Sun Cluster Data Service for Sun Java System Message Queue ガイド (Solaris OS 版)

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成

この章では、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue をインストールして構成する手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の概要

ここでは、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue を利用して Sun Java System Message Queue の可用性を高める方法を理解するために役立つ情報を提供します。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue は、フェイルオーバーメッセージサービスの構成に適した拡張プロパティーを備えたデータサービスです。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして構成することにより、Sun Java System Message Queue の可用性を高めることができます。データサービスの一般的な情報については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」を参照してください。

Sun Java System Message Queue は、アプリケーションサーバーに不可欠な部分です。Sun Java System Message Queue は、JMS クライアント用の堅牢な Java Messaging Service (JMS) です。Sun Java System Message Queue は、Sun Java System Application Server インストールと共にパッケージ化されています。Sun Java System Message Queue については、Sun Java System Message Queue のマニュアルを参照してください。Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の実装では、当該システムのアーキテクチャーが依存しているプログラムの存在は想定していません。データベースや Web サーバーなどの、当該システムのアーキテクチャーが依存しているプログラムは、高い可用性を持つ構成でなければなりませんが、別のクラスタで実行することもできます。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成の作業の概要

次の表に、インストールと構成の作業を説明する節を示します。指定された順番どおりに、各作業を行ってください。

表 1 作業マップ: Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成

タスク 

参照先 

Sun Java System Message Queue のインストールと構成の計画 

「Sun Java System Message Queue のインストールと構成の計画」

ネットワークリソースの構成と起動 

「ネットワークリソースを構成して起動する」

Sun Java System Message Queue のインストールと構成 

「Sun Java System Message Queue をインストールする」

Sun Java System Message Queue のインストールの確認 

「Sun Java System Message Queue のインストールと構成を確認する」

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成の計画 

「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成の計画」

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージのインストール 

「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージのインストール」

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして登録、構成 

「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する」

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの構成

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの構成」

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成の確認 

「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成の確認」

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 障害モニターの調整 

「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 障害モニターの調整」


注 –

Sun Cluster 構成で複数のデータサービスを実行している場合は、任意の順序でデータサービスを設定できます。ただし、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue が Sun Cluster HA for DNS に依存している場合は、DNS を先に設定する必要があります。詳細は、『Sun Cluster Data Service for DNS ガイド (Solaris OS 版)』を参照してください。DNS ソフトウェアは、Solaris オペレーティング環境に含まれています。クラスタが別のサーバーから DNS サービスを取得する場合は、最初に、クラスタが DNS クライアントになるように構成してください。


Sun Java System Message Queue のインストールと構成の計画

Sun Java System Message Queue をインストールして構成するには、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「構成のワークシート」のワークシートとともに、この節をチェックリストとして使用します。

インストールを開始する前に、以下の点を検討します。静的ファイルとデータは、各クラスタノードのローカルファイルシステム上に格納します。動的データはクラスタファイルシステム上に配置する必要があります。この配置により、どのクラスタノードからでもデータを表示または更新できます。Sun Java System Message Queue バイナリファイルと構成ファイルは高可用性にする必要があります。また、全ノードで実行されているアプリケーションサーバーインスタンスにアクセスできるようにする必要があります。

ネットワークリソースの構成と起動

Sun Java System Message Queue のインストールと構成を開始する前に、インストールと構成が完了した後でサービスが使用するネットワークリソースを設定します。ネットワークリソースを構成して起動するには、次のコマンド行手順を実行します。

Procedureネットワークリソースを構成して起動する

この手順を実行するには、構成についての次の情報が必要です。

手順
  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. 使用しているすべてのネットワークアドレスがネームサービスデータベースに追加されていることを確認します。

    Sun Cluster のインストール時に、この確認を行なっておく必要があります。


    注 –

    ネームサービスの検索を成功させるには、すべてのクラスタノード上の /etc/inet/hosts ファイルに、すべての論理ホスト名を含める必要があります。サーバーの /etc/nsswitch.conf のネームサービスマッピングは、NIS、NIS+、DNS にアクセスする前に、ローカルファイルを検査するように構成してください。


  3. ネットワークリソースとアプリケーションリソースを格納するためのフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できます。

    [-h nodelist]

    潜在マスターを識別する Sun Java System Message Queue の物理ノード名をコンマで区切って指定します (省略可能)。フェイルオーバー時、ノードはこのリスト内の順番に従ってプライマリとして判別されます。


    注 –

    ノードリストの順番を指定するには、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。


  4. リソースグループへネットワークリソースを追加します。

    次のコマンドを使用して、リソースグループに論理ホスト名を追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l hostname, …[-n netiflist]
    -L

    ネットワークリソースを追加することを示します。

    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。

    -l hostname, …

    ネットワークリソースをコンマで区切って指定します。

    -n netiflist

    各ノード上の IP ネットワークマルチパス グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。netiflist の各要素は、netif@node の形式にする必要があります。netif は IP ネットワークマルチパス グループ名 (sc_ipmp0 など) として指定できます。ノードは、ノード名またはノード ID (sc_ipmp0@1sc_ipmp@phys-schost-1 など) で識別できます。


    注 –

    現在のところ、Sun Cluster では、netif にアダプタ名は使用できません。


  5. scswitchコマンドを実行してリソースグループを有効にし、オンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group
    
    -Z

    リソースグループを管理状態 (MANAGED) にし、リソースグループをオンラインにします。

    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。

Sun Java System Message Queue のインストールと構成

Sun Java System Message Queue は、Java 2 Enterprise Edition (J2EE™) 1.3 に準拠したメッセージングサービスです。このキューは、エンタープライズカスタマーのニーズに応えるよう設計されていて、Sun Cluster ソフトウェアの制御下も実行できます。この節では、Sun Java System Message Queue をインストールし、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue として実行するための手順について説明します。


注 –

Sun Java System Message Queue と別のメッセージングサービスサーバーを実行しているときに、これらが同じネットワークリソースを使用している場合は、それぞれ異なるポートで待機するように構成してください。異なるポートで待機するように構成しないと、2 つのサービスの間でポートの衝突が発生します。


Sun Java System Message Queue は、次の手順に従ってインストールします。

ProcedureSun Java System Message Queue をインストールする

Sun Java System Message Queue をインストールするには、次の手順を使用します。ここでは、Sun Java System Message Queue 固有の情報だけを提供します。詳細は、Sun Java System Message Queue for Solaris OS のマニュアルを参照してください。


注 –

/etc/imq/imqbrokerd.conf ファイルの AUTOSTART プロパティーには YES を設定してはなりません。AUTOSTART プロパティーの値はデフォルトで NO に設定されています。したがって、データサービスの構成が完了するまで Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue がアプリケーションを起動または停止することはありません。


手順
  1. Sun Java System Message Queue パッケージがインストールされていない場合、クラスタのすべてのノードにインストールします。

  2. メッセージキューを格納するグローバルファイルシステムの場所を指定します (例: /global/s1mq)。

    このファイルシステム用のディレクトリを作成できます。

  3. 任意のノードで IMQ_VARHOME を設定し、imqbrokerd コマンドを実行して、構成ディレクトリとファイルを生成します。


    # IMQ_VARHOME=/global/s1mq
    # export IMQ_VARHOME
    # imqbrokerd -name hamq1
    
  4. $IMQ_VARHOME/instances/hamq1/props/config.properties を編集して、imq.jms.tcp.hostname プロパティーに論理ホスト名を設定します。

Sun Java System Message Queue のインストールと構成の確認

この節では、Sun Java System Message Queue のインストールと構成の確認方法について説明します。

ProcedureSun Java System Message Queue のインストールと構成を確認する

次の手順で Sun Java System Message Queue のインストールと構成を確認します。この手順では、高可用性アプリケーションであるかどうかの確認は行いません。

手順
  1. 論理ホスト名が設定されていることを確認します。

  2. IMQ_VARHOME を設定し、メッセージブローカーを手作業で起動します。


    # IMQ_VARHOME=/global/s1mq
    # export IMQ_VARHOME
    # imqbrokerd -name hamq1
    
  3. ブローカーを停止します。


    # /usr/bin/imqcmd shutdown bkr -b hostname:port
     
    
  4. リソースグループのすべての潜在的な主ノードで、手順 2 を繰り返します。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成の計画

この節では、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと 構成に必要な情報を説明します。

データサービスの標準構成

ここで説明している標準構成を使用して、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成について計画します。Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue は、追加構成をサポートできますが、ただし、Enterprise Services の担当者に連絡し、他の構成に関する情報を得る必要があります。

次の図に、Sun Java System Message Queue の標準フェイルオーバー構成を示します。

図 1 フェイルオーバーデータサービス構成の 2 ノードクラスタ

図 : この図については、前の本文中で説明しています。

構成上の考慮事項

メッセージサービスとその他の高可用性アプリケーションを共に使用する場合、リソース間の依存性が発生する可能性があります。Resource_dependencies プロパティーについては、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の付録 A「標準プロパティ」を参照してください。

構成計画に関する質問

この節の質問事項に基づいて Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成について計画します。これらの質問の関連情報については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「データサービスのインストールと構成に関する考慮事項」を参照してください。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージのインストール

Sun Cluster の初回のインストールで Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージをインストールしなかった場合は、ここで説明する作業を行なってパッケージをインストールしてください。この手順は、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージをインストールするすべてのクラスタノードで実行します。

同時に複数のデータサービスをインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「ソフトウェアのインストール」で説明する手順を行います。


注 –

Solaris 10 を使用する場合は、これらのパッケージを「広域ゾーン」だけにインストールします。パッケージをインストールしたあとで作成されたローカルゾーンにそれらのパッケージが転送されないようにするには、scinstall ユーティリティーを使用してパッケージをインストールしてください。Sun JavaTM Enterprise System インストーラ プログラムを使用してはなりません。


Procedurescinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージをインストールする

この手順は、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue をマスターできるすべてのクラスタメンバーで実行してください。

始める前に

Sun Cluster Agents CD が手元にあることを確認します。

手順
  1. CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD をロードします。

  2. オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。

    scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。

  3. メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。

    scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。

  4. Sun Cluster Agents CD のパスを指定します。

    ユーティリティーはこの CD をデータサービス CD-ROM として示します。

  5. インストールするデータサービスを指定します。

    選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、選択を確定するように求められます。

  6. scinstall ユーティリティーを終了します。

  7. ドライブから CD を取り出します。

ProcedureSun JavaTM Enterprise System インストーラを使用して Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージをインストールする

Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) と共に使用できます。CLI と GUI での作業の内容と手順はほとんど同じです。

この手順を完了するには、Sun JavaTM Enterprise System インストーラ CD-ROM が必要です。

手順
  1. Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージをインストールするクラスタノード上で、スーパーユーザーになります。

  2. (省略可能) GUI を使用して Sun JavaTM Enterprise System インストーラ プログラムを実行する場合は、DISPLAY 環境変数を設定しておく必要があります。

  3. Sun JavaTM Enterprise System インストーラ CD-ROM を CD-ROM ドライブにロードします。

    Volume Management デーモン vold(1M) が動作しており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、/cdrom ディレクトリに CD-ROM が自動的マウントされます。

  4. CD-ROM の Sun JavaTM Enterprise System インストーラディレクトリに移動します。


    # cd /cdrom/Solaris_sparc
    
  5. Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムを開始します。


    # ./installer
    
  6. プロンプトが表示されたなら、ライセンス契約に同意し、必要な言語サポートを選択します。

    デフォルトの言語サポートは英語です。

  7. 「Availability Services & Sun Cluster 3.1 Subcomponents」で Sun Java System for Sun Cluster Agents を選択し、次に進みます。

    この選択では、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue も含め、Sun Java System アプリケーションで使用できる Sun Cluster データサービスをすべて選びます。

  8. いつ構成を実行するかを求めるプロンプトが表示されたら、「後で設定」を選択します。

    「後で設定」は、インストール後に構成を実行することを指定します。

  9. (任意) 製品を登録して製品アップデートを受け取らない場合は、「インストール中に登録ウィンドウを開きます」ボックスのチェックを外します。

  10. 表示される指示に従って、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue パッケージをノードにインストールします。

    Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムは、インストールの状況を表示します。インストールが完了すると、プログラムはインストールのサマリーとインストールログを表示します。

  11. Sun JavaTM Enterprise System インストーラプログラムを終了します。

    インストーラプログラムを終了する前に、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue が正常にインストールされていることを確認します。次のコマンドを実行して、パッケージの存在をチェックします。


    # pkginfo -l SUNWscs1mq
    
  12. Sun JavaTM Enterprise System インストーラ CD-ROM を CD-ROM ドライブからアンロードします。

    1. CD-ROM が使用されていないことを確認し、CD-ROM 上にないディレクトリに移動します。

    2. CD-ROM を取り出します。


      # eject cdrom
      

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の登録と構成

scrgadm コマンドを使用した Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の登録と構成方法について説明します。


注 –

データサービスを登録して構成できるようにする追加オプションについての詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。


この手順を実行するには、構成に関する次の情報が必要になります。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 拡張プロパティーの設定

以下の各項では、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue リソースの登録と構成について説明します。拡張プロパティーについては、付録 A 「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 拡張プロパティー」を参照してください。「調整可能」の欄には、そのプロパティーをいつ変更できるかが示されています。

すべての Sun Cluster プロパティーについての詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の付録 A「標準プロパティ」を参照してください。

リソースの拡張プロパティーを設定するには、リソースを作成または変更する scrgadm(1M) コマンドに次のオプションを含めます。


-x property=value 
-x property

設定する拡張プロパティーを指定します。

value

設定する拡張プロパティーの値を指定します。

これらのリソースを作成したあとにリソースを構成する場合は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 2 章「データサービスリソースの管理」で説明する手順も使用できます。

ProcedureSun Cluster HA for Sun Java System Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する

次の手順で構成を完了させます。

手順
  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. 「ネットワークリソースの構成と起動」の手順を実行していない場合は、Sun Java System Message Queue 用のリソースグループを追加します。


    # scrgadm -a -g resource group [-h nodelist]
  3. 「ネットワークリソースの構成と起動」の手順を実行していない場合は、論理ホスト名リソースをリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g  resource group -l logical hostname
    
  4. データサービスのリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.s1mq
    
    -a

    データサービスのリソースタイプを追加します。

    -t SUNW.s1mq

    事前に定義したリソースタイプ名を指定します。

  5. Smooth_Shutdown 拡張プロパティーが TRUE に設定されている場合、scs1mqconfig という名前のファイルを $IMQ_VARHOME/instances/ broker/ ディレクトリに作成します。次の行を作成したファイルに追加します。


    Password password
    

    Smooth_Shutdown 拡張プロパティーについては、付録 A 「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 拡張プロパティー」を参照してください。

  6. フェイルオーバーリソースグループに Sun Java System Message Queue リソースインスタンスを追加します。


    [Smooth_Shutdown を FALSE に設定する場合 (デフォルト)]
    # scrgadm -a -j resource -g resource-group -t SUNW.s1mq \
    -x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/broker \
    -x Broker_Name=broker \
    -y Network_Resources_Used=logical hostname \
    -y Port_list=port/tcp[,port/tcp]
    

    [Smooth_Shutdown を TRUE に設定する場合]
    # scrgadm -a -j resource -g resource-group -t SUNW.s1mq \ 
     -x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/broker \
    -x Broker_Name=broker \
    -x Broker_User=user \
    -y Network_resources_used=logical hostname \
    -y Port_list=port/tcp[,port/tcp] \ 
    -x Smooth_Shutdown=TRUE
    

    アプリケーションリソースを含むリソースグループは、「ネットワークリソースを構成して起動する」で自分のネットワークリソース用に作成したリソースグループと同じになります。

    -j resource

    Sun Java System Message Queue アプリケーションリソース名を指定します。

    -t SUNW.s1mq

    追加するリソースの種類を指定します。

    -x Confdir_list= $IMQ_VARHOME/instances/broker

    Sun Java System Message Queue 構成ディレクトリのパスを指定します。Confdir_list 拡張プロパティーが必要です。Confdir_list のエントリは、1 つだけです。

    -x Broker_Name= broker

    監視するブローカの名前を指定します。

    -x Broker_User= user

    管理ブローカのユーザー名を指定します。

    -y Network_resources_used =network-resource

    resource-group には、ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をコンマで区切って指定します。このリストは、Sun Java System Message Queue アプリケーションリソースが必ず使用します。

    -y Port_list= port-number/protocol

    使用するポート番号とプロトコルを指定します (例: 80/tcp)。Port_list プロパティーには 1 つまたは 2 つのエントリが必要です。

    -x Smooth_Shutdown=TRUE

    ブローカをシャットダウンします。impcmd コマンドを使用すると、imqcmd コマンド文字列内にブローカのパスワードが表示されます。

  7. リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group
    
    -Z

    リソースとそのモニターを有効にします。

    -g resource-group

    有効になっているアプリケーションリソースグループの名前を指定します。

  8. リソースグループとアプリケーションサーバーリソースがオンラインになっていることを確認します。


    # scstat -g
    # ps -ef
    

例 1 Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の登録と構成

次の例は、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の登録方法を示しています。


クラスタ情報
ノード名: phys-schost-1, phys-schost-2
論理ホスト名: schost-1
リソースグループ: resource-group-1 (全てのリソース用)
リソース: schost-1 (論理ホスト名),
SUNW.s1mq (Sun Java System Message Queue アプリケーションリソース) 
 
(フェイルオーバーリソースグループを作成する)
# scrgadm -a -g resource-group-1 -h phys-schost-1,phys-schost-2
 
(リソースグループに論理ホスト名リソースを追加する)
# scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1
 
(SUNW.s1mq リソースタイプを登録する)
# scrgadm -a -t SUNW.s1mq
 
(Sun Java System Message Queue リソースを作成し、 
リソースグループへ追加する)
# scrgadm -a -j s1mq-rs -g s1mq-rg \
-t SUNW.s1mq \
-x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/hamq1 \
-x Broker_Name=hamq1 \
-y Network_resources_used=schost-1 \
-y Port_list=7676/tcp

 (アプリケーションリソースグループを有効にする)
# scswitch -Z -g s1mq-rg


例 2 Smooth_Shutdown が有効な場合の Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の登録と構成

この例では、Smooth_Shutdown を有効にして、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue を登録して構成する例を示します。


クラスタ情報
ノード名: phys-schost-1, phys-schost-2
論理ホスト名: schost-1
リソースグループ: resource-group-1 (すべてのリソース用)
リソース: schost-1 (論理ホスト名),
	s1mq-1 (Sun Java System Message Queue アプリケーションリソース) 
 
(フェイルオーバーリソースグループを作成する)
# scrgadm -a -g resource-group-1 -h phys-schost-1,phys-schost-2
 
(リソースグループに論理ホスト名リソースを追加する)
# scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1
 
(SUNW.s1mq リソースタイプを登録する)
# scrgadm -a -t SUNW.s1mq
 
(Sun Java System Message Queue リソースを作成し、 
リソースグループへ追加する)
# scrgadm -a -j s1mq-rs -g s1mq-rg \
-t SUNW.s1mq \
-x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/hamq1 \
-x Broker_Name=hamq1 \
-x Broker_User=admin \
-y Network_resources_used=schost-1 \
-y Port_list=7676/tcp \
-x Smooth_Shutdown=TRUE
 
(アプリケーションリソースグループを有効にする)
# scswitch -Z -g s1mq-rg

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの構成

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプは、Sun Cluster 3.0 5/02 で導入されました。この新しいリソースタイプは、SUNW.HAStorage と同じ機能を実行し、HA 記憶装置とデータサービス間でアクションの同期をとります。

SUNW.HAStoragePlus には、ローカルファイルシステムを高可用性にする追加機能があります。Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue は、ディスクに負荷をかけず、スケーラブルでもないので、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの設定は任意です。

背景情報については、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページと 『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「リソースグループとディスクデバイスグループの関係」を参照してください。手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」を参照してください。(5/02 以前の Sun Cluster 3.0 バージョンを使用している場合は、SUNW.HAStoragePlus ではなく SUNW.HAStorage を設定する必要があります。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成の確認

この節には、データサービスを正しくインストールし、構成したことを確認する手順を記載します。

ProcedureSun Cluster HA for Sun Java System Message Queue のインストールと構成を確認する

次の手順に従って、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue が正しくインストールされ、構成されているかどうかを確認します。

手順
  1. Message Queue が Sun Cluster ソフトウェアの制御下で起動されていることを確認します。


    # scswitch -Z -g resource group
    
  2. Web ブラウザから Sun Java System Message Queue に接続し、Sun Java System Message Queue ソフトウェアが正常に機能していることを確認します。

  3. scswitch コマンドを実行して、リソースグループをほかのクラスタノード (node2 など) に切り替えます。


    # scswitch -z -g resource-group -h node2
    
  4. リソースグループとメッセージキューリソースがオンラインになっていることを確認します。


    # scstat -g
    # ps -ef
    
  5. Sun Java System Message Queue リソースグループのすべての潜在的な主ノード上で、手順 2 から手順 4 までを繰り返します。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 障害モニターの調整

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 障害モニターは、Sun Java System Message Queue を表すリソースに含まれます。このリソースを作成するのは、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue を登録して構成するときです。詳細は、「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の登録と構成」を参照してください。

このリソースのシステムプロパティーと拡張プロパティーは、障害モニターの動作を制御します。事前に設定された障害モニターの動作は、これらのプロパティーのデフォルト値に基づいています。現在の動作は、ほとんどの Sun Cluster システムに適しているはずです。したがって、Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 障害モニターを調整するのは、事前に設定された動作を変更したい場合だけに留めるべきです。

詳細については、次の節を参照してください。

検証時に障害モニターが行う操作

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 障害モニターは、Smooth_shutdown 拡張プロパティーを使用します。このプロパティーを設定する手順については、「Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue 拡張プロパティーの設定」を参照してください。

Sun Cluster HA for Sun Java System Message Queue の検証機能は、Sun Java System Message Queue サーバーインスタンスの健全性を問い合わせる要求をサーバーに送信します。

この検証は、ネットワークリソース構成とリソースグループの Port_list 設定によって定義された IP アドレスとポートの組に接続します。正常に接続できた場合、検証はポートマッパー情報を読み取ります。最後に、検証の接続が切断されます。接続に失敗した部分があると、障害が記録されます。

大量のネットワークトラフィック、高システム負荷、構成の誤りは、問い合わせが失敗する原因になることがあります。Sun Java System Message Queue サーバーが検証対象のすべての IP アドレスとポートの組み合わせで待機するように構成されていないと、構成ミスになります。Sun Java System Message Queue サーバーは、このリソースに指定したすべての IP アドレスのすべてのポートに対応するように構成します。

サーバーとの接続に失敗すると、完全な検証の障害が発生します。次のエラーメッセージが送信されます。%s はホスト名を示し、%d はポート番号を示します。


Failed to connect to the host <%s> and port <%d>.

リソースプロパティー期間 Retry_interval 内に発生した部分的な障害は対策が必要な障害になるまで蓄積されます。

次に示すのは、検証の部分的な障害です。

異常履歴に基づいて、データサービスのローカルでの再起動、またはデータサービスのフェイルオーバーのいずれかを実行します。