この節では、クラスタ環境への Solaris ソフトウェアのインストールを計画するうえでのガイドラインを説明します。Solaris ソフトウェアの詳細については、Solaris のインストールマニュアルを参照してください。
Solaris ソフトウェアは、ローカルの CD-ROM から、あるいは JumpStartTM によるインストール方法でネットワークインストールサーバーからインストールできます。また Sun Cluster では、JumpStart を使用して、Solaris オペレーティング環境と Sun Cluster ソフトウェアを同時にインストールするカスタマイズ方法もあります。複数のクラスタノードをインストールする場合は、ネットワークインストールを検討してください。
scintall JumpStart によるインストール方法の詳細については、「Solaris と Sun Cluster ソフトウェアをインストールする (JumpStart)」を参照してください。Solaris の標準的なインストール方法の詳細については、Solaris のインストールマニュアルを参照してください。
Sun Cluster 3.0 ソフトウェアには少なくとも Solaris の「エンドユーザーシステムサポート (End User System Support)」ソフトウェアグループが必要です。 ただし、クラスタ構成の他のコンポーネントによっては、独自の Solaris ソフトウェアが必要となる場合があります。どの Solaris ソフトウェアグループをインストールするかを決定する際には、次のことを考慮してください。
使用するサーバーのマニュアルを参照し、 Solaris ソフトウェアの必要条件を確認してください。 たとえば、Sun EnterpriseTM E10000 サーバーには、「全体ディストリビューションと OEM サポート (Entire Distribution + OEM)」ソフトウェアグループが必要です。
Solaris 8 Update 6 オペレーティング環境をインストールして、SCI-PCI アダプタまたは Remote Shared Memory Application Programming Interface (RSMAPI) を使用する予定である場合は、必ず、RSMAPI ソフトウェアパッケージ (SUNWrsm、SUNWrsmx、SUNWrsmo、SUNWrsmox) をインストールしてください。Solaris の「開発者システムサポート (Developer System Support)」以上のソフトウェアグループ には、これらの RSMAPI パッケージが含まれています。「エンドユーザーシステムサポート」ソフトウェアグループをインストールする場合は、Sun Cluster ソフトウェアをインストールする前に、pkgadd(1M) コマンドを使用し、これらの RSMAPI パッケージをインストールします。RSMAPI の使用方法については、Solaris 8 Update 6 (3RSM) のマニュアルページを参照してください。
「エンドユーザーシステムサポート」ソフトウェアグループに含まれない他の Solaris ソフトウェアパッケージ (Apache HTTP サーバーパッケージなど) をインストールする必要がある場合があります。ORACLE® などの Sun 以外のソフトウェアの場合も、追加の Solaris パッケージが必要になる場合があります。Solaris ソフトウェアの必要条件については、各製品のマニュアルを参照してください。
『Sun Cluster 3.0 12/01 ご使用にあたって』の「ローカルファイルシステム配置のワークシート」に次の情報を追加してください。
Solaris オペレーティング環境をインストールするときは、必要な Sun Cluster パーティションを作成し、すべてのパーティションが各領域の最小必要条件を満たすようにします。
スワップ - 少なくとも 750M バイト、または物理メモリーの 2 倍のどちらか大きい方を割り当てます。
/globaldevices - scinstall(1M) ユーティリティーが広域デバイスのために使用する 100M バイトのファイルシステムを作成します。
ボリューム管理ソフトウェア - ボリューム管理ソフトウェアが使用できるように、ディスク終端のスライス (スライス 7) に 10M バイトのパーティションを作成します。クラスタで VERITAS Volume Manager (VxVM) を使用しており、ルートディスクをカプセル化する予定の場合は、VxVM で使用できるように、2 つの未使用スライスを用意します。
Solaris オペレーティング環境を対話的にインストールする場合は、上記の必要条件を満たすためにパーティションをカスタマイズする必要があります。
追加のパーティションを計画する際の情報については、次のガイドラインを参照してください。
Solaris オペレーティング環境を実行する他のシステムと同様に、ルート (/)、/var、/usr、/opt の各ディレクトリを別個のファイルシステムとして構成したり、ルート (/) ファイルシステムのすべてのディレクトリを含めることができます。次に、Sun Cluster 構成でのルート (/), /var, /usr、/opt の各ディレクトリのソフトウェアの内容を示します。スキーマのパーティション分割を計画するときは、次の情報を検討してください。
ルート (/) - Sun Cluster ソフトウェア自体は、ルート (/) ファイルシステムの 40M バイト未満の領域しか占有しません。また、Solstice DiskSuiteTM ソフトウェアには 5M バイト未満、VxVM ソフトウェアには 15M バイト未満の領域しか必要ありません。特にクラスタ内に多数の共有ディスクがある場合は、最適な結果が得られるよう、ブロック型特殊デバイスと、Solstice DiskSuite または VxVM ソフトウェアで使用される文字型特殊デバイスの両方を作成するための、十分な領域と i ノード容量を構成しておく必要があります。したがって、一般的にルート (/) ファイルシステムに割り当てる容量に、最低でも 100M バイトを追加します。
/var - Sun Cluster ソフトウェアは、インストール時には /var ファイルシステムのわずかな領域しか占有しません。ただし、ログファイル用に十分な領域を別途用意しておく必要があります。また、クラスタ化されたノードでは、標準的なスタンドアロンサーバーよりも、ログに記録されるメッセージが増えることがあります。したがって、/var ファイルシステムには最低でも 100M バイトの余裕を設けてください。
/usr - Sun Cluster ソフトウェアは、/usr ファイルシステムの 25M バイト未満の領域を占有します。Solstice DiskSuite および VxVM ソフトウェアは、それぞれ 15M バイト未満が必要です。
/opt - Sun Cluster フレームワークソフトウェアは、/opt ファイルシステムの 2M バイト未満を使用します。ただし、各 Sun Cluster データサービスで 1M 〜 5M バイトが使用されることがあります。Solstice DiskSuite ソフトウェアは /opt ファイルシステムの領域をまったく使用しません。VxVM ソフトウェアは、そのパッケージとツールをすべてインストールした場合、40M バイト以上を使用することがあります。また、ほとんどのデータベースおよびアプリケーションソフトウェアは、/opt ファイルシステムにインストールされます。Sun Management Center ソフトウェアを使用してクラスタを監視する場合、Sun Management Center エージェントと Sun Cluster モジュールパッケージをサポートするために、ノードごとに 25M バイトの追加の空間が必要です。
スワップパーティションの最小サイズは、750M バイトまたはマシンの物理メモリーの 2 倍の、どちらか大きい方にします。インストールする Sun 以外のアプリケーションでも、スワップが必要な場合があります。スワップの要件については、各アプリケーションのマニュアルを参照してください。
Sun Cluster ソフトウェアでは、広域デバイスの管理に使用するローカルディスクのいずれかに、特殊なファイルシステムを別途用意しておく必要があります。このファイルシステムは、後にクラスタファイルシステムとしてマウントされるため、独立したものにしてください。このファイルシステムには、scinstall(1M) コマンドで認識されるデフォルトの名前 /globaldevices を付けます。ファイルシステムの名前は、scinstall(1M) コマンドによって後で /global/.devices/node@nodeid (nodeid は、クラスタメンバーになったときにノードに割り当てられる数) に変更され、元の /globaldevice マウントポイントは削除されます。特にクラスタ内に多数のディスクがある場合は、/globaldevices ファイルシステムに、ブロック型の特殊デバイスと文字型の特殊デバイスの両方を作成するための十分な領域と i ノードの容量が必要です。ほとんどのクラスタ構成には、100M バイトのファイルシステムサイズで十分です。
Solstice DiskSuite ソフトウェアを使用する場合、複製データベースの作成に使用できるように、ルートディスク上にスライスを別途用意しておく必要があります。つまり、各ローカルディスク上に、このためのスライスを別に用意します。ただし 1 つのノードにローカルディスクが 1 つしかない場合は、Solstice DiskSuite ソフトウェアが正しく動作するように、同じスライス内に 3 つの複製データベースを作成する必要が生じることがあります。詳細については、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。
VxVM を使用しており、ルートディスクをカプセル化する予定の場合は、VxVM が使用する 2 つの未使用スライスのほかに、ディスクの始点または終点に若干の未割り当て空き領域も必要になります。ルートディスクのカプセル化については、VxVM のマニュアルを参照してください。
表 1-2 に、750M バイト未満の物理メモリーを持つクラスタノードのパーティション分割スキーマを示します。このスキーマは、Solaris オペレーティング環境の「エンドユーザーシステムサポート」ソフトウェアグループ、Sun Cluster ソフトウェア、および Sun Cluster HA for NFS データサービスと共にインストールされます。ディスク上の最後のスライスであるスライス 7 には、ボリューム管理ソフトウェア用に小容量が割り当てられます。
このような配置は、Solstice DiskSuite ソフトウェアまたは VxVM の使用を意図したものです。Solstice DiskSuite ソフトウェアを使用する場合は、複製データベース用にスライス 7 を使用します。VxVM を使用する場合は、後でゼロの長さを割り当てることにより、スライス 7 を開放できます。この配置によって 必要な 2 つのスライス 4 と 7 が確保され、ディスクの終端に未使用領域が確保されます。
表 1-2 ファイルシステム割り当て例
スライス |
内容 |
割り当て (M バイト) |
説明 |
---|---|---|---|
0 |
/ |
1168 |
441 M バイト - Solaris オペレーティング環境ソフトウェア用 100 M バイト - ルート (/) 用の追加分 100 M バイト - /var 用の追加分 25 M バイト - Sun Cluster ソフトウェア用 55 M バイト - ボリューム管理ソフトウェア用 1 M バイト - Sun Cluster HA for NFS ソフトウェア用 25 M バイト - Sun Management Center エージェントおよび Sun Cluster モジュールエージェントパッケージ用 421 M バイト (ディスクの残りの空き容量) - データベースやアプリケーションソフトウェアで将来的に使用 |
1 |
スワップ |
750 |
物理メモリーが 750 M バイト未満の場合の最小サイズ |
2 |
オーバーラップ |
2028 |
ディスク全体 |
3 |
/globaldevices |
100 |
このスライスは、Sun Cluster ソフトウェアによって後で別のマウントポイントに割り当てられ、クラスタファイルシステムとしてマウントされます。 |
4 |
未使用 |
- |
VxVM でルートディスクをカプセル化するための空きスライスとして確保されます。 |
5 |
未使用 |
- |
|
6 |
未使用 |
- |
|
7 |
ボリューム管理ソフトウェア |
10 |
Solstice DiskSuite ソフトウェアにより複製データベース用に使用されるか、VxVM によりスライス開放後のインストールに使用されます。 |