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Oracle BPEL Process Manager クイック・スタート・ガイド
10g(10.1.3.1.0)

B31876-01
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1 Oracle BPEL Process Managerの概要

この章では、Business Process Execution Language(BPEL)およびOracle BPEL Process Managerを使用して、同期および非同期サービスをエンドツーエンドBPELプロセス・フローに発展させることにより、サービス指向アーキテクチャ(SOA)ベースのアプリケーションを設計できるようにする方法の概要を説明します。また、Oracle BPEL Process Manager、Oracle BPEL Serverおよび他の主要なコンポーネントのインストールおよび起動方法についても説明します。

この章の内容は次のとおりです。

BPEL: SOAの基礎

多くの企業では、複合型アプリケーションの構築に伴う統合要件に対処する方法としてWebサービスとSOAに注目しています。SOAは10年以上前から存在していましたが、採用するインタフェースについては混乱がありました。BPEL標準とWebサービス標準は、オープンで移植性が高く標準的な方法で一般的なアプリケーション要件に対応することにより、このジレンマを解決します。SOAは、既存のリソースを活用しながら、新しいアプリケーションのデプロイ・コストを最小限に抑えることで、ビジネス・パフォーマンスを最適化します。これらの標準およびアーキテクチャの手法を採用している企業では、Java/Java 2 Platform, Enterprise Edition(J2EE)のWebアプリケーションの構築に使用したものと同じ標準ベースの手法を接続型アプリケーションの構築に使用することで、著しい投資収益率(ROI)を得ています。

Webサービスを機能させるには、次の2段階の処理が必要です。

  1. サービスの公開。

    サービスを公開するとは、既存のアプリケーションやシステムの機能を利用し、標準的な方法でサービスを使用可能にすることです。

  2. サービスからのビジネス・フローの組立て(オーケストレーション)。

    オーケストレーションとは、複数のサービスからエンドツーエンドのビジネス・プロセスを組み立てることです。

Web Services Description Language(WSDL)、eXtensible Markup Language(XML)、Simple Object Access Protocol(SOAP)などのWebサービス標準が、サービスを公開するための効率的で相互運用性の高いプラットフォームとして出現しています。さらに、パフォーマンスの高いバインディング・フレームワークにより、SOAPインタフェースでラップすることなくレガシー・システムやネイティブのJavaコードにアクセスできます。

BPELの概要

BPELは、複数の同期および非同期サービスから相互に連携したトランザクション形式のプロセス・フローを構成するための明確な標準として現れました。BPELには、前身となる言語であるXLANGおよびWSFLを改良する、15年にもわたる研究が活かされています。BPELには次の機能があります。

BPELの仕様は、2003年3月にOrganization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)に提出されて以来、ほとんどすべての業界主要ベンダーから支持を得ています。この仕様により、企業には、従来では考えられないほどベンダー固有のルールから解放され、標準的で移植性の高い方法でビジネス・プロセスを実装できるといった大きな利点がもたらされます。

Oracle BPEL Process Manager

この項の内容は次のとおりです。

Oracle BPEL Process Managerの概要

Oracle BPEL Process Managerは、BPELビジネス・プロセスを設計、デプロイおよび管理するための、ユーザー・フレンドリで信頼性の高いソリューションを提供します。図1-1に、Oracle BPEL Process Managerを構成する主要なコンポーネントを示します。

図 1-1    Oracle BPEL Process Manager


画像の説明

Oracle BPEL Process Managerは、Oracle JDeveloperにロードされます。 これによってOracle JDeveloperの機能が拡張され、BPELを使用するビジネス・プロセスのモデル化、編集および設計が可能になります。Oracle JDeveloperでは、グラフィカルかつユーザー・フレンドリな方法でBPELプロセスを作成できます。Oracle JDeveloperの特徴は、BPELをネイティブ・フォーマットとして使用することです。 つまり、Oracle JDeveloperで作成されたプロセスは100%移植可能です。また、BPELソースの表示や変更を行う際にもOracle JDeveloperはツールとしての便利さを損なうことなく使用できます。 コアBPELエンジンは、完成度、スケーラビリティおよび堅牢性の点で、現在入手可能な最も優れたBPELサーバーの実装です。Oracle BPEL Process Managerは、標準のBPELプロセスを実行します。また、Oracle BPEL Process Managerでは長期間にわたるフローの状態をデータベース内に自動的に保存するデハイドレーション機能が提供されるため、フェイルオーバーとスケーラビリティの両方を目的としたクラスタ化が可能になります。Oracle BPEL Serverは基礎となるJ2EEアプリケーション・サーバーを使用し、ほとんどの主要なアプリケーション・サーバーの入手可能なバージョンをサポートします。

組込み統合サービスを使用すると、接続や変換などの高度な機能を標準BPELプロセスで使用できます。使用可能な機能には、XSLTおよびXQueryトランスフォーメーションや、Javaコネクタ・アーキテクチャ(JCA)アダプタとネイティブ・プロトコルによる何百ものレガシー・システムへのバインディングのサポートが含まれます。 ヒューマン・タスク・サービスが組込みBPELサービスとして提供されており、人と手動タスクをBPELフローに統合することができます。

拡張可能なWSDLバインディング・フレームワークにより、SOAP以外のプロトコルやメッセージ形式への接続が可能になります。 バインディングは、JMS、電子メール、JCA、HTTP GET、HTTP POSTおよびその他多数のプロトコルに対して利用できるため、何百ものバックエンド・システムに簡単に接続できます。

Oracle Enterprise Manager 10g BPEL Controlでは、成熟したWebベースのインタフェースで、Oracle BPEL Serverにデプロイされたプロセスの管理、処理、デバッグが実行できます。監査証跡とプロセスの履歴/レポート情報は自動的に保持され、Oracle Enterprise Manager 10g BPEL ControlとJava APIの両方を使用して参照できます。

Oracle BPEL Process Managerの特長

Oracle BPEL Process Managerには、次の主要な特長があります。

Oracle BPEL Process Managerの機能の概要

Oracle BPEL Process Managerには、次の機能があります。

Oracle Application Server SOA SuiteおよびOracle JDeveloperのインストール

この項では、Oracle Application Server SOA SuiteおよびOracle JDeveloperをインストールして、Oracle BPEL Process ManagerをOracle JDeveloperで使用できるように構成する方法について説明します。

この項の内容は次のとおりです。

Oracle Application Server SOA Suiteのインストール

  1. Oracle Application Server SOA Suiteのインストール手順の詳細は、使用しているオペレーティング・システム用の『Oracle Application Serverインストレーション・ガイド10g リリース3(10.1.3.1)』を参照してください。

  2. 「Oracle Application Server SOA Suite 10.1.3.1.0インストール」ウィンドウの「基本インストール」を選択します。


    注意:

    Oracle BPEL Process Managerのサンプルを使用する場合、oc4jadminユーザーに対して「Oracle Application Server SOA Suite 10.1.3.1.0インストール」ウィンドウの「AS管理者のパスワード」フィールドに、「welcome1」と入力してください。 異なるパスワードを入力すると、サンプルによっては正常に動作させるために変更が必要になる場合があります。 


  3. 「インストール」をクリックします。

  4. インストールが完了したら「終了」をクリックします。

ポートの識別

インストール時に自動構成されたいくつかのポート番号を識別します。 これらのポート番号は、アプリケーション・サーバーおよびOracle BPEL Serverへの統合サーバー接続を作成するときに使用します。

  1. テキスト・エディタを使用してSOA_Oracle_Home¥bpel¥utilities¥ant-orabpel.propertiesファイルを開きます。

  2. 次のプロパティで使用されているポート番号をメモします。

    • http.port

    • opmn.requestport

    これらのポート値は、後で「Oracle Application Serverおよび統合サーバー接続のインストール」で接続を作成するときに必要です。

Oracle JDeveloperのインストール

Oracle JDeveloper 10.1.3.1 Studioを個別にインストールする必要があります。

  1. Oracle JDeveloperを、ホスト上に解凍します。

  2. JDev_Oracle_Home¥JDev¥bin¥jdev.exeをクリックするか、ショートカットを作成してOracle JDeveloperを起動します。


    注意:

    Oracle JDeveloperは、空白を含むディレクトリ・パス(たとえばC:¥Program Files¥JDev)にインストールしないでください。 インストールすると、BPELプロセスのコンパイル時にエラーになります。 


Oracle Application Serverおよび統合サーバー接続のインストール

  1. Oracle JDeveloperで、「表示」メイン・メニューから「接続ナビゲータ」を選択します。

  2. 「アプリケーション・サーバー」を右クリックします。

  3. 「アプリケーション・サーバー接続の作成」を選択します。

  4. 「ようこそ」ページで「次へ」をクリックします。

  5. アプリケーション・サーバーへ接続するための、わかりやすい名前を指定します。 この名前は、手順19で統合サーバー接続を作成するときに選択するので、覚えておきます。

  6. 「接続タイプ」リストから、「Oracle Application Server 10g 10.1.3」を選択します。

  7. 「次へ」をクリックします。

  8. 次の情報を入力します。

    フィールド   

    ユーザー名 

    oc4jadmin 

    パスワード 

    「Oracle Application Server SOA Suiteのインストール」で入力したものと同じ管理者パスワードを入力します。 

    パスワードを配布 

    このチェック・ボックスを選択します。選択しないと、プロセスをデプロイするたびに認証が必要となります。 

     

  9. 「次へ」をクリックします。

  10. 次の情報を入力します。

    フィールド   

    ホスト名 

    localhost 

    OPMNポート 

    「ポートの識別」の手順2で識別したopmn.requestportプロパティで使用されているものと同じポート値を入力します。 これには、ポート番号6003がよく使用されます。 

    グループ/OC4Jインスタンス名 

    home 

    シングル・インスタンス 

    このラジオ・ボタンを選択します。 

    グループ 

    このラジオ・ボタンは選択しないままにします。 

     

  11. 「次へ」をクリックします。

  12. 「接続のテスト」をクリックして接続をテストします。接続に成功した場合は、次のメッセージが表示されます。

    成功
    
  13. 「終了」をクリックします。

  14. 「接続ナビゲータ」「統合サーバー」を右クリックします。

  15. 「新規統合サーバー接続」を選択します。

    BPELプロセスをすべてデプロイする場合に、この統合サーバー接続を使用します。

  16. 「ようこそ」ページで「次へ」をクリックします。

  17. サーバーへ接続するための、わかりやすい名前を指定します。

  18. 「次へ」をクリックします。

  19. 手順5で指定したアプリケーション・サーバー接続名を、「アプリケーション・サーバー」リストから選択します。

  20. 次の情報を入力します。

    フィールド   

    ホスト名 

    localhost 

    ポート 

    「ポートの識別」の手順2で識別したhttp.portプロパティで使用されるものと同じポート値を入力します。 これには、ポート番号8888がよく使用されます。 

    プロキシ例外リストにホスト名を追加 

    このチェック・ボックスを選択して、このホストが「ツール」「設定」「Webブラウザとプロキシ」の下の「例外」フィールドに示されたプロキシ例外のリストに自動的に追加されるようにします。 Oracle JDeveloperの最初の起動時に、使用ブラウザに対して設定されたこれらのプロキシ例外がデフォルトで使用されます。

     

  21. 「次へ」をクリックします。

  22. 「接続のテスト」をクリックして接続をテストします。接続に成功した場合は、次のメッセージが表示されます。

    アプリケーション・サーバー: OK
    BPEL Process Managerサーバー: OK
    ESBサーバー: OK
    
  23. 「終了」をクリックします。

Oracle BPEL Process Managerコンポーネントの起動および停止

表1-1の手順に従って、Oracle BPEL Process Managerコンポーネントを起動および停止します。

表 1-1    Oracle BPEL Process Managerコンポーネントの起動および停止 
アクセス対象  Windowsの場合  UNIXの場合 

Oracle BPEL Server 

「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - Oracle_Home」「Start SOA suite」を選択します。 

Oracle BPEL Serverを起動するには、次のようにします。

$ORACLE_HOME/bpel/binから、次のスクリプトを実行します。

startorabpel.sh

Oracle BPEL Serverを停止するには、次のようにします。

$ORACLE_HOME/bpel/binから、次のスクリプトを実行します。

shutdownorabpel.sh 

Oracle JDeveloper 

「Oracle JDeveloperのインストール」の手順2を参照してください。 

$ORACLE_HOME/jdev/bin/jdev 

Oracle Enterprise Manager 10g BPEL Control 

最初にOracle BPEL Serverを起動する必要があります。

Oracle Enterprise Manager 10g BPEL Controlを起動するには、次のようにします。

  1. 「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - Oracle_Home」「Oracle BPEL Process Manager」「BPEL Control」を選択します。

または、使用しているインストールのURLでOracle Enterprise Manager 10g BPEL Controlを起動することもできます。このURLは、SOA_Oracle_Home¥install¥bpelsetupinfo.txtにあります。 

最初にOracle BPEL Serverを起動します。

Oracle Enterprise Manager 10g BPEL Controlを起動するには、次のようにします。

  • bpelsetupinfo.txtに記載されているインストール用のURLにログオンします。

 

Developer Prompt 

「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - Oracle_Home」「Oracle BPEL Process Manager」「Developer Prompt」を選択して、コマンド・プロンプトをSOA_Oracle_Home¥bpel¥samplesディレクトリで開きます。このプロンプトを使用すると、デモンストレーションへのアクセスや、必要なWebサービスの起動が簡単にできます。 

次のようにして、BourneシェルでDeveloper Promptを設定します。

$ ORACLE_HOME=/home/oracle/installs/midtier

$ export ORACLE_HOME

$ PATH=$ORACLE_HOME/bpel/bin:$PATH

$ export PATH 

Oracle BPEL Process Managerのサンプルおよびチュートリアル 

BPELのサンプルおよび追加チュートリアルの詳細を使用するには、次のようにします。

「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - Oracle_Home」「Oracle BPEL Process Manager」「Getting Started with Samples」を選択します。 

次のURLにログインします。

$ORACLE_HOME/bpel/samples/sampleshome.html 

Worklist Applicationのサンプル 

Oracle BPEL Worklist Applicationのログイン・ウィンドウにアクセスするには、次のようにします。

「スタート」「すべてのプログラム」「Oracle - Oracle_Home」「Oracle BPEL Process Manager」「Sample Worklist Application」を選択します。

または、使用しているインストールのURLでOracle BPEL Worklist Applicationを起動することもできます。このURLは、SOA_Oracle_Home¥install¥bpelsetupinfo.txtにあります。 

最初にOracle BPEL Serverを起動します。

Oracle BPEL Worklist Applicationを起動するには、次のようにします。

  • bpelsetupinfo.txtに記載されているインストール用のURLにログオンします。

 


注意:

このマニュアルでオペレーティング・システムのコマンド・プロンプトを開くには、常に「Developer Prompt」を使用してください。 これで、必要なパスがすべて設定されます。 これ以外の方法でオペレーティング・システムのコマンド・プロンプトを開くことはサポートされていません。 


Webブラウザ設定でのホスト名の確認

使用しているコンピュータのホスト名は、インストール時に自動的にOracle JDeveloperのプリファレンス設定に追加されます。 ホスト名がプリファレンス設定に表示されない場合、パートナ・リンクの作成時に「サービス・エクスプローラ」ウィンドウでWSDLファイルを選択すると、解析エラーが表示されることがあります。

  1. 「ツール」メイン・メニューから「設定」を選択します。

  2. 「Webブラウザとプロキシ」をクリックします。

  3. 「例外」フィールドにホスト名が表示されていることを確認します。たとえば、ホスト名がmyhost-pcの場合、次のように入力します。

    us.acme.com|*.us.acme.com|127.0.0.1|myhost-pc|localhost
    
  4. 「例外」フィールドにlocalhostが表示されていることも確認します。

  5. 「OK」をクリックします。

    これで、BPELプロセスを設計する準備ができました。

ネームスペースとネームスペースURIについて

Oracle JDeveloperを使用すると、ns1:ns2:client:などのネームスペース値を、Assignアクティビティでコピー操作を作成するときの「式」フィールドや「変数」ナビゲーション・ツリー、あるいはその他のアクティビティのフィールドに表示できます。

Oracle BPEL Process Managerでは、ネームスペースとの相互作用の削減を試行します。ネームスペースが「式」フィールドや「変数」ナビゲーション・ツリーに表示される場合は、問合せや式の一部を入力する際に表示されるネームスペース接頭辞を使用します。

XMLネームスペースは、重複する要素タイプおよび属性名を区別する方法です。このような重複は、たとえば、2つの異なるDTDの要素タイプおよび属性が含まれるXSLTスタイル・シートやドキュメントでなどで発生します。 <refuse>要素が、融資業者用の<refuse>とはまったく異なる清掃業者用のものを指す場合があります。 そのため、これらの要素は、ns1:ns2:またはclient:などの異なるネームスペース接頭辞で区別されます。

URIは、一意の識別子を作成する方式です。


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