名前 | 形式 | 注意 | 機能説明 | オプション | 使用法 | ファイル | 環境 | 診断 | 関連項目
このコマンドは購入先の技術者だけが使用します。このコマンドの使用を誤ると、オペレーティングシステムに重大な障害を引き起こす場合があります。
POST (電源投入時自己診断) プログラムは、 Sun Enterprise 10000 システムの未初期化ハードウェアをチェックし、必要に応じて初期化済みシステムに設定したうえで、OBP (OpenBoot PROM) に渡します。hpost は SSP に常駐する実行可能プログラムであり、Sun Enterprise10000 ドメインと SSP の間の IEEE 1149.1 JTAG 走査インタフェースを介して、POST の動作とシーケンスを制御します。
最初の引数が -n でない場合、hpost(1M) はオプションファイルの .postrc を読み取り、そのファイルに記述されている命令を実行してから、ホストとのやり取りを開始します (postrc(4) を参照)。hpost は、まず現在のディレクトリ (.) の中で .postrc を探します。ここで見つからない場合は、続いて $SSPVAR/etc/platform_name/$SUNW_HOSTNAME を探します。ここでも .postrc が見つからない場合は、ユーザーのホームディレクトリである $HOME を探します。ただし例外として、カレントディレクトリが $HOME の場合は、検索パスの最初の要素である (.) は省略されます。.postrc が見つからない場合は、hpost(1M) は .postrc なしで処理を続行します。
次のコマンドで表示できます。
hpost ?postrc |
hpost のオプションについて説明します。
数値オプションの引数は通常は 10 進数です。ただし、先頭に x または 0x を付けることによって、16 進数で指定することもできます。mask で示される引数は 16 進数になります。
board はシステムボードの番号 (0 〜 15) を示します。
proc はプロセッサの番号 (0 〜 63) を示します。この番号 はプロセッサの物理的な位置 (例 : board * 4 + processor_module #) に対応します。
ハイフンの付いたフラグとその引数の間に、スペースは入りません。
オプションの最初のグループの先頭にある疑問符 (?) は h で置き換えることができます。たとえば、-?postrc は -hpostrc で置き換えることができます。
引数の簡単な説明を表示します。
-? オプションの別名です。
.postrc ファイルの簡単な説明を表示します。
blacklist(4) / redlist(4) ファイルの構文の簡単な説明を表示します。
level 番号に関する簡単な説明を表示します。
verbose 番号に関する簡単な説明を表示します。
POST を代替診断レベルで実行します。-a は、通常より高い診断レベルで POST を実行する必要があるエラー再起動シナリオで使用するために便宜的に用意されました。.postrc ファイルで alt_level の値を指定した場合は、-a はその値を代替診断レベルとして使用します。.postrc ファイルで alt_level の値を指定しなかった場合は、デフォルト値を使用します。デフォルト値は、-a を指定しないときのデフォルト診断レベルより高く設定されています。いずれにせよ、診断レベルが -a を指定しないときよりも低くなることはありません。
-a と -l を同時に使用することはできません。-l および postrc(4) も参照してください。
センタープレーンの初期設定を実行します。 -C を指定しないと、hpost は、同じ物理プラットフォーム内にすでに設定済みであり実行中であるドメインがあると想定します。hpost はセンタープレーンを調べて、バス設定を判別します。hpost が調べるのはこの設定だけで、これが無効であると判別された場合は、hpost はただちに終了します。
-C を指定した場合は、hpost はこのプラットフォームでは他に何も実行されていないと想定し、ドメイン内で最高の性能指数を持つバス設定のシステム (センタープレーンも含まれます) をテストし、設定します。
.postrc、blacklist(4)、redlist(4) の各ファイルを (通常通りに) 構文解析します。構文エラーを検出した場合は、メッセージを表示してただちに終了します。postrc(4)、blacklist(4)、redlist(4) を参照してください。
特別なモードの POST を起動します。この特別なモードでは、POST はホストから状態を走査し、その結果をバイナリファイルにダンプして、ただちに終了します。 path が指定されていない場合は、デフォルトのパスが使用されます (boardmask に続くコンマは必須で す)。ダンプファイルは hpost では分析できませんが、購入先とサンの担当者には有用なデータとなります。
boardmask はマシンの 20 ビットマスクの部分をダンプに含めることを指定します。ビット 0 〜 15 はシステムボード、ビット 16 と 17 はセンタープレーンの 2 つのハーフ、ビット 18 と 19 は 2 つの制御ボードにそれぞれ対応します。boardmask を指定しないと、値は FFFFF とみなされ、システムの全部分がダンプに含まれます。ただし、hpost は発見的決定アルゴリズムを使用して、接続されていないか電源が切れているシステムボードを検出し、ダンプファイルに含まないようにします。boardmask が指定されている場合、こうした編集は行われません。
-D が指定されていると、hpost の標準入力が端末である場合に、1 行のコメントをファイルに入れることを促すメッセージが表示されます。Return キーだけを押すと、コメントは空白になります。一緒に -d を指定した場合は、コメントの入力を促すメッセージは表示されません。-d オプションの説明を参照してください。
指定したコメントをダンプファイルに挿入します。このオプションと引数の間にはスペースを入れます。単一の語からなるコメントの場合は、引用符は必要ありません。標準の入力手段 (端末、スクリプト等) であるかどうかに関わらず、コメントが挿入されます。 -D を参照してください。
POST 終了コードのオンラインの説明を標準出力に出力します。
画面のログファイルを作成します。ログファイルのデフォルトの名前は「ファイル」の項を参照してください。path には、デフォルトのログファイルを格納するディレクトリ、あるいは明示的なパスとファイル名のいずれかを指定します。none オプションを指定すると、.postrc ファイルでログファイルを開始した場合に、画面のログファイルの作成を抑止します。
特別なモードの POST を実行します。このモードでは、動作中のドメインに 1 つまたは複数のボードを DR (動的再構成) 接続するための準備が行われます。boardmask は、POST が実行されるボードの 16 ビットマスクで、refproc はターゲットドメインの現在のマスター CPU です。この CPU は別のボードに装着されている必要があります。
注意 - コマンド行では -H を指定しないでください。 -H は DR プロセスの 1 ステップとして他のプログラムからのみ呼び出される必要があります。dr(1M) を参照してください。
対話モードを実行します。このオプションはデバッグのために使用します。proc (単一プロセッサの番号) を指定すると、そのプロセッサだけが使用され、hpost は対話セッションを開始します。proc を指定しないと、すべてのプロセッサが使用され、hpost は、デバッグの各段階で、その段階を実行するか、次に進むかを尋ねるだけの単純な対話セッションを開始します。
テストに基づいて設定を選択する代わりに、指定したバス設定を使用します。このモードの POST を使用するのはサンの技術者だけであり、bus_mask は指定したバス設定における 6 ビットのバイナリマスクとして解釈されます。2 つの最上位ビットはデータバスであり、4 つの最下位ビットはアドレスバスです。3F はすべてのバスの使用を hpost に指示します。
このオプションは -J オプションに似ていますが、実行されるのは JTAG の初期設定だけです。
POST による診断レベルを設定します。有効値は 7 〜 127 で、デフォルトのレベルは 16 です。 -?level を指定すると、簡単な説明が表示されます。
.postrc ファイルの読み取りを抑止します。このオプションは必ず先頭に指定してください。
指定したプロセッサを優先ブートプロセッサとして使用します。指定したプロセッサが最終設定に定義されていない場合は、このオプションは無視されます。
(Quick POST) このオプションを指定すると、POST は指定されたプロセッサのブートバス SRAM から設定情報を読み取り、最小限のテストを実行して、記述されたシステムを再設定します。ソフトウェアのクラッシュをすぐに回復する必要がある場合には、このオプションを使用します。指定した設定を実現できない場合は、このオプションは失敗します。
skipmask オプションを指定すると、呼び出し側 (通常は別のプログラム) は、初期設定プロセスの中で不必要と判断したステップを省略します。このため、回復がより速くなります。skipmask のビットの意味を以下に示します。
0 - 再設定の全段階を実行します (デフォルト)。
0x0001 - プロセッサ IMU のタグをクリアせず、IMU を無効にしません。
0x0002 - プロセッサ DMU のタグをクリアせず、DMU を無効にしません。
0x0004 - プロセッサの命令キャッシュをクリアしません。
0x0008 - プロセッサのデータキャッシュをクリアしません。
0x0010 - プロセッサの外部キャッシュをクリアしません。
0x0020 - CIC 重複タグ (DTAG) をクリアしません。
0x0040 - 入出力コントローラを初期設定しません。
0x0080 - メモリーをクリアしません。
省略 (Quiet) モード。画面出力をすべて抑止します。
デフォルトの redlist ファイルの代わりに使用する redlist を指定します。none を指定すると、redlist ファイルは使用されません。このセクションの最後に記述されている「注意」を参照してください。
適切な優先順位を付けたうえで、画面出力をすべて syslog に送ります。
メッセージの冗長レベルを設定します。有効値は 0 〜 255 で、デフォルトのレベルは 20 です。 -?verbose を指定すると、簡単な説明が表示されます。
デフォルトのパスは使用しません。none を指定すると、blacklist(4) ファイルは使用されません。このセクションの最後に記述されている「注意」を参照してください。
現在のドメインに存在しているレコード停止 (Recordstop) 状態をクリアし、センタープレーンの ASIC レコーディングを再度有効にしようとします。このドメインにアービトレーション停止やその他の重大なエラーが検出されたときは、報告したうえで、レコード停止をクリアしようとする試みは中止されます。この操作の結果は、hpost の終了コードで報告されます。
レコード停止状態が別のドメインに存在している場合は、センタープレーンのレコーディングを再度有効にする試みは失敗します。この失敗は報告されますが、-W の操作は失敗したとはみなされません。
InterDomain Networks (IDN) に属するドメインに対する -W 操作では、オプションの c フラグを使用してください。IDN の 1 つのドメインに対してのみ -Wc を呼び出してください。hpost は、そのドメインおよび IDN 内の他のすべてのドメインのレコード停止をクリアします。
通常、このモードの hpost は、状態ダンプファイルが作成されてから、SSP イベント検出デーモンによって呼び出されます。-D オプションを参照してください。
(Zip POST) このオプションを指定すると、POST は指定したプロセッサのブートバス SRAM から設定情報を読み取り、システムの JTAG 初期設定だけを実行して、記述されている設定を実現します。ソフトウェアのクラッシュの後でソフトウェアの状態をダンプする場合は、このオプションを使用します。通常の POST プロセスではこの状態は破壊されるおそれがあります。指定した設定を実現できない場合には、hpost -Z は失敗したものとみなされます。
注意 - プロダクションシステムで -R または -X を使用するときには注意が必要です。POST が標準外の blacklist(4) ファイルまたは redlist(4) ファイルを使用していることは、他の SSP ソフトウェアにはわかりません。
通常、POST は SSP の監視スクリプトまたは監視プログラムによって実行されます。ただし、エンジニアリング開発、製造、保守サービスなどの状況では、コマンド行から実行されることもあります。
以下のファイルがサポートされます。
ローカルの POST 設定ファイル
ユーザーのデフォルト POST 設定ファイル
ホスト名に固有のデフォルト POST 設定ファイル
デフォルトの blacklist ファイル (-X を参照)
デフォルトの redlist ファイル (-R を参照)
デフォルトのログファイル (-g を参照)
デフォルトのダンプファイル (-D を参照)
POST ロックファイル
(ホストに常駐している) POST の実行可能ファイルをダウンロードするときのパス
環境変数 SUNW_HOSTNAME が該当ドメイン名に設定されている必要があります。
0 〜 63 の終了ステータスは、正常な設定を意味します。この数値は、POST 対 OBP のハンドオフ構造体 (設定を記述します) を持つブートバス SRAM が含まれているプロセッサの数を示します。0 〜 63 以外の数値は、システムが設定されていないことを示します (これらはサンの技術者だけが使用する数値であり、関連情報は使用制限の見出しが付いたファイルに記述されています。ただし、-e オプションを指定すると、すべての値の説明が表示されます)。