Sun WorkShop 入門

構築のカスタマイズ

make オプションを変更したり、構築モードを指定したり、メークファイルマクロや環境変数を使用することによって、構築をカスタマイズすることができます。構築をカスタマイズするには、まず「構築」⇒「ターゲットの編集」を選択し、リストから WorkShop ターゲットを選択します。「ターゲットの編集」ダイアログボックスが開いたら、変更を加えて「構築」をクリックします。すると、新しい設定で WorkShop ターゲットが再構築されます。

make オプションの指定

表 4-1 の「オプション」ダイアログボックスを使って make オプションを指定することができます。

図 4-3 「メークオプション」ダイアログボックス

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「カテゴリ」プルダウンリスト 

make オプションを選択することができます。

「了解」ボタン 

変更を適用して、ダイアログボックスを閉じます。 

「適用」ボタン 

変更を適用します。このときダイアログボックスは開いたままにしておきます。 

「取り消し」ボタン 

変更を適用しないでダイアログボックスを閉じます。 

「ヘルプ」ボタン 

ダイアログボックスのオンラインヘルプを表示します。 

表 4-1 に、このダイアログボックスから設定可能な make オプションを示します。

表 4-1 「メークオプション」ダイアログボックスで設定可能なオプション

カテゴリ 

オプション 

基本 

コマンド行を表示するが、実行はしない (-n)。

 

エラーが生じた場合は、そのターゲットに依存しない依存関係に対して構築処理を継続する (-k)。

コマンドの実行と表示 

make がターゲットの再構築を選択する理由を表示する。ここでは、より新しいすべての依存関係が表示される。make 表示オプションは、MAKEFLAGS 環境変数からも読み取られる (-d)。

 

依存関係の確認と処理に関する詳細な情報を表示する (-ss)。

 

読み込まれるメークファイルのテキストが表示される (-D)。

 

メークファイル、make.rules ファイル、状態ファイルのテキストと、すべての隠し依存関係のレポートを表示する (-DD)。

 

サイレントモード。コマンド行を実行する前に表示しない。特殊機能ターゲット .SILENT: と同じ (-s)。

実行せず表示だけするためのオプション 

マクロの定義とターゲットの記述の完全なセットを出力する (-p)。

依存関係をレポートするだけで、構築はしない (-P)。

 

質問モード。ターゲットファイルが最新のものであるかどうかに応じて、make はゼロまたはそれ以外の状態コードを返す (-q)。

その他 

ターゲットファイルの規則を実行する代わりに、ターゲットファイルを処理する (ターゲットファイルの表示を更新する)。複数のユーザーがファイルを保守していると、この手順は危険を伴うことがある。このオプションを指定すると、メークファイルに.KEEP_STATE: ターゲットがある場合に、規則が実行されたかのように状態ファイルが更新される (-t)。

 

デフォルトのメークファイルのデフォルトの規則 /usr/share/lib/make/make.rules を使用しない (-r)。

 

環境変数によって、メークファイル内のマクロ定義を無効にする (-e)。

 

コマンドが返すエラーコードを無視する。特殊関数ターゲット .IGNORE: と同じ (-i)。

分散メーク 

モード: 実行する make プロセスのタイプを逐次モード、並列モード、分散モードの中から選択する (図 4-3「構築モードの指定」を参照) (-m)。

 

最大ジョブ数: 構築サーバーに分散されるジョブの最大数を指定する (-j)。

 

実行時の構成ファイル: 実行時構成ファイルを指定する。 

 

構築サーバーグループ: ジョブの分散先のサーバーグループ名を指定する。 

 

一時出力ディレクトリ: 一時出力の書き込み先のディレクトリ名を指定する。 

make オプションを指定するには、次の手順に従ってください。

  1. 「オプション」をクリックして、「メークオプション」ダイアログボックスを開きます。

  2. 「オプション」ダイアログボックスから必要なオプションを選択します。

    「カテゴリ」プルダウンリストをクリックして、make オプションのカテゴリを選択します。「メークオプション」ダイアログボックスでは、make および dmake のオプションをすべて使用することができます。分散メークのオプションについては、「構築モードの指定」を参照してください。

  3. 「構築」をクリックしてオプションを適用し、構築を開始します。

    「構築」メニューの「新規ターゲット」コマンドから「ターゲットの新規定義」ダイアログボックスを開いて make オプションを指定することもできます。

構築モードの指定

dmake のデフォルト構築モードを逐次モードから並列モード、分散モードに変更できます。

  1. 「オプション」をクリックして、「オプション」ダイアログボックスを開きます。

  2. 「カテゴリ」リストから、「分散メーク」を選択します。

  3. 必要な構築モードをクリックして、「オプション」ダイアログボックス (図 4-4) のテキストフィールドに入力します。

  4. 「構築」をクリックしてオプションを設定し、構築を開始します。

    図 4-4 構築モードの「オプション」ダイアログボックス

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逐次モード

逐次モードで構築するには、「逐次」ラジオボタンをクリックします。テキストフィールドに入力する必要はありません。

並列モード

並列モードで構築するには、「並列」ラジオボタンをクリックした後、実行する構築ジョブの最大数を「最大ジョブ数」テキストフィールドに指定します。ジョブの最大数を指定しないと、dmake はデフォルト値である 2 を使用します。

分散モード

分散モードで構築するには、「分散」ラジオボタンをクリックした後、実行する構築ジョブの最大数を「最大ジョブ数」テキストフィールドに指定します。ジョブの最大数を指定しないと、dmake はグループ内のサーバに対して指定されたジョブの合計数を使用します。

「実行時の構成ファイル」テキストフィールドに設定されているデフォルトの名前やパスを使用しない場合には、使用する .dmakerc ファイルの名前やパスを入力します。 .dmakerc ファイルについては、.dmakerc ファイル」を参照してください。

「構築サーバーグループ」テキストフィールドにグループ名を入力しない場合、dmake.dmakerc ファイルのリストから最初のグループを選択して使用します。分散モードで実行しているとき、dmake は次のグループ (優先順位の高い順) にジョブを分散させます。優先順位は次のように決められています。

  1. -g オプションの引数としてコマンド行で指定されたグループ

  2. DMAKE_GROUP メークファイルマクロで指定されたグループ

  3. DMAKE_GROUP 環境変数で指定されたグループ

  4. 実行時構成ファイルで指定された最初のグループ

「一時出力ディレクトリ」テキストフィールドに設定されたデフォルトの名前やパスを使用しない場合には、出力ディレクトリの名前やパスをこのフィールドに入力します。

分散構築の詳細については、「分散構築の実行」を参照してください。

メークファイルマクロの使い方

メークファイルマクロを使用すると、記述ファイル内に繰り返し出現するファイルオプションやコマンドオプションを簡単に参照できます。マクロの定義については、付録 B 「make ユーティリティとメークファイル」 を参照してください。

「マクロ作成」ダイアログボックス (図 4-5 を参照) で、WorkShop ターゲットの「持続的構築マクロ」リストにメークファイルマクロを追加したり、削除して、リスト中のメークファイルマクロに値を割り当て直すことができます。また、メークファイルに現在定義されているマクロをリストに追加して、元々の値を無効にすることもできます。

「持続的構築マクロ」リスト中のすべてのマクロは、ワークセットとともに保存されます。

「マクロ作成」ダイアログボックスを開くには、「ターゲットの編集」ダイアログボックスで「マクロ」をクリックします。

図 4-5 「マクロ作成」ダイアログボックス

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「持続的構築マクロ」区画 

ワークセットとともに保存されるマクロを一覧する。 

「詳細」ボタンと「隠す」ボタン 

「フィルタを通す」テキストフィールドと「メークファイルマクロ」リストが表示されます。「隠す」では、リストの区画を閉じます。 

「<<追加」ボタン 

「メークファイルマクロ」リストのマクロを「持続的構築マクロ」リストに追加します。 

「名前」テキストフィールド 

新しいマクロに名前を割り当てたり、「持続的構築マクロ」リストで選択されているマクロの名前を変更します。 

「値」テキストフィールド 

「名前」テキストフィールドで名前を付けたマクロに値を割り当てます。 

「追加」ボタン 

「名前」と「値」のテキストフィールドで定義されているマクロを「持続的構築マクロ」リストに追加します。 

「変更」ボタン 

「名前」と「値」のテキストフィールドの値を、「持続的構築マクロ」リストで選択されているマクロに適用します。 

「削除」ボタン 

「持続的構築マクロ」リストで選択されているマクロを削除します。 

「すべてを削除」ボタン 

「持続的構築マクロ」リスト内のすべてのマクロを削除します。 

「消去」ボタン 

「名前」と「値」のテキストフィールドを消去します。 

「フィルタを通す」テキストフィールド 

「メークファイルマクロ」リストにフィルタをかけるための検索パターンを入力します。 

「メークファイルマクロ」リスト 

現在のワークセットのメークファイルに定義されているマクロを一覧表示します。 

「了解」ボタン 

変更を適用して、ダイアログボックスを閉じます。 

「適用」ボタン 

変更を適用して、ダイアログボックスは開いたままにしておきます。 

「取り消し」ボタン 

変更を適用しないで、ダイアログボックスを閉じます。 

「ヘルプ」ボタン 

ダイアログボックスのオンラインヘルプを表示します。 

マクロの追加

「持続的構築マクロ」リストにマクロを追加するには、次の手順に従ってください。

  1. 「名前」テキストフィールドにマクロの名前を入力します。

  2. 「値」テキストフィールドにマクロの値を入力します。

    間違えて入力した場合は、「消去」をクリックして「名前」と「値」のテキストフィールドからエントリを削除します。

  3. 「<<追加」をクリックして、リストに新しいマクロを追加します。

  4. 上記の 3 つの手順を繰り返して、他のマクロをすべて追加します。

  5. 「了解」をクリックして、ダイアログボックスを閉じます。

マクロの削除

「持続的構築マクロ」リストからマクロを削除するには、次の手順に従ってください。

  1. リストからマクロを選択します。

  2. 「削除」をクリックします。「すべてを削除」をクリックすると、リスト中のマクロがすべて削除されます。

  3. 「了解」をクリックして変更を確定し、ダイアログボックスを閉じます。

マクロの変更

「持続的構築マクロ」リストからマクロの値を変更するには、次の手順に従ってください。

  1. リストからマクロを選択します。

  2. 「値」テキストフィールドに新しい値を入力して、「変更」をクリックします。

  3. 「了解」をクリックして変更を確定し、ダイアログボックスを閉じます。

  4. 「ターゲットの編集」ダイアログボックスをクリックして、新しい値で構築を開始します。

メークファイルマクロの確認と無効化

「持続的構築マクロ」リストに表示されているマクロ定義と同じ名前のマクロがメークファイルにある場合、メークファイルの方のマクロは無効になります。

現在のマクロ定義を確認するには、「詳細」をクリックして、「メークファイルマクロ」一覧を開きます。メークファイルで定義されているマクロのうち、構築ターゲットと関連するものがすべて表示されます。また、「フィルタを通す」テキストフィールドを使用すれば、リストにフィルタをかけることができます。

メークファイルマクロの値を無効にするには、次の手順に従ってください。

  1. 「メークファイルマクロ」リストからマクロを選択します。

  2. 「<<追加」をクリックして、「持続的構築マクロ」リストにマクロを追加します。

  3. 「値」テキストフィールドに新しい値を入力して、「変更」をクリックします。

  4. 「了解」をクリックして、変更を確定し、ダイアログボックスを閉じます。

    「持続的構築マクロ」リスト中のマクロ定義が、メークファイルのマクロ定義を上書きして、ワークセットとともに保存されます。

  5. 「ターゲットの編集」ダイアログボックスで「構築」をクリックして、新しい値で構築を開始します。

環境変数の使い方

構築時の環境変数を指定することができます。構築を開始すると、各環境変数に対応する setenv コマンドが構築コマンドの前に付加されます。

「環境変数」ダイアログボックスを使用して、WorkShop ターゲットの「持続的環境変数」リストに環境変数を追加したり、リストから削除することによって、リスト中の環境変数に値を割り当て直すことができます。

「持続的環境変数」リスト中のすべてのマクロは、ワークセットとともに保存されます。


注 -

プログラムを構築するための「持続的環境変数」リストの内容は、プログラムを実行するための「持続的環境変数」リストの内容とは一致していません。これについては、「環境変数の設定」を参照してください。


「環境変数」ダイアログボックスを開くには、「ターゲットの編集」ダイアログボックスで「環境変数」をクリックします。

環境変数の追加

「持続的環境変数」リストに環境変数を追加するには、次の手順に従ってください。

  1. 「名前」テキストフィールドに環境変数の名前を入力します。

  2. 「値」テキストフィールドに変数の値を入力します。

    間違えて入力した場合、「消去」をクリックして「名前」と「値」のテキストフィールドからエントリを削除します。

  3. 「追加」をクリックして、「持続的環境変数」リストに環境変数を追加します。

  4. 上記の手順を繰り返して、他の環境変数を追加します。

  5. 「了解」をクリックして、ダイアログボックスを閉じます。

環境変数の削除

「持続的環境変数」リストから環境変数を削除するには、次の手順に従ってください。

  1. リストから変数を選択します。

  2. 「削除」をクリックします。「すべてを削除」をクリックすると、リスト中の環境変数がすべて削除されます。

  3. 「了解」をクリックして変更を確定し、ダイアログボックスを閉じます。

環境変数の値を変更

「持続的環境変数」リスト内の環境変数の値を変更するには、次の手順に従ってください。

  1. 一覧から環境変数を選択します。

  2. 「値」テキストフィールドに新しい値を入力して、「変更」をクリックします。

  3. 「了解」をクリックして変更を確定し、ダイアログボックスを閉じます。

  4. 「構築」をクリックして、新しい構築環境で構築を開始します。

環境変数の確認と無効化

「持続的構築マクロ」リストに表示されている環境変数定義と同じ名前の環境変数が現在の WorkShop プロセス環境にある場合、現在の WorkShop プロセス環境の環境変数の方が無効になります。

現在の WorkShop プロセス環境の変数を確認するには、「詳細」をクリックして、「現在の環境」リストを開きます。ここには、WorkShop プロセス環境で現在定義されているすべての環境変数が表示されます。また、「フィルタを通す」テキストフィールドを使用すれば、リストにフィルタをかけることができます。

環境変数の値を無効にするには、次の手順に従ってください。

  1. 「現在の環境」リストから環境変数を選択します。

  2. 「<<追加」をクリックして、「持続的環境変数」リストに環境変数を追加します。

  3. 「値」テキストフィールドに新しい値を入力して、「変更」をクリックします。

  4. 「了解」をクリックして、変更を確定し、ダイアログボックスを閉じます。

    「持続的環境変数」リスト中の環境変数定義が、現在の WorkShop プロセス環境の環境変数定義を上書きし、ワークセットとともに保存されます。

  5. 「ターゲットの編集」ダイアログボックスで「構築」をクリックして、新しい値で構築を開始します。