Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

Procedure追加のクラスタノードとして Sun Cluster ソフトウェアを構成する (scinstall)

この手順を実行して、新しいノードを既存のクラスタに追加します。JumpStart を使用して新しいノードを追加するには、代わりに、「Solaris と Sun Cluster ソフトウェアをインストールする (JumpStart)」の手順に従います。

始める前に

次の作業を実行します。

この手順で対話式 scinstall ユーティリティーを使用するときには、次のガイドラインに従ってください。

手順
  1. このノードを単一ノードクラスタに追加する場合は、インターコネクト構成を表示して、2 つのクラスタインターコネクトがすでに存在していることを確認します。


    # scconf -p | grep cable
    # scconf -p | grep adapter
    

    少なくとも 2 つのケーブルまたは 2 つのアダプタを構成しなければなりません。

    • 2 つのケーブルまたは 2 つのアダプタの構成情報が表示されている場合は、手順 2 に進みます。

    • 複数のケーブルまたはアダプタの構成情報が表示されていない場合、あるいは、1 つのケーブルまたはアダプタだけの構成情報が表示されている場合は、新しいクラスタインターコネクトを構成します。

      1. 既存のクラスタノードで scsetup(1M) ユーティリティーを開始します。


        # scsetup
        
      2. 「クラスタインターコネクト」という項目を選択します。

      3. 「トランスポートケーブルを追加」という項目を選択します。

        指示通りにクラスタに追加するノードの名前、トランスポートアダプタの名前、およびトランスポート接続点を使用するかどうかを指定します。

      4. 必要であれば、手順 c を繰り返して、2 番目のクラスタインターコネクトを構成します。

        完了後 scsetup ユーティリティーを終了します。

      5. クラスタに 2 つのクラスタインターコネクトが設定されていることを確認します。


        # scconf -p | grep cable
        # scconf -p | grep adapter
        

        コマンド出力は、少なくとも 2 つのクラスタインターコネクトの構成情報を表示する必要があります。

  2. このノードを既存のクラスタに追加する場合は、新しいノードをクラスタの承認済みノードリストに追加します。

    1. アクティブなクラスタメンバーで、scsetup(1M) ユーティリティーを開始します。


      # scsetup
      

      メインメニューが表示されます。

    2. メニュー項目から「新規ノード」を選択します。

    3. メニューから「自分自身を追加できるマシン名を指定」を選択します。

    4. プロンプトに従って、ノードの名前を認識されているマシンのリストに追加します。

      scsetup ユーティリティーは、作業がエラーなしで完了された場合、「Command completed successfully」というメッセージを出力します。

    5. scsetup ユーティリティーを終了します。

  3. 構成するクラスタノードでスーパーユーザーになります。

  4. scinstall ユーティリティーを起動します。


    # /usr/cluster/bin/scinstall
    
  5. 「メインメニュー」から「クラスタまたはクラスタノードをインストール」という項目を選択します。


      *** メインメニュー ***
    
        次の (*) オプションのうちから 1 つを選択してください:
    
          * 1) クラスタまたはクラスタノードをインストール
            2) このインストールサーバーから JumpStart できるようにクラスタを構成
            3) 新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加
            4) このクラスタノードをアップグレード
          * 5) このクラスタノードのリリース情報を出力
    
          * ?) メニューオプションのヘルプ
          * q) 終了
    
        オプション:  1
    
  6. 「インストールメニュー」 から 「このマシンを既存のクラスタ内にノードとして追加」という項目を選択します。

  7. メニュープロンプトに従って、 構成計画ワークシートから回答を入力します。

    scinstall ユーティリティーがノードを構成し、クラスタのノードを起動します。

  8. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


    # eject cdrom
    
  9. Sun Cluster ソフトウェアをサポートするのに必要なパッチをインストールしていない場合は、これらのパッチをすべてインストールします。

  10. 他のノードでもこの手順を繰り返して、すべての追加ノードの構成が完了するまでクラスタに追加します。

  11. Solaris 10 OS の場合、各ノードで Service Management Facility (SMF) 用のマルチユーザーサービスがオンラインであることを確認します。

    あるノードでこれらのサービスがまだオンラインでない場合は、オンラインになるまで待機してから、次の手順に進みます。


    # svcs multi-user-server
    STATE          STIME    FMRI
    online         17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default
  12. アクティブなクラスタメンバーから、ノードがクラスタに接続するのを防止します。


    # /usr/cluster/bin/scconf -a -T node=.
    
    -a

    コマンドの追加形式を指定します。

    -T

    認証オプションを指定します。

    node=.

    認証リストに追加するドット (.) のノード名を指定して、これ以外のノードがクラスタに追加されるのを防止します。

    あるいは、scsetup(1M) ユーティリティーも使用できます。手順については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』「ノードを認証ノードリストに追加する」を参照してください。

  13. 任意のノードから、すべてのノードがクラスタに結合していることを確認します。

    scstat(1M) コマンドを実行して、クラスタノードのリストを表示します。このコマンドを実行するために、スーパーユーザーとしてログインする必要はありません。


    % scstat -n
    

    出力は次のようになります。


    -- クラスターノード --
                                  ノード名       状態
                                  --------       ----
      クラスターノード:            phys-schost-1  Online
      クラスターノード:            phys-schost-2  Online
  14. ループバックファイルシステム (LOFS) を再び有効にするには、クラスタの各ノードの /etc/system ファイルから次のエントリを削除します。


    exclude:lofs

    このあと、システムをリブートすると、LOFS が再び有効になります。


    注 –

    Sun Cluster HA for NFS を高可用性ローカルファイルシステム上で使用しており、かつ、automountd を実行している場合、 LOFS は有効にできません。LOFS は、Sun Cluster HA for NFS のスイッチオーバーの問題の原因になる可能性があります。LOFS を有効にしたあとで、Sun Cluster HA for NFS を高可用性ローカルファイルシステムに追加することを選択した場合は、次のうちの 1 つを行う必要があります。

    • クラスタの各ノードの /etc/system ファイルに exclude:lofs エントリを戻して、各ノードをリブートします。この変更によって、LOFS は無効になります。

    • automountd デーモンを無効にします。

    • 高可用性ローカルファイルシステムの一部であり、Sun Cluster HA for NFS によってエクスポートされるファイルをすべて、オートマウンタマップから除外します。この方法では、LOFS と automountd デーモンの両方を有効にしたままにできます。


    ループバックファイルシステムの詳細については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』(Solaris 8) または『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』(Solaris 9 または Solaris 10) を参照してください。


例 2–2 Sun Cluster ソフトウェアを追加ノードで構成する

次の例では、ノード phys-schost-3 をクラスタ schost に追加しています。スポンサーノードは、phys-schost-1 です。


*** 既存のクラスタにノードを追加する ***
Fri Feb  4 10:17:53 PST 2005


scinstall -ik -C schost -N phys-schost-1 -A trtype=dlpi,name=qfe2 -A trtype=dlpi,name=qfe3 
-m endpoint=:qfe2,endpoint=switch1 -m endpoint=:qfe3,endpoint=switch2
	

広域デバイスファイルシステムとして使用できるかどうかをチェックしています ... done

ノード「phys-schost-3」をクラスタ構成に追加しています ... done
アダプタ「qfe2」をクラスタ構成に追加しています ... done
アダプタ「qfe3」をクラスタ構成に追加しています ... done
ケーブルをクラスタ構成に追加しています ... done
ケーブルをクラスタ構成に追加しています ... done

「phys-schost-1」からクラスタ構成をコピーしています ... done

「phys-schost-1」から postconfig ファイルをコピーしています (存在する場合) ... done
「phys-schost-1」から Common Agent Container キーをコピーしています ... done


「phys-schost-3」のノード ID を設定しています ... done (id=1)

「did」ドライバのメジャー番号を設定しています  ... 
「phys-schost-1」から「did」ドライバのメジャー番号を取得しています ... done
「did」ドライバのメジャー番号が 300 に設定されました

広域ファイルシステムの広域デバイスをチェックしています ... done
vfstab を更新しています... done

NTP が構成されているかどうかを確認しています ... done
NTP 構成を初期化しています ... done

nsswitch.conf を更新しています ... 
done

クラスタノードエントリを /etc/inet/hosts に追加しています ... done


IP マルチパスグループを「/etc/hostname.<adapter>」ファイル内に構成しています

"/etc/hostname.hme0" を更新しています。

電源管理が構成されていないことを確認しています ... done

EEPROM パラメータ「local-mac-address?」が「true」に設定されていることを確認しています ... done
「local-mac-address?」パラメータ設定が「true」に変更されました。

ネットワークルーティングが無効であることを確認しています ... done

ノード「phys-schost-1」上のファイル「ntp.conf.cluster」を更新しています ... done
ノード「phys-schost-1」上のファイル「hosts」を更新しています  ... done

リブートしています ... 

次の手順

次に行う手順を決定します。

2 ノードクラスタにノードを追加した場合は、「ノードの追加後に SCSI 予約を更新する」に進みます。

データサービスをインストールする予定の場合は、インストールするデータサービスと使用している Solaris OS のバージョンに適合する手順に進んでください。

 

Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM 

(Sun Java System データサービス) 

Sun Cluster Agents CD 

(それ以外のすべてのデータサービス) 

手続き 

Solaris 8 または 9 

Solaris 10 

Solaris 8 または 9 

Solaris 10 

「Sun Cluster フレームワークとデータサービスソフトウェアパッケージをインストールする (Java ES installer)」

     

「データサービスソフトウェアパッケージをインストールする (pkgadd)」

 

   

「データサービスソフトウェアパッケージをインストールする (scinstall)」

   

「データサービスソフトウェアパッケージをインストールする (Web Start installer)」

   

 

それ以外の場合は、「定足数構成とインストールモードを確認する」に進みます。

注意事項

定足数デバイスへのノード接続の数を増やしたり、減らしたりしても、クラスタは自動的に定足数投票カウントを再計算しません。正しい定足数投票カウントをもう一度確立するには、scsetup ユーティリティーを使用して、各定足数デバイスを取り外し、もう一度構成に追加します。この作業は、1 度に 1 つの定足数デバイスで行います。

クラスタが持つ定足数デバイスが 1 つしかない場合、元の定足数デバイスを削除して再度追加する前に 2 つめの定足数デバイスを構成してください。その後、2 つめの定足数デバイスを削除して、そのクラスタを元の構成に戻してください。