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Oracle Business Intelligence Standard Edition Oneチュートリアル
リリース10g(10.1.3.2.1)
E05487-01
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1 Oracle BI Standard Edition Oneの概要

すべてのニーズを満たすビジネス・インテリジェンス製品を選択することは困難なタスクです。製品やベンダーは多岐にわたり、それらを選択する作業は煩雑です。多くの場合、ユーザーは、各種ベンダーによって設計、実装、販売およびサポートされている製品を統合するシステム・インテグレータとしての役割を余儀なくされます。

Oracle Business Intelligence Standard Edition One(Oracle BI Standard Edition One)を購入すると、ビジネス・データ内に埋もれているビジネス・インテリジェンスの抽出に必要な全製品が1つの場所に集約されるため、より簡単に適切なビジネス決定を適宜行えるようになります。Oracle BI Standard Edition Oneは、「よりよい決定をより簡単に」という重要な前提に基づいて開発されています。

Oracle BI Standard Edition Oneを使用することで、ビジネス・レポート内への業務情報の迅速な抽出や、Webダッシュボードを含む複数のチャネルを介した自動配信など、Oracle BI Standard Edition Oneのもたらすメリットをすぐに享受できます。さらに、業務系データをデータ・マートに変換することで情報の詳細な分類と集計が可能になり、任意のディメンション数(時間など)と階層数(たとえば、「年」、「四半期」、「月」へのドリル・ダウン)に応じた綿密な分析を実行できます。

Oracle BI Standard Edition Oneのコンポーネントは次のとおりです。

この章は次のトピックで構成されています。

1.1 Oracle Database 10g Standard Edition One

Oracle Database 10gは、今日におけるビジネス・インテリジェンスとデータ・ウェアハウスの先進的なリレーショナル・データベースの最新リリースです。Oracleは、パフォーマンス、スケーラビリティ、管理性などのデータ管理におけるコア要件を有効に満たしているため、多くのユーザーによって選択されています。

1.1.1 Oracle Warehouse Builder

Oracle Warehouse Builder(Warehouse BuilderまたはOWB)は、エンタープライズ・データ・ウェアハウス、データ・マートおよびビジネス・インテリジェンス・アプリケーションを設計およびデプロイするための統合ソリューションを提供するビジネス・インテリジェンス・ツールです。

Warehouse Builderは、単なる抽出、変換およびロード(ETL)ツールではありません。Warehouse Builderは、次のように、情報管理ライフ・サイクル全体をサポートしています。

  • 設計: エンタープライズ・データ・モデルのインポート、マルチディメンション・スキーマのグラフィカル・モデリング、ソースからターゲットへの直感的なマッピング

  • 構築: Oracle Database機能を使用したウェアハウスとマートの生成および移入

  • 抽出、変換およびデータのロード: リレーショナル・ソース、フラット・ファイル・ソース、およびOracle E-Business Suite、PeopleSoft、SAPなどのERP(Enterprise Resource Planning)ソースの抽出

  • 統合: Oracle Database(Oracle Real Application Clusters、Oracle Online Analytical Processing、Oracle Spatial、Oracle Enterprise Managerなど)、Oracle E-Business SuiteおよびOracle Business Intelligenceとの容易な統合

  • メンテナンス: ウェアハウスのメンテナンスとデータのリフレッシュ

1.2 Oracle BI Server

この専用BIサーバーは、分析アプリケーションに対する共通のビジネス・モデルと抽象レイヤーを提供します。Oracle BI Serverでは、特にリレーショナル・データベース(Oracle、SQL Server)、OLAPソース(Analysis Services、Oracle OLAP)、オフライン・ソース(Excel、XML)などの複数のデータソースへのアクセスがサポートされています。

このプラットフォームでは、アクセス・オプション、分析オプション、情報配信オプションのすべてが、完全に統合された1つのWeb環境でサポートされます。各コンポーネントは、同じ基礎データであっても、その使い方が異なり、異なる方法でのアクセスが必要な企業内の様々なユーザーに対応します。ただし、他のBIツールとは異なり、すべてのコンポーネントは1つの共通アーキテクチャで統合され、シームレスかつ直感的な操作が実現できます。

1.3 Oracle BI Answers

Oracle BI Answersは、純粋なWebアーキテクチャ内で真のエンド・ユーザー向け非定型機能を提供します。ユーザーは、対話形式で情報の論理ビューを処理します。このビューでは、データ構造の複雑な仕組みがユーザーには完全に見えない状態になると同時に、リソース集中型の問合せが回避されます。そして、チャート、ピボット・テーブル、レポート、見やすくわかりやすいダッシュボードが簡単に作成できます。これらのすべてが完全な双方向性を持ち、ドリル操作可能であるうえ、ユーザーごとにパーソナライズしたOracle BI Intelligence Dashboardsで保存、共有、変更、フォーマット化、組込みが可能です。これで、ビジネス・ユーザーは、IT管理された安全な環境で必要なすべての操作を実行できます。

1.4 Oracle BI Interactive Dashboards

Oracle BI Interactive Dashboardsは、ナレッジ・ワーカーにとって、担当者の各役割に合せて動的にパーソナライズされた実用的な情報に、対話形式で直感的にアクセスする手段を提供します。Oracle BI Interactive Dashboards環境では、エンド・ユーザーは、純粋なWebアーキテクチャ内でリアルタイム・データによるレポート、プロンプト、チャート、表、ピボット・テーブル、グラフィックス、ティッカーを使用して作業します。ダッシュボードで得られた結果は、ドリル操作、ナビゲート、変更、対話が可能です。Oracle BI Interactive Dashboardsには、インターネット、共有ファイル・サーバー、ドキュメント・リポジトリなどの様々なソースからコンテンツを集計する機能もあります。

1.5 Oracle BI Publisher

Oracle BI Publisher(旧称: XML Publisher)は、複雑に分散された環境に利用可能なレポート・ソリューションを最もスケーラブルで効率的に提供します。従業員、顧客およびビジネス・パートナーに、情報を安全かつ正しいフォーマットで生成、配布する中心的なアーキテクチャを提供します。Oracle BI Publisherのレポート・フォーマットは、多くのユーザーがすでに精通しているツールであるMicrosoft WordまたはAdobe Acrobatを使用して設計できます。Oracle BI Publisherは、1つの出力文書に複数のデータソースからデータを取り込むこともできます。レポートはプリンタ、電子メール、ファックスを通して配布したり、ポータルにレポートを公開することができます。また、WebDavのWebサーバーで複数のユーザーが共同作業でレポートの編集および管理を行うことができます。Oracle BIスイートの一部として使用されるとき、Oracle BI Publisherは共通のダッシュボード操作、メタデータ、セキュリティ、計算、キャッシング、そしてインテリジェントなリクエスト生成サービスとして機能します。

1.6 Oracle BI Standard Edition Oneの使用上の考慮事項

Oracle BI Standard Edition Oneの主な利点は、早急な要件を満たすために必要とされるコンポーネントを実装してから、ビジネス要件の拡大に伴ってソリューション・アーキテクチャを変化させることが可能なことです。

次の例は、Oracle BI Standard Edition Oneの使用を開始した後で、アーキテクチャを拡張して要件を満たす方法を示しています。

  1. トランザクション・システム(受注入力アプリケーションなど)に接続してOracle BI Publisherを起動し、業務ビジネス・レポートと文書を生成します。

  2. これにより、販売予測を含むExcelスプレッドシート、受注入力システムなど、複数のデータソースが生成されます。これらのデータソースを使用して、ターゲットと実績の比較をレポートする必要があります。Oracle BI Serverをアーキテクチャに追加して、これらの2つのデータソースを論理的に結び付けることができます。

  3. 受注入力データの量が急激に増加した場合、トランザクション・システムから直接レポートするとパフォーマンス上の問題が発生します。データ・マートを作成して、過去のトランザクション・データを集計およびステージングする必要があります。データ・マートの構築には、Oracle Warehouse Builderを使用できます。

  4. レポート要件およびユーザー数の両方が増加し、より複雑化しています。Oracle BI AnswersとOracle BI Interactive Dashboardsを追加すると、ユーザーに対して非定型クエリーとセルフサービス・ダッシュボードを配信できます。