Sun Cluster 3.0 12/01 のシステム管理

パブリックネットワークの管理

パブリックネットワークを変更する必要がある場合、この節を説明する手順を使用してください。

パブリックネットワークアダプタを管理する場合は、以下の点に注意してください。

クラスタソフトウェアのインストール手順については、『Sun Cluster 3.0 12/01 ソフトウェアのインストール』を参照してください。パブリックネットワークのハードウェアコンポーネントの保守については、『Sun Cluster 3.0 12/01 Hardware Guide.』を参照してください。

表 5-3 作業リスト : パブリックネットワークの管理

作業 

参照箇所 

ノードで NAFO グループを作成する。 

「NAFO グループを作成する」

パブリックネットワークアダプタをノードに追加する。 

「アダプタを NAFO グループに追加する」

NAFO グループを削除する。 

「NAFO グループを削除する」

既存の NAFO グループからバックアップアダプタを削除する。 

「NAFO グループからのアダプタの削除」

アクティブアダプタをバックアップアダプタに切り替える。 

「NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」

NAFO グループの状態を確認する。 

「NAFO グループの状態を確認する」

パラメータを変更して、PNM 障害検出およびフェイルオーバープロセスを調整する。 

「パブリックネットワーク管理調整可能パラメータを変更する」

パブリックネットワークインタフェースでの動的再構成

クラスタ内のパブリックネットワークインタフェース上で動的再構成 (DR) を実行するときには、いくつかの問題を考える必要があります。


注意 - 注意 -

無効にしたネットワークアダプタ上で DR 削除操作を実行している間にアクティブなネットワークアダプタに障害が発生した場合、可用性に影響があります。DR 操作中、アクティブなアダプタにはフェイルオーバーする場所がありません。


パブリックネットワークインタフェース上で DR 操作を実行するときは、次の手順をその順番どおりに行います。

表 5-4 作業マップ: パブリックネットワークインタフェースへの動的再構成

作業 

参照箇所 

1. アクティブなアダプタをバックアップアダプタに切り替えて、NAFO グループから削除できるようにします。 

126 ページの「 NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」 

2. アダプタを NAFO グループから削除します。 

「NAFO グループからのアダプタの削除」

3. パブリックネットワークインタフェース上で DR 操作を実行します。 

Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーガイド』と『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration リファレンスマニュアル』 (http://docs.sun.com)

NAFO グループを作成する

この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。

  1. NFAO グループを作成するときには、以下の必要条件に注意してください。

    • すべてのパブリックネットワークアダプタは、NAFO グループに属するように構成する必要があります。

    • 任意のノードについて、特定のサブネットに少なくとも 1 つの NAFO グループがあります。

    • NAFO グループのすべてのアダプタは、同じサブネットに接続する必要があります。

    • ホスト名を関連付けることができる、つまり /etc/hostname.adapter ファイルを持つアダプタは、NAFO グループで 1 つだけです。

    • パブリックネットワークアダプタは、1 つの NAFO グループにだけ属することができます。

  2. NAFO グループに構成するノード上でスーパーユーザーになります。

  3. このノードについて、同じサブネットに物理的に接続されているパブリックネットワークアダプタを検出します。

    これらのアダプタは、NAFO グループのバックアップアダプタになります。

  4. パブリックネットワークアダプタ用の /etc/hostname.adapter ファイルがない場合は、このファイルを作成します。

    このファイルに指定されたアダプタが、NAFO グループにおけるデフォルトのアクティブアダプタになります。


    # vi /etc/hostname.<adapter>
    phys-schost-1

  5. /etc/inet/hosts ファイルを編集して、パブリックネットワークアダプタに割り当てられている IP アドレスおよび対応するホスト名を追加します。

    /etc/inet/hosts ファイルに追加された IP アドレス 192.29.75.101 およびホスト名 phys-schost-1 の例を以下に示します。


    # vi /etc/inet/hosts
    192.29.75.101   phys-schost-1


    注 -

    ネーミングサービスが使用されている場合、この情報はネーミングサービスデータベースにも存在します。


  6. NAFO グループを作成します。


    # pnmset -c nafo-group -o create adapter [adapter ...]

    -c nafo-group

    指定した NAFO グループの構成サブコマンドを実行します。NAFO グループの名前は、nafoN でなければなりません。N は、グループの負ではない整数識別子です。グループ名は各ノードにローカルとなります。そのため、同じ NAFO グループ名は、複数のノードで使用できます。

    -o create

    新しい NAFO グループを作成します。

    adapter [ adapter ... ]

    バックアップアダプタとして機能するパブリックネットワークアダプタを指定します。 121 ページの手順 3 を参照してください。


    注 -

    アダプタがすでに構成されている場合は、アクティブアダプタとして選択され、pnmset コマンドはその状態を変更しません。ただし、バックアップアダプタの 1 つが構成され、/etc/hostname にある IP アドレスが割り当てられます。adapter ファイルで検出される IP アドレスが割り当てられます。


  7. NAFO グループの状態を確認します。


    # pnmstat -l
    

例 - NAFO グループの作成

次に、2 つのネットワークアダプタ (qfe0 および qfe1) で構成される NAFO グループ (nafo0) を作成する例を示します。


# pnmstat -l
# vi /etc/hostname.qfe0
phys-schost-1
# vi /etc/inet/hosts
192.168.0.0   phys-schost-1
# pnmset -c nafo0 -o create qfe0 qfe1
# pnmstat -l
group   adapters       status   fo_time   act_adp
nafo0   qfe0:qfe1       OK      NEVER     qfe0

アダプタを NAFO グループに追加する

アダプタを既存の NAFO グループに追加して、NAFO グループの別のバックアップアダプタを提供すると、クラスタノードのパブリックネットワーク接続の可用性が向上します。

この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。

  1. 新しいパブリックネットワークアダプタカードをノードに取りつける必要があるかどうかを判断します。

    • 取り付ける必要がある場合は、『Sun Cluster 3.0 12/01 Hardware Guide』を参照してください。

    • 取り付ける必要がない場合は、手順 2 に進んでください。

  2. NAFO グループに追加されているアダプタが、NAFO グループのアクティブアダプタとして同じサブネットに接続されているかどうかを確認します。

  3. アダプタが取り外されていないかどうか、また、アダプタに関連する /etc/hostname.adapter ファイルを持つアダプタは、NAFO グループで 1 つだけです。

  4. 新しいアダプタを追加する NAFO グループを含むノード上でスーパーユーザーになります。

  5. アダプタを NAFO グループに追加します。


    # pnmset -c nafo-group -o add adapter
    

    -c nafo-group

    新しいアダプタの追加先の NAFO グループを指定します。

    -o add adapter

    指定した NAFO グループに追加するパブリックネットワークアダプタを指定します。

  6. NAFO グループの状態を確認します。


    # pnmstat -l
    

例 - NAFO グループに別のパブリックネットワークアダプタを追加する

次に、2 つのアダプタ (qfe0 および qfe1) で構成されている NAFO グループ (nafo0) にアダプタ qfe2 を追加する例を示します。


# pnmstat -l
group   adapters        status   fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1        OK      NEVER    qfe0
# pnmset -c nafo0 -o add qfe2
# pnmstat -l
group   adapters        status   fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1:qfe2   OK      NEVER    qfe0

NAFO グループを削除する

グループ内の任意のアダプタの監視やフェイルオーバーを解除するときに、NAFO グループを削除します。NAFO グループが、論理ホストリソースグループまたは共有アドレスリソースグループにより使用されている場合は、削除はできません。

この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。

  1. 削除する NAFO グループを含むノード上でスーパーユーザーになります。

  2. 任意の論理ホストまたは共有アドレスリソースにより、NAFO グループが使用されているかどうかを確認します。


    # scrgadm -pv
    

    また、scrgadm -pvv (v フラグを 2 つ) を使用して、削除する NAFO グループを使用しているリソースを検出することもできます。

  3. この NAFO グループを使用する論理ホストリソースグループおよび共有アドレスリソースグループを切り替えます。


    # scswitch -z -g resource-group -h nodelist
    

    -z -g resource-group

    指定したリソースグループを切り替えます。

    -h nodelist

    リソースグループの切り替え後のノード名を指定します。

  4. NAFO グループを削除します。


    # pnmset -c nafo-group -o delete 
    

    -c nafo-group

    削除する NAFO グループを指定します。

    -o delete

    NAFO グループを削除します。

  5. NAFO グループの状態を確認します。

    削除した NAFO グループは、一覧に表示されません。


    # pnmstat -l
    

例 - NAFO グループの削除

次に、nafo1 という NAFO グループをシステムから削除する例を示します。最初に、この NAFO グループを使用する論理ホストリソースグループ lh-rg-1 が、別のノードに切り替えられます。


# scswitch -z -g lh-rg-1 -h phys-schost-2
# pnmstat -l
group   adapters       status   fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1       OK      NEVER    qfe0
nafo1   qfe2            OK      NEVER    qfe2
# pnmset -c nafo1 -o delete
# pnmstat -l
group   adapters        status  fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1        OK     NEVER    qfe0

NAFO グループからのアダプタの削除

既存の NAFO グループからバックアップアダプタを削除すると、アダプタをシステムから削除したり、交換したり、異なるサブネットに接続し直したり、また、別の NAFO グループのバックアップとして使用したりできます。

この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。


注意 - 注意 -

NAFO グループから最後のバックアップアダプタを削除すると、アクティブアダプタで検出される障害の保護が解除され、クラスタノードのパブリックネットワークの可用性が低下します。


  1. アクティブアダプタを削除する場合は、最初に、グループの別のアダプタに切り替える必要があります。

    「NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」を参照してください。

  2. スーパーユーザーとして NAFO グループからアダプタを削除します。


     # pnmset -c nafo-group -o remove adapter
    

    -c nafo-group

    アダプタを削除する NAFO グループを指定します。

    -o remove adapter

    アダプタを NAFO グループから削除します。

  3. NAFO グループの状態を確認します。

    削除したアダプタは、NAFO グループの一覧に表示されません。


    # pnmstat -l
    

例 - NAFO グループからのアダプタの削除

次に、NAFO グループ nafo0 からアダプタ qfe2 を削除する例を示します。


# pnmstat -l
group   adapters       status   fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1:qfe2  OK      NEVER    qfe0
# pnmset -c nafo0 -o remove qfe2
# pnmstat -l
group   adapters       status   fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1       OK      NEVER    qfe0

NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える

アクティブアダプタをバックアップアダプタに切り替え、現在のアクティブアダプタを NAFO グループから削除できるようにします。pnmd(1M) デーモンは、現在のアクティブアダプタにより提供されるすべての IP アドレスを、障害トリガーアダプタフェイルオーバーとして新しいアクティブアダプタに同じように移動します。

この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。


注 -

接続により、切り替え時に遅延することがあります。この遅延は数分続く場合もあります。ただし、この操作は、高レベルアプリケーションには透過的に行われます。


  1. 新しいアクティブデバイスの物理接続が、現在のアクティブアダプタのものと同じかどうかを確認します。

    新しいアクティブアダプタが、現在のアクティブアダプタとして IP アドレスを提供できないと、これらの IP アドレスに依存するネットワークおよびデータサービスが、物理接続が修復されるかその後のフェイルオーバーが成功するまで、中断されます。

  2. アクティブアダプタを切り替える NAFO グループを含むノード上でスーパーユーザーになります。

  3. アクティブアダプタを切り替えます。


     # pnmset -c nafo-group -o switch adapter
    

    -c nafo-group

    切り替えるアダプタを含む NAFO グループを指定します。

    -o switch adapter

    指定したアダプタを、NAFO グループのアクティブアダプタにします。

    • この変更が一時的であり、ノードの再起動後は不要な場合は、手順 5 に進みます。

    • この変更が恒久的であり、ノードの再起動後にも必要な場合は、手順 4 に進みます。

  4. 古いアクティブアダプタ用の /etc/hostname.adapter ファイルの名前を、新しいアクティブアダプタ用に変換します。


    # mv /etc/hostname.<old_adapter> /etc/hostname.<new_adapter>

  5. NAFO グループの状態を確認します。

    切り替えたアダプタが、アクティブアダプタとして表示されます。


    # pnmstat -l
    

例 - NAFO グループのアクティブアダプタの切り替え

次に、アクティブアダプタを qfe1 から qfe0 に切り替える例を示します。


# pnmstat -l
group   adapters       status   fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1       OK      NEVER    qfe0
# pnmset -c nafo0 -o switch qfe1
# mv /etc/hostname.qfe0 /etc/hostname.qfe1
# pnmstat -l
group   adapters       status   fo_time  act_adp
nafo0   qfe0:qfe1       OK      11       qfe1

NAFO グループの状態を確認する

この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。

    pnmstat(1M) コマンドを実行して、ノード上にあるすべての NAFO グループの現在の設定および状態についての情報を一覧表示します。


    # pnmstat -l
    

また、pnmptor(1M) および pnmrtop(1M) コマンドを使用して、アダプタの情報を取得することもできます。

例 - NAFO グループの状態の確認

次に、ノードの 3 つの NAFO グループの状態の例を示します。


# pnmstat -l
Group   adapters        status  fo_time act_adp 
nafo0   qfe5            OK      NEVER   qfe5 
nafo1   qfe6            OK      NEVER   qfe6 
nafo2   qfe7            OK      NEVER   qfe7 

例 - NAFO グループのアクティブアダプタの検出

次の例では、NAFO グループ nafo0 のアクティブアダプタが、アダプタ qfe5であることを示しています。


# pnmptor nafo0
qfe5

例 - アダプタの NAFO グループの検出

次の例では、アダプタ qfe5 が、NAFO グループ nafo0 に属することを示しています。


# pnmrtop qfe5
nafo0

パブリックネットワーク管理調整可能パラメータを変更する

このアルゴリズムには、次の 4 つの調整可能パラメータがあります。

これらのパラメータによって、フォルト検出の速度と正確さを調整できます。詳細については、表 5-5 を参照してください。

この手順を使用して、pnmd(1M) デーモンのデフォルトのパブリックネットワーク管理 (PNM) の値を変更します。

  1. クラスタ内の任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. pnmparams ファイルを作成します (存在しない場合)。


    # vi /etc/cluster/pnmparams
    

  3. 次の表を使用して PNM パラメータを設定します。


    注 -

    /etc/cluster/pnmparams ファイルの設定は、ノードのすべての NAFO グループに適用されます。ハッシュ記号 (#) で始まる行は無視されます。ファイルのその他の行の形式は、variable=value でなければなりません。


    表 5-5 パブリックネットワーク管理の調整可能パラメータ

    パラメータ 

    説明 

    inactive_time

    現在のアクティブアダプタのパケットカウンタを連続して検証するときの秒数。デフォルトは 5 です。 

    ping_timeout

    ALL_HOST_MULTICAST およびサブネットブロードキャスト ping のタイムアウト値 (秒単位)。デフォルトは 4 です。

    repeat_test

    デバイスアダプタに障害が発生して、フェイルオーバーを起動すると宣言するまでに ping シーケンスを行う回数。デフォルトは 3 です。 

    slow_network

    各 ping シーケンスが行われてから、パケットカウンタの変更を確認するまでの待機時間 (秒単位)。デフォルトは 2 です。 

    warmup_time

    バックアップアダプタへのフェイルオーバーを行ってから、障害監視を再開するまでの待機時間 (秒単位)。これにより、遅いドライバやポート初期化のための余分時間が許可されます。デフォルトは 0 です。 


    注 -

    変更は、pnmd デーモンが次に起動するまで有効になりません。


例 - パブリックネットワーク管理調整可能パラメータの変更

次に、デフォルト値からパラメータが 2 つ変更された /etc/cluster/pnmparams ファイルの例を示します。


inactive_time=3
repeat_test=5