Sun Cluster HA for SAP 構成の設計にあたっては次の点に注意してください。
Sun Cluster 3.0 に対応する SAP ソフトウェアバージョンを使用する - Solaris 8 オペレーティング環境では、この Sun Cluster ソフトウェアがサポートされています。
自動的な待ち行列化、再接続機構を備えた SAP ソフトウェアバージョンを使用する - Sun Cluster HA for SAP では、この機能が必要です。SAP 4.0 ソフトウェア (パッチが必要) およびそれ以降のリリースでは、この機能がサポートされています。
Solaris プラットフォームにインストールする SAP ソフトウェアリリースとデータベースに関するすべての注意を SAP オンラインサービスシステムで読む - インストールに関する既知の問題や修正がないか調べます。
メモリーとスワップの要件について SAP ソフトウェアのマニュアルを調べる - SAP ソフトウェアでは、大量のメモリーとスワップ空間が必要です。
コアインスタンス、データベースインスタンス、アプリケーションサーバー (アプリケーションサーバーを内部に持つ場合) が動作する全ノードの合計負荷を余裕をもって見積もる - フェイルオーバーが起こったときに、コアインスタンス、データベースインスタンス、アプリケーションサーバーがすべて同じノードにあるようなクラスタを構成する場合には、この指針は特に重要です。
アプリケーションサーバーをコアインスタンスが動作するクラスタにインストールする、または別のクラスタにインストールする - Sun Cluster HA for SAP では、クラスタ環境の外にインストールおよび構成されたアプリケーションサーバーの障害は監視されません。したがって、アプリケーションサーバーの再起動やフェイルオーバーは、自動的には行われません。このようなアプリケーションサーバーの起動およびシャットダウンは手動で行なう必要があります。
ノード名やネットワークリソース名を 8 文字以内にする - これは SAP ソフトウェアの制限です。
サポートされる SAP バージョンの最新情報については、Enterprise Services の担当者にお問い合わせください。次に、Sun Cluster HA for SAP の構成例を示します。
図 9-2 は、以前の Sun Cluster リリースのもとでよく使用されていた構成です。Sun Cluster 3.0 ソフトウェアの機能を最大限に使用するには、図 9-1 または図 9-3 の構成に従ってください。
SAP ソフトウェアをインストールする前に、「SAP およびデータベースのインストールと構成」を読み、クラスタに関連する次の点を検討してください。
SAP バイナリと SAP ユーザーのホームディレクトリをインストールする - SAP バイナリと SAP ユーザーのホームディレクトリをクラスタファイルシステムにインストールします。ただし、クラスタファイルシステムにインストールすると、SAP ソフトウェアのリリースアップグレードに関して不都合な点がいくつかあります。これらの点については、「アプリケーションバイナリの格納先の決定」を参照してください。
データベース用のファイルシステムと SAP 用のファイルシステムをすべて作成したら、マウントポイントを作成し、これをすべてのクラスタノードの /etc/vfstab ファイルに指定する - データベースおよび SAP ファイルシステムの設定手順については、SAP のインストールマニュアル『Installation of the SAP R/3 on UNIX』と『R/3 Installation on UNIX-OS Dependencies』を参照してください。
必要なグループとユーザーをすべてのクラスタノードに作成する - 『Installation of the SAP R/3 on UNIX』と『R/3 Installation on UNIX-OS Dependencies』に従って、SAP ソフトウェアに必要なグループとユーザーをすべてのクラスタノードに作成します。
外部 SAP アプリケーションサーバーをインストールする予定がある場合は、コアインスタンスが動作するクラスタ上で Sun Cluster HA for NFS を構成する - Sun Cluster HA for NFS の構成方法については、「Sun Cluster HA for NFS のインストールと構成」を参照してください。
スイッチオーバーやフェイルオーバーでデータサービスが正しく起動、停止するように /etc/nsswitch.conf ファイルを設定する - Sun Cluster HA for SAP データサービスが動作する論理ホストをマスターできる各ノードの /etc/nsswitch.conf ファイルには、次の group エントリのどれかが必要です。
group: group: files group: files [NOTFOUND=return] nis group: files [NOTFOUND=return] nisplus |
Sun Cluster HA for SAP は、su user コマンドを使ってデータベースノードの開始や停止を行います。一方、クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネーミングサービスが使用不能になることがあります。上の group エントリを追加しておくと、このような状況になったときに su(1M) コマンドが NIS/NIS+ ネームサービスを参照することはありません。