以下の手順を実行して、カスタム JumpStart によるインストール方法で、Solaris オペレーティング環境と Sun Cluster ソフトウェアをすべてのクラスタノードに一度の操作でインストールします。
Solaris ソフトウェアをインストールする前に、ハードウェアの設定が完了していることと接続が正しいことを確認します。
ハードウェアの設定の詳細については、『Sun Cluster 3.0 Hardware Guide』およびサーバーと記憶装置のマニュアルを参照してください。
クラスタの各ノードで、local-mac-address 変数が false に正しく設定されていることを確認します。
# /usr/sbin/eeprom local-mac-address? |
コマンドを実行して local-mac-address=false と表示された場合、変数は正しく設定されています。手順 3 に進んでください。
コマンドを実行して local-mac-address=true と表示された場合は、設定を false に変更します。
# /usr/sbin/eeprom local-mac-address?=false |
新しい設定は、次回システムを再起動したときに有効になります。
以下の情報を用意します。
各クラスタノードの Ethernet アドレス
『Sun Cluster 3.0 ご使用にあたって』のワークシートに必要事項を記入したもの
「ローカルファイルシステム配置のワークシート」
「クラスタとノード名のワークシート」
「クラスタインターコネクトのワークシート」
計画のガイドラインについては、第 1 章「Sun Cluster 構成の計画」を参照してください。
ネームサービスを更新します。
すべてのパブリックホスト名と論理アドレスのアドレスと名前のマッピングのほかに、JumpStart サーバーの IP アドレスとホスト名も、クライアントがクラスタサービスへのアクセスに使用するネームサービス (NIS、NIS+、DNS など) に追加します。計画のガイドラインについては、「IP アドレス」を参照してください。「ネームサービススイッチを構成する」の手順で各ノードのローカルの /etc/inet/hosts ファイルにもこれらのアドレスを追加します。
ネームサービスを使用しない場合は、JumpStart インストールサーバー上で、クラスタの各ノードに 1 つずつ jumpstart-dir/autoscinstall.d/nodes/nodename/archive/etc/inet/hosts ファイルを作成します。nodename にはクラスタのノードの名前を指定します。これらのファイルにアドレスと名前のマッピングを追加します。
スーパーユーザーで、Solaris オペレーティング環境のインストール用に JumpStart インストールサーバーを設定します。
JumpStart インストールサーバーの設定方法については、setup_install_server(1M) と add_install_client(1M) のマニュアルページ、および『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。
インストールサーバーを設定するときは、以下の要件が満たされていることを確認します。
インストールサーバーはクラスタノードと同じサブネット上にあるが、それ自体はクラスタノードではない。
インストールサーバーによって、Sun Cluster ソフトウェアに必要な Solaris オペレーティング環境のリリースがインストールされる。
Sun Cluster の JumpStart インストール用にカスタム JumpStart ディレクトリが存在する (この jumpstart-dir ディレクトリには、check(1M) ユーティリティーのコピーが含まれており、JumpStart インストールサーバーで読み取れるように NFS によってエクスポートされている必要があります)。
各新規クラスタノードが、Sun Cluster のインストール用のカスタム JumpStart ディレクトリ設定を使用する、カスタム JumpStart インストールクライアントとして構成されている。
(省略可能) JumpStart インストールサーバーに、Sun Cluster および Sun Cluster データサービス CD-ROM のコピーを格納する ディレクトリを作成します。
次の例では、このために /export/suncluster ディレクトリを作成します。
# mkdir -m 755 /export/suncluster |
Sun Cluster CD-ROM を JumpStart インストールサーバーにコピーします。
JumpStart インストールサーバーの CD-ROM ドライブに Sun Cluster 3.0 CD-ROM を挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、CD-ROM は自動的に /cdrom/suncluster_3_0 ディレクトリにマウントされます。
/cdrom/suncluster_3_0/SunCluster_3.0/Tools ディレクトリに移動します。
# cd /cdrom/suncluster_3_0/SunCluster_3.0/Tools |
CD-ROM を JumpStart インストールサーバー上の新しいディレクトリにコピーします。
scinstall コマンドで、CD-ROM のファイルをコピーする新しいインストールディレクトリを作成します。ここでは、インストールディレクトリ名 /export/suncluster/sc30 を例として使用します。
# ./scinstall -a /export/suncluster/sc30 |
CD-ROM を取り出します。
# cd / # eject cdrom |
JumpStart インストールサーバー上の Sun Cluster 3.0 CD-ROM イメージが、JumpStart インストールサーバーで読み取れるように NFS によってエクスポートされていることを確認します。
自動ファイル共有の詳細については、『NFS の管理』、および share(1M) と dfstab(4) のマニュアルページを参照してください。
JumpStart インストールサーバーから scinstall(1M) ユーティリティーを起動します。
ここでは、作成したインストールディレクトリの例として、パス /export/suncluster/sc30 を使用します。
# cd /export/suncluster/sc30/SunCluster_3.0/Tools # ./scinstall |
対話形式の scinstall ユーティリティーを使用するときは、以下のガイドラインに従ってください。
対話形式の scinstall では先打ち入力が可能です。したがって、次のメニュー画面がすぐに表示されなくても、何度も Return キーを押さないでください。
特に指定がない場合は、Control-D キーを押すと、関連のある一連の質問の最初か、またはメインメニューに戻ります。
セッションでの入力内容は、そのメニューオプションを次回実行したときのデフォルトとして格納されます。
JumpStart インストールを選択するには、3 (Configure a cluster to be JumpStarted from this install server) を入力します。
オプション 3 の前にアスタリスクが表示されていない場合は、JumpStart 設定が完了しなかったか、エラーがあるためにこのオプションが無効になっていることを示します。scinstall ユーティリティーを終了して JumpStart 設定を修正してから、scinstall ユーティリティを再起動してください。
プロンプトに従って、Sun Cluster の構成情報を指定します。
JumpStart ディレクトリ名
クラスタ名
クラスタノード名
ノードの認証
プライベートネットワークアドレスとネットマスク - クラスタが正しく構成された後では、プライベートネットワークアドレスは変更できません。
クラスタインターコネクト (トランスポートアダプタとトランスポート中継点) - scinstall コマンドで複数のアダプタは構成できませんが、後で scsetup ユーティリティーを使用して複数のアダプタを構成できます。
広域デバイスのファイルシステム名
自動再起動 - Sun Cluster ソフトウェアパッチをインストールする場合は、自動再起動を選択しないでください。
これらの情報を入力し終えると、scinstall コマンドにより確認が求められます。このコマンドを受け入れないように選択した場合は、scinstall ユーティリティーはメインメニューに戻ります。メニュー 3 を再度実行して、異なる情報を指定できます。前に入力したエントリがデフォルトの値として表示されます。
必要に応じて、scinstall によって作成されたデフォルトの class ファイルまたはプロファイルを調整します。
scinstall コマンドによって、デフォルトの class ファイルである autoscinstall.class が、jumpstart-dir/autoscinstall.d/3.0 ディレクトリに作成されます。
install_type initial_install system_type standalone partitioning explicit filesys rootdisk.s0 free / filesys rootdisk.s1 750 swap filesys rootdisk.s3 100 /globaldevices filesys rootdisk.s7 10 cluster SUNWCuser add package SUNWman add |
デフォルトの class ファイルによって、Solaris ソフトウェアの「エンドユーザーシステムサポート」ソフトウェアグループ (SUNWCuser) がインストールされます。Sun Enterprise E10000 サーバーの場合は、必ず、「全体ディストリビューションプラス OEM」ソフトウェアグループをインストールしてください。また、Oracle などの Sun 以外のソフトウェアでは、追加の Solaris パッケージが必要になる場合があります。Solaris ソフトウェアの必要条件については、各製品のマニュアルを参照してください。
プロファイルは、以下のいずれかの方法で変更できます。
autoscinstall.class ファイルを直接編集します。変更内容は、このカスタム JumpStart ディレクトリを使用するすべてのクラスタのすべてのノードに適用されます。
ほかのファイルを示すように rules ファイルを更新してから、check ユーティリティーを実行して rules ファイルを検証します。
ファイルシステムの最小割り当て必要条件を満たしている限り、Solaris オペレーティング環境インストールプロファイルの変更内容に制限はありません。Sun Cluster 3.0 ソフトウェアをサポートするには、「システムディスクパーティション」のパーティション分割のガイドラインを参照してください。
既存のクラスタに新しいノードをインストールするかどうかを決定します。
インストールしない場合は、手順 12 に進んでください。
インストールする場合は、次の手順に従ってクラスタ内の各クラスタファイルシステムにマウントポイントを作成します。
Solaris 用のパッチディレクトリを設定します。
ネームサービスを使用しない場合は、必要なホスト名情報を含むようにファイルを設定します。
JumpStart インストールサーバーに、jumpstart-dir/autoscinstall.d/nodes/nodename/archive/etc/inet/hosts という名前のファイルを作成します。
各ノードに 1 つずつファイルを作成します。nodename には、クラスタノードの名前を指定します。
各ファイルに以下のエントリを追加します。
Sun Cluster CD-ROM のイメージがコピーされている NFS サーバーの IP アドレスとホスト名。これは、JumpStart インストールサーバーまたは別のマシンの可能性があります。
クラスタ内の各ノードの IP アドレスとホスト名。
(省略可能) インストール後に実行する独自の完了スクリプトを追加します。
独自の完了スクリプトを追加できます。このスクリプトは、scinstall コマンドによってインストールされる標準の完了スクリプトに続いて実行されます。
管理コンソールを使用している場合は、クラスタ内の各ノードにコンソール画面を表示します。
管理コンソールで cconsole(1M) がインストールおよび構成されている場合は、これを使用して個々のコンソール画面を表示できます。それ以外の場合は、コンソールを各ノードに個別にインストールする必要があります。
各ノードのコンソールの「ok」PROM プロンプトから、boot net - install コマンドを入力して、各ノードのネットワーク JumpStart インストールを開始します。
コマンドに含まれるダッシュ (-) の両側には、空白文字を入力します。
ok boot net - install |
独自の ntp.conf ファイルを /etc/inet ディレクトリにインストールしていない場合は、scinstall コマンドによって、デフォルトの ntp.conf ファイルが自動的にインストールされます。このデフォルトファイルは出荷時には 8 個のノードを参照する状態になっているため、起動時に xntpd(1M) で一部の参照に関してエラーメッセージが表示される場合があります。これらのメッセージは無視しても問題ありません。通常のクラスタ条件下でこれらのメッセージを表示しないようにする方法については、「Network Time Protocol (NTP) を更新する」を参照してください。
インストールが正常に完了すると、各ノードは、新しいクラスタノードとして完全にインストールされた状態になります。
Solaris のインタフェースグループ機能は、Solaris ソフトウェアのインストール中にデフォルトで無効に設定されます。インタフェースグループは Sun Cluster 構成ではサポートされていないため、有効にしないでください。Solaris インタフェースグループの詳細については、ifconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。
Sun Cluster 用のソフトウェアパッチをインストールします。
パッチの入手方法とインストール方法については、『Sun Cluster 3.0 ご使用にあたって』を参照してください。
Sun Cluster ソフトウェアパッチをインストールしたら、そのクラスタを停止し、クラスタの各ノードを再起動します。
クラスタの最初のノードを再起動する前に、scshutdown コマンドを使用してそのクラスタを停止します。クラスタノードをインストールモードから削除するまでは、定足数 (quorum) の確立に使用される票 (quorum vote) は、クラスタを形成する最初のノード (スポンサーノード) にしかありません。形成されたクラスタがまだインストールモードにあり、最初のノードが再起動される前にクラスタが停止していない場合、残りのクラスタは定足数を得られず、クラスタ全体が停止します。
クラスタノードは、「インストール後設定を行う」 の手順で scsetup(1M) コマンドを最初に実行するまでは、インストールモードのままです。
「ネームサービススイッチを構成する」に進み、ネームサービスの参照順序を設定します。