Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は、Domain Administration Server (DAS) コンポーネントをフェイルオーバーデータサービスとして構成することにより、このコンポーネントの可用性を高めます。DAS は、フェイルオーバー IP アドレスで待機するように構成する必要があります。停止した DAS を検出した場合 Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は、再試行の回数と間隔にもとづき、ローカルに DAS を再起動するか、あるいは DAS をほかのノードにフェイルオーバーします。
Node Agent (NA) コンポーネントも、フェイルオーバーデータサービスとして構成されます。Node Agent は、多数の Application Server インスタンスを管理するように構成されることもあります。これにより、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server データサービスはこれらのインスタンスをすべて間接的に管理するようになります。Node Agent と Application Server インスタンスはすべて、フェイルオーバー IP アドレスで待機するように構成する必要があります。
Application Server インスタンスが停止した場合、Node Agent がそれらを再起動します。消失したトランザクションは、インスタンスの再起動時に復元されます。Node Agent と Application Server インスタンスが動作している Sun Cluster ノードがクラッシュした場合には、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は Node Agent と Application Server インスタンスをほかの Sun Cluster ノードにフェイルオーバーします。
作成される Node Agent リソースは、1 つのフェイルオーバー IP アドレスに構成されているすべての Node Agent 用に 1 つだけです。データサービスは、フェイルオーバーリソースグループに作成されているフェイルオーバー IP アドレスに構成されている Node Agent を自動的に検出します。
次に、4 つの Node Agent から成る構成例を示します。
Node Agent NA1 と、これに関連するサーバーインスタンス I1 および I2 は、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機するように構成されています。
Node Agent NA2 と、これに関連するサーバーインスタンス I3 および I4 も、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機するように構成されています。
Node Agent NA3 と、これに関連するサーバーインスタンス I5 および I6 は、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機するように構成されています。
Node Agent NA4 と、これに関連するサーバーインスタンス I7 および I8 も、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機するように構成されています。
この例では、Node Agent NA1 および NA2 と、それらのすべてのサーバーインスタンス用にリソースが 1 つだけ作成されています。
4 つの Node Agent 用にリソースを作成する詳しい例は、「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server でフェイルオーバー Node Agent コンポーネントを作成する例」に示されています。
以下の節では、 2 つの Node Agent だけが示されています。
次の図は、ノード障害 (停止) が発生する前のフェイルオーバー DAS とフェイルオーバー Node Agent の構成を示しています。
この図は、以下の設定を示しています。
2 つの物理ノード Node1 と Node2 が存在します。
DAS は Node1 上のフェイルオーバーリソースグループ RG1 に含まれ、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機します。
Node Agent NA1 と、この Node Agent が管理する Application Server インスタンス I1 および I2 は Node1 上のリソースグループ RG2 に含まれ、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機します。
Node Agent NA2 とこの Node Agent が管理する Application Server インスタンス I3 および I4 は Node2 上のリソースグループ RG3 に入っており、フェイルオーバー IP アドレス IP3 で待機します。
ドメインは、Domain1 だけが存在します。このドメインに、DAS と 2 つの Node Agent、ならびにそれらの Node Agent で管理されるすべてのインスタンスが入ります。
Application Server は広域ファイルシステム (GFS) にインストールされており、Node1 と Node2 双方のコンポーネントにアクセスできます。
これらのリソースグループをオンラインにすると Node Agent が起動し、この起動により、Node Agent によって管理される Application Server インスタンスが起動します。
次の図は、ノード障害が発生したあとのフェイルオーバー DAS と フェイルオーバー Node Agent の構成を示しています。
Node1 で障害が発生したあと、リソースグループ RG1 と RG2 は Node2 にフェイルオーバーします。リソースグループ RG1 には、DAS とそのフェイルオーバーアドレス IP1 が入っています。リソースグループ RG2 には、Node Agent NA1、インスタンス I1 および I2 と、それらのフェイルオーバーアドレス IP2 が入っています。