Sun Cluster 3.0 12/01 のリリースには次の制限が適用されます。
Remote Shared Memory (RSM) トランスポートタイプ - これらのトランスポートタイプはマニュアルに記載されていますが、サポートされていません。RSMAPI を使用する場合は、トランスポートタイプとして dlpi を指定します。
Scalable Coherent Interface (SCI) - SBus SCI インタフェースはクラスタインターコネクトとしてはサポートされていません。ただし、PCI-SCI インタフェースは現在サポートされています。
自動ディスクパス監視 - ディスクパス監視機能はサポートされていません。定足数デバイスの二重エラーや定足数デバイスへのパスの切断を防止するには、個々のディスクパスを手作業で監視する必要があります。モニターでは、アクティブなディスクパスの障害は検出できますが、非アクティブなディスクパスは検出できません。
格納装置に対して複数の物理パスを持つストレージデバイス - 複数のパスはサポートされません。ただし、Sun StorEdge A3500 は例外です。Sun StorEdge A3500 では、2 つのノードのそれぞれに対して 2 つのパスがサポートされます。
SunVTSTM - サポートされません。
マルチホストテープ、CD-ROM、DVD-ROM - サポートされません。
Loopback File System - クラスタノードでのループバックファイルシステム (LOFS) の使用はサポートされません。
クラスタノードでのクライアントアプリケーションの実行 - サポートされません。リソースグループのスイッチオーバーやフェイルオーバーによって、TCP (telnet/rlogin) 接続が切断されることがあります。このスイッチオーバーやフェイルオーバーには、クラスタノードが開始した接続やクラスタ外のクライアントホストが開始した接続が含まれます。
クラスタノードでの高優先度プロセススケジューリングクラスの実行 - サポートされません。通常以上の優先度を持つタイムシェアリングスケジューリングクラスで動作するプロセスや、リアルタイムスケジューリングクラスで動作するプロセスをクラスタノードで実行しないでください。Sun Cluster 3.0 では、リアルタイムスケジューリングクラスを必要としないカーネルスレッドが使用されます。通常以上の優先度で動作するタイムシェアリングプロセスや、リアルタイムプロセスがあると、Sun Cluster カーネルスレッドが必要とする CPU サイクルが、それらのプロセスによって奪われることがあります。
ファイルシステム割り当て - 割り当て (quotas) は Sun Cluster 3.0 12/01 構成ではサポートされていません。
論理ネットワークインタフェース - これらのインタフェースは、Sun Cluster 3.0 12/01 ソフトウェアが使用するために予約されています。
クラスタファイルシステムの制限事項
umount -f コマンドは、-f オプションのない umount と同じ結果になります。つまり、強制的なマウント解除はサポートされません。
unlink (1M) コマンドは、空でないディレクトリに対してはサポートされません。
lockfs -d コマンドはサポートされません。代わりに lockfs -nを使用してください。
Solaris のファイルシステムには、ファイルシステム名前空間に通信エンドポイントを指定する機能がありますが、クラスタファイルシステムではこの機能はサポートされません。したがって、名前がクラスタファイルシステムへのパス名である UNIX ドメインソケットは作成できず、FIFO や名前付きパイプも作成できません。また、fattach も使用できません。
forcedirectio マウントオプションを使用してマウントされたファイルシステムから、バイナリを実行することはできません。
NAFO (ネットワークアダプタフェイルオーバー) の制限
すべてのパブリックネットワークアダプタは NAFO グループに属している必要があります。
各ノードでは、IP サブネットごとに 1 つの NAFO グループしか存在できません。Sun Cluster 3.0 ソフトウェアでは、同一のサブネットに複数の IP アドレスが存在するような弱い形式でも、 IP ストライピングはサポートされません。
同一の NAFO グループ内で一時にアクティブになれるのは 1 つのアダプタだけです。
Sun Cluster 3.0 ソフトウェアでは、OpenBootTM PROM の local-mac-address?=true 設定はサポートされません。
サービスとアプリケーションの制限
Sun Cluster 3.0 ソフトウェアを利用して提供できるサービスは、Sun Cluster と共に提供されているデータサービスか、Sun Cluster データサービス API を使用して設定されたデータサービスだけです。
Sun Cluster 環境は sendmail(1M) サブシステムをサポートしないため、クラスタノードをメールサーバーに使用しないでください。メールディレクトリは、Sun Cluster 以外のノードに置く必要があります。
クラスタノードをルーター (ゲートウェイ) に構成しないでください。システムがダウンした際にクライアントが代替ルーターを探すことができず、回復できません。
クラスタノードを NIS や NIS+ のサーバーに構成しないでください。ただしクラスタノードを NIS や NIS+ のクライアントにすることは可能です。
Sun Cluster を高可用性起動の提供や、クライアントシステムへのサービスのインストールを行うように構成しないでください。
Sun Cluster 3.0 を rarpd サービスを提供するように構成しないでください。
Sun Cluster 3.0 HA for NFS の制限
Sun Cluster ノードは、同じクラスタ内のノード上でマスターされている、HA-NFS エクスポートされたファイルシステムの NFS クライアントになることはできません。このような HA-NFS のクロスマウントは禁止されています。クラスタノード間でファイルを共有するときは、クラスタファイルシステムを使用してください。
アプリケーションは、NFS 経由でエクスポートされたファイルシステムにローカルにアクセスしてはなりません。ローカルでアクセスすると、ローカルのブロック (flock(3UCB) や fcntl (2) など) によって、ロックマネージャ (lockd) が再起動できなくなる可能性があります。再起動中、リモートクライアントの再要求によって、ブロックされているローカルのプロセスがロックされる可能性があります。これにより、予期せぬ動作が発生する可能性があります。
Sun Cluster HA for NFS では、すべての NFS クライアントがハードマウントされている必要があります。
Sun Cluster HA for NFS には、ネットワークリソースのホスト名別名は使用しないでください。クラスタファイルシステムをマウントする NFS クライアントがホスト名別名を使用すると、statd のロック復旧問題が発生する可能性があります。
Sun Cluster 3.0 ソフトウェアは Secure NFS または Kerberos with NFS の使用、特に、share_nfs(1M) サブシステムへの secure と kerberos オプションをサポートしません。
Sun Cluster HA for NetBackup の制限
マスターサーバーが動作しているクラスタ上では、マスターサーバーはバックアップできる唯一の論理ホストです。
バックアップメディアはマスターサーバーには接続できないので、他にメディアサーバーが必要です。
Sun Cluster と NetBackup の制限
NetBackup クライアントがクラスタの場合、bp.conf ファイルは 1 つしかないので、クライアントとして構成できる論理ホストは 1 つだけです。
NetBackup クライアントがクラスタで、クラスタ上の論理ホストの 1 つが NetBackup クライアントとして構成されている場合、NetBackup は物理ホストをバックアップできません。
ボリューム管理ソフトウェアの制限
メディエータを使用した Solstice DiskSuite の構成では、1 つのディスクセットに構成するメディエータホストの数は、必ず 2 つでなければなりません。
DiskSuite Tool (metatool) は Sun Cluster 3.0 ソフトウェアには対応していません。
同じノードからのマルチパスを管理するために、Sun Cluster 3.0 ソフトウェアの VxVM 動的マルチパス (DMP) を使用することはサポートされていません。
ソフトウェア RAID 5 はサポートされません。
ハードウェアの制限
クラスタノードのペアには、少なくとも 2 つの多重ホストディスク記憶装置がなければなりません (Sun StorEdge A3x00 を使用するクラスタは例外)。
RAID レベル 5 がサポートされるのは、現在、次のハードウェアプラットフォーム上においてのみです。
- Sun StorEdge A5x00/A3500FC アレイ
- Sun StorEdge T3 と T3+ アレイ しかし、これらのアレイをシングルコントローラ構成で使用している場合、データ冗長性のための追加のメカニズム (ホストベースのミラーリングなど) を使用する必要があります。これらのアレイをパートナグループ構成で使用している場合、コントローラは冗長であるので、ホストベースのミラーリングがなくても RAID 5 を使用できます。
Alternate Pathing (AP) はサポートされません。
Sun Enterprise 420R サーバーを使用しており、スロット J4701 に PCI カードを挿入している場合、マザーボードはダッシュレベル 15 以上 (501-5168-15 以上) である必要があります。マザーボードのパーツ番号とリビジョンレベルを見つけるには、PCI スロット 1 に最も近いボードの端を調べます。
Sun Enterprise 10000 サーバーのボードのスロット 0 に UDWIS 入出力カードを設置すると、クラスタでシステムパニックが発生します。このサーバーのボードのスロット 0 には、UDWIS 入出力カードを設置しないでください (「バグ ID 4490386」を参照)。
データサービスのタイムアウト期間の推奨
入出力が多く、クラスタ内に多数のディスクが構成されているデータサービスを使用するときは、データサービスのデフォルトのタイムアウト時間を増やすことを推奨します。これは、ディスクに障害が発生している間、入出力サブシステム内で再試行が発生し、長時間かかることに対処するためです。データサービスのタイムアウトについての詳細や、タイムアウト値を増やす方法については、ご購入先にお問い合わせください。
データサービスの制限
Solaris と Sun Cluster をインストールする前に、すべてのデータサービスの制限事項を確認してください。このような条件を理解していないと、インストールプロセスを正しく実行することができず、Solaris と Sun Cluster ソフトウェアの再インストールが必要になる場合があります。
たとえば、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters の Oracle Parallel Fail Safe/Real Application Clusters Guard オプションは、クラスタ内で使用するホスト名/ノード名に対して特別な条件があります。Sun Cluster ソフトウェアをインストールした後はホスト名を変更できないので、Sun Cluster ソフトウェアをインストールする前にこれらの条件を満たす必要があります。ホスト名/ノード名に対する特別な条件の詳細については、Oracle Parallel Fail Safe/Real Application Clusters Guard のマニュアルを参照してください。