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Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server ガイド (Solaris OS 版)

SAP Web Application Server のインストールと構成

Sun Cluster HA for SAP Web Application Server を使って SAP Web Application Server を高可用性にするためには、追加のインストール操作と構成操作を行う必要があります。これらの操作は、SAP Web Application Server の標準的なインストールと標準的な構成を補足するものです。

この節の手順は、SAP Web Application Server の次のコンポーネントのインストールおよび構成を説明しています。

可用性の高いデータベースの構成

SAP は、さまざまなデータベースをサポートしています。使用予定のデータベースのリソース型、リソースグループおよびリソースは、データベースが高い可用性を持つような構成にしてください。使用する予定のデータベースについては、適切な Sun Cluster データサービス関連文書で詳細を参照してください。

SAP Web Application Server をインストールおよび構成するには

  1. クラスタの 1 つのノードに SAP Web Application Server ソフトウェアをインストールします。

    SAP インストールマニュアルを参照してください。

  2. SAP enqueue server と SAP replica server のプロファイルを作成します。

    SAP の『SAP Web Application Server in Switchover Environments, UNIX Platforms』を参照してください。

    注 –

    SAP enqueue server のプロファイルと SAP replica server のプロファイルの SAPSYSTEM パラメータは、同じ値でなければなりません。

  3. SAP 起動プロファイルから SAP enqueue server の起動指定を削除します。

    Sun Cluster 環境では、SAP enqueue server リソースが SAP enqueue server アプリケーションを起動します。したがって、SAP 起動プロファイルに SAP enqueue server の起動指定が含まれている場合は、これを削除してください。削除されていない場合、SAP enqueue server が何度も起動されます。

  4. SAP Web Application Server でプロセス監視機能 (PMF) を使用している場合は、SAP web application server のリソースを停止したときに PMF が saposcol プログラムを停止しないように saposcol プログラムはクラスタ環境の外で起動してください。

    saposcol プログラムは、SAP Web Application Server を実行するすべてのノードで使用できなければなりません。したがって、プログラムは、各ノードの広域ファイルシステムまたはローカルファイルシステム内になければなりません。

    1. saposcol プログラムが広域ファイルシステムにある場合に、このプログラムをローカルファイルシステムにも置きたい場合は、各ノードで次の処理を実行して、このプログラムをローカルファイルシステムにコピーします。

      • インストールノードで saposcol プログラムを個別に起動した場合は、saposcol プログラムを停止します。

      • SAP システムが実行されている場合は、SAP システムを停止します。

      • ファイルシステムがマウントされていない場合は、インストールノードにマウントします。

      • saposcol 実行可能ファイルをインストールノードから対象ノードのローカルディレクトリにコピーします。


        # cp /usr/sap/SAPSID/SYS/exe/saposcol destination-directory

        ここで、SAPSID は SAP システムの ID です。

    2. PMF を使用するために構成されている SAP web application server リソースの SAP 起動スクリプトから saposcol プログラムの起動指定を削除します。この処理は、SAP 起動スクリプトと停止スクリプトの他の変更と共に、手順 7 でも説明されています。

    3. 各ノードのローカルディレクトリから saposcol プログラムを起動します。

  5. SAP message server と SAP web application server コンポーネントの論理ホスト名を返すスクリプトを作成します。

    SAP message server と SAP web application server コンポーネントの両方の各インスタンスの論理ホスト名を返す loghost という名前のスクリプトを作成します。このスクリプトは、ディレクトリ $HOME にあります。ここで、$HOME は SAP ユーザーのホームディレクトリです。

    注 –

    SAP web application server コンポーネントをスケーラブルリソースとして構成している場合は、後述の「スケーラブル SAP Web Application Server コンポーネントのインストールを変更するには」でこのスクリプトを変更します。

    例 1–3 論理ホスト名を返すスクリプトの作成


    if [ "$1" = "DVEBMGS00" ]; then
    echo loghost-1;
fi
if [ "$1" = "SCS01" ]; then
    echo loghost-2;
fi
if [ "$1" = "D02" ]; then
    echo loghost-3;
fi

  6. 実行できるようにスクリプトのファイルアクセス権を設定します。


    # chmod 755 $HOME/loghost

  7. SAP 起動スクリプトと停止スクリプトを次のように変更します。

    1. 必ず一意のインスタンス名を使用してください。

      SAP 起動スクリプトと停止スクリプトの INSTANCE= で始まる行の最後に sort -u コマンドを追加します。このコマンドは、検出したすべてのインスタンス名をソートし、一意の名前だけを保持します。

      変更前の行は次のようになります。ここで、arg は 1 または 2 などの引数番号です。


      INSTANCE=`echo $arg | awk '/SCS[0-9][0-9]/{print $1}
/ASCS[0-9][0-9]/{print $1} /DVEBMGS[0-9][0-9]/{print $1} 
/JC[0-9][0-9]/{print $1} /D[0-9][0-9]/{print $1} 
/J[0-9][0-9]/{print $1} /G[0-9][0-9]/{print $1}'`

      次に、最後に sort -u コマンドへ実行結果を渡すパイプを追加した行を示します。ここで、arg は 1 または 2 などの引数番号です。


      INSTANCE=`echo $arg | awk '/SCS[0-9][0-9]/{print $1}
/ASCS[0-9][0-9]/{print $1} /DVEBMGS[0-9][0-9]/{print $1} 
/JC[0-9][0-9]/{print $1} /D[0-9][0-9]/{print $1} 
/J[0-9][0-9]/{print $1} /G[0-9][0-9]/{print $1}' | sort -u`

    2. 論理ホスト名を返すスクリプトを呼び出すために、SAP 起動スクリプトと停止スクリプトを更新します。

      HOSTNAME の設定箇所で、手順 5 で作成したスクリプト $HOME/loghost の名前を挿入します。この処理では、HOSTNAME='hostname' という行を次の例の行と置き換えます。

      例 1–4 論理ホスト名を返すスクリプトを呼び出すための SAP 起動スクリプトと停止スクリプトの変更


      < remove
> add

# Set HOSTNAME
case `uname` in
   OS/390* | z/OS* | AIX* | BOS*)
     HOSTNAME=`hostname -s`
     ;;
   *)
<    HOSTNAME=`hostname`
>    if [ $# -eq 2 ]; then
>         HOSTNAME=`$HOME/loghost $2`
>    else
>         HOSTNAME=`hostname`
>    fi
     ;;
esac

    3. ユーザーのプロファイルを有効にして SAP 固有の環境ファイルも有効にするために、SAP 起動スクリプトと停止スクリプトの 2 行目に次の行を追加します。

      . $HOME/.profile

    4. SAP 起動スクリプトから SAP central services コンポーネントの DB チェック指定を削除します。SAP central services コンポーネントとは、SAP enqueue server、SAP replica server および SAP message server のことです。

    5. SAP web application server で PMF を使用している場合は、この SAP web application server が使用する SAP 起動スクリプトから saposcol プログラムの起動指定を削除します。手順 4 を参照してください。

  8. 物理ホスト名ではなく論理ホスト名を使用するために、ファイルの名前と内容を変更します。

    標準の SAP Web Application Server インストールでは、SAP システムをインストールするノードの物理ホスト名が使用されます。SAP Web Application Server を変更して、論理ホスト名を使用し、SAP Web Application Server が Sun Cluster 環境で動作できるようにします。

    注 –

    SAP web application server コンポーネントをスケーラブルリソースとして構成している場合は、後述の「スケーラブル SAP Web Application Server コンポーネントのインストールを変更するには」で追加変更を行います。

    1. SAP ユーザーのホームディレクトリにある「.」ファイルの名前から物理ホスト名を削除します。

      次の例では、physical-hostname は物理ホスト名を表しています。

      例 1–5 ファイル名からの物理ホスト名の削除


      # for i in .*physical-hostname.*
  > do
  > mv $i `echo $i | sed "s/_physical-hostname//"`
  > done

    2. データベース「.」ファイルを変更して、物理ホスト名ではなく、論理ホスト名を参照させます。

    3. 物理ホスト名ではなく論理ホスト名を使用するために、プロファイルファイルのファイル名と内容を変更します。

      これらのファイルは、/usr/sap/SAPSID/SYS/profile に保存されています。ここで、SAPSID は SAP システムの ID です。

    4. 次の logical-host-name エントリを SAP プロファイルディレクトリにある logical-host-name ファイル SAPSID_INSTANCE_NAMESYSTEM_NUMBER_logical-hostname に追加します。SAPSID は SAP システムの ID、INSTANCE_NAME は SAP インスタンス名、SYSTEM_NUMBER は SAP システム番号です。

      SAPLOCALHOST=logical-hostname

      SAPLOCALHOSTFULL=logical-hostname.domain

    5. ファイル /usr/sap/SAPSID/ INSTANCE_NAME/igs/conf/igs.xml 内の物理ホスト名を論理ホスト名で置き換えます。 SAPSID は SAP システムの ID、INSTANCE_NAME は SAP インスタンス名です。

スケーラブル SAP Web Application Server コンポーネントのインストールを変更するには

SAP Web Application Server プラットフォームの SAP web application server コンポーネントは、フェイルオーバーリソースとしてもスケーラブルリソースとしても構成できます。

  1. 「SAP Web Application Server をインストールおよび構成するには」で説明したように、ソフトウェアをインストールします。

    SAP Web Application Server ソフトウェアは、/usr/sap/SAPSID/INSTANCE_NAME の広域ファイルシステムにインストールされます。SAPSID は SAP システムの ID、INSTANCE_NAME は SAP web application server インスタンスの名前を表します。

  2. スケーラブル SAP web application server コンポーネントリソースグループの実行を計画している各ノードで、SAP 管理ユーザー sapsid adm になります。

  3. プロファイルファイルの名前と内容を更新して、論理ホスト名ではなく文字列に一致させます。

    スケーラブルリソースグループには、論理ホストは含まれていません。したがって、SAP web application server コンポーネントのリソースグループがスケーラブルとして構成されている場合、スクリプト $HOME/loghost は、論理ホスト名を返しません。スクリプトは、たとえば「scalable」などのインスタンスを特定する文字列を返します。したがって、プロファイルファイルの名前と内容を更新して、論理ホスト名ではなく、たとえば「scalable」などの文字列に一致させます。

    1. ディレクトリ /usr/sap/SAPSID/SYS/profile 内のこのインスタンスのプロファイルファイルを更新します。ファイルの名前と内容をたとえば「scalable」などの使用する文字列と一致させます。

    2. 次の例のように、スクリプト $HOME/loghost を更新します。


      if [ "$1" = "D04" ]; then
   echo scalable;
fi

  4. 元のノードを含む各ノードで、ローカルファイルシステムを作成します。


    # mkdir /usr/sap/local/SAPSID/INSTANCE_NAME

  5. 元のノードを含む各ノードで、広域ファイルシステムから手順 4 で作成したローカルファイルシステムにソフトウェアをコピーします。


    # su - sapsidadm
# cp -r  /usr/sap/SAPSID/INSTANCE_NAME/* \
/usr/sap/local/SAPSID/INSTANCE_NAME

  6. 元のノードで、元のインストールディレクトリを削除します。


    # rm -r /usr/sap/SAPSID/INSTANCE_NAME

  7. 元のノードを含む各ノードで、広域ファイルシステムからローカルファイルシステムへのシンボリックリンクを作成します。


    # ln -s  /usr/sap/local/SAPSID/INSTANCE_NAME \
/usr/sap/SAPSID/INSTANCE_NAME

  8. SAP 起動スクリプトおよび停止スクリプトを更新して、ログファイルの一意の名前を追加します。

    SAP web application server コンポーネントリソースグループをスケーラブルとして構成している場合は、アプリケーションの複数のインスタンスを複数のノードで同時に実行できます。すべてのインスタンスが同じログファイルに書き込みを行う場合は、以前に書き込まれた情報が上書きされます。したがって、一意の名前を持つように SAP 起動スクリプトおよび停止スクリプトで指定されたログファイルの名前を変更します。ログファイルの名前を変更すると、各ノードは一意のファイルに書き込みを行います。次の例では、ノード名をログファイル名に追加します。

    更新前のスクリプトのエントリの例

    LOGFILE=$R3S_LOGDIR/`basename ${0}_${INSTANCE}.log`

    更新後のスクリプトのエントリの例

    LOGFILE=$R3S_LOGDIR/`basename ${0}_${INSTANCE}`_`uname -n`.log

SAP J2EE Engine をインストールおよび構成するには

  1. クラスタの 1 つのノードに SAP J2EE engine ソフトウェアをインストールします。

    SAP インストールマニュアルを参照してください。

  2. SAP enqueue server と SAP replica server のプロファイルを作成します。

    SAP の『SAP Web Application Server in Switchover Environments, UNIX Platforms』を参照してください。

    注 –

    SAP enqueue server のプロファイルと SAP replica server のプロファイルの SAPSYSTEM パラメータは、同じ値でなければなりません。

  3. SAP message server と SAP J2EE engine の論理ホスト名を返すスクリプトを変更します。

    SAP message server と SAP J2EE engine の両方の各インスタンスの論理ホスト名を返す loghost という名前のスクリプトを変更します。このスクリプトは、ディレクトリ $HOME にあります。ここで、$HOME は SAP ユーザーのホームディレクトリです。

    例 1–6 論理ホスト名を返すスクリプトの変更


    if [ "$1" = "DVEBMGS00" ]; then
    echo loghost-1;
fi
if [ "$1" = "SCS01" ]; then
    echo loghost-2;
fi
if [ "$1" = "D02" ]; then
    echo loghost-3;
fi

  4. 実行できるようにスクリプトのファイルアクセス権を設定します。


    # chmod 755 $HOME/loghost

  5. SAP 起動スクリプトと停止スクリプトを次のように変更します。

    1. 必ず一意のインスタンス名を使用してください。

      SAP 起動スクリプトと停止スクリプトの INSTANCE= で始まる行の最後に sort -u コマンドを追加します。このコマンドは、検出したすべてのインスタンス名をソートし、一意の名前だけを保持します。

      次に変更前の行を示します。ここで、arg は 1 または 2 などの引数番号です。


      INSTANCE=`echo $arg | awk '/SCS[0-9][0-9]/{print $1}
/ASCS[0-9][0-9]/{print $1} /DVEBMGS[0-9][0-9]/{print $1} 
/JC[0-9][0-9]/{print $1} /D[0-9][0-9]/{print $1} 
/J[0-9][0-9]/{print $1} /G[0-9][0-9]/{print $1}'`

      次に、最後に sort -u コマンドへ実行結果を渡すパイプを追加した行を示します。ここで、arg は 1 または 2 などの引数番号です。


      INSTANCE=`echo $arg | awk '/SCS[0-9][0-9]/{print $1}
/ASCS[0-9][0-9]/{print $1} /DVEBMGS[0-9][0-9]/{print $1} 
/JC[0-9][0-9]/{print $1} /D[0-9][0-9]/{print $1} 
/J[0-9][0-9]/{print $1} /G[0-9][0-9]/{print $1}' | sort -u`

    2. 論理ホスト名を返すスクリプトを呼び出すために、SAP 起動スクリプトと停止スクリプトを更新します。

      HOSTNAME の設定箇所で、手順 3 で作成したスクリプト $HOME/loghost の名前を挿入します。この処理では、HOSTNAME='hostname' という行を次の例の行と置き換えます。

      例 1–7 論理ホスト名を返すスクリプトを呼び出すための SAP 起動スクリプトと停止スクリプトの変更


      < remove
> add

# Set HOSTNAME
case `uname` in
   OS/390* | z/OS* | AIX* | BOS*)
     HOSTNAME=`hostname -s`
     ;;
   *)
<    HOSTNAME=`hostname`
>    if [ $# -eq 2 ]; then
>         HOSTNAME=`$HOME/loghost $2`
>    else
>         HOSTNAME=`hostname`
>    fi
     ;;
esac

    3. ユーザーのプロファイルを有効にして SAP 固有の環境ファイルも有効にするために、SAP 起動スクリプトと停止スクリプトの 2 行目に次の行を追加します。

      . $HOME/.profile

    4. SAP 起動スクリプトから SAP central services コンポーネントの DB チェック指定を削除します。SAP central services コンポーネントとは、SAP enqueue server、SAP replica server および SAP message server のことです。

    5. SAP web application server で PMF を使用している場合は、この SAP web application server が使用する SAP 起動スクリプトから saposcol プログラムの起動指定を削除します。

  6. 物理ホスト名ではなく論理ホスト名を使用するために、ファイルの名前と内容を変更します。

    標準の SAP J2EE engine インストールでは、SAP システムをインストールしたノードの物理ホスト名が使用されます。SAP J2EE engine を変更して、論理ホスト名を使用し、SAP J2EE engine が Sun Cluster 環境で動作できるようにします。

    1. SAP ユーザーのホームディレクトリにある「.」ファイルの名前から物理ホスト名を削除します。

      次の例では、physical-hostname は物理ホスト名を表しています。

      例 1–8 ファイル名からの物理ホスト名の削除


      # for i in .*physical-hostname.*
  > do
  > mv $i `echo $i | sed "s/_physical-hostname//"`
  > done

    2. データベース「.」ファイルを変更して、物理ホスト名ではなく、論理ホスト名を参照させます。

    3. 物理ホスト名ではなく論理ホスト名を使用するために、プロファイルファイルのファイル名と内容を変更します。

      これらのファイルは、/usr/sap/SAPSID/SYS/profile に保存されています。ここで、SAPSID は SAP システムの ID です。

    4. 次の logical-host-name エントリを SAP プロファイルディレクトリにある logical-host-name ファイル SAPSID_INSTANCE_NAMESYSTEM_NUMBER_logical-hostname に追加します。SAPSID は SAP システムの ID、INSTANCE_NAME は SAP インスタンス名、SYSTEM_NUMBER は SAP システム番号です。

      SAPLOCALHOST=logical-hostname

      SAPLOCALHOSTFULL=logical-hostname.domain

    5. ファイル /usr/sap/SAPSID/ INSTANCE_NAME/igs/conf/igs.xml 内の物理ホスト名を論理ホスト名で置き換えます。 SAPSID は SAP システムの ID、INSTANCE_NAME は SAP インスタンス名です。

  7. SAP 構成ツールを使用して、SAP J2EE engine の設定を変更し、論理ホスト名を参照させます。

    SAP 構成ツールを起動するには、スクリプト offlinecfgeditor.sh を使用します。このスクリプトは、ディレクトリ /usr/sap/SAPSID/JCINSTANCE_NUMBER /j2ee/configtool に保存されています。

    1. LockingManager の部分で、enqu.host を変更し、SAP enqueue server の論理ホスト名を参照させます。(一般設定とインスタンス固有の設定の) すべての設定で、このエントリをチェックします。

    2. LockingManager の部分で、enq.profile.filename をすべて変更して、論理ホスト名を使うようにします。たとえば、SAPSID_JC INSTANCE_NUMBER_physicalhost を SAPSID_JCINSTANCE_NUMBER_logicalhost に変更します。新しいファイル名は、ファイル /sapmnt/SAPSID/profile のファイル名と同じでなければなりません。

    3. ClusterManager の部分で、ms.host を変更し、SAP message server の論理ホスト名を参照させます。

    4. enqu.port パラメータと URL dbpool パラメータの URL の設定が正しいことを確認します。

SAP Web Application Server をクラスタで実行するには

次のリソースグループは、この手順で作成されます。

クラスタで SAP J2EE engine を実行させる手順は、別の節に記載されています。「クラスタで SAP J2EE Engine を実行できるようにするには」を参照してください。

  1. クラスタノード上にインストールするクラスタノード上でスーパーユーザーになります。

  2. SAP central services のリソースグループを作成します。

    SAP central services リソースグループは、SAP enqueue server リソース、SAP message server リソースとこれらのリソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーグループです。


    # scrgadm -a  -g central-rg
    -a

    追加する新しいリソースグループを指定します。

    -g central-rg

    追加するリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

  3. 手順 2 で作成したリソースグループに logical-host-name リソースを追加します。


    # scrgadm -a -L -g central-rg  -l central-logical-hostname [ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -g central-rg

    手順 2 で作成したリソースグループに追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -l central-logical-hostname

    SAP central services リソースの logical-host-name を指定します。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードで、ホスト名リストによって識別されるサブネットのネットワークインタフェースの検出が行われます。

  4. SAP central services リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z  -g central-rg
    -Z

    オンラインにするリソースグループを指定します。

    -g central-rg

    オンラインにするリソースグループの名前を指定します。この名前は、手順 2 で作成したリソースグループの名前です。

  5. SAP replica server のリソースグループを作成します。

    SAP replica server リソースグループは、SAP replica server リソースとこのリソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーリソースグループです。


    # scrgadm -a  -g repl-rg
    -a

    追加する新しいリソースグループを指定します。

    -g repl-rg

    追加するリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

  6. 手順 5 で作成したリソースグループに logical-host-name リソースを追加します。


    # scrgadm -a -L -g repl-rg  -l saprepl-logical-hostname [ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -g repl-rg

    手順 5 で作成したリソースグループに追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -l saprepl-logical-hostname

    SAP replica server リソースの論理ホスト名を指定します。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードで、ホスト名リストによって識別されるサブネットのネットワークインタフェースの検出が行われます。

  7. SAP replica server リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z  -g repl-rg
    -Z

    オンラインにするリソースグループを指定します。

    -g repl-rg

    オンラインにするリソースグループの名前を指定します。この名前は、手順 5 で作成したリソースグループの名前です。

  8. SAP central services リソースグループと SAP replica server リソースグループ間に弱い肯定的なアフィニティを設定します。

    この弱い肯定的なアフィニティ設定により、フェイルオーバー時、SAP central services リソースグループは、SAP replica server リソースグループが実行されていたノードにフェイルオーバーします。


    # scrgadm -c  -g central-rg  -y RG_affinities=+repl-rg
    -c

    変更するリソースグループを指定します。

    -g central-rg

    変更するリソースグループの名前を指定します。

    -y RG_affinities=+repl-rg

    central-rg リソースグループが repl-rg リソースグループに対して弱い肯定的なアフィニティを持つことを指定します。

  9. SAP central services リソースグループと SAP replica server リソースグループが同じノードでオンラインの場合は、どちらかを別のノードに切り替えます。

    このリソースグループ間に強い肯定的なアフィニティを設定する前に、2 つのリソースグループが別々のノード上で制御されるようにしてください。


    # scswitch -z  -g rg  -h node
    -z

    別のノードに切り替えるリソースグループを指定します。

    -g rg

    切り替えるリソースグループの名前を指定します。このリソースグループは、SAP central services リソースグループの場合と SAP replica server リソースグループの場合があります。

    -h node

    リソースグループを切り替える先のノードを指定します。

  10. SAP central services リソースグループと SAP replica server リソースグループ間に強い肯定的なアフィニティを設定します。

    この肯定的なアフィニティ設定によって、ノードのフェイルオーバーが適切に行われます。SAP central services リソースグループは、SAP replica server リソースグループが実行されていたノードにフェイルオーバーされます。次に、SAP replica server リソースグループは、別の使用可能なノードにフェイルオーバーされます。

    SAP replica server リソースグループが、SAP central services リソースグループがオンラインのノードでオンラインになったり、オンライン状態を持続したりすることはできません。


    # scrgadm -c  -g repl-rg  -y RG_affinities=--central-rg
    -c

    変更するリソースグループを指定します。

    -g repl-rg

    変更するリソースグループの名前を指定します。

    -y RG_affinities=--central-rg

    central-rg リソースグループが repl-rg リソースグループに対して強い肯定的なアフィニティを持つことを指定します。

  11. SAP web application server コンポーネントのリソースグループを作成します。

    SAP web application server リソースグループは、SAP web application server コンポーネントのリソースを含むフェイルオーバーまたはスケーラブルリソースグループとして構成できます。SAP web application server をフェイルオーバーリソースとして構成した場合、このリソースの論理ホスト名は、SAP web application server リソースグループにも含まれます。

    • フェイルオーバーリソースグループを作成するには、次のコマンドを使用します。


      # scrgadm -a  -g webas-rg

    • スケーラブルリソースグループを作成するには、次のコマンドを使用します。


      # scrgadm -a  -g scalwebas-rg \
-y Maximum_primaries=value  -y Desired_primaries=value
    -a

    追加する新しいリソースグループを指定します。

    -g webas-rg

    追加するフェイルオーバーリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

    -g scalwebas-rg

    追加するスケーラブルリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

    -y Maximum_primaries= value

    このスケーラブルリソースグループの主ノードの最大数を指定します。

    -y Desired_primaries= value

    このスケーラブルリソースグループの主ノードの必要な数を指定します。

  12. 手順 11 で作成したリソースグループをフェイルオーバーリソースグループとして構成する場合は、logical-host-name リソースをリソースグループに追加します。

    手順 11 で作成したリソースグループをスケーラブルリソースグループとして構成する場合は、この手順より先に進んでください。


    # scrgadm -a -L -g webas-rg  -l webas-logical-hostname [ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -g webas-rg

    手順 11 で作成したリソースグループに追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -l webas-logical-hostname

    SAP web application server コンポーネントリソースの logical-host-name を指定します。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードで、ホスト名リストによって識別されるサブネットのネットワークインタフェースの検出が行われます。

  13. SAP web application server リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z  -g webas-rg
    -Z

    オンラインにするリソースグループを指定します。

    -g webas-rg

    オンラインにするリソースグループの名前を指定します。この名前は、手順 11 で作成したリソースグループの名前です。

  14. (省略可能) 重要ではないリソースグループを負荷解除するようにクラスタを構成することを検討します。

    重要で優先度の高い SAP central services リソースがフェイルオーバーできるノードで、重要ではなく優先度が低い SAP web application server コンポーネントリソースを実行するように計画する場合があります。この場合は、リソースグループ間に強い否定的なアフィニティを設定することを検討してください。この設定により、優先度の高い SAP central services リソースが、優先度の低い SAP web application server コンポーネントリソースが実行されているノードにフェイルオーバーする場合、優先度の低いリソースは負荷解除され、重要な SAP central services リソースのために使用できるようそのノードのリソースは自動的に解放されます。


    # scrgadm -c  -g webas-rg  -y RG_affinities=--central-rg
    -c

    変更するリソースグループを指定します。

    -g webas-rg

    変更するリソースグループの名前を指定します。

    -y RG_affinities=--central-rg

    webas-rg リソースグループが repl-rg リソースグループに対して強い否定的なアフィニティを持つことを指定します。central-rg リソースグループが webas-rg リソースグループが実行されているノードにフェイルオーバーすると、webas-rg リソースグループは負荷解除されます。

  15. SAP Web Application Server インストールおよび構成プロセスで変更されたすべてのシステムファイルを SAP Web Application Server リソースを実行するすべてのノードにコピーします。これらのファイルには、次のファイルが含まれます。

    • /etc/passwd

    • /etc/group

    • /etc/system

    • /etc/services

クラスタで SAP J2EE Engine を実行できるようにするには

  1. SAP J2EE engine のリソースグループを作成します。

    SAP J2EE engine リソースグループは、SAP J2EE engine 用のリソースとそのリソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーグループです。


    # scrgadm -a  -g j2ee-rg
    -a

    追加する新しいリソースグループを指定します。

    -g j2ee-rg

    追加するリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。この名前は、「SAP J2EE Engine リソースを登録して構成するには」の手順 4 で SAP J2EE engine リソースを構成するときに使用します。

  2. logical-host-name リソースを手順 1 で作成したリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g j2ee-rg  -l j2ee-logical-hostname [ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -g j2ee-rg

    手順 1 で作成したリソースグループに追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -l j2ee-logical-hostname

    SAP J2EE engine リソースの logical-host name を指定します。この名前は、「SAP J2EE Engine リソースを登録して構成するには」の手順 4 で SAP J2EE engine リソースを構成するときに使用します。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードで、ホスト名リストによって識別されるサブネットのネットワークインタフェースの検出が行われます。

  3. SAP J2EE engine リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z  -g j2ee-rg
    -Z

    オンラインにするリソースグループを指定します。

    -g j2ee-rg

    オンラインにするリソースグループの名前を指定します。この名前は、手順 1 で作成したリソースグループの名前です。