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SMS の構成

動的システムドメイン (DSD) は、サーバーのサブセットである独立した環境で、ユニークなファームウェアのバージョンおよびユニークな Solaris オペレーティング環境のバージョンを実行することができます。各ドメインは、互いに独立しています。ドメインの継続的な稼働は、他のドメインでソフトウェア障害やハードウェア障害が発生しても影響を受けることはありません。

システムコントローラ (SC) は、システムボードを動的システムドメイン (以下ドメインと呼びます) に論理的に分類するコマンドをサポートします。ドメインは、専用のオペレーティングシステムの実行および専用の作業負荷の処理を行うことができます。ドメインは、他のドメインの稼働に影響を与えずに作成および削除が可能です。ドメインは、さまざまな目的に使用することができます。たとえば、新しいオペレーティングシステムのバージョンの評価または開発やテストを目的とした環境の設定です。この手法では、問題が起こったときでもシステムのそれ以外の部分は影響を受けません。

1 つの区分に 1 つのドメインを割り当てて、さまざまな区分をサポートするように複数のドメインを構成することもできます。一時的にシステムを 1 つのドメインで再構成すれば、週末の期間中に大規模なジョブを実行させておくことが可能です。

Sun Fire 15K/E25K システムは、最大 18 ドメインを構成することができます。Sun Fire 12K/E20K システムでは、最大 9 ドメインを構成することができます。

ドメイン構成を行うと、ドメインとサーバーのハードウェアコンポーネントの間にマッピングが確立します。各種のシステム管理パラメタおよび各ドメインのポリシーの確定も、ドメイン構成の中に含まれます。この章は、Sun Fire ハイエンドシステムが提供するドメイン構成機能のすべての側面について解説します。

この章では、以下の項目を説明します。


ドメイン構成ユニット

ドメイン構成ユニット (DCU) は、単独のドメインへの割り当てが可能なハードウェアユニットです。ドメインは、このハードウェアコンポーネントを使用して構築します。ドメインに割り当てられない DCU をドメイン無しと呼びます。

すべての DCU はシステムボードで、またすべてのシステムボードは DCU です。Sun Fire ハイエンドシステムの DCU の構成は以下のとおりです。

Sun Fire ハイエンドシステムのハードウェアには通常の CPU/メモリーボードが 1 枚以上必要で、各ドメインには I/O タイプのボードが 1 枚以上必要です。csb ボード、exb ボード、SC は DCU ではありません



注 - MaxCPU ボードにメモリーは搭載されていません。ドメインを設定するには、通常の CPU ボードが 1 枚以上必要です。




ドメイン構成の条件

以下の条件が満たされれば、システムボードの任意のグループからドメインを作成することができます。


DCU の割り当て

ドメインに DCU を割り当てるには、DCU (システムボード) で以下に示す 3 つの論理操作のいずれかを行います。

静的および動的なドメイン構成

DCU の割り当てには 3 つの論理操作がありますが、基礎となる実装は 4 つのドメイン構成処理が元となります。

最初の 2 つのドメイン構成操作は、アクティブではないドメイン (OS ソフトウェアが稼働していないドメイン) に適用されます。これらの操作を、静的なドメイン構成操作と呼びます。後の 2 つのドメイン構成操作は、アクティブなドメイン (OS ソフトウェアが稼働しているドメイン) に適用され、動的なドメイン構成操作と呼びます。

動的ドメイン構成では、ドメインの Solaris ソフトウェアとの対話処理による DCU 常駐の資源 (Solaris オペレーティング環境で制御される CPU、メモリー、I/O デバイスなど) の導入または削除が必要です。Sun Fire ハイエンドシステムの動的再構成 (DR) は、ドメインの Solaris 環境から動的構成サービスを要求するために、SC などの外部エージェントに対して遠隔 DR と呼ばれる機能を提供します。

SC コマンドのユーザーインタフェースは、要求されたタスクを実行するために必要に応じて遠隔 DR を利用します。ローカルの自動 DR では、ドメインで実行中のアプリケーションが実行すべき DR 操作を認識したり、必要に応じて資源の変更を調整することができます。これは、特にアクティブな資源をドメインの使用から外す場合に、DR 操作の成功の可能性を高めます。DR についての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。

ドメインをローカルの自動 DR で構成する場合は、SC から遠隔 DR 操作を起動するとそのドメインの自動 DR 操作を利用することができます。Sun Fire ドメインで使用可能な自動 DR 機能では、crontab (1) ファイルの中に単純なスクリプトを作成および配置し、時間を指定して単純なプラットフォーム再構成を実行することができます。

SMS を使用すると、アクティブな (実行中の) ドメインに対してボードの追加と削除ができます。ドメインで遠隔 DR 操作を起動するには、そのドメインの管理特権が必要です。SMS は、ドメイン単位で個別の管理者に対して、ドメインでの遠隔 DR の起動を許可します。

遠隔 DR のインタフェースは安全です。ドメインでの DR 操作の起動にはスーパーユーザー特権が必要であるために、遠隔 DR サービスは登録済みの認証リモートエージェントに対してのみ提供されます。

DCU 割り当て操作を起動するユーザーのコマンドインタフェースは、対象となるドメイン (複数を含む) にローカルの自動 DR 機能があるかどうかに関係なく同一です。

SMS は、addboarddeleteboardmoveboard を使用して、静的ドメイン構成などのアクティブではないドメインに対するボードの追加または削除を行います。DR についての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。

グローバルな自動動的再構成

遠隔 DR およびローカルの自動 DR の機能は、グローバル自動 DR と呼ばれる特長の一部です。グローバル自動 DR では、Sun Fire システムでのシステムボード資源の自動的な再分配に使用可能なフレームワークを採用しています。この再分配は、生産計画、ドメインの資源利用率、ドメイン機能の優先度などの要因をベースにすることができます。グローバル自動 DR は、Sun Fire ハイエンドシステムのリソース利用のポリシーを記述する入力をカスタマから受け付け、そのポリシーに基づいて自動的に Sun Fire 資源を整理して、最も効果的に利用します。DR についての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。


プラットフォーム管理者のための構成

この節では、プラットフォーム管理者が使用可能な構成サービスについて簡単に説明します。

使用可能構成要素リスト

各ドメイン (A〜R) には、管理者または構成者が目的のドメインに割り当てる場合に使用可能なボードの 0-ボードリストがあります。プラットフォーム管理者は setupplatform (1M) コマンドを使用して、ボードをドメインの使用可能構成要素リストに追加することができます。使用可能構成要素リストの更新には、以下のタスクを実行するための pcd が必要です。


procedure icon  使用可能構成要素リストを設定する

setupplatform は、ドメインの使用可能構成要素リストを設定します。domain_id または domain_tag を指定するときは、ボードリストを指定する必要があります。パラメタの数値を指定しないと、現在の数値がそのまま使用されます。

1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインします。

2. 次のように入力します。

sc0:sms-user:> setupplatform -d domain_indicator -a location

ここで、

-a

指定したドメインの使用可能構成要素リストにスロットを追加します。

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

location

ボード (DCU) の位置です。


指定できる location の範囲は次のとおりです。

Sun Fire 15K/E25K で有効な書式

Sun Fire 12K/E20K で有効な書式

SB(0...17)

IO(0...17)

SB(0...8)

IO(0...8)


次の例は、SB0、IO1、IO2 のボードをドメイン A で使用可能にする場合です。

sc0:sms-user:> setupplatform -d A -a SB0 IO1 IO2

この時点で、プラットフォーム管理者は addboard (1M) コマンドを使用してドメイン A にボードを割り当てるか、その作業をドメイン管理者に任せることができます。

プラットフォーム管理者は、addboard コマンドの -c assign オプションの特権だけを持っています。それ以外のすべてのボードの構成にはドメイン特権が必要です。詳細は、addboard のマニュアルページを参照してください。

ドメインの構成


procedure icon  コマンド行でドメイン名を命名または変更する

Sun Fire ハイエンドシステムではドメインを作成する必要はありません。18 個のドメインがすでに確立しています。ドメインは A〜R まであり、大文字/小文字は区別されません。これらのドメインの指示子はカスタマイズが可能です。ここでは、一意のドメイン名の命名方法について説明します。



注 - 先に進む前に、ドメイン構成の条件を参照してください。以下の条件を満たすためにシステム構成の変更が必要な場合は、サービスプロバイダに問い合わせてください。



1. SC にログインします。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> addtag -d domain_indicator  new_tag

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

new_tag

ドメインに命名する新しい名前です。この名前は、SC で制御されるすべてのドメイン内で重複しない名前でなければなりません。


ドメインの命名は省いてもかまいません。

以下の例は、ドメイン AdmnA という名前を付ける場合です。

sc0:sms-user:> addtag -d A dmnA


procedure icon  コマンド行でドメインにボードを追加する

1. SC にログインします。


注 - プラットフォーム管理者は、-c assign オプションの使用には制限があり、アクティブではないボードでのみ使用可能です。



システムボードは、追加するドメインに対して使用可能の状態であることが必要です。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用します。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> addboard -d domain_indicator -c assign location...

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

-c assign

現在の構成状態から assign された (割り当て済み) 状態にボードが移行するよう指定します。

location

ボード (DCU) の位置です。複数の位置を指定できます。


指定できる location の書式は以下のとおりです。

Sun Fire 15K/E25K で有効な書式

Sun Fire 12K/E20K で有効な書式

SB(0...17)

IO(0...17)

SB(0...8)

IO(0...8)


以下に例を示します。

sc0:sms-user:> addboard -d C -c assign SB0 I01 SB1 I02

ドメイン C に対して使用可能であった SB0、IO1、SB1、IO2 は、ドメイン C に割り当てられました。

addboard はタスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまでユーザーに制御を返しません。このコマンドの実行が失敗しても、対象のボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不能な場合、対象のボードを使用するためには、当該ドメインを再起動する必要があります。


procedure icon  コマンド行でドメインからボードを削除する



注 - プラットフォーム管理者は、-c unassign オプションの使用には制限があり、アクティブではないボードでのみ使用可能です。



1. SC にログインします。

システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みの状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用します。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> deleteboard -c unassign  location...

ここで、

-c unassign

現在の構成状態から割り当て解除状態へのボードの移行を指定します。

location

ボード (DCU) の位置です。複数の位置を指定できます。


指定できる location の書式は以下のとおりです。

Sun Fire 15K/E25K で有効な書式

Sun Fire 12K/E20K で有効な書式

SB(0...17)

IO(0...17)

SB(0...8)

IO(0...8)


以下に例を示します。

sc0:sms-user:> deleteboard -c unassign SB0

ドメイン C に対して割り当て済みであった SB0 は、そのドメインに対して使用可能になりました。

deleteboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためには、ドメインを再起動する必要があります。


procedure icon  コマンド行でドメイン間でボードを移動する



注 - プラットフォーム管理者は、-c assign オプションの使用には制限があり、アクティブではないボードでのみ使用可能です。



1. SC にログインします。

システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みの状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用します。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> moveboard -d domain_indicator  -c assign location

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

-c assign

現在の構成状態から assign された (割り当て済み) 状態にボードが移行するよう指定します。

location

ボード (DCU) の位置です。


指定できる location の書式は以下のとおりです。

Sun Fire 15K/E25K で有効な書式

Sun Fire 12K/E20K で有効な書式

SB(0...17)

IO(0...17)

SB(0...8)

IO(0...8)


moveboard は、タスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまで制御をユーザーに返しません。moveboard を使用するときは、1 つの location だけを指定することができます。

以下に例を示します。

sc0:sms-user:> moveboard -d C -c assign SB0

SB0 は、以前のドメインから移動してドメイン C に割り当てられました。

moveboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためには、エラー発生時にそのボードが含まれていたドメインを再起動する必要があります。


procedure icon  ドメインのデフォルトを設定する

SMS には、直前にアクティブであったドメインのすべてのインスタンスを削除するときに使用する setdefaults(1M) コマンドが用意されています。

1. SC にログインします。

プラットフォーム管理者はすべてのドメインのデフォルトを設定できますが、一度に設定できるのは 1 つのドメインだけです。ドメインをアクティブでない状態にして、setkeyswitchoff に設定する必要があります。

setdefaults コマンドは、ネットワーク情報とログファイル以外のすべての pcd エントリを削除します。これには、NVRAM と起動パラメタデータの削除も含まれます。

デフォルトでは、NVRAM と起動パラメタデータを削除するかどうかプロンプトが表示されます。このとき「no」と答えると、データは保持されます。-p オプションを使用すると、プロンプトは表示されず、データは自動的に保持されます。

2. 次のように入力します。

sc0:sms-user:> setdefaults -d domain_indicator [-p]

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

-p

プロンプトを表示せずに、NVRAM と起動パラメタデータを保持します。


setdefaults についての詳細は、setdefaults マニュアルページまたは『System Management Services (SMS) 1.4.1 リファレンスマニュアル』を参照してください。


procedure icon  ボードステータスを取得する

1. SC にログインします。

プラットフォーム管理者は、すべてのドメインのボードステータスを取得することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showboards [-d domain_id|-d  domain_tag]

ボードステータスが表示されます。

次の例は、Sun Fire 15K/E25K システムでプラットフォーム管理者特権を持つユーザーに対するボード情報の一部です。すべてのドメインのドメインステータスが表示されます。Sun Fire 12K/E20K システムでは、9 つのドメインが表示されます。

sc0:sms-user:> showboards

Location  Pwr  Type         Board Status  Test Status   Domain
----      ---  ----         ------------  -----------   ------
SB0        On   CPU          Active        Passed        domainC
SB1        On   CPU          Active        Passed        A
SB2        On   CPU          Active        Passed        A
SB3        On   CPU          Active        Passed        engB
SB4        On   CPU          Active        Passed        engB
SB5        On   CPU          Active        Passed        engB
SB6        On   CPU          Active        Passed        A
SB7        On   CPU          Active        Passed        domainC
SB8        Off  CPU          Available     Unknown       Isolated
SB9        On   CPU          Active        Passed        dmnJ
SB10       Off  CPU          Available     Unknown       Isolated
SB11       Off  CPU          Available     Unknown       Isolated
SB12       Off  CPU          Assigned      Unknown       engB
SB13        -   Empty Slot   Available         -         Isolated
SB14       Off  CPU          Assigned      Failed        domainC
SB15       On   CPU          Active        Passed        P
SB16       On   CPU          Active        Passed        domainC
SB17        -   Empty Slot   Assigned          -         dmnR
IO0         -   Empty Slot   Available         -         Isolated
IO1        On   HPCI         Active        Passed        A
IO2        On   MCPU         Active        Passed        engB
IO3        On   MCPU         Active        Passed        domainC
IO4        On   HPCI+        Available     Degraded      domainC
IO5        Off  HPCI+        Assigned      Unknown       engB
IO6        On   HPCI         Active        Passed        A
IO7        On   HPCI         Active        Passed        dmnJ
IO8        On   WPCI         Active        Passed        Q
IO9        On   HPCI+        Assigned      iPOST         dmnJ
IO10       Off  HPCI         Assigned      Unknown       engB
IO11       Off  HPCI         Assigned      Failed        engB
IO12       Off  HPCI         Assigned      Uknown        engB
IO13        -   Empty Slot   Available         -         Isolated
IO14       Off  HPCI+        Available     Unknown       Isolated
IO15       On   HPCI         Active        Passed        P
IO16       On   HPCI         Active        Passed        Q
IO17        -   Empty Slot   Assigned          -         dmnR


procedure icon  ドメインステータスを取得する

1. SC にログインします。

プラットフォーム管理者は、すべてのドメインのドメインステータスを取得することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showplatform -d domain_indicator

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。


ステータスリストが表示されます。

次の例 (Sun Fire 15K/E25K システム) は、プラットフォームの管理者特権を持つユーザーに対するドメイン情報の一部です。すべてのドメインのドメインステータスが表示されます。Sun Fire 12K/E20K システムでは、9 つのドメインが表示されます。

sc0:sms-user:> showplatform 
...
Domain configurations:
======================
Domain ID Domain Tag    Solaris Nodename   Domain Status
A         newA          sun15-b0           Powered Off
B         engB          sun15-b1           Keyswitch Standby
C         domainC       sun15-b2           Running OBP
D         eng1          sun15-b3           Loading Solaris
E         -             sun15-b4           Running Solaris
F         domainF       sun15-b5           Running Solaris
G         dmnG          sun15-b6           Running Solaris
H         -             sun15-b7           Solaris Quiesced
I         -             sun15-b8           Powered Off
J         dmnJ          sun15-b9           Powered Off
K         -             sun15-b10          Booting Solaris
L         -             sun15-b11          Powered Off
M         -             sun15-b12          Powered Off
N         -             sun15-b13          Keyswitch Standby
O         -             sun15-b14          Powered Off
P         -             sun15-b15          Running Solaris
Q         -             sun15-b16          Running Solaris
R         dmnR          sun15-b17          Running Solaris

仮想時刻

Solaris 環境では、ハードウェアの時刻 (TOD) チップが提供する機能に基づいて Solaris システムの日時がサポートされます。通常は、Solaris ソフトウェアは起動時に TOD 取得サービスを使用してシステムの現在の日時を読み取ります。それ以降は、Solaris ソフトウェアは高分解能のハードウェアタイマーを使用して現在の日時を提示するか (設定されている場合)、またはネットワークタイムプロトコル (NTP) を使用してシステムの現在の日時を (より正確に) タイム資源に同期させます。

SC は、リアルタイムクロックを備えたプラットフォーム上の唯一のコンピュータです。ドメインの仮想 TOD は、そのリアルタイムクロック値のオフセット値として格納されます。各ドメインは、setdate (1M) の代わりに NTP サービスを利用して実行中のシステムの日時を管理するように構成できます。NTP についての詳細は、NTP の構成を参照するか、Solaris 9 Reference Manual Collection の「man pages section 1M: System Administration Commands」にある xntpd (1M) のマニュアルページを参照してください。



注 - NTP は、目的に応じた動作をさせる場合にドメインへのインストールおよび構成が必要な独立したパッケージです。NTP をインストールする前に、ドメインで setdate を実行してください。



ただし、システムの日時は Solaris ソフトウェアの実行中に管理されるために、現在の TOD 値と現在のシステム日時との間に差違が検出される場合は、TOD の設定によって起動時の TOD 値の精度が保たれます。

Sun Fire ハイエンドシステムのハードウェアは Sun Fire ドメインに対して物理的な TOD チップを供給しないため、SMS は Solaris 環境に必要な時刻サービスを各ドメインに提供します。各ドメインには TOD サービスが提供されています。この TOD サービスは、他のドメインに提供されている同サービスから論理的に分離されています。こうした相違により、Sun Fire ハイエンドシステムドメイン上のシステムの日付または時刻の管理が、スタンドアロンサーバーでの管理と同様に柔軟に行えます。あるドメインを実際の時刻とは異なる時刻に構成して稼働させるというまれな状況でも、Sun Fire ハイエンドシステムの TOD サービスにより、実際の時間で稼働している他のドメインに提供されている TOD 値に悪影響を与えずに済みます。

時刻設定は、setdate (1M) を使用して行います。setdate を実行するには、プラットフォームの管理者特権が必要です。詳細は、すべての特権のリストを参照してください。

日時の設定

setdate (1M) では、SC プラットフォーム管理者はシステムコントローラの日時の値を設定することができます。日時の設定が済むと、setdate (1M) はユーザーに対して現在の日時を表示します。


procedure icon  SC で日付を設定する

1. SC にログインします。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> setdate 021210302000.00
System Controller:Tue Feb 12 10:30 2002 US/Pacific

オプションで、setdate (1M) でドメイン TOD を設定することができます。ドメインのキースイッチは、off または standby の位置になっている必要があります。このコマンドをドメインで実行するには、プラットフォームの管理者特権が必要です。


procedure icon  ドメイン eng2 で日付を設定する

1. SC にログインします。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> setdate -d eng2 021210302000.00
Domain eng2:Tue Feb 12 10:30 2002 US/Pacific

showdate (1M) は、SC の現在の日時を表示します。


procedure icon  SC で日付を表示する

1. SC にログインします。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showdate
System Controller:Tue Feb 12 10:30 2002 US/Pacific

オプションで、showdate (1M) で指定したドメインの日時を表示することができます。スーパーユーザーまたはプラットフォームかドメイングループの任意のメンバーは、showdate を実行することができます。


procedure icon  ドメイン eng2 で日付を表示する

1. SC にログインします。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showdate -d eng2
Domain eng2:Tue Feb 12 10:30 2002 US/Pacific

NTP の構成

NTP デーモンである Solaris 9 オペレーティング環境用の xntpd (1M) は、SC とドメインの間で時刻設定の同期を維持するメカニズムを提供します。OpenBoot PROM は、ドメインの起動時に SC から時刻を取得します。NTP は、その時点以降はドメイン上でその時刻の同期を維持します。

NTP の構成は、システム管理者から提供される情報を基にしています。

NTP パッケージは、ローカルのリファレンスクロックをサポートするようにコンパイルされています。これは、別のシステムまたはネットワークのクロックをポーリングするのではなく、システムは時刻について自分自身をポーリングすることを意味します。ポーリングは、ネットワークのループバックインタフェースを通して実行されます。IP アドレス番号は 127.127.1.0 です。ここでは、setdate による SC の時刻設定方法、および SC の内部の時刻クロックをリファレンスクロックとして使用するように ntp.conf ファイルで設定する方法について説明します。

NTP は、SC クロックとドメインクロック間の差違を追跡することもできます。NTP は、ntp.conf ファイルでドリフトファイル宣言がされている場合は、SC クロックとの接続を失ったドメインクロックを修正します。ドリフトファイル宣言は、NTP デーモンに対してデーモンが計算するクロック周波数の誤差を格納するファイル名を指定します。ntp.conf ファイルでのドリフトファイル宣言の例については、以下の手順を参照してください。

ntp.conf ファイルが存在しない場合は、以下の手順でファイルを作成します。ntp.conf ファイルは、SC とドメインの両方に必要です。


procedure icon  ntp.conf ファイルを作成する

1. メイン SC にスーパーユーザーとしてログインします。

2. /etc/inet ディレクトリに移行して、NTPの server ファイルを NTP 構成ファイルにコピーします。

sc0:# cd /etc/inet
sc0:# cp ntp.server ntp.conf

3. テキストエディタを使用して、前の手順で作成した /etc/inet/ntp.conf ファイルを編集します。

Solaris 9 オペレーティング環境の ntp.conf ファイルは、/etc/inet にあります。

次は、メインの SC の ntp.conf ファイルのサーバー行の例で、クロックの同期をとります。

server 127.127.1.0
fudge 127.127.1.0 stratum 13
driftfile /var/ntp/ntp.drift
statsdir /var/ntp/ntpstats/
filegen peerstats file peerstats type day enable
filegen loopstats file loopstats type day enable
filegen clockstats file clockstats type day enable

4. ファイルを保存して終了します。

5. NTP デーモンを停止してから起動します。

sc0:# /etc/init.d/xntpd stop
sc0:# /etc/init.d/xntpd start

6. スペア SC にスーパーユーザーとしてログインします。

7. /etc/inet ディレクトリに移行して、NTPの server ファイルを NTP 構成ファイルにコピーします。

sc1:# cd /etc/inet
sc1:# cp ntp.server ntp.conf

8. テキストエディタを使用して、前の手順で作成した /etc/inet/ntp.conf ファイルを編集します。

Solaris 9 オペレーティング環境の ntp.conf ファイルは、/etc/inet にあります。

次は、スペアの SC の ntp.conf ファイルのサーバー行の例で、クロックの同期をとります。

server 127.127.1.0
fudge 127.127.1.0 stratum 13
driftfile /var/ntp/ntp.drift
statsdir /var/ntp/ntpstats/
filegen peerstats file peerstats type day enable
filegen loopstats file loopstats type day enable
filegen clockstats file clockstats type day enable

9. NTP デーモンを停止してから起動します。

sc1:# /etc/init.d/xntpd stop
sc1:# /etc/init.d/xntpd start

10. 各ドメインにスーパーユーザーでログインします。

11. /etc/inet ディレクトリに移行して、NTP の client ファイルを NTP 構成ファイルにコピーします。

domain_id:# cd /etc/inet
domain_id:# cp ntp.client ntp.conf

12. テキストエディタを使用して、前の手順で作成した /etc/inet/ntp.conf ファイルを編集します。

Solaris 9 オペレーティング環境の ntp.conf ファイルは、/etc/inet にあります。

Solaris 9 オペレーティング環境では、以下に示すような行をドメインの /etc/inet/ntp.conf に追加することができます。

server main_sc_hostname prefer
server spare_sc_hostname

13. ファイルを保存して終了します。

14. 初期設定ディレクトリに移行して、ドメイン上で NTP デーモンを再起動します。

domain_id:# /etc/init.d/xntpd stop
domain_id:# /etc/init.d/xntpd start

NTP は、現在はドメインにインストールされて実行中です。各ドメインで手順 10 から手順 14 を繰り返します。

NTP デーモンについての詳細は、Solaris 9 Reference Manual Collection の「man pages section 1M: System Administration Commands」にある xntpd (1M) のマニュアルページを参照してください。

仮想 ID PROM

構成可能な各ドメインには、ホスト ID やドメインの Ethernet アドレスなどのドメインに関する情報を特定するための仮想 ID PROM があります。ホスト ID は、同じプラットフォーム上のすべてのドメインで一意です。Ethernet アドレスは世界中で 1 つしかありません。

Sun Fire ハイエンドシステムのシステム管理ソフトウェアは、ドメインから読み取りが可能で書き込みはできない識別情報を収めた仮想 ID PROM を、構成の可能な各ドメインに提供します。提供される情報は、Solaris 環境の条件を満たします。

flashupdate コマンド

SMS で提供される flashupdate(1M) コマンドでは、システムコントローラ (SC) のフラッシュ PROM を更新したり、ドメインの CPU および MaxCPU ボードにあるフラッシュ PROM を SMS ソフトウェアのアップグレード後やパッチ適用後に更新したりできます。flashupdate では、現在のフラッシュ PROM とフラッシュイメージファイルの情報が、更新の前に必ず表示されます。



注 - SC FPROM を更新した場合には、SC をリセットする必要があります。OpenBoot PROM (ok) プロンプトで reset-all コマンドを実行してください。flashupdate の実行中には、対象のシステムボードに対して、CLI コマンドはいっさい実行すべきではありません。対象のシステムボードに影響を与えるような SMS コマンドを実行する前に、flashupdate の実行が完了するまで待ってください。



flashupdate コマンドの詳細および例については、flashupdate のマニュアルページを参照してください。


ドメイン管理者のための構成

この節では、ドメイン管理者が使用可能な構成サービスについて簡単に説明します。

ドメインの構成

ドメイン管理者は、addboarddeleteboardmoveboard の各コマンドを自由に使用する権限が与えられています。


procedure icon  コマンド行でドメインにボードを追加する

1. 該当ドメインで、ドメイン管理者として SC にログインします。


注 - ドメイン管理者がドメインにボードを追加するためには、そのボードがドメインの使用可能構成要素リストに登録されている必要があります。



システムボードは、追加予定のドメインに対して使用可能または割り当て済みの状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用します。

2. 次のように入力します。

sc0:sms-user:> addboard -d domain_indicator -c function location

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

-c function

現在の構成状態から新しい構成状態のボードに移行するよう指定します。

location

ボード (DCU) の位置です。


以下の構成状態があります。

assign

ボードを論理ドメインに割り当てます。ボードはドメインに含まれていますが、アクティブではありません。

connect

割り当てられたボードを、接続済み/構成解除済み状態に移行します。これは中間状態であり、スタンドアロン実装状態ではありません。

configure

割り当てられたボードを、接続済み/構成済み状態に移行します。ボード上のハードウェア資源は、Solaris ソフトウェアで使用することができます


-c function オプションを指定しない場合は、デフォルトで configure の状態が設定されます。構成状態についての詳細は、addboard(1M) マニュアルページを参照してください。

複数の位置を指定できます。

指定できる location の書式は以下のとおりです。

Sun Fire 15K/E25K で有効な書式

Sun Fire 12K/E20K で有効な書式

SB(0...17)

IO(0...17)

SB(0...8)

IO(0...8)


次に例を示します。

sc0:sms-user:> addboard -d C -c assign SB0 I01 SB1 I02

ドメイン C に対して使用可能であった SB0、IO1、SB1、IO2 は、ドメイン C に割り当てられました。

addboard はタスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまでユーザーに制御を返しません。ボードの電源が投入されていない場合またはボードをテストする場合は、-c connect|configure オプションを指定するとコマンドがボードの電源を投入してテストを実行します。

addboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためには、ドメインを再起動する必要があります。


procedure icon  コマンド行でドメインからボードを削除する

1. 該当ドメインで、ドメイン管理者として SC にログインします。

システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みであるかアクティブな状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用します。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> deleteboard -c function  location

ここで、

-c function

現在の構成状態から新しい構成状態のボードに移行するよう指定します。

location

ボード (DCU) の位置です。


以下の構成状態があります。

unconfigure

割り当てられたボードを、接続済み/構成解除済み状態に移行します。ボード上のハードウェア資源を Solaris で使用することはできません。

disconnect

割り当てられたボードを、接続解除済み/構成解除済み状態に移行します。

unassign

現在の論理ドメインからボードの割り当てを解除します。ボードはドメインに含まれておらず、使用可能な状態に変わります。


-c function オプションを指定しない場合は、デフォルトで unassign が設定されます。構成状態についての詳細は、deleteboard(1M) マニュアルページを参照してください。

複数の位置を指定できます。

指定できる location の書式は以下のとおりです。

Sun Fire 15K/E25K で有効な書式

Sun Fire 12K/E20K で有効な書式

SB(0...17)

IO(0...17)

SB(0...8)

IO(0...8)


次に例を示します。

sc0:sms-user:> deleteboard -c unassign SB0

ドメインに対して割り当て済みであった SB0 は、そのドメインに対して使用可能になりました。



注 - ドメイン管理者は、ボードの構成や接続を解除することはできますが、ドメインの使用可能構成要素リストに deleteboard [location] フィールドが指定されていなければドメインからボードを削除することはできません。



deleteboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためには、ドメインを再起動する必要があります。


procedure icon  コマンド行でドメイン間でボードを移動する



注 - 対象となる両方のドメインのドメイン管理者特権が必要です。



1. 該当ドメインで、ドメイン管理者として SC にログインします。

システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みであるかアクティブな状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用します。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> moveboard -d domain_indicator  -c function location

ここで、

-d domain_indicator

これは、ボードの移動先となるドメインです。以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

-c function

現在の構成状態から新しい構成状態にボードが移行するよう指定します。

location

ボード (DCU) の位置です。


以下の構成状態があります。

assign

現在の論理ドメインからボードを構成解除します。ボードの状態を available (使用可能) に変更して、論理ドメインからボードを移動します。ボードを新しい論理ドメインに割り当てます。ボードは新しいドメインに含まれていますが、アクティブではありません。

connect

割り当てられたボードを、接続済み/構成解除済み状態に移行します。これは中間状態であり、スタンドアロン実装状態ではありません。

configure

割り当てられたボードを、接続済み/構成済み状態に移行します。ボード上のハードウェア資源は、Solaris ソフトウェアで使用することができます


-c オプションが指定されない場合は、デフォルトの設定状態は configure になります。構成状態についての詳細は、moveboard(1M) マニュアルページを参照してください。

指定できる location の書式は以下のとおりです。

Sun Fire 15K/E25K で有効な書式

Sun Fire 12K/E20K で有効な書式

SB(0...17)

IO(0...17)

SB(0...8)

IO(0...8)


moveboard は、タスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまで制御をユーザーに返しません。ボードの電源が投入されていない場合またはボードをテストする場合は、-c connect|configure を指定すると、コマンドはボードの電源を投入してテストを実行します。moveboard を使用するときは、1 つの location だけを指定することができます。

moveboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためには、エラー発生時にそのボードが含まれていたドメインを再起動する必要があります。


procedure icon  ドメインのデフォルトを設定する

SMS には、直前にアクティブであったドメインのすべてのインスタンスを削除するときに使用する setdefaults(1M) コマンドが用意されています。

1. SC にログインします。

プラットフォーム管理者はすべてのドメインのデフォルトを設定できますが、一度に設定できるのは 1 つのドメインだけです。ドメインをアクティブでない状態にして、setkeyswitchoff に設定する必要があります。setdefaults コマンドは、ネットワーク情報、ログファイル、および (オプションで) NVRAM と起動パラメタデータを除き、すべての pcd エントリを削除します。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> setdefaults -d domain_indicator

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R までの英字で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。


setdefaults についての詳細は、setdefaults マニュアルページまたは『System Management Services (SMS) 1.4.1 リファレンスマニュアル』を参照してください。


procedure icon  ボードステータスを取得する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみデバイスステータスを取得することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showboards [-d domain_id|domain_tag]

ボードステータスが表示されます。

次の例は、ドメイン A のドメイン管理者特権を持つユーザーに対するボード情報の一部です。

sc0:sms-user:> showboards -d A

Location    Pwr    Type  Board Status  Test Status   Domain  
-------    -----   ----  ------------  -----------   ------  
SB1         On     CPU    Active        Passed        A       
SB2         On     CPU    Active        Passed        A       
IO1         On     HPCI   Active        Passed        A       


procedure icon  ドメインステータスを取得する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみドメインステータスを取得することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showplatform -d domain_indicator

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。


ステータスリストが表示されます。

次の例は、ドメインの newAengBdomainC のドメイン管理者特権を持つユーザーに対するドメイン情報の一部です。

sc0:sms-user:> showplatform 
...
Domain configurations:
======================
Domain ID Domain Tag    Solaris Nodename   Domain Status
A         newA          sun15-b0           Powered Off
B         engB          sun15-b1           Keyswitch Standby
C         domainC       sun15-b2           Running OBP


procedure icon  デバイスステータスを取得する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみデバイスステータスを取得することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showdevices [-d domain_id|domain_tag]

デバイスステータスが表示されます。

次の例は、ドメイン A のドメイン管理者特権を持つユーザーに対するデバイス情報の一部です。

sc0:sms-user:> showdevices IO1

IO Devices
----------
domain location  device resource           usage
A      IO1       sd3    /dev/dsk/c0t3d0s0  mounted filesystem "/"
A      IO1       sd3    /dev/dsk/c0t3s0s1  dump device (swap)
A      IO1       sd3    /dev/dsk/c0t3s0s1  swap area
A      IO1       sd3    /dev/dsk/c0t3d0s3  mounted filesystem "/var"
A      IO1       sd3    /var/run           mounted filesystem "/var/run"

仮想キースイッチ

各 Sun Fire ハイエンドシステムドメインには仮想キースイッチがあります。Sun Enterprise サーバーの物理キースイッチと同じように、Sun Fire ハイエンドシステムドメインの仮想キースイッチはドメインに電源を投入するかどうか、起動時に強化診断を実行するかどうか、特定の処理 (フラッシュ PROM の更新やドメインの reset コマンド) を実行するかどうかを制御します。

仮想キースイッチで構成されたドメインだけが、起動時に電源が投入され、監視されて、問題が起こったときに自動的に回復処置が実行されます。

仮想キースイッチの設定は、setkeyswitch (1M) を使用して行います。setkeyswitch を実行するには、指定されたドメインのドメイン管理者特権が必要です。詳細は、すべての特権のリストを参照してください。

Setkeyswitch

setkeyswitch (1M) は、仮想キースイッチの位置を指定された値に変更します。pcd (1M) は、SC のパワーサイクルの間または電源の物理パワーサイクルの間で、各仮想キースイッチの状態を維持します。

setkeyswitch(1M) は、構成済みの各プロセッサの起動バス SRAM をロードする役割を持ちます。すべてのプロセッサが起動し、そのうちの 1 つが起動プロセッサに指定されます。setkeyswitch(1M) は、Sun Fire ハイエンドシステム ドメインのメモリーに OpenBoot PROM をロードし、起動プロセッサで OpenBoot PROM が起動します。

OpenBoot PROM の主な役割は、オペレーティングシステムを大容量記憶装置から (またはネットワーク経由で) 起動し、構成することです。また、ハードウェアとソフトウェアを対話的にテストするための多彩な機能も備えています。

setkeyswitch (1M) のコマンド構文は次のとおりです。

sc0:sms-user:> setkeyswitch -d domain_indicator [-q -y|-n] 
on|standby|off|diag|secure

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。

-q

非出力。プロンプトを含むすべての stdout へのメッセージを抑制します。-q を単独で使用すると、すべてのプロンプト対して -n オプションがデフォルトで定義されます。-y または -n オプションと併用する場合は、-q はすべてのユーザープロンプトを無効にして、選択されたオプションに基づいて自動的に Y または N を回答します。

-n

すべてのプロンプトに自動的に no と応答します。プロンプトは、-q オプションを指定しない限りは表示されます。

-y

すべてのプロンプトに対して自動的に yes と応答します。プロンプトは、-q オプションを指定しない限りは表示されます。


サポートされるオペランドは以下のとおりです。


procedure icon  ドメイン A で仮想キースイッチを設定する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみ仮想キースイッチを設定することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> setkeyswitch -d A on

showkeyswitch (1M) は、指定したドメインの仮想キースイッチの位置を表示します。各仮想キースイッチの状態は、pcd (1M) により SC のパワーサイクルの間または電源の物理パワーサイクルの間で維持されます。スーパーユーザーまたはプラットフォームかドメイングループの任意のメンバーは、showkeyswitch を実行することができます。


procedure icon  ドメイン A で仮想キースイッチ設定を表示する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみキースイッチステータスを取得することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showkeyswitch -d A
Virtual keyswitch position:ON

仮想 NVRAM

各ドメインには、OpenBoot PROM 変数などの OpenBoot PROM データを収めた仮想 NVRAM があります。OpenBoot PROM は SC に格納された 2 値画像で、/opt/SUNWSMS/hostobjs にあります。これは、setkeyswitch が起動時にドメインにダウンロードしたものです。すべてのドメインに対して 1 つの OpenBoot PROM のバージョンだけがあります。

SMS ソフトウェアは、各ドメインに仮想 NVRAM を提供し、OpenBoot PROM がこのデータの完全な読み取り/書き込みができるようにします。

ほとんどの NVRAM 変数では、読み取りまたは書き込みの可能なインタフェースは OpenBoot PROM だけです。例外は、OpenBoot PROM を定義済みの作業状態にしたり、OpenBoot PROM の稼働を妨げる問題点を診断するために変更が必要となる、OpenBoot PROM 変数です。これらの変数は、OpenBoot PROM インタフェースの交換値ではありません。

ドメインの NVRAM にある一定限度の OpenBoot PROM 変数値は、setobpparams (1M) を使用して SMS で読み取りおよび書き込みすることができます。set/showobpparams を実行するには、ドメイン管理者特権が必要です。実行中のドメインで変数を変更するときは、変更内容を有効にするためにドメインの再起動が必要です。



注 - ここで説明した以外の方法での setobpparams の使用は、OpenBoot PROM コマンドおよびその依存関係をよく理解している熟練したシステム管理者に限定してください。



OpenBoot PROM 変数の設定

setobpparams (1M) は、以下の構文に基づいてドメインの仮想 NVRAM 変数と REBOOTINFO データのサブセットの設定と取得を行います。

sc0:sms-user:> setobpparams -d domain_indicator param=value... 

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。


param=value の内容は以下のとおりです。

変数

=

デフォルト値

説明

diag-switch?

=

false

false に設定すると、デフォルトの起動ドライブは boot-device で指定され、デフォルトの起動ファイルは boot-file で指定されます。true に設定すると、OpenBoot PROM は診断モードで実行され、正しいデフォルトの起動デバイスまたはファイルを指定するには diag-device または diag-file の設定が必要です。これらのデフォルトの起動デバイスとファイルの設定には、setobpparams は使用できません。OpenBoot PROM の setenv(1) を使用してください。

auto-boot?

=

false

true に設定すると、ドメインは電源投入または全リセットの後、自動的に起動します。使用される起動デバイスと起動ファイルは、diag-switch の設定で決まります
(前述の説明を参照)。boot-deviceboot file は、どちらも setobpparams で設定することはできません。繰り返しパニックに陥る場合など、OK プロンプトが利用できないときには、setobpparams を使用して auto-boot?false に設定してください。setobpparams を使用して変数 auto-boot? を false に設定すると、再起動変数は無効になり、システムは自動起動せずに OpenBoot PROM で停止します。この OpenBoot PROM で、新しい NVRAM 変数を設定できます。周期的なドメインパニックから回復するを参照してください。

security-mode

=

none

ファームウェアのセキュリティーレベルです。security-mode で有効な変数は以下のとおりです。

  • none -パスワード不要 (デフォルト)

  • command - boot (1M) および go を除くすべてのコマンドはパスワードが必要です。

  • full - go を除くすべてのコマンドはパスワードが必要です。

use-nvramrc?

=

false

true に設定すると、この変数はシステム起動時に NVRAMRC でコマンドを実行します。

fcode-debug?

=

false

true に設定すると、この変数はプラグインデバイスの FCodes の名前フィールドを組み込みます。


次の例は、setobpparams を有効にする場合です。


procedure icon  周期的なドメインパニックから回復する

ドメイン A が、デフォルトの起動ディスクが破壊されたために周期的にパニックを検出するものとします。

1. ドメイン管理者特権で SC にログインします。

2. 自動再起動を停止します。

sc0:sms-user:> setkeyswitch -d A standby
sc0:sms-user:> setobpparams -d A 'auto-boot?=false'



注 - 大部分のシェル (ただし、すべてではない) では、疑問符が特殊文字として扱われないように、変数の値の前後に単一引用符を付ける必要があります。



3. ドメインを再ポストします。

sc0:sms-user:> setkeyswitch -d A off
sc0:sms-user:> setkeyswitch -d A on

4. ドメインに OK プロンプトが表示されたら、破壊されていない新しい起動デバイスに NVRAM 変数を設定します。

ok setenv boot-device bootdisk_alias 

ここで、

bootdisk_alias

作成済みのユーザー定義のエイリアスです。起動デバイスは、オペレーティング環境にインストール済みの起動用ディスクに対応していなければなりません。


5. 起動デバイス用の新しいエイリアスを設定したので、ここで以下のように入力してディスクを起動します。

ok boot

OpenBoot 変数についての詳細は、『OpenBoot 4.x Command Reference Manual』を参照してください。


procedure icon  ドメイン A で OpenBoot PROM のセキュリティーモード変数を設定する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみ OpenBoot PROM を設定することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> setobpparams -d A security-mode=full 

security-mode は full に設定されました。go を除くすべてのコマンドは、ドメイン A のパスワードが必要です。変数を有効にするには、稼働中のドメインの再起動が必要です。


procedure icon  OpenBoot PROM 変数を確認する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみ OpenBoot PROM を設定することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showobpparams -d domain_indicator 

ここで、

-d domain_indicator

以下を使用してドメインを指定します。

domain_id - ドメインの ID。有効な domain_id は、A 〜 R で、大文字と小文字を区別しません。

domain_tag - addtag(1M) を使用してドメインに割り当てた名前。


SMS NVRAM の更新は、OpenBoot PROM の起動時 (またはドメインの再起動時) に OpenBoot PROM に対して行われます。詳細は、『OpenBoot 4.x Command Reference Manual』を参照してください。


機能が低下した構成の設定の変更

ほとんどの場合は、ドメインのクラッシュを引き起こすハードウェア障害は、POST またはそれ以降のドメインの自動回復起動時に OpenBoot PROM により検出され、ドメイン構成から除去されます。ただし、障害が一時的なものであったり、周期的なドメインの障害や再起動を引き起こす障害を起動時のテストで検出できない場合があります。この場合は、Sun Fire ハイエンド のシステム管理ソフトはドメイン管理者が提供する構成または構成ポリシーに基づき、ドメイン環境の安定動作を目的としてドメイン構成からハードウェアを除去します。

以下のコマンドは、プラットフォームまたはドメインの管理者が実行することができます。ドメイン管理者の操作は、特権を持つドメインに限定されます。

setbus

setbus(1M) は、ドメイン内のアクティブな拡張ボード上のバストラフィックを動的に再構成してセンタープレーンサポートボード (CSB) を使用します。両方の CSB を使用するのは normal モードです。1 つの CSB を使用するのは degraded モードです。

setbus は、電源が投入されていてもアクティブでないボードをリセットします。その結果、接続可能状態のボードはなくなります。取り付け可能状態についての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。

setbus を実行するには、指定されたドメインのプラットフォーム管理者特権またはドメイン管理者特権が必要です。

この機能により、システムの電源を落とさずに CSB をスワップすることができます。有効なバスは以下のとおりです。


procedure icon  すべてのアクティブドメインの全バスを両方の CSB で使用する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみバスを設定することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> setbus -c CS0,CS1

バストラフィックの再設定についての詳細は、setbus (1M) のマニュアルページを参照してください。

showbus

showbus(1M) は、アクティブドメイン内の拡張ボードのバス構成を表示します。この情報は、デフォルトでスロットの順番で設定を表示します。showbus は、プラットフォームまたはドメイングループの任意のメンバーで実行することができます。


procedure icon  すべてのアクティブドメインの全バスを表示する

1. SC にログインします。

ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみバスを設定することができます。

2. 以下のように入力します。

sc0:sms-user:> showbus 

バストラフィックの再構成についての詳細は、showbus (1M) のマニュアルページを参照してください。