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Oracle Application Server 管理者ガイド
10gリリース3(10.1.3.2.0)

E05047-01
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9 Application Server中間層インスタンスのクローニング

この章では、Oracle Application Server中間層インスタンスのインストールのクローニングについて説明します。

この章の項目は次のとおりです。

9.1 クローニングの概要

クローニングとは、既存のインストールを元の構成のまま別の場所へコピーするプロセスです。Oracle Application Serverのインストールのクローニングは、次のような場合に役立ちます。

クローン・インストールは、ソース・インストールと同様に動作します。たとえば、クローン・インスタンスは、Oracle Universal Installerを使用して削除またはパッチを適用できます。また、クローン・インストールから別のクローンを作成することもできます。

コマンドラインのクローニング・スクリプトを使用して、テスト用、開発用または本番用のインストールをクローニングしたコピーを作成できます。

大半の用途には、デフォルトのクローニング手順で十分に対応できます。さらに、カスタム・ポート割当ての指定や、カスタム設定の保存など、クローニング・プロセスの様々な側面をカスタマイズすることもできます。

図9-1に、Oracle Identity Managementに接続されていないOracle WebCenter FrameworkおよびOracle HTTP Server中間層のクローニングを示します。

図9-1    Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle HTTP Server中間層のクローニング


画像の説明

クローニング・プロセスでは、ソースOracleホームにあるすべてのファイルをクローニング先Oracleホームにコピーします。したがって、ソース・インスタンスによって使用されているファイルの中に、ソースOracleホームのディレクトリ構造の外部に置かれているものがある場合、それはクローニング先にコピーされません。

ファイルをコピーした後は、一連のスクリプトを使用して、主要な構成ファイルの情報を更新します。たとえば、httpd.conf内のホスト名とOracleホームへの参照はすべて、新しい値に更新されます。

ソース・インスタンスにデプロイされたアプリケーションのうち、ソースOracleホームのディレクトリ構造内にあるものも、クローン・インスタンスにコピーされ、自動的にデプロイされます。

9.2 クローニングできるインストール・タイプ

このリリースでは、次のタイプの中間層インストールをクローニングできます。

クローンOracleホームにおける特定のコンポーネントに影響する検討項目および制限の詳細は、第9.5項を参照してください。

次の事項に注意してください。

9.3 クローニング・プロセスの概要

クローニング・プロセスでは、Oracle Universal Installerのクローニング機能を利用します。処理はOracle Application Serverインストールに含まれている一連のスクリプトによって実行されます。次の項では、インスタンスのクローニングに関連するプロセスについて説明します。

  1. ソース準備フェーズ

  2. クローニング・フェーズ

9.3.1 ソース準備フェーズ

ソースで、prepare_clone.plというスクリプトを実行します。これはクローニングに向けてソースを準備するPerlスクリプトです。クローニングに必要な情報のスナップショットを取得します。

このフェーズで、prepare_clone.plはソースOracleホームのファイルを解析して、必要な値を抽出および格納し、必要なファイルをバックアップします。

その後で、Oracleホーム・ディレクトリに対してtarを実行します。

ソース・インスタンスを準備する具体的な手順は、第9.4.2項を参照してください。

9.3.2 クローニング・フェーズ

クローニング先で、tarファイルからOracleホームを抽出します。次に、clone.plというスクリプトを実行します。これは、クローニング処理のすべてを自動的に実行するPerlスクリプトで、必要に応じて、他のユーティリティやOracle Universal Installerを起動します。clone.plスクリプトを起動すると、次の3つのフェーズが実行されます。

  1. プリクローニング・フェーズ

    このフェーズでは、clone.plスクリプトによって、クローニングを実行できるようにするために必要な土台を作ります。

  2. クローニング・フェーズ

    このフェーズでは、clone.plスクリプトによって、Oracle Universal Installerに必要な引数を指定してクローン・モードで起動し、Oracle Universal Installerホームのクローニングを実行します。これによって、すべてのファイルの再インスタンス化(インスタンス化された既存ファイルのバックアップ作成後)、環境変数の設定、リンクの更新などが行われます。つまり、ファイルのコピーを除き、インストール時に実行された作業をすべて繰り返します。

  3. ポストクローニング・フェーズ

    ポストインストール構成アシスタントは、クローニング時に再度実行するようには設計されていません。したがって、構成アシスタントによって更新されるインスタンス固有の構成ファイルの一部は、Oracle Universal Installerのクローニング・セッションが終了しても更新されません。かわりに、Oracleが用意した一連のポストクローニング・スクリプトで、これらのファイルを更新し、クローン・ホームを作業可能な状態にします。

    スクリプトによって実行されるポストクローニング手順は次のとおりです。

    1. 新規Oracleホームを設定します。

    2. 構成ファイルを更新します。この手順では、クローニング・フェーズでOracle Universal Installerによって再インスタンス化された多数の構成ファイルが、バックアップからリストアされます。これらのファイルは必要に応じて、新しい環境を反映した新しい値で更新されます。たとえば、ファイルにソースOracleホームを参照する記述がある場合、その記述はクローニング先Oracleホームを参照するように更新されます。

    3. ホームのchgiphostコマンドを呼び出すことによって、クローン・ホームのホスト名とIPアドレスが変更されます。chgiphostを呼び出す前に、スクリプトはchgiphostをサイレント・モードで起動するために必要な次の情報を集める必要があります。

      • ソースのホスト名

      • ソースのIPアドレス

      • クローニング先のホスト名

      • クローニング先のIPアドレス

      クローニングの一部としてchgiphostを実行する場合、(ホスト名やドメイン名の変更などで)chgiphostをスタンドアロンで実行するときとは違い、すべての構成ツールが実行されるわけではありません。

    4. ソース・インスタンスがOracle Internet Directoryに接続されている場合、クローンについての情報をOracle Internet Directoryに追加します。

    5. クローニング処理がすべて完了した後、サービスとApplication Server Controlコンソールを起動して、クローニング処理が正常に行われたことを確認します。

各フェーズを手動で実行する必要はありません。clone.plスクリプトが3つのフェーズをすべて自動的に処理します。ここで示した情報は、概念を理解するためのものにすぎません。

クローニング先での具体的な作業手順は、第9.4.3項を参照してください。

ポストクローニング・フェーズで更新されるファイル

ポストクローニング・フェーズでは、いくつかの重要な構成ファイルがバックアップからリストアされ、更新されます。ファイルに対する典型的な変更は、ホスト名、Oracleホーム、ポート番号などの環境固有の変数を新しい値に更新することです。

次のリストに、更新される重要なファイルの一部を示します。これは、更新されるファイルをすべて網羅しているわけではありません。

ここでのパスの形式は、UNIX形式で示されています。Windowsでは、スラッシュが円記号になります。

9.4 Oracle Application Serverインスタンスのクローニング

Oracle Application Serverインスタンスをクローニングするには、Companion CDからスクリプトをコピーします。最初にソースOracleホームを準備し、次に、相手先をクローニングします。

9.4.1 クローニングの前提条件

クローニングを実行するには、Perl 5.83以降をシステムにインストールしておく必要があります。クローニングを行うPerlスクリプトを実行する前に、PERL5LIB環境変数に、OracleホームのPerlディレクトリへのパスを設定する必要があります。このパスは、変数定義の最初に示されているパスと一致する必要があります。たとえば、次のように指定します。

9.4.2 ソースの準備

ソースOracleホームのクローニングを準備するには、ソース・インスタンスで次の手順を実行します。

  1. 次のディレクトリに移動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/clone/bin
    (Windows) ORACLE_HOME¥clone¥bin
    
    
  2. prepare_clone.plスクリプトを実行します。このスクリプトによって、ソースをクローニングする準備ができます。

    このスクリプトのコマンドラインは、次のような形式になります。

    perl prepare_clone.pl [ORACLE_HOME=OH_dir]
                          [-silent]
                          [-debug]
                          [-export] 
                          [-help]
    
    

    この例では、perlはそれぞれ、次のように置き換えます。

    • UNIXの場合:

      $ORACLE_HOME/perl/bin/perl
      
      
    • Windowsの場合:

      %ORACLE_HOME%¥perl¥5.8.3¥bin¥MSWin32-x86-multi-thread¥perl5.8.3
      
      

    表9-1に、prepare_clone.plスクリプトのパラメータとオプションを示します。

    表9-1    prepare_clone.plスクリプトのパラメータとオプション 
    パラメータまたはオプション  説明 

    ORACLE_HOME 

    ソースOracleホームの完全なディレクトリ指定。このパラメータを指定せずにスクリプトを実行すると、ORACLE_HOME環境変数が存在する場合はそれが使用されます。この環境変数が存在しない場合、このスクリプトでは、スクリプトの実行場所であるディレクトリがORACLE_HOMEと想定されます。

    Oracleホームを指定するときは、スラッシュ(UNIX)や円記号(Windows)を最後に使用しないでください。

    インストール時に提供された値を使用します。シンボリック・リンクは使用しないでください。

    ORACLE_HOMEが無効の場合、スクリプトは終了し、標準出力(STDOUT)にエラーが記録されます。 

    -silent 

    スクリプトがサイレント・モードで実行されます。パスワードに関連する必須オプションがコマンドラインに含まれていない場合、スクリプトは終了します。  

    -debug 

    スクリプトがデバッグ・モードで実行されます。 

    -export 

    ソース・インスタンス上のMDSに格納されているページ・カスタマイズ・データやポートレット・メタデータを.earファイルにエクスポートします。また、ポートレットのカスタマイズ・データ(プリファレンス・データ)を.earファイルにエクスポートします。クローン・インスタンスで別の場所のMDSを使用する場合は、このオプションを使用して、WebCenterアプリケーションに関連付けられているカスタマイズ・データを別の場所に移行します。

    このオプションでは、Oracle WebCenter Framework Predeploymentツールのエクスポート・モードをコールします。Predeploymentツールの詳細は、『Oracle WebCenter Framework開発者ガイド』のWebCenterアプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

    スクリプトによって、_clone_export.earという接尾辞の.earファイルが、次のディレクトリに作成されます。

    (UNIX) ORACLE_HOME/j2ee/instance/applications/app_name/app_name_clone_export.ear
    (Windows) ORACLE_HOME¥j2ee¥instance¥applications¥app_name¥app_name_clone_export.ear
     

    -help 

    スクリプトの使用方法が出力されます。 

  3. アーカイブ用のツールを使用して、ソースOracleホームをアーカイブおよび圧縮します。たとえば、WindowsではWinZip、UNIXではtarとgzipが使用できます。使用しているツールが、ファイルの権限とタイムスタンプを保存することを確認してください。UNIXでソースをアーカイブおよび圧縮する方法を、次の例で示します。

    cd Source_Oracle_Home 
    tar cf - * | gzip > oracleas.tar.gz
    
    

    ファイルの中にsticky bitに設定されているものがある場合、tarユーティリティは警告を発する場合があります。この警告は無視してかまいません。

    Oracleホームのアーカイブおよび圧縮には、jarユーティリティを使用しないようにしてください。

9.4.3 インスタンスのクローニング

相手先でソース・インスタンスをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 圧縮したOracleホームを、ソース・マシンからクローニング先マシンにコピーします。

  2. 圧縮したOracleホームを、クローニング先の新しいOracleホームとなるディレクトリに解凍します。圧縮ファイルの解凍には、それに適したツールを使用します。たとえば、WindowsではWinZip、UNIXではtarとgunzipが使用できます。使用しているツールが、ファイルの権限とタイムスタンプを保存することを確認してください。UNIXでファイルを解凍する方法を、次の例で示します。

    mkdir -p Destination_Oracle_Home 
    cd Destination_Oracle_Home
    gunzip  <  Dir_Containing_Tar/oracleas.tar.gz | tar xf -
    


    注意

    ソース・マシンとクローニング先マシンで、tarおよびgzip(またはgunzip)のバージョンが同じである必要があります。バージョンが異なると、アーカイブを解凍するときに問題が発生する場合があります。 


  3. 次のディレクトリに移動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/clone/bin
    (Windows) ORACLE_HOME¥clone¥bin
    
    
  4. clone.plスクリプトを実行します。Oracleインベントリ・ファイルが含まれたディレクトリには、書込み権限が必要です(Oracleインベントリ・ディレクトリの場所の詳細は、第9.4.4項を参照してください)。

    このスクリプトのコマンドラインは、次のような形式になります。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=OH_dir
                  ORACLE_HOME_NAME=OH_Name
                  -instance Instance_Name
                  {-oc4jadmin_old_password old_admin_pass | 
                   -oc4jadmin_obf_old_password old_obf_admin_pass}
                  {-oc4jadmin_new_password new_admin_pass |
                   -oc4jadmin_obf_new_password new_obf_admin_pass}
                  [-Ostring]
                  [-silent]
                  [-debug]
                  [-import]
                  [-help]
    
    

    この例では、perlはそれぞれ、次のように置き換えます。

    • UNIXの場合:

      $ORACLE_HOME/perl/bin/perl
      
      
    • Windowsの場合:

      %ORACLE_HOME%¥perl¥5.8.3¥bin¥MSWin32-x86-multi-thread¥perl5.8.3
      
      

    表9-2に、clone.plスクリプトのパラメータとオプションを示します。

    表9-2    clone.plスクリプトのパラメータとオプション 
    パラメータまたはオプション  説明 

    ORACLE_HOME 

    必須。クローニング先Oracleホームの完全なディレクトリ指定。このパラメータは必須です。このパラメータを指定しない場合、またはその値が無効の場合は、スクリプトは終了します。

    Oracleホームを指定するときは、スラッシュ(UNIX)や円記号(Windows)を最後に使用しないでください。 

    ORACLE_HOME_NAME 

    必須。クローニング先Oracleホーム(クローンのOracleホーム)の名前。 

    -instance 

    必須。クローンのインスタンス名。このインスタンスには、ソース・インスタンス、またはそれ以外に、同じOracleAS Infrastructureを使用するインスタンスや同じクラスタ・トポロジの一部であるインスタンスとは、異なる名前を付ける必要があります。 

    -oc4jadmin_old_password 

    -oc4jadmin_obf_old_passwordが使用されていない場合は必須。ソース・インスタンスに対するOracle Application Serverの管理者oc4jadmin用パスワード。このオプションも-oc4jadmin_obf_old_passwordも指定せず、スクリプトがサイレント・モードで実行されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。 

    -oc4jadmin_obf_old_password 

    -oc4jadmin_old_passwordが使用されていない場合は必須。ソース・インスタンスに対するOracle Application Serverの管理者oc4jadmin用の不明瞭化されたパスワード。このオプションも-oc4jadmin_old_passwordも指定せず、スクリプトがサイレント・モードで実行されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。 

    -oc4jadmin_new_password 

    -oc4jadmin_obf_new_passwordが使用されていない場合は必須。クローン・インスタンスに対するOracle Application Serverの管理者oc4jadminの新規パスワード。このオプションも-oc4jadmin_obf_new_passwordも指定せず、スクリプトがサイレント・モードで実行されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。

    このパスワードはデフォルトのOC4Jインスタンスに使用され、それ以外のOC4Jインスタンスには使用されません。詳細は、第9.5.3項を参照してください。 

    -oc4jadmin_obf_new_password 

    -oc4jadmin_new_passwordが使用されていない場合は必須。クローン・インスタンスに対するOracle Application Serverの管理者oc4jadminの不明瞭化された新規パスワード。このオプションも-oc4jadmin_new_passwordも指定せず、スクリプトがサイレント・モードで実行されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。

    このパスワードはデフォルトのOC4Jインスタンスに使用され、それ以外のOC4Jインスタンスには使用されません。詳細は、第9.5.3項を参照してください。 

    -O 

    このオプションに続くテキストが、Oracle Universal Installerコマンドラインに渡されるように指定されます。たとえば、次のコードでこのオプションを使用すると、Oracle Universal Installerが使用するoraparam.iniファイルの場所を渡せます。

    '-O-paramFile C:¥OraHome_1¥oui¥oraparam.ini'

    渡すテキストに空白などの区切り文字が含まれている場合は、そのオプションを二重引用符(")で囲む必要があります。

    このオプションを使用して複数のパラメータをOracle Universal Installerに渡すには、すべてのパラメータに-Oオプションを1つ付けて渡すか、個々のパラメータに複数の-Oオプションを使用して渡します。  

    -silent 

    スクリプトがサイレント・モードで実行されます。パスワードに関連する必須オプションがコマンドラインに含まれていない場合、スクリプトは終了します。  

    -debug 

    スクリプトがデバッグ・モードで実行されます。 

    -import 

    ソース・インスタンス上のMDSに格納されているページ・カスタマイズ・データやポートレット・メタデータをクローン・インスタンスにインポートします。また、ポートレットのカスタマイズ・データ(プリファレンス・データ)もインポートします。prepare_clone.plコマンドラインの-exportオプションで生成された.earファイルからカスタマイズ・データをインポートします。新しいインスタンスで別の場所のMDSを使用する場合は、このオプションを使用して、WebCenterアプリケーションに関連付けられているカスタマイズ・データを別の場所に移行します。

    このオプションでは、Oracle WebCenter Framework Predeploymentツールのインポート・モードをコールします。Predeploymentツールの詳細は、『Oracle WebCenter Framework開発者ガイド』のWebCenterアプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

    スクリプトによって、prepare_clone.pl -exportオプションで作成したearファイルがインポートされます。 

    -help 

    スクリプトの使用方法が出力されます。 

    たとえば、次のように指定します。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=/scratch/oracle/Ora_10131_B
                  ORACLE_HOME_NAME=OH_10131_B
                  -instance orcl_B
                  -oc4jadmin_old_password my_old_admin_pass
                  -oc4jadmin_new_password my_new_admin_pass
                  '-O-paramFile /var/opt/oracle/oui/oraparam.ini'
                  -import
                  -silent
    
    
  5. デプロイされたWebCenterアプリケーションがソース・インスタンスに含まれる場合、同じ場所のMDSを使用するのか別の場所のMDSを使用するのかをクローニング・スクリプトによって尋ねられます。

    たとえば、テスト環境から本番環境に移行する場合、新しい場所のMDSを指定できます。ただし、新しいインスタンスを追加することによって環境を拡張する場合は、ソース・インスタンスと同じMDSを使用することをお薦めします。

    Specified mds path is mds_path. Do you want to keep the original settings [n|y] 
    [y]:
    
    

    同じ場所のMDSを使用するには、yを指定します。

    別の場所のMDSを使用するには、nを指定します。次に、プロンプトで、新しい場所を入力します。絶対パスを指定してください。また、MDSの場所はアクセス可能である必要があります。つまり、ユーザーには読取りと書込みができる権限が必要です。

    誤った場所を指定した場合は、クローニング処理の完了後に場所を変更できます。場所の変更は、次のディレクトリにあるadf-config.xmlファイルで行います。

    ORACLE_HOME/j2ee/OC4J_Instance/applications/apps_name/adf/META-INF
    
    

    ディレクトリの指定において、OC4J_instanceはOC4Jインスタンスの名前、apps_nameはアプリケーションの名前です。

  6. ソース・インスタンスがマルチキャスト動的ノード検出または静的ノード検出クラスタのメンバーである場合は、スクリプトによって、元のクラスタ設定を保持するかどうか尋ねられます。詳細は、第9.4.5項を参照してください。

  7. UNIXでは、クローン・インスタンスが正しく機能するように、Oracleホームでroot.shスクリプトを実行します。このスクリプトを実行するにはrootユーザーとしてログインしている必要があります。このスクリプトは、クローン・インスタンスのOracleホーム・ディレクトリにあります。

    たとえば、次のように指定します。

    $ORACLE_HOME/root.sh
    
    
  8. UNIXでは、これがコンピュータ上の最初のOracleインストールである場合、rootユーザーとしてorainstRoot.shスクリプトを実行し、Oracleインベントリ・ディレクトリを登録する必要があります。このスクリプトはoraInventoryディレクトリにあります。

    oraInventoryディレクトリの場所は、次のファイルに含まれます。

    ORACLE_HOME/clone/logs/clonetimestamp.log
    
    
  9. 新しい場所のMDSを使用する場合は、Application Server Controlコンソールを使用して、クローン・インスタンスにアプリケーションを再デプロイします。WebCenterアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebCenter Framework開発者ガイド』のWebCenterアプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

  10. クローン・インスタンスで別の場所のMDSが使用されており、WebCenterアプリケーションが含まれている場合の追加手順の詳細は、『Oracle WebCenter Framework開発者ガイド』のクローニングによるステージング環境から本番環境への移行に関する項を参照してください。

  11. クローン・インスタンスを再起動します。

    • UNIXの場合:

      ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl stopall
      ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
      
      
    • Windowsの場合:

      ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl stopall
      ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl startall
      
      

これで、クローン・インスタンスは、ソース・インスタンスと同じ構成になります。OC4Jカスタム・インスタンスなど、クローン・インスタンスのプロセスはすべて、Application Server ControlコンソールとOPMNで起動および停止できます。デプロイされたアプリケーションはすべて表示され、正しく実行できます。

9.4.4 ログ・ファイルの検索と表示

クローニング・スクリプトは複数のツールを呼び出しますが、これらのツールは個別にログ・ファイルを生成します。ただし、次に示すログ・ファイルは、Oracle Universal Installerおよびクローニングを行うスクリプトによって生成されるもので、診断を目的とした主要なログ・ファイルです。

ここでのパスの形式は、UNIX形式で示されています。Windowsでは、スラッシュが円記号になります。


注意

Oracleインベントリ・ディレクトリの場所は、次のファイルに含まれます。

Oracle_Home/clone/logs/clonetimestamp.log

次に例を示します。

Wed Jul  5 09:42:51 2006  INFO: Please check /scratch/oracleas/oraInventory/logs/cloneActions2006-07-05_09-38-30AM.log for more details.

Windowsシステムの場合、場所は、レジストリHKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥ORACLE¥INST_LOCから取得できます。 


clone.plスクリプトの実行後にこれらのログ・ファイルを開いて、クローニング・プロセスの詳細を調べてください。Application Server Controlコンソールでログ・ファイルを表示する手順は次のとおりです。

  1. ホーム・ページで「ログ」を選択します。

  2. 「ログの表示」ページで、「使用可能なコンポーネント」ボックスから「ASClone」を選択します。「移動」をクリックして、選択したコンポーネントを「選択したコンポーネント」ボックスに移動します。

  3. 検索」をクリックします。

    結果」表にログ・ファイルが表示されます。

  4. このログを表示するには、「ログ・ファイル」列でログ名をクリックします。

9.4.5 クラスタ・トポロジのメンバーであるインスタンスのクローニング

クラスタのメンバーである中間層インスタンスは、マルチキャスト動的ノード検出または静的ノード検出がベースとなっている場合のみクローニングできます。この場合、クローニング・スクリプトによって、元のクラスタ設定を保持するかどうか尋ねられます。次に例を示します。

cluster Config:<Multi Casting>detected for Source Instance:Do you want to keep 
the original cluster settings(n|y)[y]:

yと答えると、クローン・インスタンスは、ソース・インスタンスと同じクラスタの一部となります。

nと答えると、クローニング・スクリプトによって、クラスタの新しいIPアドレスとポートを入力するよう求められます。この場合、クラスタのタイプは維持されます。たとえば、ソース・インスタンスが動的ノード検出クラスタのメンバーである場合、nと答えると、新しいマルチキャスト検出IPアドレスおよびポートを入力するよう求められます。クローニングの実行中は、クラスタのタイプを静的ノード検出クラスタなどの別のタイプに変更できません。

トポロジ間ゲートウェイまたは手動のノード間構成をベースとしているクラスタのメンバーであるインスタンスはクローニングできません。これらは、最初にクラスタから削除する必要があります。

9.5 クローニングに関する検討事項と制限事項

次の項では、クローニング全般およびクローンOracleホームの特定のコンポーネントに影響する検討事項と制限事項について、詳しく説明します。

9.5.1 クローニングに関する一般的な検討事項と制限事項

このリリースでは、次のものはクローニングできません。

クローニングについては、これ以外にも次の点に注意してください。

9.5.2 Oracle HTTP Serverのクローニングに関する検討事項

次に、Oracle HTTP Serverのクローニングに関する重要な情報を説明します。

9.5.3 Oracle Containers for J2EE(OC4J)のクローニングに関する検討事項

次に、OC4Jのクローニングについての検討事項を示します。

次に、どのOC4Jコンポーネントが保存されるかを説明します。

9.5.4 Application Server Controlのクローニングに関する検討事項

Application Server Controlコンソールをクローニングする際は、次の検討事項を参考にしてください。

default-web-site.xmlファイルを維持することで、ソース・インスタンスのSSL設定が維持されます。つまり、ソースのApplication Server ControlコンソールがHTTPS用に構成されている場合は、クローンのApplication Server ControlコンソールもHTTPS用に構成されます。

9.5.5 Oracle WebCenter Frameworkのクローニングに関する検討事項

Oracle WebCenter Frameworkをクローニングする際は、次の検討事項を参考にしてください。

クローニングおよびOracle WebCenter Frameworkの詳細は、『Oracle WebCenter Framework開発者ガイド』のWebCenterアプリケーションのクローニングに関する項を参照してください。

9.6 クローニング・プロセスのカスタマイズ

大半の場合には、デフォルトのクローニング・プロセスで十分に対応できます。さらに、次の項で説明する手動の構成手順を実行することによって、クローニング・プロセスのいくつかの側面をカスタマイズすることもできます。

9.6.1 Oracle Universal Installerのパラメータの指定

Oracle Application Server管理者ガイド

インスタンスをクローニングするときには、Oracle Universal Installerを直接起動しません。ただし、Oracle Universal Installerに間接的に情報を渡すことはできます。それには、通常はコマンドラインに指定するOracle Universal Installerのパラメータを構成ファイルcs.propertiesで指定します。このファイルは次のディレクトリにあります。

(UNIX) ORACLE_HOME/clone/ias/config
(Windows) ORACLE_HOME¥clone¥ias¥config

たとえば、UNIXでOracleのインベントリ・ファイルにデフォルト以外の場所を指定するには、cs.propertiesファイルに次の行を追加できます。

clone_command_line= -invptrloc /private/oracle/oraInst.loc

複数の引数を指定するには、clone_command_lineに、それぞれの引数を空白で区切って追加します。clone_command_line行を追加しないでください。次の例は、Linux上で2つの引数を指定する方法を示しています。

clone_command_line= -silent -invptrloc /private/oracle/oraInst.loc 
oracle.as.j2ee.top:szl_PortListSelect="{YES,/tmp/staticports.ini}"

さらに、-O文字列オプションを使用して、Oracle Universal Installerコマンドラインに渡す情報を指定できます。たとえば、次のコードでこのオプションを使用すると、Oracle Universal Installerが使用するoraparam.iniファイルの場所を渡せます。

'-O-paramFile C:¥OraHome_1¥oui¥oraparam.ini'

9.6.2 カスタム・ポートの割当て

デフォルトでは、クローニング・スクリプトが自動的に、コンポーネントに空きポートを割り当てます。クローニング時にデフォルトのポートを割り当てるアルゴリズムは、Oracle Application Serverのインストール時に使用するものと同じです。

新しいOracle Application Serverインスタンスをインストールするときに、使用するポートをstaticports.iniファイルに列挙して指定できます。次に、このファイルは、Oracle Universal Installerを呼び出すときのパラメータの値として渡されます。ポートの割当て方法およびstaticports.iniファイルの使用方法の詳細は、使用しているプラットフォームのOracle Application Serverのインストレーション・ガイドを参照してください。

インスタンスをクローニングするときには、Oracle Universal Installerを直接起動しません。したがって、コマンドラインでstaticports.iniファイルを指定しても、カスタム・ポートは割り当てられません。ただし、Oracle Universal Installerに間接的にポート情報を渡すことはできます。それには、staticports.iniファイルの場所を、次の構成ファイルで指定します。

(UNIX) ORACLE_HOME/clone/ias/config/cs.properties
(Windows) ORACLE_HOME¥clone¥ias¥config¥cs.properties

たとえば、1024未満のポートを使用する場合は、staticports.iniファイルでポートを指定でき、cs.propertiesファイルでstaticports.iniファイルの場所を指定できます。

クローニング時にカスタム・ポートを割り当てる手順は次のとおりです。

  1. staticports.iniファイルにポート番号を列挙します。詳細は、使用しているプラットフォームのOracle Application Serverのインストレーション・ガイドを参照してください。

  2. staticports.iniファイルの場所を指定するには、cs.propertiesファイルのclone_command_lineに情報を追加します。たとえばLinuxでは、次のように指定します。

    clone_command_line= -silent oracle.as.j2ee.top:szl_
    PortListSelect="{YES,/tmp/staticports.ini}" 
    
    

staticports.iniファイルに列挙されているポートは、クローニング時に読み取られ、それにしたがってOracle Universal Installerはポート番号を割り当てます。

UNIXで1024未満のポートを指定した場合は、クローニング処理中にクローン・インスタンスが起動することはありません。クローニング処理の完了後、root権限でroot.shスクリプトを実行してから、このプロセスを開始する必要があります。


注意

デフォルトでは、Oracle Universal Installerはインストール時のすべてのユーザー入力を保存し、それをクローニング時のアクションを自動化するために使用します。その結果、ソース・インスタンスのインストール時にstaticports.iniファイルを使用した場合には、Oracle Universal Installerは、同じstaticports.iniファイルをデフォルトで使用します。これは、インスタンスをクローニングする際にstaticports.iniファイルを指定しない場合でも同じです。この動作を取り消し、Oracle Universal Installerで新しいポートを生成するには、cs.propertiesファイルに次の行を追加します。

oracle.as.j2ee.top:szl_PortListSelect="{¥"NO¥", ¥"¥"}" 
 

9.6.3 カスタム・データの更新

デフォルトでは、クローニング・スクリプトを実行すると、Oracleホーム内の主要な構成ファイルが更新され、そこに含まれる情報は、クローニング先の環境に対応するものとなります。第9.4.3項は、更新されるファイルの一部のリストです。

デフォルトのクローニング・プロセスを変更して、デフォルトでは更新されないカスタム・データを更新するようにできます。クローニング時にどのファイルを更新し、それらのファイルのどのエントリを更新するかについての情報は、別のファイルのセットに含まれており、それがクローニング・スクリプトによって読み取られます。これらのファイルを編集すると、次のことができます。

これらの変更は、FileFixerというJavaユーティリティで行います。FileFixerでは、正規表現と照合することでファイル内の特定のテキスト文字列が検索され、それらが新しい値に更新されます。FileFixerのパターン検索は行単位で実行されることに注意してください。複数行にわたるパターンは照合できません。

可能な変更には、次のようなものがあります。

9.7 例: クローニングによるOracle Application Serverクラスタの拡張

クローニングの一般的な用途は、Oracle Application Serverクラスタ・トポロジのサイズの拡張です。構成とアプリケーション・デプロイが同一であり、複数のOracle WebCenter FrameworkおよびOracle HTTP Server中間層で構成されるクラスタを考えてみましょう。クラスタを拡張するには、他のインスタンスと同じ構成の新しい中間層インスタンスを作成し、同じクラスタの一部とします。

この例では、次のことを前提としています。

クラスタ・トポロジを拡張する手順は次のとおりです。

  1. 第9.4.2項で説明されている手順に従って、ソース・インスタンスのクローニングを準備します。

    1. 第9.4.2項の説明にあるように、ステップ1を実行します。

    2. 第9.4.2項のステップ2を実行します。

      このステップで、-exportオプションを使用して、デプロイされたアプリケーションのプロデューサに対して行われたカスタマイズ・データをソース・インスタンスから.earファイルにエクスポートします。たとえば、次のように指定します。

      perl prepare_clone.pl ORACLE_HOME=/scratch/oracleas/Ora_10132 -export
      
      
    3. 第9.4.2項の説明にあるように、ステップ3を実行します。

  2. 第9.4.3項で説明されている手順に従って、ソース・インスタンスをクローニングし、新しいインスタンスを作成します。

    1. 第9.4.3項の説明にあるように、ステップの12および3を実行します。

    2. 第9.4.3項のステップ4を実行します。

      このステップでは、クローン・インスタンスの名前を、コマンドラインで指定して変更する必要があります。さらに、-importオプションを指定して、prepare_clone処理で生成された.earファイルをインポートする必要があります。次に例を示します。

      perl clone.pl ORACLE_HOME=/scratch/oracle/Ora_10132_B
                    ORACLE_HOME_NAME=OH_10132B
                    -instance WebC
                    -oc4jadmin_old_password my_old_admin_pass
                    -oc4jadmin_new_password my_new_admin_pass
                    -import
      
      

      この例では、クローン・インスタンスのインスタンス名はWebCです。

  3. 必要に応じて、第9.4.3項のステップ68を実行します。

  4. 必要に応じて、第9.4.3項のステップ910を実行します。

  5. 第9.4.3項のステップ11を実行します。


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