svc_start が正常終了したときでも、使用するアプリケーションが起動に失敗した可能性があります。そのため、svc_start はアプリケーションを検証して、アプリケーションが動作していることを確認してから、正常終了のメッセージを戻す必要があります。このとき、アプリケーションがただちに利用できない理由として、アプリケーションの起動にはある程度時間がかかるということを考慮しておく必要があります。次に示すように、svc_start メソッドは xfnts.c で定義されている svc_wait を呼び出して、アプリケーションが動作していることを確認します。
/* サービスが完全に起動するまで待つ。*/ scds_syslog_debug(DBG_LEVEL_HIGH, "Calling svc_wait to verify that service has started."); rc = svc_wait(scds_handle); scds_syslog_debug(DBG_LEVEL_HIGH, "Returned from svc_wait"); if (rc == 0) { scds_syslog(LOG_INFO, "Successfully started the service."); } else { scds_syslog(LOG_ERR, "Failed to start the service."); }
次に示すように、svc_wait メソッドは scds_get_netaddr_list(3HA) を呼び出して、アプリケーションを検証するのに必要なネットワークアドレスリソースを取得します。
/* 検証に使用するネットワークリソースを取得する。 */ if (scds_get_netaddr_list(scds_handle, &netaddr)) { scds_syslog(LOG_ERR, "No network address resources found in resource group."); return (1); } /* ネットワークリソースが存在しない場合は、エラーを戻す。*/ if (netaddr == NULL || netaddr->num_netaddrs == 0) { scds_syslog(LOG_ERR, "No network address resource in resource group."); return (1); }
次に示すように、svc_wait は start_timeout と stop_timeout 値を取得します。
svc_start_timeout = scds_get_rs_start_timeout(scds_handle) probe_timeout = scds_get_ext_probe_timeout(scds_handle)
サーバーの起動に時間がかかることを考慮して、svc_wait は scds_svc_wait を呼び出して、start_timeout 値の 3 % であるタイムアウト値を渡します。次に、svc_wait は svc_probe を呼び出して、アプリケーションが起動していることを確認します。svc_probe メソッドは指定されたポート上でサーバーとの単純ソケット接続を確立します。ポートへの接続が失敗した場合、svc_probe は値 100 を戻して、致命的な障害であることを示します。ポートとの接続は確立したが、切断に失敗した場合、svc_probe は値 50 を戻します。
svc_probe が完全にまたは部分的に失敗した場合、svc_wait は scds_svc_wait をタイムアウト値 5 で呼び出します。scds_svc_wait メソッドは、検証の周期を 5 秒ごとに制限します。また、このメソッドはサービスを起動しようとした回数も数えます。この回数がリソースの Retry_interval プロパティで指定された期限内にリソースの Retry_count プロパティの値を超えた場合、scds_svc_wait メソッドは失敗します。この場合、svc_start メソッドも失敗します。
#define SVC_CONNECT_TIMEOUT_PCT 95 #define SVC_WAIT_PCT 3 if (scds_svc_wait(scds_handle, (svc_start_timeout * SVC_WAIT_PCT)/100) != SCHA_ERR_NOERR) { scds_syslog(LOG_ERR, "Service failed to start."); return (1); } do { /* * ネットワークリソースの IP アドレスと portname 上で * データサービスを検証する。 */ rc = svc_probe(scds_handle, netaddr->netaddrs[0].hostname, netaddr->netaddrs[0].port_proto.port, probe_timeout); if (rc == SCHA_ERR_NOERR) { /* 成功。リソースを解放して戻る。*/ scds_free_netaddr_list(netaddr); return (0); } /* サービスがなん度も失敗する場合は、 iscds_svc_wait()を呼び出す。 != SCHA_ERR_NOERR) { scds_syslog(LOG_ERR, "Service failed to start."); return (1); } /* RGM がタイムアウトするのを待って、プログラムを終了する。 */ } while (1);
xfnts_start メソッドは終了する前に scds_close を呼び出して、scds_initialize が割り当てたリソースを再利用します。詳細については、「scds_initialize の呼び出し」と scds_close(3HA) のマニュアルページを参照してください。