよびOracle Database 11gリリース1 RACのプロビジョニングを可能にする既存のプロビジョニング・アプリケーションを補完するものです。

Enterprise ManagerのRACプロビジョニング・アプリケーションでは、一連のクラスタ・マシン上のReal Application Clusters(RAC)スタックをインストール、スケール・アップおよびスケール・ダウンするための統合された手法が提供されます。

Oracle Database 11gリリース2 Grid Infrastructureは、Oracleクラスタウェア(CRS)およびOracle自動ストレージ管理(ASM)に構築される新しいエンティティです。バージョン11.2リリースには、以前のリリースから多くの変更が加えられています。Enterprise ManagerでのRACプロビジョニングに関連する変更は次のとおりです。

  • Database 11.2クラスタウェアのOracleホームは、クラスタ・サービスおよびASMサービスの両方に構成できます。

  • Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスクなどのクラスタ構成ファイルをASM上に格納できるようになりました。

  • データベース・リスナーは、常にクラスタウェアのホームから起動されます。

  • クラスタのインストールでは、ホストのプライベート・ホスト名およびプライベートIPアドレスは必要なくなりました。

  • Oracle Automatic Storage Management Cluster File System(Oracle ACFS)は、スケーラブルなマルチプラットフォームの新しいファイル・システムであり、自動ストレージ管理(ASM)を拡張したストレージ管理テクノロジです。

  • 新規パラメータを含む新しいクラスタ構成オプションが追加されています。

単一インスタンス・データベース・プロビジョニングのOracle Database 11gリリース2(11.2)のサポート

ダウンロード可能な動的な前提条件チェックにより、データベース・デプロイメントの準備が完全に完了していることを確認できます。また、この機能には、バージョン11.2 Oracle Restart(単一インスタンスの高可用性)および自動ストレージ管理を含むGrid Infrastructureをプロビジョニングする新しいデプロイメント・プロシージャ、およびOracle Databaseバージョン11gリリース2(11.2)をサポートする既存のデプロイメント・プロシージャに対する拡張が含まれます。

Oracle Fusion Middlewareドメインのプロビジョニング

新しいデプロイメント・プロシージャでは、ソフトウェア・バイナリまたは構成(あるいはその両方)を参照 WebLogic Serverドメイン・インストールから簡単にクローニングできます。

Oracle Fusion Middlewareドメインのスケール・アップ

新しいデプロイメント・プロシージャでは、新規の管理対象サーバーをドメインに追加する、またはドメイン内にすでに存在する既存の管理対象サーバーをクローニングすることで、既存のWebLogic Serverドメインに容量を簡単に追加できます。

アプリケーションのパフォーマンス管理

Enterprise Manager Grid ControlへのJVM診断の統合

新しいJVM診断機能では、Application Diagnostics for Java(AD4J)の以前の機能と、WebLogic Serverおよびドメインのページだけではなくアプリケーションの依存性とパフォーマンスおよびリクエスト監視からの深いレベルのメトリックおよび直接コンテキストが組み合わされています。この新機能では、Java Virtual Machine(JVM)は、Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1内のターゲットとして表されます。また、この機能により、集中化された開始点からメトリックへのアクセスが可能になり、AD4Jユーザー・インタフェースとの追加の統合ポイントが提供されます。

Enterprise Manager Grid Controlへのアプリケーションの依存性とパフォーマンスの統合

この機能により、管理対象のアプリケーションに対する一貫性のある統合されたビューを可能にする統合ソリューションが提供されます。以前のスタンドアロンのComposite Application Monitor and Modeler(CAMM)の機能は、Enterprise Manager Grid Controlに統合されています。このため、集中化された開始点からより深いメトリックおよびコンテキスト依存のビュー(トポロジ、機能ビュー、アーキテクチャ・ビュー)へのアクセス、およびアプリケーションの依存性とパフォーマンス機能へのより簡単なアクセスが可能になります。

Java EEアプリケーションのリクエスト監視

リクエスト監視機能では、WebLogic ServerにデプロイされたJavaアプリケーションへのリクエストに対するエンドツーエンドでの可視性が提供されます。複数層のJava環境内でのリクエストのフローの明確なビューが作成されます。

  • ビジネス・リクエストの量および重要なシステム・コンポーネントに対するリアルタイムの可視性により、複数のコンテナにわたる可能性のあるリクエスト全体内の個別のボトルネックを特定できます。

  • 複数層のインフラストラクチャ全体に対する柔軟性の高いリクエスト・トレース機能により、しきい値違反が発生した際深いレベルの詳細が提供されます。

  • リクエスト分析機能により、実際のリクエスト・トポロジ内のボトルネックが特定され、ビジネス・トランザクション間の比較結果が提供されます。

サーバー管理

Oracle Virtualization Managementリリース2.2のサポート

この機能を使用することで、サード・パーティのストレージ・プロバイダおよびネットワーク・インフラストラクチャを使用する場合の柔軟性が向上します。次に例を示します。

  • サーバー・メンテナンス・フェーズ中の停止時間および影響を最小限に抑える仮想環境

  • 既存の物理サーバーを仮想環境に移行する機能(P2V)

  • VMWare仮想マシンをOracle VMに移行する機能(V2V)

  • CPUおよびディスクI/Oリソースに対するリソース制約機能の使用によるデータ・センター内の適切なリソースの使用および管理

  • 仮想ディスク(共有および追加)に対するサービス品質(QoS)機能の有効化、および仮想マシンのディスクI/O操作に対する優先順位の指定

  • エラー・ステータス処理の向上

  • 既存の物理マシンからのハードウェア仮想化テンプレートの作成

  • VMware仮想マシンからテンプレートへの変換

Enterprise Manager Grid Control Framework

高可用性サポートの拡張

Enterprise Manager Grid Controlの高可用性構成を促進するために、いくつかの機能が拡張されました。

  • 単一の構成ツール(OMSCA)による、追加のOracle管理サービス(OMS)インスタンスの環境への追加プロセスの簡略化

  • OMSインスタンスを停止および再起動せずに、その構成プロパティ(デバッグ・レベルなど)を更新する機能

  • ソフトウェア・ロード・バランサの構成の簡略化(Oracle HTTP Serverの構成ファイルの手作業による編集などのタスクが不要)

監査操作の拡張

法規制に対するコンプライアンス・サポートを強化するために、監査機能が拡張され、Enterprise Manager Grid Controlでの次の操作が可能になりました。

  • 特定のターゲットに対する監視設定の変更

  • 監視テンプレートの作成、変更および削除

  • データベース・ターゲットへのログイン/ログアウト・イベント

  • データベースの起動/停止イベント

非権限伝播グループから権限伝播グループへの変換のサポート

権限伝播グループにより、グループ内のメンバーの権限の管理が容易になります。modify_group EMCLI動詞を使用して、既存のグループを権限伝播グループに変換できるようになりました。

Enterprise Manager Grid Controlの通信に関するセキュリティの拡張

Enterprise Manager Grid Controlコンポーネント間の通信におけるTransport Layer Security(TLS)v1のサポートにより、転送データは中間者攻撃に対して強固に保護されます。また、この拡張により、より厳しいセキュリティ・コンプライアンス基準が必要とされる場合も準拠することができます。