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Oracle Warehouse Builderユーザーズ・ガイド
10gリリース2(10.2)
B31258-02
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32 メタデータの変更管理

Oracle Warehouse Builderにはメタデータ・スナップショット機能が用意されており、メタデータのバックアップとリストア、メタデータ変更履歴の保守、メタデータのバージョン比較を行うことができます。

このトピックには、次の項目が含まれます。

この章では、Warehouse Builder GUIを使用したメタデータ変更管理機能について説明します。スクリプトを使用したスナップショットの作成と管理の詳細は、Oracle Warehouse Builder APIおよびスクリプト・リファレンスを参照してください。

メタデータ・スナップショットについて

スナップショットには、オブジェクトに関するすべての情報とオブジェクトの関係が含まれています。オブジェクトに関してリポジトリに存在する現行の定義は1つのみですが、そのオブジェクトを様々な時点で記述する複数のスナップショットが存在する可能性があります。Warehouse Builderでは、次の2種類のスナップショットがサポートされています。

個別ディスク・ファイルとして格納されるメタデータ・ローダー・エクスポートとは異なり、スナップショットはデータベースに格納されます。ただし、スナップショットをディスク・ファイルにエクスポートすることはできます。

スナップショットは、ウェアハウス・マネージャと設計者の両方に役立ちます。マネージャは完全スナップショットを使用して、ウェアハウスの配布や過去の時点へのリストアなど、大規模なアクションを実行できます。設計者は、開発中の特定のコンポーネントの完全スナップショットを作成できます。これにより、必要に応じてコンポーネントを前の状態にリストアできます。また、シグネチャ・スナップショットを使用して特定のコンポーネントの変更内容を追跡することも可能です。

スナップショットをMDLメタデータ・インポートや影響分析のような他のWarehouse Builder機能と併用すると、メタデータの管理が容易になります。たとえば、スナップショットを使用して、MDLメタデータ・インポートが現行のメタデータ・リポジトリに及ぼす影響を判断できます。比較から得た知識に基づき、関連メタデータ・オブジェクトの定義を上書きしないように下位の詳細レベルでメタデータをインポートできます。

スナップショットは、Warehouse Builderでごみ箱のサポートにも使用されます。これにより、削除したメタデータ・オブジェクトのリストアに必要な情報が提供されます。

スナップショットの作成

メタデータ変更管理により、特定の時点におけるメタデータ・リポジトリの内容またはリポジトリ内の特定のオブジェクトを取得するスナップショットを作成できます。スナップショットを使用すると、メタデータの変更を検出してレポートできます。


注意:

コレクションのスナップショットは、コレクション内のショートカットのスナップショットではなく、実際のオブジェクトのスナップショットです。

プロジェクト・エクスプローラからアクセス可能なオブジェクトであれば、どのオブジェクトのスナップショットでも作成できます。

スナップショットの作成ウィザードを開く

スナップショットの作成ウィザードを開いてスナップショットを作成する手順は、次のとおりです。

  1. デザイン・センターのプロジェクト・エクスプローラで、スナップショットに含めるコンポーネントをすべて選択します。必須オブジェクトや子オブジェクトはウィザードで自動的に選択されるため、手動で選択する必要はありません。

    たとえば、2つのキューブを含むコレクションを選択すると、スナップショットには両方のキューブが含まれます。オプションでディメンション、ソース表などを自動的に追加できます。

  2. 右クリックしてポップアップ・メニューから「スナップショット」「新規」を選択します。

    または

    「設計」メニューから「スナップショット」「新規」を選択します。

    スナップショットの作成ウィザードのようこそページが表示されます。

  3. 「次へ」をクリックします。ウィザードの名前ページが表示されます。

    スナップショットの名前とタイプを指定します。説明も入力できます(オプション)。

  4. 「次へ」をクリックしてウィザードのコンポーネント・ページを開きます。

    このページには、スナップショットの取得対象であるコンポーネントが表示されます。コンポーネントがモジュールなどのフォルダ・レベル・オブジェクトの場合は、「カスケード」オプションを選択してサブコンポーネントを含めます。

  5. 「次へ」をクリックして依存性ページを開きます。

    スナップショットの取得中に依存オブジェクトを含めるために、依存性の深さを指定します。

  6. 「次へ」をクリックします。終了ページが表示され、スナップショットの詳細が表示されます。

  7. 「終了」をクリックすると、スナップショットが作成されます。

スナップショットへのコンポーネントの追加

スナップショットの作成後に、さらにコンポーネントを追加できます。ただし、コンポーネントを追加すると、そのスナップショットで提供される履歴レコードが変更されるため、作成日も変更されることに注意してください。

スナップショットを更新するには、スナップショットへの追加ウィザードを使用します。

スナップショットへの追加ウィザードを開く

スナップショットへの追加ウィザードを開いて新規コンポーネントを追加する手順は、次のとおりです。

  1. デザイン・センターのプロジェクト・エクスプローラで、スナップショットに追加するコンポーネントをすべて選択します。たとえば、「Oracle」モジュールから表、マッピングおよびディメンションを選択できます。

  2. 「設計」メニューから「スナップショット」「既存へ追加」を選択します。

    または

    右クリックしてポップアップ・メニューから「スナップショット」「既存へ追加」を選択します。

    スナップショットへの追加ウィザードのようこそページが表示されます。このページには、ウィザードの手順がリスト表示されます。

  3. 「次へ」をクリックします。

    スナップショット・ページが表示されます。リストから、コンポーネントを追加するスナップショットを選択します。

  4. 「次へ」をクリックします。

    コンポーネント・ページが表示されます。このページには、スナップショットに追加されるコンポーネントが表示されます。コンポーネントがモジュールのようなフォルダ・レベル・オブジェクトの場合は、「カスケード」オプションを選択してサブコンポーネントを含めます。

  5. 「次へ」をクリックします。

    終了ページに、追加されるコンポーネントの詳細が表示されます。

  6. 「終了」をクリックすると、スナップショットにコンポーネントが追加されます。

スナップショットの管理

デザイン・センターのメタデータ変更管理ウィンドウからスナップショットを管理できます。このウィンドウを開くには、「ツール」メニューから「変更マネージャ」を選択します。

「メタデータ変更管理」ウィンドウには、メニュー・バーとツールバーがあります。ほとんどのタスクには、複数の開始方法(メニューの使用、ツールのクリック、スナップショットまたはコンポーネントの右クリック)があります。

「メタデータ変更管理」ウィンドウから、次のアクティビティを実行できます。

図32-1に、「メタデータ変更管理」ウィンドウを示します。

図32-1 「メタデータ変更管理」ウィンドウ

「メタデータ変更管理」ウィンドウ
「図32-1 「メタデータ変更管理」ウィンドウ」の説明

スナップショットのアクセス権限の管理

他のWarehouse Builderオブジェクトと同様に、スナップショットへのアクセスも制御できます。デフォルトでは、すべてのユーザーにスナップショットへの完全アクセス権限が付与されます。

アクセス権限を変更する手順は、次のとおりです。

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウの左側のセクションで、スナップショット名を右クリックします。

  2. メニューから「セキュリティ」を選択します。

    「スナップショット権限管理」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. 各ロールおよびユーザーについて、付与する権限を選択し、拒否する権限の選択を解除します。「ヘルプ」をクリックすると、詳細情報が表示されます。

スナップショットの比較

2つのスナップショット同士、またはスナップショットと現行のリポジトリ・オブジェクトを比較できます。結果には、すべてのオブジェクトがリストされ、同一のオブジェクト、一方にのみ出現するオブジェクト、両方に出現するが同一でないオブジェクトが識別されます。

親オブジェクトと子オブジェクトの変更のスナップショットを取得すると、スナップショット比較では親オブジェクトに変更があったことが示されます。たとえば、プロジェクトのカスケード・スナップショットを作成すると、そのプロジェクト内のモジュールはすべて子となります。いずれかのモジュールに変更があった場合、スナップショットをリポジトリと比較すると、プロジェクトに変更があったことがわかります。

メタデータ変更マネージャは、すべての比較の基礎としてユニバーサル・オブジェクトID(UOID)を使用します。オブジェクトを削除し、同じメタデータを使用して再作成すると、そのオブジェクトのUOIDは異なりますが、他のすべての側面では削除済オブジェクトと同じになります。再作成したオブジェクトをオリジナル・バージョンと比較すると、結果はすべてのメタデータに変更があったことを示します。同様に、インポート中やインテリジェンス・オブジェクトの導出中に削除されてから再作成されたオブジェクトは一致しなくなります。

2つのスナップショットの比較

次のいずれかの方法を使用します。

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウで、「スナップショット」メニューから「比較」を選択します。

    または

    比較対象となるスナップショットを2つ選択し、右クリックしてメニューから「比較」を選択します。

    図32-2に示す「2つのスナップショットを比較します」ダイアログ・ボックスが表示されます。「メタデータ変更管理」ウィンドウで選択したスナップショットが、「2つのスナップショットを比較します」ダイアログ・ボックスでも選択されています。

  2. 比較用に2つのスナップショットを選択していない場合は、それぞれのリストから1つ選択します。

  3. 「比較」をクリックします。

    スナップショットの比較ウィンドウに、2つのオブジェクト間の差分が表示されます。差分がない場合は、オブジェクトが同一であることを示すメッセージが表示されます。詳細は、「ヘルプ」をクリックしてください。

図32-2 「2つのスナップショットを比較します」ダイアログ・ボックス

「2つのスナップショットを比較します」ダイアログ・ボックス
「図32-2 「2つのスナップショットを比較します」ダイアログ・ボックス」の説明

リポジトリ・オブジェクトとスナップショット・コンポーネントの比較

オブジェクトの現行バージョンをスナップショット・バージョンと比較する手順は、次のとおりです。

  1. デザイン・センターのプロジェクト・エクスプローラから、比較するオブジェクトを選択します。

  2. 右クリックして「スナップショット」→「比較」を選択します。

    「スナップショット選択」ダイアログ・ボックスが表示され、選択したオブジェクトのバージョンを含む全スナップショットのリストが示されます。

  3. 現行のリポジトリ・オブジェクトと比較するスナップショットを選択します。

  4. 「OK」をクリックします。

    スナップショットの比較ウィンドウに、2つのオブジェクト間の差分が表示されます。差分がない場合は、オブジェクトが同一であることを示すメッセージが表示されます。

完全スナップショットからシグネチャ・スナップショットへの変換

バックアップ不要になった完全スナップショットは、シグネチャ・スナップショットに変換できます。この変換ではスナップショット履歴が保持され、リポジトリの領域が大幅に節約されます。


注意:

完全スナップショットをシグネチャ・スナップショットに変換すると、そのスナップショットはメタデータ・オブジェクトのリストアに使用できなくなります。

完全スナップショットを変換する手順は、次のとおりです。

  1. 「スナップショットの管理」の説明に従って「メタデータ変更管理」ウィンドウを開きます。

  2. 変換するスナップショットを選択します。

  3. 「スナップショット」メニューから「シグネチャに変換」を選択します。

  4. 「Warehouse Builder警告」ボックスで「はい」をクリックします。

スナップショットからのリポジトリ・オブジェクトのリストア

リポジトリにあるオブジェクトの現行の定義を、そのオブジェクトのスナップショット・イメージで置換できます。使用できるのは完全スナップショットのみで、シグネチャ・スナップショットからはオブジェクトをリストアできません。すべてのコンポーネントをリストアするか、スナップショットのうち選択したコンポーネントのみをリストアできます。


注意:

スナップショットからコレクションをリストアすると、コレクションと実際のオブジェクトの両方がリストアされます。

同様に、コンテナをリストアすると、その子オブジェクトもすべてリストアされます。

コレクションまたはコンテナ内で選択したオブジェクトのみをリストアするには、「コンポーネント」タブを使用します。


スナップショットからオブジェクトをリストアする手順は、次のとおりです。

  1. 現行セッションで行った作業内容を保存します。

  2. 「スナップショットの管理」の説明に従って「メタデータ変更管理」ウィンドウを開きます。

  3. リストアするオブジェクトのバージョンを含んだスナップショットを選択します。

  4. すべてのオブジェクトをリストアするには、スナップショットを右クリックしてメニューから「リストア」を選択します。

    または

    選択したコンポーネントをリストアするには、対象を「コンポーネント」タブで選択し、右クリックしてメニューから「リストア」を選択します。

    図32-3に示す「スナップショットのリストア」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  5. リストでオブジェクトを確認し、適切なオブジェクトがリストアされることを確認します。

  6. 「リストア」をクリックします。

図32-3 「スナップショットのリストア」ダイアログ・ボックス

「スナップショットのリストア」ダイアログ・ボックス
「図32-3 「スナップショットのリストア」ダイアログ・ボックス」の説明

スナップショットのエクスポートおよびインポート

完全スナップショットをMDLファイルにエクスポートし、このファイルを使用して同一データベースまたは異なるデータベースにメタデータ・オブジェクトを再作成できます。シグネチャ・スナップショットやスナップショットの個別コンポーネントはエクスポートできません。

スナップショットをエクスポートする手順は、次のとおりです。

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウを開き、エクスポートする完全スナップショットを選択します。

  2. 「スナップショット」メニューから「エクスポート」を選択します。

    「メタデータのエクスポート」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. 「ヘルプ」をクリックすると、このダイアログ・ボックスの使用方法が表示されます。

スナップショットをインポートする手順は、次のとおりです。

  1. デザイン・センターを開き、「設計」メニューから「インポート」を選択します。

  2. メニューから「Warehouse Builderメタデータ」を選択します。

    「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. 「ヘルプ」をクリックすると、このダイアログ・ボックスの使用方法が表示されます。

インポートされたスナップショットのリストが「メタデータ変更管理」ウィンドウに表示されます。

スナップショットの削除

「メタデータ変更管理」ウィンドウから、スナップショットまたはスナップショット内のコンポーネントを削除できます。

スナップショットを削除する手順は、次のとおりです。

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウを開き、削除するスナップショットを選択します。

  2. スナップショットを右クリックしてメニューから「削除」を選択します。

    または

    「スナップショット」メニューから「削除」を選択します。

    Warehouse Builderの「削除確認」ボックスが表示されます。

  3. 「はい」をクリックすると、選択したスナップショットがリポジトリから削除されます。

スナップショットからコンポーネントを削除する手順は、次のとおりです。

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウを開き、コンポーネントを削除するスナップショットを選択します。

  2. 「コンポーネント」タブで、コンポーネントを選択し、右クリックしてポップアップ・メニューから「削除」を選択します。

    または

    「スナップショット」メニューから「削除」を選択します。

    Warehouse Builderの「削除確認」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. 「はい」をクリックすると、選択したコンポーネントがスナップショットから削除されます。