| Oracle® Enterprise Manager Oracle Fusion Middleware Managementスタート・ガイド 11g リリース1(11.1.0.1) B61025-01 |
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ADPは測定値を収集するときに、受信データを処理して生成された情報をADPの組込みデータベースに格納します。ADPのパフォーマンス分析機能が次にこのデータベースに対して問合せを行い、統計モデルを作成して数学的計算を実行します。
この章では次のパフォーマンス分析機能について説明します。
ポータル・メトリックについては、ADPのエンティティのパフォーマンス・ランキングを使用してボトルネックの分離を促進できます。
エンティティのパフォーマンス・ランキングは、ノードに複数の子エンティティが含まれていると使用可能になります。たとえば、「ラベル」ノードに複数の子エンティティがある場合、ノードの「分析」タブをクリックするとエンティティのパフォーマンス・ランキングが表示されます。
ADPは子エンティティのあるノードで、エンティティのパフォーマンス・ランキングを提供します。
パフォーマンス特性化は、ADPに備わる一連のパフォーマンス分析機能です。パフォーマンス特性化分析を使用して、指定された時間枠における監視対象エンティティの実際のパフォーマンスを可視化します。次の項から、ADPに備わるパフォーマンス特性化分析の一連の機能を説明します。
これらのグラフを表示するには、統計的に大量のデータが必要となります。あるグラフの表示には少なくとも1時間の連続的ロードが必要であり、すべてのグラフの表示には少なくとも5時間の連続的ロードが必要です。分析では、ロード・メトリックが実際に存在していること、この分析の目的に合わないポイントがゼロであることが必要です。場合によっては、時間枠を手動で拡大すると十分なデータ・ポイントを含むことができます。
ADPでは、特定の時間枠で収集されたパフォーマンスおよび負荷の測定値のデータ・セットを通して、マルチポイント・ラインが自動的に照合されます。この機能によって、ある負荷レベルに対するエンティティのパフォーマンスをリアルタイムで迅速に特性化できます。
ADPはマルチポイント回帰を実行し、データ・セットに対して3ポイント・ラインを照合します。
パフォーマンス分析ツールとして、マルチポイントのパフォーマンス/負荷の回帰は非常に有効です。これによって、ある負荷範囲のシステムまたはコンポーネントのパフォーマンスを特性化できます。この分析を使用すると、特定のインフラストラクチャ構成(デプロイ済アプリケーション、アプリケーション・サーバー構成、ネットワーク・トポロジ、ハードウェア容量など)を持つシステムのパフォーマンス・ベースラインを取得して、特性をロードすることができます。この分析はキャパシティ・プランニングにも使用できます。回帰は特定の構成における実際のアプリケーション・パフォーマンスを例示するため、この情報は、予測される需要に適切に応えるためコンピューティング・キャパシティをどのように拡大するか判断するのに役立ちます。
この機能では、特定の監視対象エンティティの到着率とレスポンス時間の交差部分が散布図へ自動的に描画されます。この機能によって、一定の負荷の範囲(到着率)における実際のパフォーマンス(レスポンス時間)をリアルタイムで視覚的に表すことができます。
ADPでは、到着率およびレスポンス時間のメトリックの交差部分が散布図へ描画されます。
この機能では、指定した時間枠における特定の監視対象エンティティのパフォーマンス(レスポンス時間)が自動的に描画されます。X軸はレスポンス時間で、Y軸は時計の時刻です。この描画によって、監視対象エンティティのパフォーマンスの経時的な変化が視覚的に表されます。
「時間ベースのパフォーマンス分散」は、異常なパフォーマンス・パターンの識別に有効です。
ADPには、パフォーマンスのメモリー・リークを検出する分析機能が組み込まれています。
メモリー・リーク検出機能にアクセスするには、「リソース」下の「JVM」ノードを選択します。「JVM」ノードを選択すると、ADPでは指定した時間枠におけるメモリー使用量パターンが分析されます。「メモリー・リーク率」と「メモリー・リークのステータス」の2つのグラフがメイン・ディスプレイ・ウィンドウに示されます。
メモリー・リーク検出機能には「JVM」ノードをクリックするとアクセスできます。
「メモリー・リーク率」グラフでは、時間ベースの傾向分析を実行できます。このグラフでは、指定した時間範囲におけるJVMヒープ・メモリー増加率(KB/分)が示されます。「メモリー・リークのステータス」グラフでは、継続的なメモリー・リークの存在を迅速に識別できます。
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ヒント: 継続的なJVMヒープの増加はメモリー・リークを引き起こす場合があります。ADPではメモリーの増加率が常に査定されて、リーク・ステータスが決定されます。「メモリー・リークのステータス」グラフには2つの値(0と1)があります。値0はリークがないことを示しています。値1はリークが存在する可能性があることを示しています。重大なリークが存在する場合、「メモリー・リークのステータス」グラフの値は1の状態のままになります。 |
ADPを使用するとパフォーマンス・ボトルネックを簡単に発見できます。ほとんどの場合、ADPではボトルネックの正確な場所が示されます。ADPでドリルダウン操作を実行するにはいくつかの基本的な方法があります。
表14-1 ドリルダウン・メソッド
| 操作 | 説明 |
|---|---|
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ダブルクリック |
ADPの多くのビューで使用できます。ダブルクリックするとADPがトリガーされ、現在表示されているものよりも1つ下の論理レベルの情報が表示されます。 |
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右クリック・メニュー |
ADPのほとんどのビューで使用できます。ほとんどのビューから「アーキテクチャ・ビューの表示」オプションを選択すると、診断セッションが開始されます。アーキテクチャ・ビューから、ドリルダウン・オプションを使用すると1つ下のレベルに進みます。 |
可能な場合は常に、組み込まれた遅延分析を使用してパフォーマンス・ボトルネックを分離します。遅延分析は、アーキテクチャ・ビューと同様にプロセス・ノード下で使用できます。ADPの遅延分析では、プロセスまたはアクティブなコール・パス内の特定のコンポーネントに由来する、全体の遅延に影響を及ぼす遅延の要因が明らかになります。
エンティティのパフォーマンス・ランキングを使用して、異常な動作のコンポーネントやパフォーマンス・ボトルネックを識別することもできます。
詳細なパフォーマンス・データを使用して、パフォーマンスの問題をさらに分離します。このポップアップ・ウィンドウには次の情報が含まれます。
サーブレットのパフォーマンス(表)
サーブレット・レスポンス時間(ミリ秒)(グラフ)
サーブレット呼出し数(グラフ)
EJBパフォーマンス(表)
上位5のEJBレスポンス時間(ミリ秒)(グラフ)
上位5のEJB呼出し数(グラフ)
このポップアップ・ウィンドウで特定の行をダブルクリックすると、選択した行に関連付けられたアーキテクチャ・ビューが起動します。
実行速度が遅いコンポーネントをダブルクリックすると、遅延分析を示すアーキテクチャ・ビューが起動します。
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ヒント: 右クリックして「その他の矢印を表示しない」オプションを選択すると、クリックしたコンポーネント上の矢印のみが表示されます。最も遅いインバウンド・コールから、次のレベルの最も遅いコンポーネントまで進みます。この方法を繰り返してボトルネックを探します。 |
最初に「ファン・アウト」表を参照して、実行に問題があるアウトバウンド・コールがないかどうかを調べます。特定のコールの実行に問題がある場合、そのコールを宛先コンポーネントまで追跡してさらに査定します。
すべてのファン・アウト・コールを査定して、最も遅いファン・アウト・コールを追跡します。
ファン・アウト・コールの実行に問題がない場合、現在選択されているコンポーネント内にパフォーマンス・ボトルネックが存在する可能性が高くなります。「ファン・イン」表を使用して実行に問題があるコールを分離します。「ファン・イン」表で特定のインバウンド・コールをダブルクリックすると、このインバウンド・コールに関連付けられた詳細なパフォーマンス・データを示すポップアップ・ウィンドウが起動します。
最も遅いファン・イン・コールをダブルクリックすると、詳細なパフォーマンス・データを得られます。
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ヒント: 現在の遅延要因ブレークダウンをベースライン遅延要因ブレークダウンと比較して、異常な動作を識別します。これは比較ビューを使用して実行できます。 |
パフォーマンス・ボトルネックが識別されたら、ADP独自のドリルアウト機能を使用してボトルネックの影響を判断できます。影響分析はアーキテクチャ・ビューで実行できます。
ドリルアウト・プロセスを開始する手順:
ボトルネックと特定されているエンティティをアーキテクチャ・ビューで選択します。
右クリックして「ドリル・アウト」を選択します。1レベル上の論理レベルのアーキテクチャ・ビューが起動します。
「ドリル・アウト」および「コンテキストで表示」を組み合せたナビゲーション手法を使用して、影響の範囲を判断します。
パフォーマンス・ボトルネックの影響を判断するには、アーキテクチャ・ビューと、コンテキストにクラスが含まれるモジュール(白い背景色)を再度表示します。
このウィンドウでは次の操作ができます。
右クリック・メニューで「その他の矢印を表示しない」オプションを選択すると、クリックしたコンポーネントの矢印のみが表示され、視覚的なナビゲーションが向上します。
アーキテクチャ・ビューまたは「ファン・イン」表を使用して、クラスへのインバウンド・コールを行う上流のコンポーネントを識別します。影響分析では、このようなインバウンド・コールがその発生地点まで追跡されて、パフォーマンス・ボトルネックの影響がさらに詳しく判断されます。
たとえば、クラスの背景色が青い場合、このエンティティは現在のビュー・コンテキストとは異なるモジュールに属すことを示しています。