Sun Cluster Data Service for Sybase ASE ガイド (Solaris OS 版)

Sybase ASE ソフトウェアのインストール

この節で説明する手順を使用して、以下の操作を行います。


注 –

Sun Cluster HA for Sybase ASE を構成する前に、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の解説に従い、Sun Cluster ソフトウェアを各ノードにインストールします。


ProcedureSybase ASE ソフトウェアのインストール用にノードを準備する


注意 – 注意 –

この作業のすべての手順をすべてのノードで実行してください。すべてのノードですべての手順を実行しないと、Sybase ASE のインストールが不完全になり、Sun Cluster HA for Sybase ASE は起動に失敗します。



注 –

この手順を実行する前に、Sybase ASE のマニュアルを参照してください。


手順
  1. すべてのノードでスーパーユーザーになります。

  2. /etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに、Sun Cluster HA for Sybase ASE の起動と停止が正しく行われます。

    Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、/etc/nsswitch.conf ファイルに次のエントリを指定します。

    passwd:    files nis [TRYAGAIN=0]
    publickey: files nis [TRYAGAIN=0]
    project:   files nis [TRYAGAIN=0]
    group:     files

    Sun Cluster HA for Sybase ASE は、su user コマンドを使用してデータベースの起動と停止を行います。

    クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。上記エントリを追加しておくことによって、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能の場合に、su(1M) コマンドが NIS/NIS+ ネームサービスを参照しなくなります。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE のクラスタファイルシステムを構成します。

    データベースを raw デバイスに格納する場合は、広域デバイスを raw デバイスアクセス用に構成します。広域デバイスを構成する方法については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。

    Solstice DiskSuiteTM/Solaris Volume Manager ソフトウェアを使用する場合は、ミラー化メタデバイスまたは raw ミラー化メタデバイス上で UNIX ファイルシステム (UFS) ロギングを使用するように、Sybase ASE ソフトウェアを構成します。raw ミラー化メタデバイスを構成する方法については、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager のマニュアルを参照してください。

  4. ローカルディスクか多重ホストディスクに SYBASE_HOME ディレクトリを作成します。


    注 –

    Sybase ASE バイナリをローカルディスクにインストールする場合は、できるだけ別のディスクを使用してください。Sybase ASE バイナリを別のディスクにインストールすると、オペレーティングシステムの再インストール時にバイナリが上書きされるのを防止できます。


  5. 各ノードの /etc/group ファイルにデータベース管理者 (DBA) グループのエントリを作成し、予定するユーザーをこのグループに追加します。

    rootsybase ユーザーが dba グループのメンバーになっているか確認し、必要に応じてほかの DBA ユーザーのエントリを追加します。このグループ ID は、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するすべてのノードで一致させる必要があります。次にその例を示します。


    dba:*:520:root,sybase
    

    グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。このようにエントリを作成した場合、そのエントリをローカルの /etc/group ファイルに追加して、ネットワーク名サービスへの依存関係をなくします。

  6. 各ノード上で、Sybase システム管理者用のエントリを作成します。

    次のコマンドでは、/etc/passwd/etc/shadow ファイルを Sybase システム管理者用のエントリで更新します。


    # useradd -u 120 -g dba -d /Sybase-home sybase
    

    sybase ユーザーエントリは、Sun Cluster HA for Sybase ASE を実行するすべてのノードで一致させる必要があります。

ProcedureSybase ASE ソフトウェアをインストールする

手順
  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. Sybase ASE ソフトウェアをクラスタファイルシステムにインストールする計画がある場合は、Sun Cluster ソフトウェアを起動して、ディスクデバイスグループの所有者になります。

    Sybase ASE ソフトウェアを別の場所にインストールする計画がある場合は、この手順を省略します。

    インストール場所についての詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストール準備」を参照してください。

  3. ネットワークとアプリケーションのリソースを格納するためのフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。どのような名前でもかまいませんが、クラスタ内のリソースグループごとに一意である必要があります。

    -h nodelist

    潜在マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切ったリストで指定します (省略可能)。この順序で、リソースグループマネージャー (RGM) は、フェイルオーバー時の主ノードを決定します。


    注 –

    ノードリストの順番を指定するには、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。


  4. Sun Cluster HA for Sybase ASE で使用するすべてのネットワークリソースが /etc/inet/hosts ファイルまたはネームサービス (NIS、NIS+) データベースに追加されていることを確認します。

  5. ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [-n netiflist] 
    -l logical-hostname

    ネットワークリソースを指定します。ネットワークリソースは、クライアントが Sun Cluster HA for Sybase ASE にアクセスするときに使用する論理ホスト名または共有アドレス (IP アドレス) です。

    -n netiflist

    各ノード上の IP ネットワークマルチパス グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。netiflist の各要素は、netif@node の形式にする必要があります。netif は IP ネットワークマルチパス グループ名 (sc_ipmp0 など) として指定できます。ノードは、ノード名またはノード ID (sc_ipmp0@1sc_ipmp@phys-schost-1 など) で識別できます。


    注 –

    Sun Cluster では、netif にアダプタ名は使用できません。


  6. scswitch(1M) コマンドを実行して、次の作業を完成させます。

    • リソースと障害監視を有効にします。

    • リソースグループを管理状態にします。

    • リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group
    
  7. 作成したばかりのリソースグループをマスターするノード上で、sybase としてログインします。

    Sybase バイナリのインストールは、対応する論理ホストが動作しているノード上で実行する必要があります。

  8. Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。

    Sybase ASE ソフトウェアをインストールする場所にかかわらず、各ノードの /etc/system ファイルは、Sybase ASE の標準的なインストール手順の場合と同様に変更する必要があります。Sybase ASE ソフトウェアをインストールする手順については、Sybase のインストールと構成のマニュアルを参照してください。

  9. Sybase ASE サーバーごとに、ネットワークリソースに関連するホスト名を指定します。

    ネットワークリソースに関連するホスト名を指定しない場合、Sybase ASE は、Sybase ASE ソフトウェアがインストールされているノード上だけで起動します。

    あるバージョンの Sybase ASE (12.5 など) では、ホスト名を入力するためのプロンプトが表示されます。別のバージョンの Sybase ASE (12.5.1 など) は、物理ホスト名を使用します。物理ホスト名を使用するバージョンの Sybase ASE を使用している場合は、ネットワークリソースを指すように物理ホスト名を変更する必要があります。

    • Sybase ASE インストールプログラムによりホスト名を入力するためのプロンプトが表示された場合は、そのプロンプトに応じてホスト名を入力します。

    • それ以外の場合は、interfaces ファイルを編集して、ネットワークリソースに関連するホスト名を指すように物理ホスト名を変更します。

次の手順

Sybase ASE ソフトウェアをインストールしたあとは、「Sybase ASE インストールを確認する」に進みます。

ProcedureSybase ASE インストールを確認する

手順
  1. sybase ユーザーと dba グループが $SYBASE_HOME ディレクトリと $SYBASE_HOME の子ディレクトリを所有していることを確認します。

  2. scstat(1M) コマンドを実行して、Sun Cluster ソフトウェアが正しく機能することを確認します。

次の手順

Sybase ASE インストールを確認したあとは、「Sybase ASE データベースアクセスの構成と Sybase ASE データベース環境の作成」に進みます。