この章では、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server (サポートバージョン 8.1) をインストールして構成する手順について説明します。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server (8.1 より前のバージョン) のインストールと構成については、第 2 章「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成 (8.1 より前のバージョン)」を参照してください。
この章の内容は次のとおりです。
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成作業の概要」
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成の計画」
「Sun Java System Application Server のインストールと構成の検証 (サポートバージョン 8.1)」
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージのインストール」
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の登録と構成 (サポートバージョン 8.1)」
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の障害モニターの調整」
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成の確認」
この節では、Sun Java System Application Server の高可用性を Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server によってどう実現するかについて説明します。Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成の新しい情報については、『Sun Cluster Data Service Release Notes for Solaris OS』を参照してください。
関連したトピック (データサービス、リソースグループ、リソースなど) についての概要は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」と『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』を参照してください。
Sun Java System Application Server は、エンタープライズアプリケーションの開発、配備、管理に使用できる堅固な Java 2 Enterprise Edition (J2EE™) プラットフォームを提供します。代表的な機能として、トランザクション管理、パフォーマンス、スケーラビリティー、セキュリティー、統合などが挙げられます。
Sun Java System Application Server は、Web パブリッシングからエンタープライズ規模のトランザクション処理まで対応しています。またこのデータサービスによって開発者は、JavaServer PagesTM (JSPTM)、Java サーブレット、Enterprise JavaBeansTM (EJBTM) 技術などをベースにしたアプリケーションの開発も行えます。 Sun Java System Application Server Enterprise Edition は、高度なクラスタリング技術とフェイルオーバー技術を提供します。これらの機能によりユーザーは、スケーラブルな高可用 J2EE アプリケーションを実行できます。
リッチクライアントは、Sun Java System Application Server に直接接続できます。Web クライアントは、フロントエンドの Web サーバーを通じて Sun Java System Application Server に接続できます。Sun Java System Application Server は、パススループラグインインストールを Sun Java System Web Server に提供します。
Sun Java System Application Server (サポートバージョン 8.1) は、いくつかのコンポーネントから構成されています。
Domain Administration Server (DAS)
Node Agent (NA) とサーバーインスタンス
Sun Java System Message Queue
Sun Java System Application Server EE (HADB)
アーキテクチャーが依存するプログラムの存在は、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server を実装するための前提条件ではありません。データベース、Web サーバーといったアーキテクチャーが依存するプログラムは、高可用性対応として構成すべきですが、別のクラスタで実行することは可能です。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は、Sun Java System Application Server Enterprise Edition で提供されている高可用性を補完する高い可用性を実現しています。Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は、Domain Administration Server をフェイルオーバー Sun Cluster データサービスとして実行することによりこのサーバーの可用性を高めます。Node Agent もフェイルオーバー Sun Cluster データサービスとして実行することによって可用性が高くなります。また、Sun Java System Application Server Enterprise Edition の機能の 1 つとして、Node Agent は、Sun Java System Application Server インスタンスの可用性を高めます。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は、トランザクションの可用性を高めます。Sun Java System Application Server のインスタンスを実行しているノードがクラッシュすると、ほかのノードで実行されているインスタンスによって復元されないかぎりトランザクションは消失します。トランザクションは、クラッシュしたサーバーインスタンスを同じノードまたは別のノード上で再起動することによっても復元できます。Node Agent はフェイルオーバーデータサービスとして構成されるため、データサービスはクラッシュしたインスタンスをほかの Sun Cluster ノードにフェイルオーバーし、新しい Sun Cluster ノードでサーバーが起動する時点でトランザクションが復元されるようにします。
Sun Java System Application Server EE は、Sun Java System Message Queue と Sun Java System Application Server EE (HADB) をインストールします。
Sun Java System Message Queue を構成して高可用性を実現するには、『Sun Cluster Data Service for Sun Java System Message Queue ガイド (Solaris OS 版)』を参照してください。
Sun Java System Application Server EE (HADB) を構成して高可用性を実現するには、『Sun Cluster Data Service for Sun Java System Application Server EE (HADB) ガイド (Solaris OS 版)』を参照してください。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は、Domain Administration Server (DAS) コンポーネントをフェイルオーバーデータサービスとして構成することにより、このコンポーネントの可用性を高めます。DAS は、フェイルオーバー IP アドレスで待機するように構成する必要があります。停止した DAS を検出した場合 Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は、再試行の回数と間隔にもとづき、ローカルに DAS を再起動するか、あるいは DAS をほかのノードにフェイルオーバーします。
Node Agent (NA) コンポーネントも、フェイルオーバーデータサービスとして構成されます。Node Agent は、多数の Application Server インスタンスを管理するように構成されることもあります。これにより、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server データサービスはこれらのインスタンスをすべて間接的に管理するようになります。Node Agent と Application Server インスタンスはすべて、フェイルオーバー IP アドレスで待機するように構成する必要があります。
Application Server インスタンスが停止した場合、Node Agent がそれらを再起動します。消失したトランザクションは、インスタンスの再起動時に復元されます。Node Agent と Application Server インスタンスが動作している Sun Cluster ノードがクラッシュした場合には、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server は Node Agent と Application Server インスタンスをほかの Sun Cluster ノードにフェイルオーバーします。
作成される Node Agent リソースは、1 つのフェイルオーバー IP アドレスに構成されているすべての Node Agent 用に 1 つだけです。データサービスは、フェイルオーバーリソースグループに作成されているフェイルオーバー IP アドレスに構成されている Node Agent を自動的に検出します。
次に、4 つの Node Agent から成る構成例を示します。
Node Agent NA1 と、これに関連するサーバーインスタンス I1 および I2 は、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機するように構成されています。
Node Agent NA2 と、これに関連するサーバーインスタンス I3 および I4 も、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機するように構成されています。
Node Agent NA3 と、これに関連するサーバーインスタンス I5 および I6 は、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機するように構成されています。
Node Agent NA4 と、これに関連するサーバーインスタンス I7 および I8 も、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機するように構成されています。
この例では、Node Agent NA1 および NA2 と、それらのすべてのサーバーインスタンス用にリソースが 1 つだけ作成されています。
4 つの Node Agent 用にリソースを作成する詳しい例は、「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server でフェイルオーバー Node Agent コンポーネントを作成する例」に示されています。
以下の節では、 2 つの Node Agent だけが示されています。
次の図は、ノード障害 (停止) が発生する前のフェイルオーバー DAS とフェイルオーバー Node Agent の構成を示しています。
この図は、以下の設定を示しています。
2 つの物理ノード Node1 と Node2 が存在します。
DAS は Node1 上のフェイルオーバーリソースグループ RG1 に含まれ、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機します。
Node Agent NA1 と、この Node Agent が管理する Application Server インスタンス I1 および I2 は Node1 上のリソースグループ RG2 に含まれ、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機します。
Node Agent NA2 とこの Node Agent が管理する Application Server インスタンス I3 および I4 は Node2 上のリソースグループ RG3 に入っており、フェイルオーバー IP アドレス IP3 で待機します。
ドメインは、Domain1 だけが存在します。このドメインに、DAS と 2 つの Node Agent、ならびにそれらの Node Agent で管理されるすべてのインスタンスが入ります。
Application Server は広域ファイルシステム (GFS) にインストールされており、Node1 と Node2 双方のコンポーネントにアクセスできます。
これらのリソースグループをオンラインにすると Node Agent が起動し、この起動により、Node Agent によって管理される Application Server インスタンスが起動します。
次の図は、ノード障害が発生したあとのフェイルオーバー DAS と フェイルオーバー Node Agent の構成を示しています。
Node1 で障害が発生したあと、リソースグループ RG1 と RG2 は Node2 にフェイルオーバーします。リソースグループ RG1 には、DAS とそのフェイルオーバーアドレス IP1 が入っています。リソースグループ RG2 には、Node Agent NA1、インスタンス I1 および I2 と、それらのフェイルオーバーアドレス IP2 が入っています。
次の表に、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成に関連した作業の概要を示します。指定された順番どおりに、各作業を行ってください。
表 1–1 作業マップ: Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成
タスク |
参照先 |
---|---|
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成の計画 |
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成の計画」 |
Sun Java System Application Server のインストールと構成 | |
Sun Java System Application Server のインストールと構成の検証 |
「Sun Java System Application Server のインストールと構成の検証 (サポートバージョン 8.1)」 |
Sun Java System Web Server プラグインの構成 | |
(省略可能) HADB とともに Sun Java System Application Server を使用 | |
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージのインストール |
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージのインストール」 |
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の登録と構成 |
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の登録と構成 (サポートバージョン 8.1)」 |
(省略可能) SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの構成 | |
(省略可能) Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server 障害モニターの調整 |
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の障害モニターの調整」 |
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成の確認 |
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成の確認」 |
Sun Cluster 構成で複数のデータサービスを実行している場合は、任意の順序でデータサービスを設定できます。ただし、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server が Sun Cluster HA for DNS に依存する場合は、DNS を最初に設定する必要があります。詳細は、『Sun Cluster Data Service for DNS ガイド (Solaris OS 版)』を参照してください。DNS ソフトウェアは、Solaris オペレーティング環境に含まれています。クラスタが別のサーバーから DNS サービスを取得する場合は、最初に、クラスタが DNS クライアントになるように構成してください。
この節では、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成を計画する上で必要な情報を示します。
インストールを開始する前に、次に示す制限と要件について考慮してください。
Sun Java System Application Server は、Sun Cluster ノード上の広域ファイルシステムまたはローカルファイルシステム上にインストールできます。Domain Administration Server 用のディレクトリと Node Agent 用のディレクトリは、広域ファイルシステム上に存在する必要があります。
静的ファイルとデータは、各クラスタノードのローカルファイルシステム上に格納します。動的なデータは、クラスタファイルシステム上に存在する必要があります。
Domain Administration Server は、フェイルオーバー IP アドレスで待機するように構成する必要があります。インストールを開始する前に、DAS に使用するフェイルオーバー IP アドレスを決定してください。
インスタンスと Node Agent もフェイルオーバー IP アドレス (論理ホスト名で表される) で待機するように構成する必要があります。インストールを開始する前に、各 Node Agent に使用するフェイルオーバー論理ホスト名を決定してください。
Sun Cluster の制御下でアプリケーションインスタンスが動作している間は、Sun Java System Application Server インスタンスの起動または停止に Sun Java System Application Server 管理ツールを使用しないでください。
一部の管理コマンドとアクションには、Sun Java System Application Server 管理パスワードが必要です。このパスワードは、Sun Java System Application Server マニュアルで指定されている構文で作成されたファイルに設定する必要があります。リソースを作成する際には、拡張プロパティーにこのファイルのパスを指定する必要があります。この拡張プロパティーと、ファイル内におけるパスワードエントリの構文についての説明は、「SUNW.jsas 拡張プロパティー」を参照してください。
Sun Java System Application Server Domain Administration Server (DAS) は、ユーザーにマスターパスワードの入力を求めることなく起動する必要があります。このため、DAS を作成する場合は savemasterpassword オプションを true に設定してください。
この節では、Sun Java System Application Server のインストールと構成について説明します。ここでは、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server に固有の情報だけを挙げています。パッチ要件をはじめとする、インストール手順の詳細はSun Java System Application Server のマニュアルを参照してください。
インストールを開始する前に、domain.xml ファイル内の JMS-service エントリを REMOTE に設定してください。
Sun Java System Application Server 内のコンポーネントを Sun Cluster 上で稼働させるには、それらのコンポーネントのネットワークリソースを設定する必要があります。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
Domain Administration Server (DAS) アプリケーションリソースと、DAS が使用するネットワークリソースを含むフェイルオーバーリソースグループを作成します。
フェイルオーバー IP アドレスは、DAS リソースのネットワークリソースです。
# scrgadm -a -g DAS-resource-group [-h nodelist] |
DAS リソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できます。
潜在マスターを識別するための物理ノード名をコンマで区切って指定します (省略可能)。フェイルオーバー時、ノードはこのリスト内の順番に従ってプライマリとして判別されます。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。
DAS リソースグループにネットワークリソースを追加します。
次のコマンドを使用して、DAS リソースグループにフェイルオーバー IP アドレスを追加します。
# scrgadm -a -L -g DAS-resource-group -l IP-address |
ネットワークリソースを追加することを示します。
DAS リソースグループの名前を指定します。
このリソースグループ内のネットワークリソースであるフェイルオーバー IP アドレスを指定します。
DAS リソースグループをオンラインにします。
このリソースグループをオンラインにすると、DAS のフェイルオーバー IP アドレスリソースが有効になります。
# scswitch -Z -g DAS-resource-group |
DAS リソースグループを MANAGED 状態に移行し、続いてオンラインにします。このコマンドにより、リソースグループ内のリソースも有効になります。
DAS リソースグループの名前を指定します。
Node Agent 用のリソースグループと、Node Agent が使用するネットワークリソースを作成します。
Node Agent のフェイルオーバーリソースグループを作成するには、次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -g NA-resource-group [-h nodelist] |
リソースグループにフェイルオーバー論理ホスト名を追加します。
# scrgadm -a -L -g NA-resource-group -l logical-hostname |
Node Agent リソースグループをオンラインにします。
これらのリソースグループをオンラインにすると、Node Agent のフェイルオーバー論理ホストリソースが有効になります。
# scswitch -Z -g NA-resource-group |
『Sun Java System Application Server Installation and Administration Guide』の説明に従って操作を行います。
Sun Java System Application Server は、ローカルファイルシステムまたは広域ファイルシステムのどちらにもインストールできます。
ドメインを作成する場合は、広域ファイルシステム内にドメインディレクトリを作成する必要があります。
SUNW.jsas リソースタイプの拡張プロパティー Domaindir は、ドメインディレクトリのパスを指定します。「SUNW.jsas 拡張プロパティー」を参照してください。
Node Agent を作成する場合は、広域ファイルシステム内に Node Agent ディレクトリを作成する必要があります。
ドメインを作成したあとで、DAS リスナーアドレスをすべてフェイルオーバー IP アドレスに変更します。
domain.xml 内の server-config エントリで、Domain Administration Server HTTP、HTTPS、IIOP などのリスナーアドレスをすべて Sun Cluster DAS リソース内で使用するフェイルオーバー IP アドレスに変更してください。
サーバーインスタンスと Node Agent が待機するフェイルオーバー論理ホスト名を構成します。
Node Agent と Sun Java System Application Server インスタンスが作成されると、デフォルトの動作として物理ノードアドレスがファイル domain.xml 内に設定されます。このため、物理アドレスを、Node Agent に使用する予定のフェイルオーバー論理ホスト名に変更する必要があります。
Node Agent 構成ディレクトリ内のファイル nodeagent.properties には、エントリ「agent.client.host=hostname」が入っています。hostname には、Node-Agent-name の稼働ノードとして構成される Sun Cluster ノードが指定されます。Node-Agent-name には、特定の Node Agent の名前が指定されます。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージをインストールする前に、Sun Java System Application Server ソフトウェアがすでにインストールされ、クラスタで動作するように構成されていることを確認してください。データサービスはまだインストールされておらず、アプリケーションはまだクラスタの制御下に置かれていないため、これらの手順は Sun Java System Application Server アプリケーションが高可用であることを検証するものではありません。
この手順では、ノードが Node1 および Node2 として特定された 2 ノード構成のクラスタを想定しています。以下のアクションは、「ネットワークリソースを構成して起動する」で行われました。
フェイルオーバー DAS リソースグループ DAS-resource-group が作成されました。
リソースグループに対し、フェイルオーバー IP アドレス IP-address がネットワークリソースとして追加されました。
このリソースグループがオンラインにされ、リソースが有効になりました。
Node1 上で、asadmin コマンドを使用して DAS を手動で起動します。
この時点で Domain Administration Server は、フェイルオーバー IP アドレス IP-address で待機するように すでに構成されていなければなりません。
ブラウザから管理用のコンソールに接続します。
https://IP-address:port |
管理用コンソールに接続していることを確認します。
Node1 上で、asadmin コマンドを使用して DAS を手動で停止します。
DAS リソースグループを Node1 から Node2 に切り替えます。
# scswitch -z -g DAS-resource-group -h Node2 |
このためには、Node1 でリソースグループをオフラインにし、Node2 でそのリソースグループをオンラインにします。リソースグループには、論理 IP アドレス IP-address が含まれます。
Node2 上で、asadmin コマンドを使用して DAS を手動で起動します。
ブラウザから管理用のコンソールに接続します。
https://IP-address:port |
ブラウザから管理用のコンソールに接続できない場合は、次の操作を行なってください。
「構成の制限と要件」に示されている制限と要件をインストールが満たしているかを確認します。
「Sun Java System Application Server をインストールして構成する」に示されている作業を正しく行なったかを確認します。
Node2 上で、asadmin コマンドを使用して DAS を手動で停止します。
この手順では、ノードが Node1 および Node2 として特定された 2 ノード構成のクラスタを想定しています。以下のアクションは、「ネットワークリソースを構成して起動する」で行われました。
フェイルオーバー Node Agent リソースグループ NA-resource-group が作成されました。
リソースグループに対し、フェイルオーバー論理ホスト logical-hostname がネットワークリソースとして追加されました。
このリソースグループがオンラインにされ、リソースが有効になりました。
Node1 で、 asadmin コマンドを使用して Node Agent を手動で起動します。
これにより、Node Agent と、この Node Agent に構成されているすべてのサーバーインスタンスが起動します。
Node Agent とサーバーインスタンスは、フェイルオーバーリソースグループ NA-resource-group に構成されているフェイルオーバー論理ホストで待機するように構成されています。
ブラウザからサーバーインスタンスに接続します。
http://logical-hostname:instance1-port |
http://logical-hostname:instance2-port |
サーバーインスタンス上に配備されたすべてのアプリケーションに接続できることを確認します。
サーバーインスタンスに配備されているアプリケーションに接続できない場合は、次の手順を実行します。
論理ホスト logical-hostname で待機するようにサーバーインスタンスと Node Agent が正しく構成されているかを確認します。
「構成の制限と要件」に示されている制限と要件をインストールが満たしているかを確認します。
「Sun Java System Application Server をインストールして構成する」に示されている作業を正しく行なったかを確認します。
Node1 で、asadmin コマンドを使用して Node Agent を停止します。
これにより、この Node Agent に構成されているすべてのサーバーインスタンスが停止します。
Node Agent リソースグループを Node1 から Node2 に切り替えます。
# scswitch -z -g NA-resource-group -h Node2 |
このためには、Node1 でリソースグループをオフラインにし、Node2 でそのリソースグループをオンラインにします。リソースグループには、論理ホスト logical-hostname が含まれます。
Node2 で、asadmin コマンドを使用して Node Agent を手動で起動します。
これにより、Node Agent と、この Node Agent に構成されているすべてのサーバーインスタンスが起動します。
ブラウザからサーバーインスタンスに接続します。
http://logical-hostname:instance1-port |
http://logical-hostname:instance2-port |
ブラウザからサーバーインスタンスに接続できない場合は、次の操作を行なってください。
論理ホスト logical-hostname で待機するようにサーバーインスタンスと Node Agent が正しく構成されているかを確認します。
「構成の制限と要件」に示されている制限と要件をインストールが満たしているかを確認します。
「Sun Java System Application Server をインストールして構成する」に示されている作業を正しく行なったかを確認します。
構成の検証が正常に完了したところで、asadmin コマンドを使用し、Node2 上の Node Agent とすべてのサーバーインスタンスを停止します。
Sun Java System Web Server プラグインは、Sun Java System Application Server においてパススルー負荷分散メカニズムとして使用できます。詳細は、Sun Java System Application Server のマニュアルページを参照してください。
Sun Java System Application Server の Enterprise Edition をクラスタ内で有効になっている HADB と共に使用するには、Sun Java System Application Server EE (HADB) 向け Sun Cluster データサービスをインストールして、構成します。手順については、『Sun Cluster Data Service for Sun Java System Application Server EE (HADB) ガイド (Solaris OS 版)』を参照してください。
Sun Cluster の初回のインストールで Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージをインストールしなかった場合は、ここで説明する作業を行なってパッケージをインストールしてください。この手順は、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージをインストールするクラスタノードごとに行なってください。
複数のデータサービスを同時にインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ソフトウェアのインストール」に示された手順を実行してください。
Solaris 10 を使用している場合は、これらのパッケージを大域ゾーンにだけインストールしてください。パッケージをインストールしたあとで作成されたローカルゾーンにそれらのパッケージが転送されないようにないようにするには、scinstall ユーティリティーを使用してパッケージをインストールしてください。Sun JavaTM Enterprise System インストーラ プログラムは使用しないでください。
この手順は、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server をマスターできるすべてのクラスタメンバーで実行してください。
Sun Cluster Agents CD があることを確認してください。
CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD をロードします。
オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。
scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。
メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。
scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。
Sun Cluster Agents CD のパスを指定します。
ユーティリティーはこの CD をデータサービス CD-ROM として示します。
インストールするデータサービスを指定します。
選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、選択を確定するように求められます。
scinstall ユーティリティーを終了します。
ドライブから CD を取り出します。
Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) と共に使用できます。CLI と GUI での作業の内容と手順はほとんど同じです。
この手順を完了するには、Sun JavaTM Enterprise System インストーラ CD-ROM が必要です。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージをインストールするクラスタノードで、スーパーユーザーになります。
(省略可能) GUI を使用して Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムを実行する場合は、DISPLAY 環境変数を設定しておく必要があります。
Sun JavaTM Enterprise System インストーラ CD-ROM を CD-ROM ドライブにロードします。
Volume Management デーモン vold(1M) が稼働していて、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、このデーモンが自動的に CD-ROM を /cdrom ディレクトリにマウントします。
CD-ROM の Sun JavaTM Enterprise System インストーラディレクトリに移動します。
# cd /cdrom/Solaris_sparc |
Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムを開始します。
# ./installer |
プロンプトが表示されたなら、ライセンス契約に同意し、必要な言語サポートを選択します。
デフォルトの言語サポートは英語です。
「Availability Services & Sun Cluster 3.1 Subcomponents」で Sun Java System for Sun Cluster Agents を選択し、次に進みます。
この選択では、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server も含め、Sun Java System アプリケーションで使用できる Sun Cluster データサービスをすべて選びます。
構成をいつ行うかを確認するプロンプトが表示されたら、「後で設定」を選択します。
インストールのあとで構成を行う場合は、「後で設定」を指定します。
(任意) 製品を登録して製品アップデートを受け取らない場合は、「インストール中に登録ウィンドウを開きます」ボックスのチェックを外します。
表示される手順に従って、ノードに Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージをインストールします。
Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムは、インストールの状況を表示します。インストールが完了すると、プログラムはインストールのサマリーとインストールログを表示します。
Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムを終了します。
インストーラプログラムを終了する前に、Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server が正常にインストールされていることを確認します。次のコマンドを実行して、パッケージの存在をチェックします。
# pkginfo -l SUNWscs1as |
Sun JavaTM Enterprise System インストーラ CD-ROM を CD-ROM ドライブからアンロードします。
次の手順では、scrgadm コマンドを使用して Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server を登録し、構成する方法について説明します。ここでは、付録 A 「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の拡張プロパティー (サポートバージョン 8.1)」に記載されている拡張プロパティーの設定方法について説明します。
Domain Administration Server (DAS) コンポーネントと Node Agent (NA) コンポーネントは、どちらもフェイルオーバーサービスとして構成されます。
データサービスの登録と構成に関連した一般的な情報は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。
以下の各項ではリソースの登録と構成について説明します。これらの説明は、設定が必要な Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の拡張プロパティーに限られています。Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のすべての拡張プロパティーは、付録 A 「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の拡張プロパティー (サポートバージョン 8.1)」に記載されています。拡張プロパティーの中には動的に変更できるものがあります。ただし、それ以外の拡張プロパティーは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。「調整可能」の欄には、そのプロパティーをいつ変更できるかが示されています。
リソースの拡張プロパティーを設定するには、リソースを作成または変更する scrgadm(1M) コマンドに次のオプションを含めます。
-x property=value |
設定する拡張プロパティーを指定します。
設定する拡張プロパティーの値を指定します。
リソースの作成後は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 2 章「データサービスリソースの管理」に示されている手順でリソースを構成できます。
この作業は、「ネットワークリソースを構成して起動する」ですでに DAS コンポーネントと NA コンポーネント用のフェイルオーバーリソースグループを作成し、これらのリソースグループにフェイルオーバー IP アドレスと論理ホストを追加し、リソースグループをオンラインにしてあることが前提になります。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
DAS コンポーネントのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.jsas |
DAS コンポーネントのリソースタイプを追加します。
事前に定義したリソースタイプ名を指定します。
ネットワークリソース用に作成したフェイルオーバーリソースグループに、DAS リソースインスタンスを追加します。
このリソースタイプの拡張プロパティーの詳細は、「SUNW.jsas 拡張プロパティー」を参照してください。
# scrgadm -a -j DAS-resource -g DAS-resource-group \ -t SUNW.jsas \ -y Network_resources_used=logical-hostname \ -x Adminuser=DAS-admin-username \ -x Domain_name=domain-name \ -x Passwordfile=password-file \ -x Confdir_list=install-directory \ -x Domaindir=domain-directory \ -x Monitor_Uri_List=http://logical-hostname[:port][/path] |
リソースを追加します。
DAS リソース名を指定します。
DAS コンポーネントのリソースグループを指定します。
DAS コンポーネントのリソースタイプを指定します。
DAS が使用するフェイルオーバー IP アドレスを指定します。
DAS 管理ユーザー名を指定します。
ドメイン名を指定します。
DAS の管理パスワードとマスターパスワードが入ったファイルのフルパスを指定します。
Sun Java System Application Server インストールディレクトリのフルパスを指定します。この拡張プロパティーのデフォルト値は、標準のインストールディレクトリである /opt/SUNWappserver です。
ドメインディレクトリのフルパスを指定します。Sun Java System Application Server のインストール時にこのドメインディレクトリが デフォルトのディレクトリとして指定されている場合は、この拡張プロパティーは省略できます。
(省略可能) Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server が要求を出す URI (要求元) をコンマで区切って指定します。Port_list プロパティーを設定しない場合は、Monitor_Uri_List 拡張プロパティーを設定する必要があります。Port_list プロパティーはリソースの標準プロパティーの 1 つであり、サーバーが待機するポート番号の一覧を指定します。Port_list プロパティーの詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースのプロパティ」を参照してください。
Node Agent コンポーネントのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.jsas-na |
NA コンポーネントのリソースタイプを追加します。
事前に定義したリソースタイプ名を指定します。
ネットワークリソース用に作成したフェイルオーバーリソースグループに、Node Agent リソースインスタンスを追加します。
このリソースタイプの拡張プロパティーの詳細は「SUNW.jsas-na 拡張プロパティー」を参照してください。
# scrgadm -a -j NA-resource -g NA-resource-group \ -t SUNW.jsas-na \ -y Resource_Dependencies=DAS-resource \ -x Adminuser=DAS-admin-username \ -x Confdir_list=install-directory \ -x Adminhost=DAS-hostname \ -x Adminport=DAS-port \ -x Agentdir=NA-directory \ -x Passwordfile=password-file |
リソースを追加します。
Node Agent リソース名を指定します。
Node Agent コンポーネントのリソースグループを指定します。
Node Agent コンポーネントのリソースタイプを指定します。
DAS リソースがオンラインになってから Node Agent リソースが起動するように指定します。
DAS 管理ユーザー名を指定します。
Sun Java System Application Server インストールディレクトリのフルパスを指定します。この拡張プロパティーのデフォルト値は、標準のインストールディレクトリである /opt/SUNWappserver です。
Domain Administration Server のホスト名を指定します。
DAS が待機するポートを指定します。
Node Agent ディレクトリのフルパスを指定します。
DAS の管理パスワードとマスターパスワードが入ったファイルのフルパスを指定します。
これらの例は、DAS リソースグループがすでに作成され、それらのリソースグループにフェイルオーバー IP アドレスが追加されており、さらにそれらのリソースグループがオンラインになっていることを想定しています。
この例では、拡張プロパティーのデフォルト値が使用されています。
# scrgadm -a -t SUNW.jsas |
# scrgadm -a -j das-rs -g das-rg \ -t SUNW.jsas \ -y Network_resources_used=IP1 \ -x Adminuser=admin \ -x Domain_name=new-domain \ -x Passwordfile=/global/disk1/passwordfile |
この例では、次の値が設定されています。
リソース名は das-rs です。
リソースグループは das-rg です。
管理ユーザーは admin です。
ドメイン名は new-domain です。
パスワードファイルのフルパスは /global/disk1/passwordfile です。
この例では、Application Server が標準の場所 /opt/SUNWappserver (拡張プロパティー Confdir_list のデフォルト値) にインストールされていることを想定しています。
ドメインはインストール時に指定されたパスにインストールされていると想定します。このパスは、ファイル /opt/SUNWappserver/appserver/config/asenv.conf 内で変数 AS_DEF_DOMAINS として定義されます。バイナリはローカルファイルシステムに格納できますが、ドメインディレクトリは広域ファイルシステムに配置する必要があります。
この例では Application Server はデフォルトの場所にはインストールされておらず、ドメインディレクトリはデフォルトではありません。
# scrgadm -a -t SUNW.jsas |
# scrgadm -a -j das-rs -g das-rg \ -t SUNW.jsas \ -y Network_resources_used=IP1 \ -x Adminuser=admin \ -x Domain_name=new-domain \ -x Passwordfile=/global/disk1/passwordfile \ -x Confdir_list=/global/disk1/SUNWappserver \ -x Domaindir=/global/disk1/my-domain |
この例では、次の値が設定されています。
リソース名は das-rs です。
リソースグループは das-rg です。
管理ユーザーは admin です。
ドメイン名は new-domain です。
パスワードファイルのフルパスは /global/disk1/passwordfile です。
Application Server は、ディレクトリ /global/disk1/SUNWappserver にインストールされています。
ドメインディレクトリは /global/disk1/my-domain です。
この例では、拡張プロパティー Monitor_Uri_Lis は Application Server 上でアプリケーションのサービスの対象となるURI を指定します。障害モニターの検証機能は、この URI を監視することで Application Server の機能性をテストします。
# scrgadm -a -t SUNW.jsas |
# scrgadm -a -j das-rs -g das-rg \ -t SUNW.jsas \ -y Network_resources_used=IP1 \ -x Adminuser=admin \ -x Domain_name=new-domain \ -x Passwordfile=/global/disk1/passwordfile \ -x Confdir_list=/global/disk1/SUNWappserver \ -x Domaindir=/global/disk1/my-domain \ -x Monitor_Uri_List=http://IP1:4848/web-service |
この例では、次の値が設定されています。
リソース名は das-rs です。
リソースグループは das-rg です。
管理ユーザーは admin です。
ドメイン名は new-domain です。
パスワードファイルのフルパスは /global/disk1/passwordfile です。
Application Server は、ディレクトリ /global/disk1/SUNWappserver にインストールされています。
ドメインディレクトリは /global/disk1/my-domain です。
監視対象となる URI は http://IP1:4848/web-service です。
この節の例は、次の構成を想定しています。フェイルオーバー IP アドレスは、論理ホスト名で表されています。
Node Agent NA1 と、これに関連するサーバーインスタンス I1 および I2 は、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機するように構成されています。
Node Agent NA2 と、これに関連するサーバーインスタンス I3 および I4 も、フェイルオーバー IP アドレス IP1 で待機するように構成されています。
Node Agent NA3 と、これに関連するサーバーインスタンス I5 および I6 は、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機するように構成されています。
Node Agent NA4 と、これに関連するサーバーインスタンス I7 および I8 も、フェイルオーバー IP アドレス IP2 で待機するように構成されています。
Node Agent のリソースタイプを登録するには、次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -t SUNW.jsas-na |
フェイルオーバーリソースグループ na-rg1 を作成し、フェイルオーバー IP アドレス IP1 と、Node Agent NA1 および NA2 用の Node Agent リソースを含めるには、次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -g na-rg1 |
フェイルオーバーリソースグループ na-rg2 を作成し、フェイルオーバー IP アドレス IP2 と、Node Agent NA3 および NA4 の Node Agent リソースを含めるには、次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -g na-rg2 |
リソースグループ na-rg1 にフェイルオーバー IP アドレスリソース IP1 を追加するには、次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -L -g na-rg1 -l IP1 |
リソースグループ na-rg2 にフェイルオーバー IP アドレスリソース IP2 を追加するには、次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -L -g na-rg2 -l IP2 |
リソースグループ na-rg1 内に Node Agent リソース na-rs1 を作成するには、次のコマンドを実行します。
作成される Node Agent リソースは、1 つのフェイルオーバー IP アドレスに構成されているすべての Node Agent 用に 1 つだけです。データサービスは、フェイルオーバーリソースグループに作成されているフェイルオーバー IP アドレスに構成されている Node Agent を自動的に検出します。
この例では、Node Agent NA1 および NA2 と、それらのすべてのサーバーインスタンス (I1、I2、I3、I4) が IP1 上に構成されます。したがって、NA1 と NA2 用としてリソース na-rs1 だけが作成されます。
このコマンドは、拡張プロパティーのデフォルト値を使用する場合に実行します。
# scrgadm -a -j na-rs1 -g na-rg1 \ -t SUNW.jsas-na \ -y Resource_Dependencies=das-rs \ -x Adminhost=host-1 \ -x Adminuser=admin \ -x Agentdir=/global/dg1/na-dir \ -x Passwordfile=/global/dg1/p |
このコマンドは、インストールがデフォルトの場所に行われなかった場合で、管理ポートがデフォルト値ではないときに実行します。
# scrgadm -a -j na-rs1 -g na-rg1 \ -t SUNW.jsas-na \ -y Resource_Dependencies=das-rs \ -x Adminhost=host-1 \ -x Adminuser=admin \ -x Agentdir=/global/dg1/na-dir \ -x Passwordfile=/global/dg1/p \ -x Confdir_list=/global/disk1/appserver-install-dir \ -x Adminport=6162 |
リソースグループ na-rg2 に Node Agent リソース na-rs2 を作成するには、次のコマンドを実行します。
作成される Node Agent リソースは、1 つのフェイルオーバー IP アドレスに構成されているすべての Node Agent 用に 1 つだけです。データサービスは、フェイルオーバーリソースグループに作成されているフェイルオーバー IP アドレスに構成されている Node Agent を自動的に検出します。
この例では、Node Agent NA3 および NA4 とそれらのすべての サーバーインスタンス (I5、I6、I7、I8) が IP2 上に構成されます。したがって、NA3 と NA4 用として na-rs2 だけが作成されます。
このコマンドは、拡張プロパティーのデフォルト値を使用する場合に実行します。
# scrgadm -a -j na-rs2 -g na-rg2 \ -t SUNW.jsas-na \ -y Resource_Dependencies=das-rs \ -x Adminhost=host-1 \ -x Adminuser=admin \ -x Agentdir=/global/dg1/na-dir \ -x Passwordfile=/global/dg1/p |
このコマンドは、インストールがデフォルトの場所に行われなかった場合で、管理ポートがデフォルト値ではないときに実行します。
# scrgadm -a -j na-rs2 -g na-rg2 \ -t SUNW.jsas-na \ -y Resource_Dependencies=das-rs \ -x Adminhost=host-1 \ -x Adminuser=admin \ -x Agentdir=/global/dg1/na-dir \ -x Passwordfile=/global/dg1/p \ -x Confdir_list=/global/disk1/appserver-install-dir \ -x Adminport=6162 |
Node Agent リソースグループ na-rg1 をオンラインにするには、次のコマンドを実行します。
# scswitch -Z -g na-rg1 |
リソースグループ na-rg1 をオンラインにすると、次のリソースが有効になります。
Node Agent NA1 と、NA1 下に構成されるサーバーインスタンス I1 および I2。
Node Agent NA2 と、NA2 下に構成されるサーバーインスタンス I3 と I4。
Node Agent リソースグループ na-rg2 をオンラインにするには、次のコマンドを実行します。
# scswitch -Z -g na-rg2 |
リソースグループ na-rg2 をオンラインにすると、次のリソースが有効になります。
Node Agent NA3 と、NA3 下に構成されるサーバーインスタンス I5 と I6。
Node Agent NA4 と、NA4 下に構成されるサーバーインスタンス I7 と I8。
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプは、SUNW.HAStorage と同じ役割を果たし、HA ストレージとデータサービス間でアクションを同期させます。
SUNW.HAStoragePlus には、ローカルファイルシステムを高可用性にする追加機能があります。
必要に応じ、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプに Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の Domain Administration Server コンポーネントを構成することもできます。しかし、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプにこのデータサービスの Node Agent コンポーネントを構成することはできません。
関連情報については、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページと『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」を参照してください。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server (サポートバージョン 8.1) の Domain Administration Server (DAS) コンポーネント用の障害モニターは、リソースタイプが SUNW.jsas であるリソースに含まれています。
リソースタイプのシステムプロパティーおよび拡張プロパティーが、障害モニターの動作を制御します。事前に設定された障害モニターの動作は、これらのプロパティーのデフォルト値に基づいています。現在の動作は、ほとんどの Sun Cluster システムに適しているはずです。したがって、障害モニターを調整するのは、事前に設定されたこの動作を変更したい場合だけに留めるべきです。
これらの障害モニターを調整するには、次のタスクが必要です。
障害モニターの検証間隔を設定する。
障害モニターの検証タイムアウトを設定する。
継続的な障害とみなす基準を定義する。
リソースのフェイルオーバー動作を指定する。
これらの作業は、「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の登録と構成 (サポートバージョン 8.1)」に示されている方法で Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の登録と構成を行なった場合に実施してください。
これらの作業の詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster データベース用に障害モニターを調整する」を参照してください。
この節では、次の内容について説明します。
障害モニターの検証機能
検証エラーに関連する条件、メッセージ、および回復アクション
正常に完了した検証に関連する条件およびメッセージ
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の DAS コンポーネントの障害モニター検証機能は、Sun Java System Application Server サーバーの健全性を照会する要求をサーバーに送信します。障害モニターの処理は、Monitor_Uri_List 拡張プロパティーの設定によって異なります。
Monitor_Uri_List 拡張プロパティーが単一の URI または複数の URI に設定されている場合、障害モニターの検証機能は次の手順を実行します。
障害モニターは、Probe_timeout リソースプロパティーに設定されているタイムアウト値に従って Sun Java System Application Server インスタンスの検証を行います。
検証機能は、Sun Java System Application Server サーバーに接続し、Monitor_Uri_List 内の各 URI に HTTP 要求を送信して応答を受け取ることによって HTTP 1.1 GET チェックを行います。
各 HTTP 要求の結果は、成功または失敗です。すべての要求に対して、Sun Java System Application Server サーバーから応答があった場合、検証機能は復帰して次の検証とスリープのサイクルを続けます。
大量のネットワークトラフィック、大きなシステム負荷、不正な構成は、HTTP GET 検証の失敗の原因になります。Monitor_Uri_List プロパティーに構成ミス (不正なポートまたはホスト名の指定) があると、失敗を引き起こす可能性があります。たとえば、アプリケーションサーバーインスタンスが論理ホスト schost-1 で待機していて、URI が http://schost-2/servlet/monitor と指定されていると、検証機能は schost-2 に接続して /servlet/monitor を要求しようとします。
Probe_timeout に指定された制限時間内に応答がない場合、検証機能は履歴ログに失敗を記録します。検証機能はこの状況を Sun Java System Application Server データサービスに属す障害とみなします。Sun Java System Application Server の検証障害は、完全障害の場合もあれば、部分障害の場合もあります。
Probe_timeout 内に検証機能が応答を受け取らなかった場合、HTTP 応答コードを調べます。応答コードが 500 (内部サーバーエラー) だった場合、検証は完全障害とみなされます。それ以外の応答コードはすべて無視されます。
完全検証障害は、次のとおりです。
サーバーとの接続に失敗すると、次のエラーメッセージが出されます。%s はホスト名、%d はポート番号を表します。
Failed to connect to the host <%s> and port <%d>. Receiving a response code of 500 Internal Server Error HTTP GET Response Code for probe of %s is 500. Failover will be in progress |
サーバーに検証文字列を正常に送信できなかった場合は、次のエラーメッセージが出されます。最初の %s はホスト名、%d はポート番号、2 番めの %s はエラーの詳細を表します。
Write to server failed: server %s port %d: %s. |
モニターは、完全障害と等しくなるまで、すなわち、Retry_interval リソースプロパティーで設定された値になるまで、発生した部分障害を累積します。
部分検証障害は、次のとおりです。
Probe_timeout で設定された時間が経過するまでに、切断できなかった場合は、次のエラーメッセージが出されます。%d はポート番号を示し、%s はリソース名を示します。
Failed to disconnect from port %d of resource %s. |
Probe_timeout の時間内ですべての検証手順を完了できないと、部分障害になります。
次のエラーメッセージは、ほかの理由でサーバーからのデータ読み取りに失敗した時に受け取ったものです。最初の %s はホスト名、%d はポート番号、2 番めの %s はエラーの詳細を表します。
Failed to communicate with server %s port %d: %s |
障害が発生すると、障害の履歴と検証パラメータの設定にもとづき、データサービスのローカルな再起動またはフェイルオーバーが発生します。
Monitor_Uri_List 拡張プロパティーが設定されていない場合、障害モニターの検証機能は次の手順を実行します。
障害モニターは、Probe_timeout リソースプロパティーに設定されているタイムアウト値に従って Sun Java System Application Server インスタンスの検証を行います。
障害モニターの検証機能は、次に示すように asadmin コマンドを使用して Domain Administration Server (DAS) の状態を取得します。
$INSTALL_DIR/appserver/bin/asadmin list-domains --domaindir $DOMAIN_DIR |
次の環境変数が設定されます。
INSTALL_DIR は、Confdir_list 拡張プロパティーを使用して設定されているインストールの場所です。
DOMAIN_DIR は、ドメインディレクトリのフルパスです。
DOMAIN_NAME はドメインの名前です。
検証機能が DAS が稼働していないと判断した場合、完全な障害として通知されます。
障害が発生すると、障害の履歴と検証パラメータの設定にもとづき、データサービスのローカルな再起動またはフェイルオーバーが発生します。
この節では、Sun Cluster の下で Sun Java System Application Server を高可用データサービスとして稼働するように Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server のインストールと構成が正しく行われているかを確認する方法を説明します。
インストール後は、クラスタ管理コマンドの scswitch(1M) だけを使用して、手動で Sun Java System Application Server の起動と停止を行います。起動した Sun Java System Application Server は、Sun Cluster ソフトウェアの制御下で動作します。
Domain Administration Server (DAS) リソースグループは、「ネットワークリソースを構成して起動する」 で作成されました。
この手順は、DAS コンポーネントの主ノードとなりえるすべてのノードに対して行なってください。この手順では、1 組のノード (Node1 と Node2) が必要です。
クラスタメンバーの 1 つ、Node1 で、スーパーユーザーになります。
Node1 で DAS リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -z -g DAS-resource-group -h Node1 |
Web ブラウザから管理用のコンソールに接続します。
https://IP-address:port |
管理用コンソールに接続していることを確認します。
リソースグループを Node1 から Node2 に切り替えます。
# scswitch -z -g DAS-resource-group -h Node2 |
Web ブラウザから管理用のコンソールに接続します。
https://IP-address:port |
管理用コンソールに接続していることを確認します。
ブラウザから管理用のコンソールに接続できない場合は、次の操作を行なってください。
「構成の制限と要件」に示されている制限と要件をインストールが満たしているかを確認します。
「Sun Java System Application Server をインストールして構成する」に示されている作業を正しく行なったかを確認します。
DAS プロセスを手動で停止して、高可用性をテストします。
DAS 障害モニターがプロセスが使用できないことを検出し、ローカルに再起動します。
DAS フェイルオーバーを発生させ、データサービスの機能性をテストします。
標準リソースプロパティーである Retry_count と Retry_interval の値に注意してください。Retry_interval 内で、 Retry_count に指定されている回数 DAS プロセスを手動で停止します。DAS リソースは、ほかのクラスタメンバーにフェイルオーバーします。
DAS のフェイルオーバーを検証します。
DAS リソースがフェイルオーバーしていない場合は、次の操作を行います。
標準リソースプロパティーである Retry_count と Retry_interval の値をチェックします。
「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server パッケージのインストール」と 「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server の登録と構成 (サポートバージョン 8.1)」に示されている処理を正しく行なったか確認します。
この手順は、「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server でフェイルオーバー Node Agent コンポーネントを作成する例」で説明しているように、2 つのリソースグループに 4 つの Node Agent が含まれる構成をベースにしています。リソースグループは na-rg1 と na-rg2、フェイルオーバー IP アドレスは IP1 と IP2、サーバーインスタンスは Instance1 〜 Instance8 の 8 つです。フェイルオーバー IP アドレスは、論理ホスト名で表されます。
この手順は、Node Agent コンポーネントの主ノードとなりえるすべてのノードに対して行なってください。この手順では、1 組のノード (Node1 と Node2) が必要です。
クラスタメンバーの 1 つ、Node1 で、スーパーユーザーになります。
Node1 で、Node Agent リソースグループ na-rg1 をオンラインにします。
# scswitch -z -g na-rg1 -h Node1 |
Node1 で、Node Agent リソースグループ na-rg2 をオンラインにします。
# scswitch -z -g na-rg2 -h Node1 |
Web ブラウザからサーバーインスタンスに接続します。
http://IP1:Instance1–port http://IP1:Instance2–port http://IP1:Instance3–port http://IP1:Instance4–port http://IP2:Instance5–port http://IP2:Instance6–port http://IP2:Instance7–port http://IP2:Instance8–port |
サーバーインスタンス上に配備されたすべてのアプリケーションに接続できるか確認します。
ブラウザからインスタンスに接続できない場合は、次の操作を行なってください。
「構成の制限と要件」に示されている制限と要件をインストールが満たしているかを確認します。
「Sun Java System Application Server をインストールして構成する」に示されている作業を正しく行なったかを確認します。
リソースグループを Node1 から Node2 に切り替えます。
# scswitch -z -g na-rg1 -h Node2 # scswitch -z -g na-rg2 -h Node2 |
Node Agent プロセスを手動で停止して、高可用性をテストします。
Node Agent プロセスを停止すると、Node Agent と、Node Agent に関連するすべてのサーバーインスタンスが再起動します。
アプリケーションサーバーインスタンスを停止すると、Node Agent がそれらを再起動します。データサービスが監視するのは、Node Agent の健全性だけです。
Node Agent リソースのフェイルオーバーを発生させ、データサービスの機能性をテストします。
標準リソースプロパティーである Retry_count と Retry_interval の値に注意してください。Retry_interval 内で、Retry_count に指定されている回数 Node Agent プロセスを手動で停止します。Node Agent リソースは、ほかのクラスタノードにフェイルオーバーします。
Node Agent がほかのノードで起動する際に、手順 4 を繰り返して、サーバーインスタンスの可用性をテストします。