パブリックネットワークを変更する必要がある場合、この節を説明する手順を使用してください。
パブリックネットワークアダプタを管理する場合は、以下の点に注意してください。
アクティブなアダプタをグループ内のバックアップアダプタに切り替える前に、ネットワークアダプタフェイルオーバー (NAFO) グループのアクティブなアダプタを構成解除 (アンプラム) しないようにする。「NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」を参照してください。
個々の NAFO グループから削除する前に、バックアップアダプタを別のサブネットに配線しないようにする。
論理アダプタ操作は、グループで監視中の場合でもアクティブアダプタで行うことができる。
クラスタ内の各ノードについて、最低 1 つのパブリックネットワーク接続を維持しなければなりません。クラスタは、パブリックネットワーク接続がないとアクセスできません。
クラスタソフトウェアのインストール手順については、『Sun Cluster 3.0 12/01 ソフトウェアのインストール』を参照してください。パブリックネットワークのハードウェアコンポーネントの保守については、『Sun Cluster 3.0 12/01 Hardware Guide.』を参照してください。
表 5-3 作業リスト : パブリックネットワークの管理
作業 |
参照箇所 |
---|---|
ノードで NAFO グループを作成する。 | |
パブリックネットワークアダプタをノードに追加する。 | |
NAFO グループを削除する。 | |
既存の NAFO グループからバックアップアダプタを削除する。 | |
アクティブアダプタをバックアップアダプタに切り替える。 | |
NAFO グループの状態を確認する。 | |
パラメータを変更して、PNM 障害検出およびフェイルオーバープロセスを調整する。 |
クラスタ内のパブリックネットワークインタフェース上で動的再構成 (DR) を実行するときには、いくつかの問題を考える必要があります。
Solaris 8 の DR 機能の説明で述べられているすべての必要条件、手順、制限は Sun Cluster の DR サポートにも適用されます (オペレーティング環境での休止操作を除く)。したがって、Sun Cluster ソフトウェアで DR 機能を使用する前には、必ず、Solaris 8 の DR 機能についての説明を読んでください。特に、DR 切断操作中に非ネットワーク入出力デバイスに影響する問題についてはよく読んでおいてください。
アクティブなパブリックネットワークインタフェース上では、DR Remove 操作は実行できません。まず、NAFO グループのアクティブなパブリックネットワークインタフェースをすべて、アクティブな状態から削除する必要があります。
プライベートインターコネクト上でインタフェースを交換するとき、その状態は保持されるので、Sun Cluster を再構成する必要はありません。
アクティブなネットワークアダプタを適切に無効にせずにパブリックネットワークインタフェースカードを取り外そうとした場合、システムはその操作を拒否して、その操作から影響を受けるインタフェースを識別します。
無効にしたネットワークアダプタ上で DR 削除操作を実行している間にアクティブなネットワークアダプタに障害が発生した場合、可用性に影響があります。DR 操作中、アクティブなアダプタにはフェイルオーバーする場所がありません。
パブリックネットワークインタフェース上で DR 操作を実行するときは、次の手順をその順番どおりに行います。
表 5-4 作業マップ: パブリックネットワークインタフェースへの動的再構成
作業 |
参照箇所 |
---|---|
1. アクティブなアダプタをバックアップアダプタに切り替えて、NAFO グループから削除できるようにします。 |
126 ページの「 NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」 |
2. アダプタを NAFO グループから削除します。 | |
3. パブリックネットワークインタフェース上で DR 操作を実行します。 |
『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーガイド』と『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration リファレンスマニュアル』 (http://docs.sun.com) |
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
NFAO グループを作成するときには、以下の必要条件に注意してください。
すべてのパブリックネットワークアダプタは、NAFO グループに属するように構成する必要があります。
任意のノードについて、特定のサブネットに少なくとも 1 つの NAFO グループがあります。
NAFO グループのすべてのアダプタは、同じサブネットに接続する必要があります。
ホスト名を関連付けることができる、つまり /etc/hostname.adapter ファイルを持つアダプタは、NAFO グループで 1 つだけです。
パブリックネットワークアダプタは、1 つの NAFO グループにだけ属することができます。
NAFO グループに構成するノード上でスーパーユーザーになります。
このノードについて、同じサブネットに物理的に接続されているパブリックネットワークアダプタを検出します。
これらのアダプタは、NAFO グループのバックアップアダプタになります。
パブリックネットワークアダプタ用の /etc/hostname.adapter ファイルがない場合は、このファイルを作成します。
このファイルに指定されたアダプタが、NAFO グループにおけるデフォルトのアクティブアダプタになります。
# vi /etc/hostname.<adapter> phys-schost-1 |
/etc/inet/hosts ファイルを編集して、パブリックネットワークアダプタに割り当てられている IP アドレスおよび対応するホスト名を追加します。
/etc/inet/hosts ファイルに追加された IP アドレス 192.29.75.101 およびホスト名 phys-schost-1 の例を以下に示します。
# vi /etc/inet/hosts 192.29.75.101 phys-schost-1 |
ネーミングサービスが使用されている場合、この情報はネーミングサービスデータベースにも存在します。
NAFO グループを作成します。
# pnmset -c nafo-group -o create adapter [adapter ...] |
指定した NAFO グループの構成サブコマンドを実行します。NAFO グループの名前は、nafoN でなければなりません。N は、グループの負ではない整数識別子です。グループ名は各ノードにローカルとなります。そのため、同じ NAFO グループ名は、複数のノードで使用できます。
新しい NAFO グループを作成します。
バックアップアダプタとして機能するパブリックネットワークアダプタを指定します。 121 ページの手順 3 を参照してください。
アダプタがすでに構成されている場合は、アクティブアダプタとして選択され、pnmset コマンドはその状態を変更しません。ただし、バックアップアダプタの 1 つが構成され、/etc/hostname にある IP アドレスが割り当てられます。adapter ファイルで検出される IP アドレスが割り当てられます。
NAFO グループの状態を確認します。
# pnmstat -l |
次に、2 つのネットワークアダプタ (qfe0 および qfe1) で構成される NAFO グループ (nafo0) を作成する例を示します。
# pnmstat -l # vi /etc/hostname.qfe0 phys-schost-1 # vi /etc/inet/hosts 192.168.0.0 phys-schost-1 # pnmset -c nafo0 -o create qfe0 qfe1 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 |
アダプタを既存の NAFO グループに追加して、NAFO グループの別のバックアップアダプタを提供すると、クラスタノードのパブリックネットワーク接続の可用性が向上します。
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
新しいパブリックネットワークアダプタカードをノードに取りつける必要があるかどうかを判断します。
取り付ける必要がある場合は、『Sun Cluster 3.0 12/01 Hardware Guide』を参照してください。
取り付ける必要がない場合は、手順 2 に進んでください。
NAFO グループに追加されているアダプタが、NAFO グループのアクティブアダプタとして同じサブネットに接続されているかどうかを確認します。
アダプタが取り外されていないかどうか、また、アダプタに関連する /etc/hostname.adapter ファイルを持つアダプタは、NAFO グループで 1 つだけです。
新しいアダプタを追加する NAFO グループを含むノード上でスーパーユーザーになります。
アダプタを NAFO グループに追加します。
# pnmset -c nafo-group -o add adapter |
新しいアダプタの追加先の NAFO グループを指定します。
指定した NAFO グループに追加するパブリックネットワークアダプタを指定します。
NAFO グループの状態を確認します。
# pnmstat -l |
次に、2 つのアダプタ (qfe0 および qfe1) で構成されている NAFO グループ (nafo0) にアダプタ qfe2 を追加する例を示します。
# pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 # pnmset -c nafo0 -o add qfe2 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1:qfe2 OK NEVER qfe0 |
グループ内の任意のアダプタの監視やフェイルオーバーを解除するときに、NAFO グループを削除します。NAFO グループが、論理ホストリソースグループまたは共有アドレスリソースグループにより使用されている場合は、削除はできません。
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
削除する NAFO グループを含むノード上でスーパーユーザーになります。
任意の論理ホストまたは共有アドレスリソースにより、NAFO グループが使用されているかどうかを確認します。
# scrgadm -pv |
また、scrgadm -pvv (v フラグを 2 つ) を使用して、削除する NAFO グループを使用しているリソースを検出することもできます。
この NAFO グループを使用する論理ホストリソースグループおよび共有アドレスリソースグループを切り替えます。
# scswitch -z -g resource-group -h nodelist |
指定したリソースグループを切り替えます。
リソースグループの切り替え後のノード名を指定します。
NAFO グループを削除します。
# pnmset -c nafo-group -o delete |
削除する NAFO グループを指定します。
NAFO グループを削除します。
NAFO グループの状態を確認します。
削除した NAFO グループは、一覧に表示されません。
# pnmstat -l |
次に、nafo1 という NAFO グループをシステムから削除する例を示します。最初に、この NAFO グループを使用する論理ホストリソースグループ lh-rg-1 が、別のノードに切り替えられます。
# scswitch -z -g lh-rg-1 -h phys-schost-2 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 nafo1 qfe2 OK NEVER qfe2 # pnmset -c nafo1 -o delete # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 |
既存の NAFO グループからバックアップアダプタを削除すると、アダプタをシステムから削除したり、交換したり、異なるサブネットに接続し直したり、また、別の NAFO グループのバックアップとして使用したりできます。
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
NAFO グループから最後のバックアップアダプタを削除すると、アクティブアダプタで検出される障害の保護が解除され、クラスタノードのパブリックネットワークの可用性が低下します。
アクティブアダプタを削除する場合は、最初に、グループの別のアダプタに切り替える必要があります。
「NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」を参照してください。
スーパーユーザーとして NAFO グループからアダプタを削除します。
# pnmset -c nafo-group -o remove adapter |
アダプタを削除する NAFO グループを指定します。
アダプタを NAFO グループから削除します。
NAFO グループの状態を確認します。
削除したアダプタは、NAFO グループの一覧に表示されません。
# pnmstat -l |
次に、NAFO グループ nafo0 からアダプタ qfe2 を削除する例を示します。
# pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1:qfe2 OK NEVER qfe0 # pnmset -c nafo0 -o remove qfe2 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 |
アクティブアダプタをバックアップアダプタに切り替え、現在のアクティブアダプタを NAFO グループから削除できるようにします。pnmd(1M) デーモンは、現在のアクティブアダプタにより提供されるすべての IP アドレスを、障害トリガーアダプタフェイルオーバーとして新しいアクティブアダプタに同じように移動します。
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
接続により、切り替え時に遅延することがあります。この遅延は数分続く場合もあります。ただし、この操作は、高レベルアプリケーションには透過的に行われます。
新しいアクティブデバイスの物理接続が、現在のアクティブアダプタのものと同じかどうかを確認します。
新しいアクティブアダプタが、現在のアクティブアダプタとして IP アドレスを提供できないと、これらの IP アドレスに依存するネットワークおよびデータサービスが、物理接続が修復されるかその後のフェイルオーバーが成功するまで、中断されます。
アクティブアダプタを切り替える NAFO グループを含むノード上でスーパーユーザーになります。
アクティブアダプタを切り替えます。
# pnmset -c nafo-group -o switch adapter |
切り替えるアダプタを含む NAFO グループを指定します。
指定したアダプタを、NAFO グループのアクティブアダプタにします。
古いアクティブアダプタ用の /etc/hostname.adapter ファイルの名前を、新しいアクティブアダプタ用に変換します。
# mv /etc/hostname.<old_adapter> /etc/hostname.<new_adapter> |
NAFO グループの状態を確認します。
切り替えたアダプタが、アクティブアダプタとして表示されます。
# pnmstat -l |
次に、アクティブアダプタを qfe1 から qfe0 に切り替える例を示します。
# pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 # pnmset -c nafo0 -o switch qfe1 # mv /etc/hostname.qfe0 /etc/hostname.qfe1 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK 11 qfe1 |
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
pnmstat(1M) コマンドを実行して、ノード上にあるすべての NAFO グループの現在の設定および状態についての情報を一覧表示します。
# pnmstat -l |
また、pnmptor(1M) および pnmrtop(1M) コマンドを使用して、アダプタの情報を取得することもできます。
次に、ノードの 3 つの NAFO グループの状態の例を示します。
# pnmstat -l Group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe5 OK NEVER qfe5 nafo1 qfe6 OK NEVER qfe6 nafo2 qfe7 OK NEVER qfe7 |
次の例では、NAFO グループ nafo0 のアクティブアダプタが、アダプタ qfe5であることを示しています。
# pnmptor nafo0 qfe5 |
次の例では、アダプタ qfe5 が、NAFO グループ nafo0 に属することを示しています。
# pnmrtop qfe5 nafo0 |
このアルゴリズムには、次の 4 つの調整可能パラメータがあります。
inactive_time
ping_timeout
repeat_test
slow_network
これらのパラメータによって、フォルト検出の速度と正確さを調整できます。詳細については、表 5-5 を参照してください。
この手順を使用して、pnmd(1M) デーモンのデフォルトのパブリックネットワーク管理 (PNM) の値を変更します。
クラスタ内の任意のノード上でスーパーユーザーになります。
pnmparams ファイルを作成します (存在しない場合)。
# vi /etc/cluster/pnmparams |
次の表を使用して PNM パラメータを設定します。
/etc/cluster/pnmparams ファイルの設定は、ノードのすべての NAFO グループに適用されます。ハッシュ記号 (#) で始まる行は無視されます。ファイルのその他の行の形式は、variable=value でなければなりません。
パラメータ |
説明 |
---|---|
inactive_time |
現在のアクティブアダプタのパケットカウンタを連続して検証するときの秒数。デフォルトは 5 です。 |
ping_timeout |
ALL_HOST_MULTICAST およびサブネットブロードキャスト ping のタイムアウト値 (秒単位)。デフォルトは 4 です。 |
repeat_test |
デバイスアダプタに障害が発生して、フェイルオーバーを起動すると宣言するまでに ping シーケンスを行う回数。デフォルトは 3 です。 |
slow_network |
各 ping シーケンスが行われてから、パケットカウンタの変更を確認するまでの待機時間 (秒単位)。デフォルトは 2 です。 |
warmup_time |
バックアップアダプタへのフェイルオーバーを行ってから、障害監視を再開するまでの待機時間 (秒単位)。これにより、遅いドライバやポート初期化のための余分時間が許可されます。デフォルトは 0 です。 |
変更は、pnmd デーモンが次に起動するまで有効になりません。
次に、デフォルト値からパラメータが 2 つ変更された /etc/cluster/pnmparams ファイルの例を示します。
inactive_time=3 repeat_test=5 |