Sun Cluster HA for SAP 構成を設計する際には、次の指針を考慮に入れてください。
Sun Cluster 3.0 に適した SAP ソフトウェアバージョンを使用してください。
自動待ち行列化再接続機構の機能をもつ SAP ソフトウェアバージョンを使用してください。 Sun Cluster HA for SAP にはこの機能が必要です。パッチ情報付きの SAP 4.0 以降のソフトウェアには、自動待ち行列化再接続機構の機能が備わっています。
sapstart 実行可能ファイルの最新パッチを取得してください。Sun Cluster HA for SAP のユーザーがロックファイルを構成するためには、このパッチが必要です。使用するクラスタ環境におけるこのパッチのメリットについては、「ロックファイルの設定」を参照してください。
Sun Cluster 構成にインストールする SAP ソフトウェアリリースやデータベースに関連する SAP のすべてのオンラインサービスシステムノートに目を通してください。 インストールに関連する既知の問題や修正を確認してください。
推奨するメモリやスワップの容量については、SAP ソフトウェアのマニュアルを参照してください。SAP ソフトウェアには、大量のメモリとスワップが必要です。
セントラルインスタンス、データベースインスタンス、アプリケーションサーバー (内部のアプリケーションサーバーがある場合) が動作する可能性がある各ノードの負荷合計を多めに見積もってください。フェイルオーバーが起きたときに、セントラルインスタンス、データベースインスタンス、アプリケーションサーバーが 1 つのノードで動作するようにクラスタを構成する場合には、この指針が特に重要です。
セントラルインスタンスが動作するクラスタか別のクラスタにアプリケーションサーバーをインストールします。アプリケーションサーバーをクラスタ環境の外にインストールして構成すると、Sun Cluster HA for SAP は障害監視を行ないません。したがって、これらのアプリケーションサーバーの再起動やフェイルオーバーは自動的には行なわれません。ユーザーは、このようなアプリケーションサーバーの起動や停止を手動で行なう必要があります。
ノード名は SAP インストールガイドの指定に従っていなければなりません。これは SAP ソフトウェアの制約です。
複数のクラスタノードにすべてのアプリケーションサーバーインスタンスを作成する場合は、同じインスタンス番号と同じ SID を使用してください。これによって保守や管理が容易になります。なぜなら、この場合、1 つのコマンド群を使って複数のノードにあるすべてのアプリケーションサーバーを保守できるからです。
アプリケーションサーバーを (クラスタファイルシステムではなく) クラスタノードにローカルでインストールします。これは、他のアプリケーションサーバーがこのアプリケーションサーバーの log/data/work/sec ディレクトリを上書きするのを防止するためです。
SAPSIDadm ホームディレクトリをクラスタファイルシステムに配置します。これによって、すべてのノードで動作するすべてのアプリケーションサーバーインスタンスに対して 1 つのスクリプト群を保守するだけですむようになります。ただし、一部のアプリケーションサーバーだけを異なる方法で構成する必要がある (たとえば、アプリケーションサーバーごとにプロファイルが異なる) 場合は、これらのアプリケーションサーバーを異なるインスタンス番号でインストールし、別個のリソースグループとして構成します。
優先度が高いリソースがフェイルオーバーしているときに、RGOffload 機能を使って 1 つまたは複数のアプリケーションサーバーを停止する場合は、各アプリケーションサーバーを複数のリソースグループに配置します。これにより、RGOffload 機能 (別のリソースタイプ) を使ってデータベースの 1 つまたは複数のアプリケーションサーバーの負荷を軽減する場合の柔軟性と可用性が向上します。この指針に従うことで得られる機能は、各アプリケーションサーバーを 1 つの大きなグループに配置することによって得られる使い易さを上回ります。RGOffload リソースタイプの使い方については、「重要ではないリソースグループを取り外すことによるノードリソースの解放」を参照してください。