Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理

Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループの作成、変更、検証、および削除

この節では、次の作業の手順について説明します。


注 –

データ複製を使用しない保護グループも作成できます。データ複製サブシステムを使用しない保護グループを作成するには、geopg コマンドを使用するときに、-d data-replication-type オプションを省略します。geoadm status コマンドを実行すると、データ複製の状態が NONE と表示されます。


ProcedureSun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを作成して構成する方法

始める前に

保護グループを作成するには、次の条件が満たされているかをまず確認する必要があります。


注 –

保護グループ名は Sun Cluster Geographic Edition のグローバルネームスペース内で一意です。同じシステム上にパートナーシップが 2 つ存在する場合、これらに同じ保護グループ名を付けることはできません。


保護グループの既存の構成は、リモートクラスタからローカルクラスタに複製することもできます。詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループの構成をパートナークラスタに複製する」を参照してください。

手順
  1. クラスタノードの 1 つにログインします。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. geopg create コマンドを実行して新しい保護グループを作成します。

    このコマンドを実行すると、ローカルクラスタのすべてのノードに、保護グループが 1 つずつ作成されます。


    # geopg create -s partnership-name -d avs \
    -o local-role [-p property-settings [-p...]] \
    protection-group-name
    
    -s partnership-name

    パートナーシップの名前を指定します

    -d avs

    Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 を使用して保護グループのデータを複製するように指定します

    -o local-role

    この保護グループのローカルクラスタでの役割を指定します (primary または secondary)

    -p property-setting

    保護グループのプロパティーを設定します

    設定できるプロパティーは次のとおりです。

    • Description – 保護グループの説明

    • Timeout – 保護グループのタイムアウト間隔を秒単位で指定する

    • Enable_volume_settrue に設定した場合、保護グループの作成時にボリュームセットが自動的に有効になる

      ボリュームセットを自動的に有効にする方法については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 ボリュームセットの有効化」を参照してください。

    • Nodelist – 保護グループ内でデバイスグループの主クラスタとなりえるマシンのホスト名を表示する。

    設定できるプロパティーについての詳細は、付録 A 「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。

    protection-group-name

    保護グループの名前を指定します

    Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされる名前と値については、付録 B 「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。

    geopg コマンドの詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。

    保護グループを作成する前に、構成内容が正しいかどうかがデータ複製層によって検証されます。

    検証に成功した場合、ローカルの Configuration 状態が OKSynchronization 状態が Error に設定されます。

    検証に失敗した場合、保護グループは作成されません。


例 7–2 保護グループの作成と構成

次に、主クラスタとして設定されている cluster-paris 上に Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを作成する例を示します。


phys-paris-1# geopg create -s paris-newyork-ps -d avs -o primary \
-p Nodelist=phys-paris-1,phys-paris-2 avspg 

ProcedureSun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを変更する方法

始める前に

保護グループの構成を変更する前に、変更する保護グループがローカルに存在していることを確認します。

手順
  1. クラスタノードの 1 つにログインします。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. 保護グループの構成を変更します。

    このコマンドでは、ローカルクラスタ上の保護グループのプロパティーを変更します。パートナークラスタ上に同じ名前の保護グループが含まれている場合、このコマンドは、パートナークラスタにも新しい構成情報を伝達します。


    # geopg set-prop -p property-settings[-p...] protection-group-name
    
    -p property-setting

    保護グループのプロパティーを設定します

    設定できるプロパティーについての詳細は、付録 A 「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。

    protection-group-name

    保護グループの名前を指定します

    Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされる名前と値については、付録 B 「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。

    geopg コマンドの詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。


例 7–3 保護グループの構成の変更

次に、例 7–2 で作成した保護グループの timeout プロパティーを変更する例を示します。


# geopg set-prop -p Timeout=300 avspg

変更した保護グループをデータ複製サブシステムで検証する

geopg set-prop コマンドを起動すると、構成情報が更新されている保護グループがデータ複製サブシステムによって再度検証されます。ローカルクラスタ上で検証に失敗した場合、保護グループの構成は変更されません。成功した場合、Configuration 状態は ローカルクラスタで OK に設定されます。

ローカルクラスタ上で Configuration 状態が OK になっていても、パートナークラスタ上で検証に失敗した場合、パートナークラスタ上の Configuration 状態が Error に設定されます。

ProcedureSun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを検証する方法

始める前に

geoadm status コマンドの出力で保護グループの Configuration 状態が Error と表示された場合、geopg validate コマンドを使用して構成を検証できます。このコマンドは、保護グループとそのエンティティーの現在の状態を検査します。

保護グループとそのエンティティーが有効であれば、保護グループの Configuration 状態は OK に設定されます。構成ファイル内にエラーが見つかると、geopg validate コマンドはそのエラーについてのメッセージを表示し、構成はエラー状態にとどまります。この場合、ユーザーは構成内のエラーを修正し、geopg validate コマンドをもう一度実行できます。

このコマンドで検証されるのは、ローカルクラスタ上の保護グループの構成だけです。パートナークラスタ上の保護グループ構成を検証するには、次のコマンドをパートナークラスタでもう一度実行します。

保護グループの構成を検証する前に、検証する保護グループがローカルに存在していることと、パートナーシップの関係にある両方のクラスタの全ノードで共通エージェントコンテナがオンライン状態であることを確認します。

手順
  1. クラスタノードの 1 つにログインします。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. 保護グループの構成を検証します。

    このコマンドで検証されるのは、ローカルクラスタ上の保護グループの構成だけです。


    # geopg validate protection-group-name 
    
    protection-group-name

    単一の保護グループを識別する一意の名前を指定します。


例 7–4 保護グループの構成の検証

次に、保護グループを検証する例を示します。


# geopg validate avspg

データ複製層でアプリケーションリソースグループとデータ複製エンティティーを検証する

保護グループの検証時には、Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 データ複製層により、次のようにアプリケーションリソースグループとデータ複製エンティティーの検証が行われます。

正常に検証されたデバイスグループの Enable_volume_set プロパティーが True に設定されている場合、/var/cluster/geo/avs/avsdg-volset.ini ファイルに定義されているボリュームセットが有効になります。デバイスグループのその他のボリュームセットは無効です。ほかのボリュームセットを有効にする必要がある場合は、そのボリュームセットを /var/cluster/geo/avs/avsdg-volset.ini ファイルに追加するか、Enable_volume_set プロパティーを False に設定することができます。

検証が完了すると、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアによって軽量リソースグループ、複製リソースグループ、およびこの複製リソースグループのリソース (リソースが存在しない場合) が作成され、これらがオンラインになります。同じ名前のリソースグループまたはリソースが存在する場合、Sun Cluster Geographic Edition の操作により、それらのプロパティーが変更される可能性があります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、新しいリソースグループまたはリソースに、既存のリソースグループまたはリソースと同じ名前を付けることはできません。

検証が正常に完了した場合、Configuration 状態は OK に設定されます。検証に失敗した場合、Configuration 状態は Error に設定されます。

ProcedureSun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを削除する方法

始める前に

各クラスタ上の保護グループを削除するには、保護グループが存在する各クラスタで geopg delete コマンドを実行します。

保護グループを削除するには、次の条件が満たされているかをまず確認する必要があります。


注 –

アプリケーションリソースグループをオンラインにしたまま保護グループを削除するには、削除対象の保護グループからアプリケーションリソースグループを除去する必要があります。


手順
  1. 保護グループを削除するクラスタ (例: cluster-paris) 上のノードの 1 つにログインします。

    cluster-paris は主クラスタです。クラスタの構成例については、図 2–1 を参照してください。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. 保護グループを削除します。

    このコマンドは、ローカルクラスタから保護グループの構成を削除します。また、削除対象の保護グループに含まれる、各デバイスグループの軽量リソースグループと複製リソースグループも削除されます。


    # geopg delete protection-group-name 
    
    protection-group-name

    保護グループの名前を指定します

    削除に失敗した場合、Configuration 状態は Error に設定されます。エラーの原因を修正し、geopg delete コマンドを再実行します。


例 7–5 保護グループの削除

次に、両方のパートナークラスタから保護グループを削除する例を示します。


# rlogin cluster-paris -l root
cluster-paris# geopg delete avspg
# rlogin cluster-newyork -l root
cluster-newyork# geopg delete avspg


例 7–6 アプリケーションリソースグループをオンラインにしたまま保護グループを削除する

次に、2 つのアプリケーションリソースグループ apprg1apprg2 をオンラインにしたまま、その保護グループ avspg を削除する例を示します。保護グループからアプリケーションリソースグループを除去し、続いて保護グループを削除します。


# geopg remove-resource-group apprg1,apprg2 avspg 
# geopg stop -e global avspg
# geopg delete avspg