Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理

Hitachi TrueCopy 保護グループの有効化

保護グループを有効にすると、その保護グループは構成時に割り当てられた役割を引き受けます。保護グループは、次のレベルで有効にできます。

一方のクラスタで Hitachi TrueCopy 保護グループを有効にすると、データ複製層に次のような影響が出ます。

アプリケーションの処理が行われるのは、データ複製が正常に開始されたあとだけです。

保護グループを有効にすると、アプリケーション層に次のような影響が出ます。

データ複製の開始に使用する Hitachi TrueCopy コマンドは、次の要因によって変わります。

次の表に、これらの要因の考えられる組み合わせごとに、データ複製の開始に使用する Hitachi TrueCopy コマンドを示します。コマンド中、dg はデバイスグループ名であり、fl はデバイスグループに構成されたフェンスレベルです。

表 10–4 Hitachi TrueCopy データ複製の開始に使用するコマンド

全体的なデバイスグループ状態 

保護グループの有効なローカルな役割 

Hitachi TrueCopy 開始コマンド 

SMPL

primary または secondary

paircreate -vl -g dg -f fl

paircreate -vr -g dg -f fl

 

どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。

Regular Primary

primary

ローカル状態コードが 22、23、25、26、29、42、43、45、46、または 47 の場合、データがすでに複製されているため、コマンドは発行されません。 

ローカル状態コードが 24、44、または 48 の場合は、次のコマンドが発行されます。pairresync -g dg [-l]

ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが発行されます。 paircreate -vl -g dg -f fl

どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。

Regular Secondary

secondary

ローカル状態コードが 32、33、35、36、39、52、53、55、56、または 57 の場合、データがすでに複製されているため、コマンドは発行されません。 

ローカル状態コードが 34、54、または 58 の場合は、次のコマンドが発行されます。pairresync -g dg

ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが発行されます。 paircreate -vr -g dg -f fl

どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。

Takeover Primary

primary

ローカル状態コードが 34 または 54 の場合は、次のコマンドが発行されます。 pairresync -swaps -g

ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが発行されます。 paircreate -vl -g dg -f fl

paircreate コマンドでは、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。

Takeover Secondary

secondary

ローカル状態コードが 24、44、25、または 45 の場合は、次のコマンドが発行されます。pairresync -swapp -g dg

ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが発行されます。 paircreate -vr -g dg -f fl

どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。

ProcedureHitachi TrueCopy 保護グループを有効にする方法

手順
  1. クラスタノードの 1 つにログインします。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. 保護グループを有効にします。

    保護グループを有効にすると、そのアプリケーションリソースグループもオンラインになります。


    # geopg start -e scope [-n] protection-group-name 
    
    -e scope

    コマンドの適用範囲を指定します

    範囲が Local の場合、このコマンドはローカルクラスタだけを対象に実行されます。範囲が Global の場合、このコマンドは保護グループが配備されている両方のクラスタを対象に実行されます。


    注 –

    GlobalLocal などのプロパティー値は、大文字と小文字は区別されません。


    -n

    保護グループを有効にしたときにデータ複製を開始しないようにします

    このオプションを省略した場合、データ複製サブシステムは保護グループと同時に起動されます。

    protection-group-name

    保護グループの名前を指定します

    geopg start コマンドは、scswitch -Z -g resource-groups コマンドを使用して、リソースグループとリソースをオンラインにします。このコマンドの使用についての詳細は、scswitch(1M) のマニュアルページを参照してください。


例 10–16 Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアで複製開始コマンドを実行する

次に、データ複製の開始に使用する Hitachi TrueCopy コマンドを Sun Cluster Geographic Edition が決定する例を示します。

まず、Hitachi TrueCopy 保護グループを作成します。


phys-paris-1# geopg create -s paris-newyork-ps -o primary -d truecopy tcpg

デバイスグループ devgroup1 を保護グループに追加します。


phys-paris-1# geopg add-device-group -p fence_level=async devgroup1 tcpg

Hitachi TrueCopy デバイスグループ devgroup1 の現在の状態は、pairdisplay コマンドの出力に示されます。


phys-paris-1# pairdisplay -g devgroup1
Group PairVol(L/R) (Port#,TID,LU),Seq#,LDEV#,P/S,Status,Fence,Seq#,P-LDEV# M 
devgroup1 pair1(L) (CL1-A , 0, 1) 12345   1..SMPL ----  ----, ----- ----   - 
devgroup1 pair1(R) (CL1-C , 0, 20)54321 609..SMPL ----  ----, ----- ----   - 
devgroup1 pair2(L) (CL1-A , 0, 2) 12345   2..SMPL ----  ----, ----- ----   - 
devgroup1 pair2(R) (CL1-C , 0,21) 54321 610..SMPL ----  ----, ----- ----   -

全体的なデバイスグループ状態は SMPL です。

次に、geopg start コマンドを使用して、保護グループ tcpgを有効にします。


phys-paris-1# geopg start -e local tcpg

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは paircreate -g devgroup1 -vl -f async コマンドをデータ複製レベルで実行します。このコマンドが成功した場合、pairdisplay コマンドの出力に devgroup1 の状態が次のように表示されます。


phys-paris-1# pairdisplay -g devgroup1
Group PairVol(L/R) (Port#,TID,LU),Seq#,LDEV#,P/S,Status,Fence,Seq#,P-LDEV# M 
devgroup1 pair1(L) (CL1-A , 0, 1) 12345   1..P-VOL COPY ASYNC,54321  609   - 
devgroup1 pair1(R) (CL1-C , 0, 20)54321 609..S-VOL COPY ASYNC,-----   1    - 
devgroup1 pair2(L) (CL1-A , 0, 2) 12345   2..P-VOL COPY ASYNC,54321  610   - 
devgroup1 pair2(R) (CL1-C , 0,21) 54321 610..S-VOL COPY ASYNC,-----   2    -


例 10–17 Hitachi TrueCopy 保護グループのグローバルな有効化

次の例に、保護グループをグローバルに有効にする方法を示します。


# geopg start -e global tcpg

保護グループ tcpg は、保護グループが構成されている両方のクラスタで有効になります。



例 10–18 Hitachi TrueCopy 保護グループのローカルな有効化

次の例に、保護グループをローカルクラスタだけで有効にする方法を示します。このローカルクラスタは、その役割に応じ、主クラスタの場合も二次クラスタの場合もあります。


# geopg start -e local tcpg