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Oracle Application Server 高可用性ガイド
10gリリース3(10.1.3.1.0)

B31835-01
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8 手動同期化操作

なんらかの理由でセカンダリ(スタンバイ)サイトがプライマリ・サイトと同期化されていない場合や、第8.1.1項「本番サイトの手動バックアップ」の説明に従って、プライマリ・サイトの中間層およびOracleAS Infrastructureの構成ファイルの定期的なバックアップ操作を実行する場合は、次の手動同期化操作を実行する必要があります。次に、第8.1.2項「スタンバイ・サイトの手動リストア」の説明に従って、バックアップの構成ファイルをリストアする必要があります。スタンバイ・サイトで構成ファイル(OracleAS Infrastructureおよび中間層)をリストアしたら、「サイト・フェイルオーバー操作」で説明されている手順2に進みます。

8.1 OracleAS Guardのasgctlコマンドライン・ユーティリティを使用しない、ベースライン・インストールとスタンバイ・サイトの手動による同期化


注意

この項、第8.1.1項「本番サイトの手動バックアップ」および第8.1.2項「スタンバイ・サイトの手動リストア」では、スタンバイ・サイトがプライマリ・サイトと同期化されていない特殊なケースを想定しています。この場合、スタンバイ・サイトでは第8.1.2項「スタンバイ・サイトの手動リストア」の説明に従って、前回バックアップした構成ファイルをリストアする必要があります。

asgctlを使用してセカンダリ(スタンバイ)サイトとプライマリ・サイトを継続的に同期化している場合、両サイトはすでに同期化されているはずなので、手動によるリストア操作を実行する必要はありません。計画外停止をリカバリする「サイト・フェイルオーバー操作」の手順1から始めることができます。 


本番サイトとスタンバイ・サイト間でOracle Data Guardを設定した後は、両サイトを同期化する手順を実行できます。本番サイトを使用する前に、インストール後の本番サイトのベースライン・スナップショットをスタンバイ・サイトで取得するために、最初の同期化を実行する必要があります。今後、スタンバイ・サイトで本番サイト構成のリカバリが必要になった場合は、このベースラインを使用できます。

本番サイトから一貫性のあるポイント・イン・タイム・スナップショットを取得するには、OracleAS Infrastructureデータベースに格納されている情報と、Oracle Application Server関連の構成ファイルに格納されている情報(中間層ホストとOracleAS Infrastructureホスト内にある)を同時に同期化する必要があります。構成ファイルの同期化は、Oracle Application Server Recovery Managerを使用して構成ファイルをバックアップし、それらをスタンバイ・ホストにリストアすることで実行できます。OracleAS Infrastructureデータベースの同期化は、Oracle Data Guardを使用してアーカイブ・ログをスタンバイOracleAS Infrastructureに転送し、それらを構成ファイルのリストアと連携しながら適用することで実行できます。

ベースラインを同期化する手順は次のとおりです(この手順は、今後の同期化の実行でも有効です)。

この後の2つの主要な項で、これらの手順について説明します。

8.1.1 本番サイトの手動バックアップ

本番サイトとスタンバイ・サイト間で構成情報を同期化するための実行計画とアプローチは、OracleAS Infrastructureおよび中間層構成ファイルのバックアップとスタンバイOracleAS Infrastructureデータベースへのログ情報の適用を同時に行うことに重点を置いています。

Oracle Application Serverでは、すべての構成情報がOracleAS Infrastructureデータベースにあるわけではありません。データベース・ファイルのバックアップは、中間層およびOracleAS Infrastructure構成ファイルのバックアップと同時性が維持される必要があります。このため、ログ適用サービスはスタンバイ・データベースで有効にできません。ログ・ファイルは本番OracleAS InfrastructureからスタンバイOracleAS Infrastructureに転送されますが、適用されません。

本番サイトのバックアップ・プロセスには、中間層およびOracleAS Infrastructureノードの構成ファイルのバックアップが含まれます。さらに、OracleAS Infrastructureデータベースのアーカイブ・ログがスタンバイ・サイトに転送されます。

次の項で、バックアップおよびログ転送を実行する手順について説明します。

8.1.1.1 OracleAS Infrastructureデータベースのアーカイブ・ログの転送

OracleAS Disaster Recoveryソリューションのインストール後には、Oracle Data Guardが本番データベースとスタンバイ・データベースの両方にインストールされているはずです。本番OracleAS InfrastructureデータベースからスタンバイOracleAS Infrastructureデータベースにアーカイブ・ログを転送する手順には、Oracle Data Guardの構成、および本番データベースとスタンバイ・データベースの両方でいくつかのコマンドを実行することが含まれます。OracleAS Infrastructureデータベースのログを転送する手順は次のとおりです。

  1. ログ適用サービスが無効になっていない場合は、スタンバイ・ホストで次のSQLPLUS文を実行して、ログ適用サービスを無効にします。

    SQL> alter database recover managed standby database cancel;
    
    
  2. 次のコマンドを実行して、本番OracleAS Infrastructureデータベースでログ・スイッチを実行します。これにより、最新のログ・ファイルがスタンバイOracleAS Infrastructureデータベースに転送されます。

    SQL> alter system switch logfile;
    
    
  3. 本番サイトの通常の運用では、本番データベースのログ・ファイルはスタンバイ・データベースへと頻繁に転送されますが、適用されません。スタンバイ・サイトでは、本番サイトの構成ファイルがバックアップされた時点までの一貫したログを適用する必要があります。次のSQL文を使用すると、すべてのOracleAS Infrastructureデータベースの変更を最新のログにカプセル化して、Oracle Data Guard転送サービスにより、このログをスタンバイ・サイトのOracleAS Infrastructureに転送できます。

    SQL> select first_change# from v$log where status='CURRENT';
    
    

    SCNつまり順序番号が返されます。この番号は実質的には、転送されたログのタイムスタンプを表します。

  4. SCN番号を書き留めます。この番号は、本番データベースの変更をスタンバイ・サイトにリストアする際に必要となります。

次の項に進み、中間層ホストとOracleAS Infrastructureホストの構成ファイルをバックアップします。

8.1.1.2 構成ファイルのバックアップ(OracleAS Infrastructureおよび中間層)

この項の手順に従って、構成ファイルをバックアップします。この手順には、OracleAS Recovery Managerを使用する必要があります。OracleAS Recovery ManagerはOracleASの各インストール(中間層およびOracleAS Infrastructure)でカスタマイズが必要なため、すでにインストールされ構成済であることを前提にします。OracleAS Recovery Managerの詳細は(インストールと構成手順を含む)、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

中間層とOracleAS Infrastructureの各インストールで、次の手順を実行します(中間層およびOracleAS Infrastructureの構成ファイルのインストールでも同様です)。

  1. 『Oracle Application Server管理者ガイド』に説明されているインストールおよび構成手順が実行されている場合は、Oracle Application Server Recovery Managerの構成ファイルconfig.inpで、変数oracle_homelog_pathおよびconfig_backup_pathに適切な値が設定されているはずです。また、OracleAS Recovery Managerの次のコマンドを実行して構成を反映している必要があります。

    perl bkp_restore.pl -m configure_nodb
    
    

    Windowsの場合は、Perl実行可能ファイルが<ORACLE_HOME>¥perl¥<perl_version>¥bin¥MSWin32-x86に用意されています。

    これらのタスクが完了していない場合は、この後の手順に進む前に完了してください。

  2. 次のコマンドを実行して、現行インストールから構成ファイルをバックアップします。

    perl bkp_restore.pl -v -m backup_config
    
    

    このコマンドにより、config.inpファイルのconfig_backup_path変数で指定されている場所にディレクトリが作成されます。ディレクトリ名には、バックアップの時間が挿入されます。たとえば、config_bkp_2003-09-10_13-21です。

  3. また、バックアップのログが、config.inpファイルのlog_path変数で指定されている場所に生成されます。バックアップ・プロセス中にエラーが発生していないかどうか、ログ・ファイルをチェックします。

  4. OracleAS Recovery Managerのディレクトリ構造と内容を、現行ノードからスタンバイ・サイトの同等のノードにコピーします。スタンバイ・ノードのパス構造が現行ノードと同じであることを確認します。

  5. バックアップ・ディレクトリ(config_backup_pathで定義されている)を、現行ノードからスタンバイ・サイトの同等のノードにコピーします。スタンバイ・ノードのパス構造が現行ノードと同じであることを確認します。

  6. 本番サイト(中間層およびOracleAS Infrastructure)におけるOracle Application Serverの各インストールで上述の手順を繰り返します。


    注意

    本番サイトとスタンバイ・サイト間で一貫性を維持する必要がある重要な項目が2つあります。ディレクトリ名は両サイトで同じである必要があります。また、特定のバックアップ・ディレクトリとSCNとの対応関係を、両サイトの管理手順として書き留めておく必要があります。 


8.1.2 スタンバイ・サイトの手動リストア

中間層Oracle Application ServerインスタンスおよびOracleAS Infrastructureからの構成ファイルをOracleAS Infrastructureデータベースとともにバックアップした後は、この項の手順に従って、スタンバイ・サイトにファイルとデータベースをリストアします。この項は、次の項目で構成されています。

8.1.2.1 構成ファイルのリストア(OracleAS Infrastructureおよび中間層)

本番サイトからのバックアップ・ファイルのリストアには、バックアップに使用したOracleAS Recovery Managerが必要です。この項の手順では、スタンバイ・サイトの中間層ノードおよびOracleAS Infrastructureノードの各OracleASインストールで、OracleAS Recovery Managerがインストールされ構成済であることを前提にします。OracleAS Recovery Managerのインストール手順は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

スタンバイ・サイトの中間層とOracleAS Infrastructureの各インストールで、次の手順を実行します(中間層およびOracleAS Infrastructureの構成ファイルのインストールでも同様です)。

  1. OracleAS Recovery Managerのディレクトリ構造と本番サイトの同等のインストールから取得したバックアップ・ディレクトリが現行ノードにあることをチェックします。

  2. リストア・プロセス中に構成ファイルが変更されないようOracle Application Serverインスタンスとそのプロセスを停止します。次のOPMNコマンドを使用します。

    UNIXの場合:

    <ORACLE_HOME>/opmn/bin/opmnctl stopall
    
    

    Windowsの場合:

    <ORACLE_HOME>¥opmn¥bin¥opmnctl stopall
    
    

    関連プロセスがいっさい実行されていないことをチェックします。UNIXでは、次のコマンドを使用します。

    ps -ef | grep <ORACLE_HOME>
    
    

    Windowsの場合は、[Ctrl]キーと[Alt]キーを押しながら[Del]キーを押してタスク マネージャを起動し、プロセスが停止されていることを確認します。

  3. バックアップ・ユーティリティのOracleホームを構成します。

    これは、OracleAS Recovery ManagerのOracleホームを構成するか、または本番サイトの同等のノードからバックアップ構成ファイルconfig.inpをコピーすることで実行可能です。次に、OracleAS Recovery Managerの構成オプションを実行する例を示します。

    perl bkp_restore.pl -v -m configure_nodb
    
    

    Windowsの場合は、Perl実行可能ファイルが<ORACLE_HOME>¥perl¥<perl_version>¥bin¥MSWin32-x86に用意されています。

  4. 次のコマンドを実行して、有効な構成バックアップ場所を一覧表示します。

    perl bkp_restore.pl -v -m restore_config
    
    
  5. 次のコマンドを使用して、構成ファイルをリストアします。

    perl bkp_restore.pl -v -m restore_config -t <backup_directory>
    
    

    <backup_directory>は、本番サイトからコピーしたバックアップ・ファイルのあるディレクトリの名前です。たとえば、config_bkp_2003-09-10_13-21です。

  6. config.inpで指定されているログ・ファイルで、リストア・プロセス中にエラーが発生していないかどうかをチェックします。

  7. 本番サイト(中間層およびOracleAS Infrastructure)におけるOracle Application Serverの各インストールで上述の手順を繰り返します。

8.1.2.2 OracleAS Infrastructureデータベースのリストア: ログ・ファイルの適用

バックアップ・フェーズでは、本番サイトからスタンバイ・サイトにデータベース・ログ・ファイルを転送するための手順を実行しました。バックアップ用に転送されたのは、書き留めておくよう指示されたSCN番号までのログ・ファイルでした。スタンバイ・データベースをそのSCN番号までリストアするには、次のSQLPLUS文を使用してスタンバイOracleAS Infrastructureデータベースにログ・ファイルを適用します。

SQL> alter database recover automatic from '/private/oracle/oracleas/standby/' standby database until change <SCN>;

(Windowsの場合は、この例のパスを適切なものに置き換えます。)

このコマンドを実行し、中間層とOracleAS Infrastructureの各インストールで構成ファイルのリストア手順を完了した後は、スタンバイ・サイトと本番サイトが同期化されています。しかしログ・ファイルの適用時には、不適切なパスの指定によるエラー、およびスタンバイ・サイトに転送されたログ・ファイルの相違という2つの障害がよく発生します。

次に、これらの問題を解決する方法を示します。

  1. 適切なログ・パスを調べます。

    スタンバイOracleAS Infrastructureデータベースで、次のSQLPLUS文を使用して、受信したアーカイブ・ログの格納場所と数を確認します。

    SQL> show parameter standby_archive_dest 
    
    NAME                                 TYPE        VALUE
    ------------------------------------ ----------- ------------------------------
    standby_archive_dest                 string      /private/oracle/oracleas/standby/
    
    

    (この例で示したのはUNIXパスです。Windowsでは、Windowsシステムでの同等のパスが示されます。)

  2. 前の手順で取得したログ・パスを使用して、すべてのログ・ファイルが転送されていることを確認します。

    スタンバイOracleAS Infrastructureデータベースで、次を実行します。

    standby> cd /private/oracle/oracleas/standby 
    standby> ls 
    1_13.dbf  1_14.dbf  1_15.dbf  1_16.dbf  1_17.dbf  1_18.dbf  1_19.dbf
    
    

    (Windowsでは、適切なディレクトリへの移動にはcdコマンド、ディレクトリの内容の一覧表示にはdirコマンドを使用します。)

    本番OracleAS Infrastructureデータベースで、次のSQLPLUS文を実行します。

    SQL> show parameter log_archive_dest_1 
    
    NAME                                 TYPE        VALUE 
    ------------------------------------ ----------- ------------------------------ 
    log_archive_
    dest1                   string      LOCATION=/private/oracle/oracleas/oradata 
                                                                                     MA
    NDATORY 
    log_archive_dest_10                  string 
    
    

    (この例で示したのはUNIXパスです。Windowsでは、Windowsシステムでの同等のパスが示されます。)

  3. 手順1で指定したパスを使用して、ログ・ファイルの数と順序に注目します。次に、例を示します。

    production> cd /private/oracle/oracleas/oradata 
    production> ls 
    1_10.dbf  1_12.dbf  1_14.dbf  1_16.dbf  1_18.dbf  asdb 
    1_11.dbf  1_13.dbf  1_15.dbf  1_17.dbf  1_19.dbf
    
    

    (Windowsでは、適切なディレクトリへの移動にはcdコマンド、ディレクトリの内容の一覧表示にはdirコマンドを使用します。)

この例では、スタンバイOracleAS Infrastructureに1_10.dbfから1_12.dbfまでのファイルがないことがわかります。ログ・ファイルのこの相違は過去におけるものであるため、ログ転送に使用したネットワークなどの以前の設定に問題があった可能性があります。この問題は明らかに修正されており、以降のログは転送されています。この問題を解決するには、ログ・ファイルをスタンバイOracleAS Infrastructureデータベース・ホストの適切なディレクトリにコピー(FTP)して、この項の最初に示したSQLPLUSリカバリ文を再度実行します。


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