| Oracle Database 2日でデータベース管理者 10g リリース2(10.2) B19197-03 |
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Oracleソフトウェアおよびデータベースをインストールすると、最小限に構成されたクライアント/サーバー・ネットワーク環境を持つフル機能データベースを使用できます。
この章では、クライアント/サーバー・ネットワークの完全な構成に関する次の項目について説明します。
クライアントとは、Oracleデータベースに接続してデータの送信または取得を行うアプリケーションのことです。Oracleクライアント・アプリケーションは、Oracleクライアント・ソフトウェアがインストールされたすべてのマシンに格納できます。
Oracle Netは、クライアントおよびOracleデータベース・サーバーに格納されるソフトウェア・コンポーネントです。業界標準プロトコルを使用して、クライアント・アプリケーションとサーバー間の接続の確立、維持およびメッセージのやりとりを行います。
クライアント・アプリケーションとデータベースが通信するには、クライアント・アプリケーションで接続先データベースの詳細な位置を指定し、データベースで特定の識別情報またはアドレスを提供する必要があります。
データベース・サーバーでは、Oracle Net Listener(通常、リスナーと呼ばれる)は、クライアントの接続要求をリスニングするプロセスです。デフォルトのリスナー構成ファイルはlistener.oraと呼ばれ、ORACLE_HOME/network/adminディレクトリに格納されます。このファイルには、データベースを識別するプロトコル・アドレスが含まれています。このアドレスによって、リスナーがリスニングするプロトコルおよびその他のプロトコル固有の情報が定義されます。たとえば、リスナーは、次のプロトコル・アドレスでリスニングするように構成されます。
(DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=my-server) (PORT=1521)))
この例では、リスナーのホスト・マシンおよびポート番号を指定するTCP/IPプロトコル・アドレスが示されています。
listener.oraファイルは、インストール時に自動的に構成されますが、Enterprise Managerを使用して構成することもできます。詳細は、「リスナー構成の表示」および「リスナーの起動および停止」を参照してください。
クライアントが接続を要求すると、その要求はサーバーのリスナーを介してOracleデータベースに転送されます。
クライアントは、接続記述子を使用して接続するデータベースを指定します。この接続記述子には、プロトコルおよびデータベース・サービス名が含まれます。データベースには複数のサービスを定義できるため、特定のサービスを接続用に指定する必要があります。事前構成済データベースに存在するサービスは1つのみです。デフォルトでは、その名前はグローバル・データベース名になります。
次の例に、クライアントからmydb.us.acme.comというデータベース・サービスへの接続を可能にする接続記述子を示します。
(DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=my-server) PORT=1521)) (CONNECT_DATA= (SERVICE_NAME=mydb.us.acme.com)))
接続記述子は、クライアント・マシンのORACLE_HOME/network/adminディレクトリにあるtnsnames.oraファイルに定義できます。このファイルは、Oracle Net Managerを使用して構成できます。詳細は、「クライアント・マシンでのOracleネットワークの構成」を参照してください。
ユーザーは、接続文字列を指定して接続要求を開始します。接続文字列には、ユーザー名、パスワードおよび接続識別子が含まれます。この接続識別子には、接続記述子自体、または接続識別子に変換される名前を指定することもできます。最も一般的な接続識別子としては、サービスの単純名であるネット・サービス名があります。次の例に、サービス名mydbを接続識別子として使用した接続文字列を示します。
CONNECT hr/hr@mydb
例に示した接続識別子は比較的単純ですが、環境構成がより複雑な場合は、長くなり、使用するには不都合な場合があります。接続識別子が長い場合、ネット・サービス名を接続記述子にマッピングできます。このマッピング情報は、ネーミング・メソッドでアクセスされる1つ以上の情報リポジトリに格納されます。
Oracle Netでは、次のネーミング・メソッドがサポートされています。
事前構成済データベースではローカル・ネーミングが使用されます。このマニュアルでは、この形式のネーミングのみ使用します。
ローカル・ネーミング・メソッドでは、ネット・サービス名で識別される接続記述子が、クライアントの構成ファイル(tnsnames.ora)に格納されます。このファイルは、ORACLE_HOME/network/adminディレクトリに格納されています。
ディレクトリ・ネーミング・メソッドでは、集中化されたLDAP準拠のディレクトリ・サーバーに接続識別子が格納されます。
簡易接続ネーミング・メソッドでは、クライアントは、ホスト名およびオプションのポート名とサービス名で構成されるTCP/IP接続文字列のみを使用してOracleデータベース・サーバーに接続できます。
CONNECT username/password@host[:port][/service_name]
次に例を示します。
CONNECT hr/hr@my-server:1521/mydb
簡易接続ネーミング・メソッドは構成する必要がありません。
外部ネーミング・メソッドでは、サポートされているOracle以外のネーミング・サービスにネット・サービス名が格納されます。サポートされているサード・パーティ・サービスには次のものがあります。
Oracleでは、Oracle Netコンフィギュレーション・アシスタント、Enterprise ManagerおよびOracle Net Managerの各ツールを使用してネットワーク構成を管理できます。
Oracle Universal Installerは、データベースのインストール後、Oracle Netコンフィギュレーション・アシスタントを起動します。Oracle Netコンフィギュレーション・アシスタントを使用して、Oracleデータベース用のリスニング・プロトコル・アドレスおよびサービス情報を構成します。
通常のデータベースのインストール中、Oracle Netコンフィギュレーション・アシスタントは、データベース用のTCP/IPリスニング・プロトコル・アドレスを持つLISTENERというリスナーを自動的に構成します。カスタム・インストールを行う場合は、Oracle Netコンフィギュレーション・アシスタントから、独自のリスナー名およびプロトコル・アドレスを設定するように求められます。
データベースをインストールした後、ネットワークの初期構成にOracle Netコンフィギュレーション・アシスタントを使用します。その後で、Oracle Enterprise ManagerおよびOracle Net Managerを使用して、ネットワークを構成および管理できます。
Enterprise Managerでは、2つのページ(「リスナー」ページおよび「Net Services管理」ページ)を使用して、サーバー側のネットワーク構成を管理できます。
「リスナー」ページにはリスナーの状態が表示され、このページでリスナーを停止できます。「一般」の下にある「リスナー」リンクをクリックすると、「ホーム」ページからこのページにナビゲートできます。詳細は、この章の「リスナー構成の表示」を参照してください。
「一般」の下にある「リスナー」をクリックすると、「ホーム」ページから「ネット・サービス」ページにナビゲートできます。「リスナー」ページが表示されます。「関連リンク」の下にある「Net Services管理」をクリックします。
「Net Services管理」ページでは、次の処理を実行できます。
tnsnames.oraファイルへのディレクトリ・ネーミング・エントリのエクスポート
Oracle Net Managerには、コマンドラインを使用するか、または「スタート」メニュー(Windowsプラットフォームの場合)を介してアクセスします。
netmgrを実行します。
Oracle Net Managerは、Oracle Enterprise Managerと同様の機能に加えて、プロファイルの構成を提供します。このツールの使用方法については、「クライアント・マシンでのOracleネットワークの構成」を参照してください。
リスナーはデータベース・サーバー・マシン上で動作し、リスナーを介してクライアントのリクエストが受信されます。Enterprise Managerを使用すると、リスナーの状態を表示できます。リスナーは、サーバー・マシンを再起動すると自動的に起動するように設定されています。
リスナーの状態を表示するには、Enterprise Managerの「ホーム」ページにナビゲートします。「一般」の下にある「リスナー」をクリックします。「リスナー: listener_name」ページが表示されます。「一般」の下で、リスナーの状態が「稼働中」または「停止中」のいずれかであることを確認します。
また、このページには、リスナーのバージョン、そのネット・アドレスおよび起動時間も表示されます。
また、コマンドラインで次の文字列を入力して、リスナーの状態を表示することもできます。
lsnrctl status
Oracleリスナーは、サーバー・マシンを再起動すると自動的に起動するように設定されています。ただし、システムで予測できない状況が発生した場合、または手動でリスナーを停止した場合は、コマンドラインで再起動する必要があります。これには、次の文字列を入力します。
lsnrctl start
Enterprise Managerを使用して、リスナーを停止できます。これには、「ホーム」ページの「リスナー」をクリックして、「リスナー: listener_name」にナビゲートします。リスナーを停止するには、「停止」をクリックします。
また、コマンドラインで次の文字列を入力して、リスナーを停止することもできます。
lsnrctl stop
クライアント・マシンは、Oracleデータベースに接続する前に構成されている必要があります。クライアント・マシンを構成するには、まず、Oracle Netソフトウェアを含むOracleクライアント・ソフトウェアをインストールします。
この例では、ローカル・ネーミングを使用するWindowsクライアントの構成方法について示します。ローカルのtnsnames.oraファイルへの接続記述子のエントリの追加も示します。接続記述子は、接続するデータベースのホスト名、プロトコル・アドレスおよびサービス名を指定します。
Windowsの場合、次のように、Oracle Net Managerプログラムを使用して、新しいネット・サービスのエントリをtsnames.oraファイルに作成できます。
ネット・サービス名ウィザードが表示されます。
coconuts.island.comなど)およびポート番号を入力します。「次へ」をクリックします。
SYSユーザーおよびデータベースを構成するときに指定したパスワードを使用できます。ウィザードに、接続テストが成功したかどうかが表示されます。
また、Windows、LinuxおよびUNIXプラットフォームでnetmgrを使用して、コマンドラインからOracle Net Managerを実行することもできます。
Oracle by Example(OBE)には、このマニュアルに関するシリーズが含まれています。このOBEでは、この章のタスクを段階的に説明し、注釈付きのスクリーン・ショットを使用します。
ネットワークのOBEを参照するには、ご使用のブラウザで次の場所を指定します。
http://www.oracle.com/technology/obe/10gr2_2day_dba/network/network.htm
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