Oracle Application Server 管理者ガイド 10gリリース3(10.1.3.2.0) E05047-01 |
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この章では、Oracle Application Serverの管理ツールについて説明します。
この章の項目は次のとおりです。
アプリケーション・サーバー・コンポーネントの監視および管理に使用される手順は、組織の規模、採用する管理者の数、管理するコンポーネントのタイプなどによって異なります。そのため、Oracle Application Serverインストールの管理には、複数のオプションが用意されています。
これらの管理オプションは、次のカテゴリに分類できます。
Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlは、Oracle Application Serverのすべてのインスタンスとともにインストールされます。したがって、Webブラウザを使用して、アプリケーション・サーバーとそのコンポーネントの管理をただちに開始できます。
Application Server Controlコンソールからは、単独のOracle Application Serverインスタンスだけでなく、複数のアプリケーション・サーバー・インスタンスとそれらのOC4Jインスタンスにデプロイされたアプリケーションで構成されるクラスタ・トポロジも監視および管理できます。
Application Server Controlコンソールでは、豊富な種類のパフォーマンス・データと管理機能が、アプリケーション・サーバーとOracle Containers for J2EEの特定の機能について、個別のWebベースのホーム・ページとして編成されます。Enterprise Managerホーム・ページを使用すると、最も重要な監視データと最もよく使用される管理機能のすべてに、Webブラウザから容易にアクセスできます。
Application Server Controlのほかに、opmnctl
コマンドライン・ツールも使用できます。このツールは、Oracle Process Manager and Notification Server(OPMN)へのコマンドライン・インタフェースを提供します。たとえば、このコマンドライン・ツール(opmnctl
)を使用して、次のことを実行できます。
関連項目
opmnctl
を使用したOC4Jクラスタの構成および管理の詳細は、『Oracle Containers for J2EE構成および管理ガイド』を参照してください。
Oracle Application Serverには、アクティブなOC4Jインスタンスで操作をする際に使用できる、admin_client.jar
というコマンドライン・ユーティリティも用意されています。
admin_client.jar
ユーティリティのほとんどの機能は、スタンドアロン構成のOracle Application Server OC4Jサーバー専用として使用されるadmin.jar
ユーティリティのかわりに使用できます。
admin.jar
ユーティリティとは異なり、admin_client.jar
ユーティリティを使用すると、管理対象のOracle Application Server環境に存在するOC4Jインスタンスだけでなく、スタンドアロンOC4J環境のOC4Jインスタンスも管理できます。
admin_client.jar
ユーティリティを使用すると、次のタスクを実行できます。
Oracle Application Serverをインストールして起動すると、アプリケーション・サーバーにより、一連の組込みパフォーマンス・メトリックの収集が自動的に開始されます。この組込みパフォーマンス・メトリックは、Oracle Application Serverコンポーネントの実装に組み込まれたパフォーマンス・インストルメントを使用して、連続的に測定されます。
Application Server Controlコンソールでは、これらのパフォーマンス・メトリックのサブセットが、アプリケーション・サーバー・コンポーネントのホーム・ページに整理された形態で表示されます。たとえば、OC4Jのパフォーマンス・メトリックは、「OC4Jのパフォーマンス」ページに一連のグラフとして表示されます。
これらのかわりに、すべての組込みパフォーマンス・メトリックを参照する必要がある場合や、アプリケーション・サーバー・コンポーネントの特定のメトリック・セットを監視する必要がある場合があります。Oracle Application Serverには、Application Server Controlコンソールを使用せずに、Oracle Application Serverの組込みパフォーマンス・メトリックを直接表示するコマンドライン・ツールおよびサーブレットベースのツールも用意されています。
Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlは、Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.x)専用に設計されたWebベースの管理機能を提供します。
次の各項でその詳細を説明します。
Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.0.0)のApplication Server Controlによって、次の利点と強化機能が導入されました。これらの機能は、10gリリース3(10.1.3.1)および10gリリース3(10.1.3.2.0)のリリースにも含まれています。
10gリリース3(10.1.3.x)のApplication Server Controlは、作成するOC4Jコンテナごとに実行される、標準のJ2EEアプリケーション(ascontrol
)としてデプロイされます。小規模なデプロイ環境では、Application Server ControlをホストするOC4Jインスタンスを使用して、カスタマ・アプリケーションをデプロイすることもできます。
この新しいアーキテクチャの採用により、Oracle Application Serverの以前のリリースでApplication Server Controlに必要であった個別のOracle Management Agentは不要となりました。その結果、管理ソフトウェアに必要なディスク領域およびシステム・リソースも削減されています。したがって、アプリケーション・サーバー環境への影響を最小限に抑えながら、アプリケーションを管理および監視できます。
10gリリース3(10.1.3.x)では、Application Server ControlはJava Management Extension(JMX)テクノロジに基づいています。
具体的には、Application Server Controlは、次のJavaテクノロジ標準を実装しています。
Application Server Controlは、この仕様に基づいて開発および構成されたアプリケーションが指定するアプリケーション定義のMBeanに加えて、10gリリース3(10.1.3.x) OC4Jコンテナが指定するコンテナ定義のMBeanを利用します。これらのMBeanは、構成、監視、状態管理の各機能を提供します。
さらに、Application Server Controlは、JSR 77とアプリケーションで定義されたMBean関連の操作(MBean属性値と統計の表示、MBeanメソッドの呼出し、JMX通知のサブスクリプション、状態管理など)を完全にサポートする新しいMBeanブラウザを備えています。
Application Server Controlには、J2EEアプリケーションのデプロイおよび再デプロイを簡略化するJSR 88ベースのデプロイ用ウィザード、デプロイ時に共通のデプロイメント・ディスクリプタの割当てやマッピングを補助するタスク指向のデプロイ・プラン・エディタ、および高度な構成のすべてのデプロイメント・ディスクリプタにアクセスできる汎用デプロイ・プラン・エディタが用意されています。
Application Server Controlには、各アプリケーションのJNDIバインディングを階層的に表示する新しいJNDIブラウザが用意されています。
Application Server Controlでは、OC4JインスタンスにデプロイされたWebサービスに対して、監査、ロギング、セキュリティおよび信頼性に関するパラメータを構成できます。また、Oracle Web Services Managerを、排他的なWebサービス管理ソリューションとして使用したり、監査、ロギング、信頼性およびセキュリティの標準管理機能に連動させて使用したりできます。
Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.x)では、Oracle Process Manager and Notification Server(OPMN)を使用して複数のアプリケーション・サーバー・インスタンスを関連付け、1つのOracle Application Serverクラスタとして構成できます。このように環境を構成すると、Application Server Controlのシングル・インスタンスを使用して、クラスタ内のすべてのインスタンスをリモート管理できます。
一般的な本番環境のデータ・センターでは、管理操作(構成、アプリケーション開発、プロセスの制御と監視など)が、データ・センターの配置やセキュリティ・ポリシーに応じて、様々な管理者グループにより実行されています。
通常は、すべての権限を持つスーパー管理者が、特定の管理操作のみを実行できる、限られた権限を持つ他の管理者に管理操作を委任します。Application Server Controlでは、各ユーザーに、3つの標準管理ロールの1つを割り当てることができます。
10gリリース3(10.1.3.1)のApplication Server Controlには、次の新機能が導入されています。これらの機能は10gリリース3(10.1.3.2.0)でも使用できます。
詳細は、第2.3項「Application Server Controlコンソールの概要」を参照してください。
Application Server Controlコンソールは、Oracle Application Server環境の検出、監視および管理において、関連性のある各テクノロジに依存しています。Application Server Controlコンソールでオプションおよび機能を選択すると、これらのテクノロジによって、多くの管理タスクが自動的に実行されます。たとえば、各アプリケーション・サーバー・インスタンスのコンポーネントの検出、パフォーマンス・データの収集および処理、アプリケーションの構成情報へのアクセスの提供などが実現されます。
表2-1に、Application Server Controlコンソールに利用されている基礎となるテクノロジの要約を示します。
Application Server Controlコンソールの使用中であれば、いつでもページの一番上にある「ヘルプ」をクリックして、詳細を参照できます。ほとんどの場合、「ヘルプ」ウィンドウが表示され、現在のページに関するヘルプ・トピックが表示されます。「ヘルプ」ウィンドウの「目次」をクリックしてヘルプ・トピックのリストを参照したり、「検索」をクリックして特定の語や句を検索できます。
次の項では、Application Server Controlコンソールの使用を開始し、Application Server ControlコンソールのEnterprise Managerホーム・ページについて理解を深めます。
次の項では、Application Server Controlコンソールの表示方法について説明し、Application Server Controlコンソールを初めて表示したときに最初に表示されるホーム・ページを紹介します。
ポート番号を含むApplication Server ControlコンソールのURLは、Oracle Application Serverのインストール手順の最後に表示されるテキスト・ファイルに記載されています。このテキスト・ファイルは、アプリケーション・サーバーのインストール後に、次の場所に保存されます。
(UNIX) ORACLE_HOME/install/readme.txt (Windows) ORACLE_HOME¥install¥readme.txt
通常、Application Server ControlコンソールのURLは、ホスト・コンピュータの名前とインストール時にApplication Server Controlコンソールに割り当てられたポート番号で構成されます。たとえばUNIXでは、次のように指定します。
http://mgmthost1.acme.com:7777/em
Oracle Application Serverの「ようこそ」ページからApplication Server Controlコンソールを表示する手順は次のとおりです。
http://hostname.domain:port
次に例を示します。
http://sys42.acme.com:7777
Enterprise Managerに管理者ログイン・ダイアログ・ボックスが表示されます。
管理者ユーザーのデフォルトのユーザー名は、oc4jadmin
です。これは、Application Server Controlコンソールへの初回のログイン時に使用可能なアカウントです。oc4jadmin
パスワードは、Oracle Application Serverのインストール時に指定したものです。
デフォルトのoc4jadmin
アカウントを使用してApplication Server Controlコンソールにログインしたら、次の手順に従って、自分用の新しい管理ユーザー・アカウントと、チーム内の各システム管理者用の管理ユーザー・アカウントをそれぞれ作成します。
oc4jadmin
アカウントは、日常的な管理業務には使用しないことをお薦めします。oc4jadmin
アカウントは、クラスタ管理用の資格証明として予約し、排他的に使用してください。詳細は、第A.2.2項「oc4jadminアカウントについて」を参照してください。
ascontrol_admin
ロールを割り当てます。アカウント名には、名前のイニシャルと姓の組合せを使用することを検討してください(たとえば、bsmith
)。
すべての管理タスクを実行し、他の管理ユーザーを作成できるように、必ずascontrol_adminロールを割り当ててください。
前述の手順に従って、チームのメンバー用の追加ユーザー・アカウントを作成します。
各ユーザーに割当て可能な管理ロールの説明は、表2-2を参照してください。
Oracle Application Serverをインストールし、Application Server Controlコンソールにログインすると、最初に「クラスタ・トポロジ」ページが表示されます。次の項では、このページを使用したOracle Application Server環境の管理の概要について説明します。
関連項目
Oracle Application Serverをインストールし、Application Server Controlにログインすると、「クラスタ・トポロジ」ページ(図2-1)が最初に表示されます。このページは、Application Server Controlコンソールで「クラスタ・トポロジ」をクリックしても表示できます。
この「クラスタ・トポロジ」ページには、クラスタにデプロイされているアプリケーション・サーバー、OC4Jインスタンス、Webサービス、アプリケーションの詳細なビューが表示されます。
クラスタ内の各OC4Jインスタンスには、Application Server Controlを表すascontrol
アプリケーションが1つずつ自動的に含まれています。ただし、クラスタ内のすべてのOracle Application Serverインスタンスの管理に使用されるのは、1つのApplication Server Controlのみです。
クラスタの管理に使用されているアクティブなApplication Server Controlを識別するには、「すべてを開く」をクリックしてクラスタ内のすべてのコンポーネントを表示してから、アクティブなascontrol
アプリケーションを探します。これは、アクティブなApplication Server Controlアイコンによって見分けることができます。
アクティブなascontrol
アプリケーションのデプロイに使用されるOC4Jインスタンスは、管理OC4Jインスタンスと呼ばれます。管理OC4Jインスタンスは、Oracle Application Serverのインストール時に指定できます。
関連項目
クラスタ・トポロジでのアクティブなApplication Server Controlの識別方法および構成方法の詳細は、第A.6項「アクティブなApplication Server Controlの管理」を参照してください。 |
独自のアプリケーションをデプロイしたときは、それらも「クラスタ・トポロジ」ページに表示されます。クラスタ内のOC4Jインスタンスにデプロイされているすべてのアプリケーションを表示するには、このページの「メンバー」セクションの上にある「表示方法」から「アプリケーション」を選択します。Application Server Controlによって、リストが特定のカテゴリに整理されます。
Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.2.0)の用途では、グループとは、同じクラスタ・トポロジに属するOC4Jインスタンスのセットです。グループ内のすべてのOC4Jインスタンスには、特定の構成操作を同時に実行できます。
次の各項で詳細を説明します。
Oracle Application Serverの初回インストール時には、デフォルト・グループが自動的に作成されます。このdefault_group
には、インストール時に作成されたすべてのOC4Jインスタンスが含まれます。
インストール後は、クラスタ内の使用可能なグループが、「クラスタ・トポロジ」ページ(図2-1)の「グループ」セクションに表示されます。このページの「グループ」セクションから、グループを起動、停止、削除および作成できます。また、グループ名をクリックし、表示される「グループ」ページを使用することもできます。「グループ」ページでは、次の操作を実行できます。
すべてのOC4Jインスタンスがグループに所属する必要があります。結果として、新しいOC4Jインスタンスを作成するときは、そのインスタンスが所属するグループの指定が必要になります。
グループを使用すると、複数のOC4Jインスタンスに対して、いくつかの一般的な管理タスクを自動的に実行できます。
「グループ」ページから複数のOC4Jインスタンスに実行できるタスクには、次のものがあります。
「グループ」ページを表示するには、「クラスタ・トポロジ」ページの「グループ」セクションで、グループの名前をクリックします。
「クラスタ・トポロジ」ページにある「管理」セクションから、クラスタ全体に対する一連の管理タスクを実行できます。表2-3に、クラスタ・トポロジの管理タスクを要約します。
「クラスタ・トポロジ」ページに慣れたら、特定のアプリケーション・サーバー・インスタンスのホーム・ページにドリルダウンできます。
「クラスタ・トポロジ」にあるアプリケーション・サーバー・インスタンス名をクリックして、「アプリケーション・サーバー」ページを表示します。たとえば、図2-1では、「061112_basic.stacz52.ucle.com」をクリックします。
図2-2に示すような「アプリケーション・サーバー」ページが表示されます。このページには、このインスタンスに作成されたOC4JインスタンスやOracle HTTP Server(このOracle Application Serverインスタンスにインストールされている場合)などの、アプリケーション・サーバー・インスタンスのコンポーネントが一覧表示されます。
「アプリケーション・サーバー」ページに表示される実際のコンポーネントのリストは、選択したインストール・タイプに応じて異なります。
「OC4Jインスタンスの作成」ボタンをクリックして、このアプリケーション・サーバー・インスタンスに新しいOC4Jインスタンスを作成します。詳細は、第6.1項「OC4Jインスタンスの追加と削除」を参照してください。
「クラスタ・トポロジ」ページまたは「アプリケーション・サーバー」ページでOC4Jインスタンスの名前をクリックすると、OC4Jホーム・ページ(図2-3)が表示されます。
OC4Jホーム・ページは、OC4Jインスタンスの一般情報の取得、およびレスポンスと負荷に関するグラフの表示に使用します。一定期間のレスポンスと負荷のメトリックを監視するには、「データの表示」ドロップダウン・メニューからリフレッシュ間隔(たとえば、「30秒リフレッシュ」)を選択します。OC4Jインスタンスを起動、停止または再起動するには、「クラスタ・トポロジ」ページにナビゲートし、インスタンスを選択してから、「起動」、「停止」または「再起動」をクリックします。
OC4Jホーム・ページと、関連する「アプリケーション」、「Webサービス」、「パフォーマンス」および「管理」ページは、OC4JインスタンスとそのインスタンスにデプロイされているアプリケーションおよびWebサービスを、中央からWebベースで表示できるように設計されています。
OC4Jホーム・ページの使用中は、いつでも「ヘルプ」をクリックして詳細を参照できます。オンライン・ヘルプには、各ページのフィールドに関する参照情報のほか、初心者に役立つ関連タスクや関連ドキュメントへのリンクが掲載されています。
管理対象Bean(MBean)とは、分散環境内のJMXで管理されるリソースを表すJavaオブジェクトです。MBeanには、アプリケーション、サービス、コンポーネント、デバイスなどがあります。
MBeanは、J2EE環境のアプリケーションの管理に使用する標準インタフェースを作成するための一連の仕様、すなわちJava Management Extension(JMX)の一部である、J2EE管理仕様(JSR-77)で定義されています。
MBeanを作成してアプリケーションとともにOC4Jにデプロイすると、アプリケーションまたはアプリケーションのコンポーネントを、Application Server Controlコンソールを使用して管理および監視できるようになります。
Application Server Controlには、OC4Jインスタンス、クラスタ、または選択したアプリケーションのMBeanを参照できる、一連のMBeanブラウザが用意されています。MBeanブラウザでは、特定の監視タスクや構成タスクも実行できます。
次の各項で詳細を説明します。
選択したOC4Jインスタンス固有のMBeanを一覧するシステムMBeanブラウザを表示する手順は次のとおりです。
Enterprise ManagerにシステムMBeanブラウザが表示されます。システムMBeanブラウザの使用方法の詳細を確認するには、「ヘルプ」をクリックします。
オンライン・ヘルプには、MBeanブラウザの使用方法のオンライン・デモなど、MBeanブラウザを説明するツアーのトピックも用意されています。
特定のアプリケーションのMBeanを表示する手順は次のとおりです。
Enterprise Managerに、選択したMBeanブラウザのページが表示されます。
クラスタ・トポロジに関連付けられたMBeanを表示するには、「クラスタ・トポロジ」ページで、「クラスタMBeanブラウザ」をクリックします。
Enterprise ManagerにクラスタMBeanブラウザが表示されます。クラスタの管理に使用されているMBeanと、クラスタ内に定義されているグループはハイライト表示されます。
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