Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

Sun Cluster の構成可能なコンポーネント

この節では、構成する Sun Cluster コンポーネントのガイドラインについて説明します。

適当な構成ワークシートに、次の情報を追加してください。

表 1–4 Sun Cluster 構成のワークシート

構成のワークシート 

保存場所 

表 2–2 (デフォルトを使用する) または表 2–3 (カスタマイズする)

「すべてのノードで Sun Cluster ソフトウェアを構成する (scinstall)」

表 2–6

「Sun Cluster ソフトウェア (SunPlex Installer) をインストールして構成する」

表 2–7

「Solaris と Sun Cluster ソフトウェアをインストールする (JumpStart)」

表 2–8

「追加のクラスタノードとして Sun Cluster ソフトウェアを構成する (scinstall)」

クラスタ名

クラスタ名は、Sun Cluster の構成の際に指定します。クラスタ名は、インストール環境全体で一意にする必要があります。

ノード名

ノード名とは、Solaris OS のインストール中にマシンに割り当てる名前のことです。Sun Cluster の構成中に、クラスタとしてインストールするすべてのノード名を指定します。単一ノードのクラスタインストールでは、デフォルトのノード名とクラスタ名とが同じになります。

プライベートネットワーク


注 –

単一ノードのクラスタの場合、プライベートネットワークを構成する必要はありません。


Sun Cluster ソフトウェアは、ノード間の内部通信にプライベートネットワークを使用します。Sun Cluster 構成では、プライベートネットワーク上のクラスタインターコネクトへの接続が少なくとも 2 つ必要です。クラスタの最初のノードに Sun Cluster ソフトウェアを構成するときに、プライベートネットワークアドレスとネットマスクを指定します。デフォルトのプライベートネットワークアドレス (172.16.0.0) とネットマスク (255.255.0.0) をそのまま使用するように選択するか、デフォルトのネットワークアドレスがすでに使用中の場合は別のアドレスを入力できます。


注 –

インストールユーティリティー (scinstall、SunPlex Installer または JumpStart) が処理を完了し、クラスタを確立した後で、プライベートネットワークアドレスとネットマスクを変更することはできません。別のプライベートネットワークアドレスとネットマスクを使用するには、クラスタソフトウェアをいったんアンインストール後、再インストールしてください。


デフォルト以外のプライベートネットワークアドレスを指定する場合は、アドレスは次の条件を満たす必要があります。

scinstall ユーティリティーにより、代替ネットマスクを指定できますが、ベストプラクティスはデフォルトのネットマスク 255.255.0.0を使用します。これより大規模なネットワークを表すネットマスクを指定しても利点はありません。また、scinstall ユーティリティーは、これより小さなネットワークを表すネットマスクを使用できません。

プライベートネットワークについての詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』(Solaris 8) の「TCP/IP ネットワークの計画」を参照するか、『Solaris のシステム管理 (IP サービス) 』(Solaris 9) の「TCP/IP ネットワークの計画 (手順)」を参照してください。

プライベートホスト名

プライベートホスト名とは、プライベートネットワークインタフェースを介したノード間の通信に使用される名前のことです。プライベートホスト名は、Sun Cluster の構成中に自動的に作成されます。これらのプライベートホスト名は、clusternodenodeid-priv という命名規則に従います。ここで、nodeid は、内部ノード ID の数値になります。ノード ID 番号は、Sun Cluster の構成中に各ノードがクラスタメンバーとなる際に、自動的に各ノードに割り当てられます。クラスタの構成後に、scsetup(1M) ユーティリティーを使用してプライベートホスト名を変更できます。

クラスタインターコネクト


注 –

単一ノードのクラスタの場合、クラスタインターコネクトを構成する必要はありません。ただし、単一ノードのクラスタ構成に後でノードを追加する可能性がある場合は、将来の使用のためにクラスタインターコネクトを構成することもできます。


クラスタインターコネクトは、クラスタノード間のプライベートネットワーク通信にハードウェアパスを提供します。各インターコネクトは、次のいずれかの方法で接続されるケーブルで構成されます。

Sun Cluster の構成中に、2 つのクラスタインターコネクトに対して以下の構成情報を指定します。

クラスタの確立後に、scsetup(1M) ユーティリティーを使用して、追加のプライベートネットワーク接続を構成できます。

クラスタインターコネクトの詳細については、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』の「クラスタインターコネクト」と『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

IP ネットワークマルチパスグループ

「パブリックネットワークのワークシート」に次の計画情報を追加してください。

ネットワークアダプタフェイルオーバー (NAFO) グループに代わるインターネットプロトコル (IP) ネットワークマルチパスグループは、パブリックネットワークアダプタの監視とフェイルオーバーを提供し、 ネットワークアドレスリソースの基盤構造です。マルチパスグループは、 2 つ以上のアダプタで構成されている場合に、高い可用性を提供します。1 つのアダプタで障害が発生しても、障害のあるアダプタ上のすべてのアドレスが、マルチパスグループ内の別のアダプタにフェイルオーバーされるからです。このようにして、マルチパスグループのアダプタは、マルチパスグループ内のアダプタが接続するサブネットへのパブリックネットワーク接続を維持します。

マルチパスグループを計画する際は、次の点を考慮してください。

IP ネットワークマルチパス 用の Solaris ドキュメントに示されている手続き、ガイドライン、および制限事項のほとんどは、クラスタ環境と非クラスタ環境のどちらであるかにかかわらず同じです。したがって、IP ネットワークマルチパス については、適切な Solaris ドキュメントを参照してください。

Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』の「IP ネットワークマルチパスグループ (IPMP グループ)」と『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』も参照してください。

定足数デバイス

Sun Cluster 構成では、定足数 (quorum) デバイスを使用して、データとリソースの整合性を保持します。クラスタがノードとの接続を一時的に失っても、定足数デバイスによって、クラスタノードがクラスタに再結合しようとしたときの amnesia や split-brain といった問題を防止できます。 定足数デバイスを、scsetup(1M) ユーティリティーを使用して構成できます。


注 –

単一ノードのクラスタの場合、定足数 (quorum) を構成する必要はありません。


定足数デバイスを計画する際は、次の点を考慮してください。

定足数デバイスについて詳しくは、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』の「定足数と定足数デバイス」および『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』の「クォーラムデバイス」を参照してください。