表 1–2 に、クラスタ管理の開始について示します。
表 1–2 Sun Cluster 3.1 の管理ツール|
目的 |
作業 |
参照箇所 |
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クラスタへの遠隔ログイン |
ccp コマンドを使用して Cluster Control Panel (CCP) を起動します。次に以下のアイコンのうちの 1 つを選択します。cconsole(1M)、crlogin(1M)、または ctelnet(1M)。 | |
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対話形式でのクラスタの構成 |
scsetup(1M) ユーティリティを起動します。 | |
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Sun Cluster のリリース番号とバージョン情報の表示 |
-p または -pv のいずれかのオプションを指定して scinstall(1M) コマンドを使用します。 | |
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インストールされているリソース、リソースグループ、リソースタイプの表示 注 – scrgadm を実行するときには、リソースタイプ、リソースグループ、およびリソースのプロパティ名に大文字と小文字の区別はありません。 |
scrgadm(1M) -p コマンドを使用します。 | |
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クラスタコンポーネントをグラフィカルに監視 |
SunPlex Manager または Sun Management Center 用の Sun Cluster モジュールを使用します。 |
SunPlex Manager または Sun Management Center 用の Sun Cluster モジュールのオンラインヘルプ |
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いくつかのクラスタコンポーネントをグラフィカルに管理 |
SunPlex Manager または Sun Management Center 用の Sun Cluster モジュールを使用します。 |
SunPlex Manager または Sun Management Center 用の Sun Cluster モジュールのオンラインヘルプ |
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クラスタコンポーネントの状態確認 |
scstat(1M) コマンドを使用します。 | |
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パブリックネットワーク上の IP Network Multipathing グループの状態確認 |
-i オプションを指定して、scstat(1M) コマンドを使用します。 | |
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クラスタ構成の表示 |
scconf(1M) -p コマンドを使用します。 | |
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広域マウントポイントの確認 |
sccheck(1M) コマンドを使用します。 | |
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Sun Cluster のシステムメッセージの参照 |
/var/adm/messages ファイルを確認します。 |
Solaris 9 System Administrator Collection の『Solaris のシステム管理 (上級編)』の「ソフトウェアの問題解決 (概要)」のシステムメッセージの表示 |
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Solstice DiskSuite の状態の監視 |
metastat コマンドを使用します。 |
Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager のマニュアル |
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VERITAS Volume Manager の状態の監視 (Solaris 8 が動作している場合) |
vxstat または vxva コマンドを使用します。 |
VERITAS Volume Manager のマニュアル |
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Solaris Volume Manager の状態を監視する (Solaris 9 が動作している場合) |
svmstat コマンドを使用します。 |
Cluster Control Panel (CCP) からは、cconsole(1M)、crlogin(1M)、ctelnet(1M) を起動できます。これら 3 種類のツールはすべて、指定した一連のノードとの多重ウィンドウ接続を起動するものです。多重ウィンドウ接続は、指定した各ノードと共通ウィンドウ用のホストウィンドウから構成されます。共通ウィンドウへの入力はこれらホストウィンドウすべてに送信されるので、クラスタのすべてのノード上でコマンドを同時に実行できます。詳細については、ccp(1M) と cconsole(1M) のマニュアルページを参照してください。
Cluster Control Panel (CCP) を起動する前に、次の条件を満たしていることを確認します。
SUNWccon パッケージを管理コンソール上にインストールします。
管理コンソールの PATH 変数に、Sun Cluster ツールのディレクトリ /opt/SUNWcluster/bin と /usr/cluster/bin が含まれることを確認します。ツールのディレクトリには、$CLUSTER_HOME 環境変数を設定することで別の場所を指定できます。
端末集配信装置を使用している場合は、clusters ファイル、serialports ファイル、nsswitch.conf ファイルを構成します。これらのファイルは、/etc 内ファイルまたは NIS/NIS+ データベースのどちらでもかまいません。詳細については、clusters(4) と serialports(4) のマニュアルページを参照してください。
Sun Enterprise E10000 サーバーを使用しているかどうかを確認します。
使用していない場合は、手順 3に進みます。
使用している場合は、システムサービスプロセッサ (SSP) にログインし、netcon コマンドを使用して接続してください。接続が完了したら、Shift + @ キーを入力してコンソールのロックを解除し、書き込み権を取得します。
CCP 起動パッドを起動します。
管理コンソールから次のコマンドを入力します。
# ccp clustername |
CCP 起動パッドが表示されます。
クラスタとの遠隔セッションを開始するには、CCP 起動パッドの該当するアイコン (cconsole、crlogin、ctelnet) をクリックします。
cconsole、crlogin、ctelnet セッションは、コマンド行から開始することもできます。
scsetup(1M) ユーティリティーを使用すると、定足数 (quorum)、リソースグループ、クラスタトランスポート、プライベートホスト名、デバイスグループ、クラスタの新しいノードのオプションを対話形式で構成できます。
クラスタ内にある任意のノード上でスーパーユーザーになります。
scsetup ユーティリティを実行します。
# scsetup |
メインメニューが表示されます。
構成したい内容に応じてメニューから項目を選択し、画面に表示される指示に従って、作業を完了します。
詳細については、scsetup のオンラインヘルプを参照してください。
この手順を実行するためにスーパーユーザーとしてログインする必要はありません。
Sun Cluster のパッチ番号を表示します。
Sun Cluster 更新リリースは、製品のメインパッチ番号に更新バージョンを加えたものです。
% showrev -p |
すべての Sun Cluster パッケージについて、Sun Cluster のリリース番号とバージョン文字列を表示します。
% scinstall -pv |
次に、クラスタのバージョン番号の例を示します。
% showrev -p | grep 110648 Patch: 110648-05 Obsoletes: Requires: Incompatibles: Packages: |
次に、すべてのパッケージのクラスタのリリース情報とバージョン情報の例を示します。
% scinstall -pv SunCluster 3.1 SUNWscr: 3.1.0,REV=2000.10.01.01.00 SUNWscdev: 3.1.0,REV=2000.10.01.01.00 SUNWscu: 3.1.0,REV=2000.10.01.01.00 SUNWscman: 3.1.0,REV=2000.10.01.01.00 SUNWscsal: 3.1.0,REV=2000.10.01.01.00 SUNWscsam: 3.1.0,REV=2000.10.01.01.00 SUNWscvm: 3.1.0,REV=2000.10.01.01.00 SUNWmdm: 4.2.1,REV=2000.08.08.10.01 |
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。第 9 章「グラフィカルユーザーインタフェースによる Sun Cluster の管理」を参照してください。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
この手順を実行するためにスーパーユーザーとしてログインする必要はありません。
クラスタで構成されているリソースタイプ、リソースグループ、リソースを表示します。
% scrgadm -p |
次に、クラスタ schost に対して構成されているリソースタイプ (RT Name)、リソースグループ (RG Name)、リソース (RS Name) の例を示します。
% scrgadm -p
リソースタイプ 名前: SUNW.SharedAddress
リソースタイプ 説明: HA Shared Address Resource Type
リソースタイプ 名前: SUNW.LogicalHostname
リソースタイプ 説明: Logical Hostname Resource Type
リソースグループ 名前: schost-sa-1
RG Description:
リソース 名前: schost-1
リソース 説明:
リソース リソースタイプ: SUNW.SharedAddress
リソース リソースグループ名: schost-sa-1
リソースグループ 名前: schost-lh-1
リソースグループ 説明:
リソース 名前: schost-3
リソース 説明:
リソース リソースタイプ: SUNW.LogicalHostname
リソース リソースグループ名: schost-lh-1
|
この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
この手順を実行するためにスーパーユーザーとしてログインする必要はありません。
クラスタコンポーネントの状態を確認します。
% scstat -p |
次に、scstat(1M) で戻されるクラスタコンポーネントの状態情報の例を示します。
% scstat -p
-- クラスタノード --
ノード名 状態
--------- ------
クラスタノード: phys-schost-1 オンライン
クラスタノード: phys-schost-2 オンライン
クラスタノード: phys-schost-3 オンライン
クラスタノード: phys-schost-4 オンライン
------------------------------------------------------------------
-- クラスタトランスポートパス --
エンドポイント エンドポイント 状態
-------- -------- ------
トランスポートパス: phys-schost-1:qfe1 phys-schost-4:qfe1 Path online
トランスポートパス: phys-schost-1:hme1 phys-schost-4:hme1 Path online
...
------------------------------------------------------------------
-- 定足数の要約 --
可能な定足数投票: 6
必要な定足数投票数: 4
存在する定足数投票数: 6
-- ノードによる定足数の投票数 --
ノード名 存在する 可能な 状態
--------- ------- -------- ------
ノードの投票数: phys-schost-1 1 1 オンライン
ノードの投票数: phys-schost-2 1 1 オンライン
...
-- デバイスによる定足数の投票数 --
デバイス名 存在する 可能な 状態
----------- ------- -------- ------
デバイスの投票数: /dev/did/rdsk/d2s2 1 1 オンライン
デバイスの投票数: /dev/did/rdsk/d8s2 1 1 オンライン
...
-- デバイスグループのサーバー --
デバイスグループ プライマリ セカンダリ
------------ ------- ---------
デバイスグループのサーバー: rmt/1 - -
デバイスグループのサーバー: rmt/2 - -
デバイスグループのサーバー: schost-1 phys-schost-2 phys-schost-1
デバイスグループのサーバー: schost-3 - -
-- デバイスグループの状態 --
デバイスグループ 状態
------------ ------
デバイスグループの状態: rmt/1 オフライン
デバイスグループの状態: rmt/2 オフライン
デバイスグループの状態: schost-1 オンライン
デバイスグループの状態: schost-3 オフライン
------------------------------------------------------------------
-- リソースグループとリソース --
グループ名 リソース
---------- ---------
リソース: test-rg test_1
リソース: real-property-rg -
リソース: failover-rg -
リソース: descript-rg-1 -
...
-- リソースグループ --
グループ名 ノード名 状態
---------- --------- -----
グループ: test-rg phys-schost-1 オフライン
グループ: test-rg phys-schost-2 オフライン
...
-- リソース --
リソース名 ノード名 状態 状態メッセージ
------------- --------- ----- --------------
リソース: test_1 phys-schost-1 オフライン オフライン
リソース: test_1 phys-schost-2 オフライン オフライン
-----------------------------------------------------------------
-- IPMP グループ --
ノード名 グループ 状態 アダプタ 状態
--------- ----- ------ ------- ------
IPMP グループ: phys-schost-1 sc_ipmp0 オンライン qfe1 オンライン
IPMP グループ: phys-schost-2 sc_ipmp0 オンライン qfe1 オンライン
------------------------------------------------------------------
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この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
この手順を実行するためにスーパーユーザーとしてログインする必要はありません。
IP Network Multipathing グループの状態を確認するには、scstat(1M) コマンドを使用します。
次に、scstat(1M) で戻されるクラスタコンポーネントの状態情報の例を示します。
% scstat -i
-----------------------------------------------------------------
-- IPMP グループ --
ノード名 グループ 状態 アダプタ 状態
--------- ----- ------ ------- ------
IPMP グループ: phys-schost-1 sc_ipmp1 オンライン qfe2 オンライン
IPMP グループ: phys-schost-1 sc_ipmp0 オンライン qfe1 オンライン
IPMP グループ: phys-schost-2 sc_ipmp1 オンライン qfe2 オンライン
IPMP グループ: phys-schost-2 sc_ipmp0 オンライン qfe1 オンライン
------------------------------------------------------------------
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この手順は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。
この手順を実行するためにスーパーユーザーとしてログインする必要はありません。
クラスタ構成を表示します。
% scconf -p |
scconf コマンドを使用してより多くの情報を表示するには、冗長オプションを使用します。詳細については、scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。
次に、クラスタ構成の一覧の例を示します。
% scconf -p
クラスタ名: cluster-1
クラスタ ID: 0x3908EE1C
クラスタのインストールモード: disabled
クラスタのプライベートネット: 172.16.0.0
クラスタのプライベートネットマスク: 255.255.0.0
クラスタの新規ノード認証: unix
クラスタの新規ノードリスト: <NULL - Allow any node>
クラスタノード: phys-schost-1 phys-schost-2 phys-schost-3
phys-schost-4
クラスタノード名: phys-schost-1
ノード ID: 1
有効なノード: yes
ノードのプライベートホスト名: clusternode1-priv
ノードの定足数投票数: 1
ノードの保護鍵: 0x3908EE1C00000001
ノードのトランスポートアダプタ: hme1 qfe1 qfe2
ノードのトランスポートアダプタ: hme1
有効なアダプタ: yes
アダプタのトランスポートタイプ: dlpi
アダプタのプロパティ: device_name=hme
アダプタのプロパティ: device_instance=1
アダプタのプロパティ: dlpi_heartbeat_timeout=10000
...
クラスタのトランスポート接続点: hub0 hub1 hub2
クラスタのトランスポート接続点: hub0
有効な接続点: yes
接続点のタイプ: switch
接続点のポート名: 1 2 3 4
...
接続点のポート名: 1
有効なポート: yes
接続点のポート名: 2
有効なポート: yes
...
クラスタのトランスポートケーブル
エンドポイント エンドポイント 状態
-------- -------- -----
トランスポートケーブル: phys-schost-1:hme1@0 hub0@1 有効
トランスポートケーブル: phys-schost-1:qfe1@0 hub1@1 有効
トランスポートケーブル: phys-schost-1:qfe2@0 hub2@1 有効
トランスポートケーブル: phys-schost-2:hme1@0 hub0@2 有効
...
定足数デバイス: d2 d8
定足数デバイス名: d2
定足数デバイス投票権: 1
有効な定足数デバイス: yes
定足数デバイス名: /dev/did/rdsk/d2s2
定足数デバイスのホスト(有効): phys-schost-1
phys-schost-2
定足数デバイスのホスト(無効):
...
デバイスグループ名: schost-3
デバイスグループのタイプ: SVM
デバイスグループの有効なフェイルバック: no
デバイスグループのノードリスト: phys-schost-3, phys-schost-4
ディスクセット名: schost-3
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sccheck(1M) コマンドはシステムの構成を検証して、クラスタが機能するために必要な正しい基本構成であるかどうかを判断します。sccheck コマンドはエラーがあった場合のみその情報を返します。エラーがない場合、sccheck は単にシェルプロンプトに戻ります。
sccheck は、デバイス、ボリューム管理コンポーネント、または Sun Cluster 構成を変更するような管理手順を行った後に実行してください。
次の例は、ノード phys-schost-3 にマウントポイント /global/schost-1 がないことを示しています。
# sccheck vfstab-check: WARNING - phys-schost-3 - マウントポイント /global/schost-1 がなくなりました |
sccheck(1M) コマンドは、クラスタファイルシステムとその広域マウントポイントに構成エラーがないかどうか /etc/vfstab ファイルを確認します。sccheck コマンドはエラーがあった場合のみその情報だけを返します。エラーがない場合、sccheck は単にシェルプロンプトに戻ります。
sccheck は、デバイスやボリューム管理コンポーネントに影響を及ぼすような変更をクラスタ構成に加えた後で実行してください。
次の例は、ノード phys-schost-3 にマウントポイント /global/schost-1 がないことを示しています。
# sccheck vfstab-check: WARNING - phys-schost-3 - マウントポイント /global/schost-1 がなくなりました |