Sun Cluster HA for SAP のインストールを計画する前に、次の情報を参照してください。
次の表に Sun Cluster HA for SAP がサポートするパッケージを示します。
表 B-3 Sun Cluster HA for SAP パッケージ (Sun Cluster 3.0 7/01)
リソースタイプ |
説明 |
---|---|
SUNW.sap_ci |
フェイルオーバーセントラルインスタンスのサポートを追加します |
SUNW.sap_as |
フェイルオーバーアプリケーションサーバーのサポートを追加します |
表 B-4 Sun Cluster HA for SAP パッケージ (Sun Cluster 3.0 12/01)
リソースタイプ |
説明 |
---|---|
SUNW.sap_ci |
Sun Cluster 3.0 7/01 と同じです。表 B-3 を参照 |
SUNW.sap_as |
Sun Cluster 3.0 7/01 と同じです。表 B-3 を参照 |
SUNW.sap_ci_v2 |
Property Network_resources_used リソースプロパティを Resource Type Registration (RTR) ファイルに追加します |
|
フェイルオーバーセントラルインスタンスのサポートを維持します |
SUNW.sap_as_v2 |
Property Network_resources_used リソースプロパティを RTR ファイルに追加します スケーラブルアプリケーションサーバーのサポートを追加します |
|
フェイルオーバーアプリケーションサーバーのサポートを保持します |
Sun Cluster HA for SAP 構成を設計する際には、次の指針を考慮に入れてください。
Sun Cluster 3.0 に適した SAP ソフトウェアバージョンを使用してください。
自動待ち行列化再接続機構の機能をもつ SAP ソフトウェアバージョンを使用してください。 Sun Cluster HA for SAP にはこの機能が必要です。パッチ情報付きの SAP 4.0 以降のソフトウェアには、自動待ち行列化再接続機構の機能が備わっています。
sapstart 実行可能ファイルの最新パッチを取得してください。Sun Cluster HA for SAP のユーザーがロックファイルを構成するためには、このパッチが必要です。使用するクラスタ環境におけるこのパッチのメリットについては、「ロックファイルの設定」を参照してください。
Sun Cluster 構成にインストールする SAP ソフトウェアリリースやデータベースに関連する SAP のすべてのオンラインサービスシステムノートに目を通してください。 インストールに関連する既知の問題や修正を確認してください。
推奨するメモリやスワップの容量については、SAP ソフトウェアのマニュアルを参照してください。SAP ソフトウェアには、大量のメモリとスワップが必要です。
セントラルインスタンス、データベースインスタンス、アプリケーションサーバー (内部のアプリケーションサーバーがある場合) が動作する可能性がある各ノードの負荷合計を多めに見積もってください。フェイルオーバーが起きたときに、セントラルインスタンス、データベースインスタンス、アプリケーションサーバーが 1 つのノードで動作するようにクラスタを構成する場合には、この指針が特に重要です。
セントラルインスタンスが動作するクラスタか別のクラスタにアプリケーションサーバーをインストールします。アプリケーションサーバーをクラスタ環境の外にインストールして構成すると、Sun Cluster HA for SAP は障害監視を行ないません。したがって、これらのアプリケーションサーバーの再起動やフェイルオーバーは自動的には行なわれません。ユーザーは、このようなアプリケーションサーバーの起動や停止を手動で行なう必要があります。
ノード名は SAP インストールガイドの指定に従っていなければなりません。これは SAP ソフトウェアの制約です。
複数のクラスタノードにすべてのアプリケーションサーバーインスタンスを作成する場合は、同じインスタンス番号と同じ SID を使用してください。これによって保守や管理が容易になります。なぜなら、この場合、1 つのコマンド群を使って複数のノードにあるすべてのアプリケーションサーバーを保守できるからです。
アプリケーションサーバーを (クラスタファイルシステムではなく) クラスタノードにローカルでインストールします。これは、他のアプリケーションサーバーがこのアプリケーションサーバーの log/data/work/sec ディレクトリを上書きするのを防止するためです。
SAPSIDadm ホームディレクトリをクラスタファイルシステムに配置します。これによって、すべてのノードで動作するすべてのアプリケーションサーバーインスタンスに対して 1 つのスクリプト群を保守するだけですむようになります。ただし、一部のアプリケーションサーバーだけを異なる方法で構成する必要がある (たとえば、アプリケーションサーバーごとにプロファイルが異なる) 場合は、これらのアプリケーションサーバーを異なるインスタンス番号でインストールし、別個のリソースグループとして構成します。
優先度が高いリソースがフェイルオーバーしているときに、RGOffload 機能を使って 1 つまたは複数のアプリケーションサーバーを停止する場合は、各アプリケーションサーバーを複数のリソースグループに配置します。これにより、RGOffload 機能 (別のリソースタイプ) を使ってデータベースの 1 つまたは複数のアプリケーションサーバーの負荷を軽減する場合の柔軟性と可用性が向上します。この指針に従うことで得られる機能は、各アプリケーションサーバーを 1 つの大きなグループに配置することによって得られる使い易さを上回ります。RGOffload リソースタイプの使い方については、「重要ではないリソースグループを取り外すことによるノードリソースの解放」を参照してください。
サポートされる SAP バージョンの最新情報については、Enterprise Services 担当者に問い合わせてください。次の図は、Sun Cluster HA for SAP の構成例を示しています。
図 B-2 の構成は、これまでの Sun Cluster リリースでよく見かけられる構成です。Sun Cluster 3.0 ソフトウェアを最大限に活用するためには、SAP を図 B-1 または 図 B-3 のように構成する必要があります。
SAP ソフトウェアをインストールする前に (「SAP およびデータベースのインストールと構成」を参照)、次の要件に注意してください。
データベースと SAP ソフトウェア用のすべてのファイルシステムを作成した後、そのマウントポイントを作成し、それらをすべてのクラスタノードの /etc/vfstab ファイルに指定します。データベースや SAP のファイルシステム設定方法については、SAP のインストールガイド『 Installation of the SAP R/3 on UNIX 』と『R/3 Installation on UNIX-OS Dependencies』を参照してください。
すべてのクラスタノードに、必要なグループとユーザーを作成します。SAP グループやユーザーの作成方法については、SAP のインストールガイド『Installation of the SAP R/3 on UNIX』と『R/3 Installation on UNIX-OS Dependencies』を参照してください。
外部の SAP アプリケーションサーバーをインストールする予定の場合は、セントラルインスタンスを収容するクラスタに Sun Cluster HA for NFS を構成します。Sun Cluster HA for NFS の構成方法については、『Sun Cluster 3.0 12/01 データサービスのインストールと構成』の「Sun Cluster HA for NFS のインストールと構成」を参照してください。
スイッチオーバーやフェイルオーバー時にデータサービスの起動や停止が正しく行なわれるように /etc/nsswitch.conf ファイルを設定します。Sun Cluster HA for SAP が動作する論理ホストをマスターできる各ノードの /etc/nsswitch.conf ファイルには、次のいずれかの group エントリが必要です。
group: group: files group: files [NOTFOUND=return] nis group: files [NOTFOUND=return] nisplus |
Sun Cluster HA for SAP は、 su user コマンドを使ってデータベースノードの起動や停止を行ないます。クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。NIS/NIS+ ネームサービスが使用不能になったときに su(1M) コマンドがこのネームサービスを参照しないように、前述のいずれかの group エントリを追加してください。
SAP ソフトウェアをインストールする前に (「SAP およびデータベースのインストールと構成」を参照)、SAP バイナリと SAP ユーザーのホームディレクトリを作成する必要があります。SAP バイナリと SAP ユーザーのホームディレクトリは、クラスタのファイルシステムにインストールしてください。ただし、クラスタのファイルシステムにインストールすると、SAP ソフトウェアのリリースアップグレードの際にある程度のデメリットがあります。このデメリットについては、「アプリケーションのバイナリの位置の決定 (5/02)」を参照してください。