第5章 |
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「動的システムドメイン」(DSD) は、サーバーのサブセットである独立した環境で、固有のファームウェアのバージョンおよび固有の Solaris OS のバージョンを実行することができます。各ドメインは、互いに独立しています。ドメインの継続的な稼働は、他のドメインでソフトウェア障害やハードウェア障害が発生しても影響を受けることはありません。
システムコントローラ (SC) は、システムボードを「動的システムドメイン」(または、単に「ドメイン」と呼ぶ) に論理的にグループ化できるコマンドをサポートします。ドメインは、専用の OS の実行および自分自身の作業負荷の処理を実行できます。ドメインは、他のドメインの稼働に影響を与えずに作成および削除が可能です。ドメインは、さまざまな目的に使用することができます。たとえば、ドメインで新しいバージョンの OS をテストしたり、開発環境およびテスト環境を設定したりできます。この手法では、問題が起こったときでもシステムのそれ以外の部分は影響を受けません。
1 つの区分に 1 つのドメインを割り当てて、さまざまな区分をサポートするように複数のドメインを構成することもできます。一時的にシステムを 1 つのドメインで再構成すれば、週末の期間中に大規模なジョブを実行させておくことが可能です。
Sun Fire 15K システムは、最大 18 ドメインを構成することができます。Sun Fire 12K システムは、最大 9 ドメインを構成することができます。
ドメイン構成を行うと、ドメインとサーバーのハードウェアコンポーネントの間にマッピングが確立されます。各種のシステム管理パラメータおよび各ドメインのポリシーの確定も、ドメイン構成の中に含まれます。この章は、Sun Fire ハイエンドシステムが提供するドメイン構成機能のすべての側面について解説します。
ドメイン構成ユニット (DCU) は、単独のドメインへの割り当てが可能なハードウェアユニットです。ドメインは、このハードウェアコンポーネントを使用して構築します。ドメインに割り当てられない DCU をドメイン無しと呼びます。
すべての DCU はシステムボードで、またすべてのシステムボードは DCU です。Sun Fire ハイエンドシステムの DCU の構成は以下のとおりです。
Sun Fire ハイエンドシステムのハードウェアには通常のシステムボードが 1 枚以上必要で、構成するドメインごとに I/O タイプのボードが 1 枚以上必要です。csb、exb ボード、および SC は DCU ではありません。
注 - MaxCPU ボードにメモリーは搭載されていません。ドメインを設定するには、通常の CPU ボードが 1 枚以上必要です。 |
以下の条件が満たされれば、システムボードの任意のグループからドメインを作成することができます。
ドメインに DCU を割り当てるには、DCU (システムボード) で以下に示す 3 つの論理操作のいずれかを行います。
DCU の割り当てには 3 つの論理的な操作がありますが、基礎となる実装は 4 つのドメイン構成処理が元となります。
最初の 2 つのドメイン構成操作は、アクティブではないドメイン (OS ソフトウェアが稼働していないドメイン) に適用されます。これらの操作を、「静的なドメイン構成」操作と呼びます。あとの 2 つのドメイン構成操作は、アクティブなドメイン (OS ソフトウェアが稼働しているドメイン) に適用され、「動的なドメイン構成」操作と呼びます。
動的ドメイン構成では、DCU 常駐の資源 (CPU、メモリー、I/O デバイスなど) を Solaris OS の制御下に導入またはその制御下から削除するために、ドメインの Solaris ソフトウェアとの対話が必要になります。Sun Fire ハイエンドシステムの動的再構成 (DR) は、ドメインの Solaris 環境から動的構成サービスを要求するために、SC などの外部エージェント用に遠隔 DR と呼ばれる機能を提供します。
SC コマンドのユーザーインタフェースは、要求されたタスクを実行するために必要に応じて遠隔 DR を利用します。ローカルの自動 DR では、ドメインで実行中のアプリケーションが実行すべき DR 操作を認識したり、必要に応じて資源の変更を調整することができます。これは、特にアクティブな資源をドメインの使用から外す場合に、DR 操作の成功の可能性を高めます。DR についての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.6 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。
ドメインをローカルの自動 DR で構成する場合は、SC から遠隔 DR 操作を起動するとそのドメインの自動 DR 操作を利用することができます。Sun Fire ドメインで使用可能な自動 DR 機能では、crontab (1) ファイルの中に単純なスクリプトを作成および配置し、時間を指定して単純なプラットフォーム再構成を実行することができます。
SMS を使用すると、アクティブな (実行中の) ドメインに対してボードの追加と削除ができます。ドメインで遠隔 DR 操作を起動するには、そのドメインの管理特権が必要です。SMS は、ドメイン単位で個別の管理者に対して、ドメインでの遠隔 DR の起動を許可します。
遠隔 DR のインタフェースは安全です。ドメインでの DR 操作の起動にはスーパーユーザー特権が必要であるために、遠隔 DR サービスは登録済みの認証リモートエージェントに対してのみ提供されます。
DCU 割り当て操作を起動するユーザーのコマンドインタフェースは、対象となるドメインにローカルの自動 DR 機能があるかどうかに関係なく同一です。
SMS は、addboard、deleteboard、moveboard を使用して、静的ドメイン構成などのアクティブなドメインに対するボードの追加または削除を行います。詳細については、『System Management Services (SMS) 1.6 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。
遠隔 DR およびローカルの自動 DR の機能は、グローバル自動 DR と呼ばれる機能の構成要素です。グローバル自動 DR では、Sun Fire システム上でシステムボード資源の自動再分配に使用できるフレームワークを採用しています。この再分配は、生産計画、ドメインの資源利用率、ドメイン機能の優先度などの要因をベースにすることができます。グローバル自動 DR は、Sun Fire ハイエンドシステムのリソース利用のポリシーを記述する入力をカスタマから受け付け、そのポリシーに基づいて自動的に Sun Fire 資源を整理して、最も効果的に利用します。DR についての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.6 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。
この節では、プラットフォーム管理者が使用可能な構成サービスについて簡単に説明します。
各ドメイン (A 〜 R) には、管理者または構成者が目的のドメインに割り当てる場合に使用可能なボードの 0- ボードリストがあります。プラットフォーム管理者は setupplatform (1M) コマンドを使用して、ボードをドメインの使用可能構成要素リストに追加することができます。使用可能構成要素リストの更新には、以下のタスクを実行するための pcd が必要です。
pcd が、追加されたボードについて dxs に知らせます。続いて dxs が、稼働しているドメインに使用可能なボードが搭載されたことを知らせます。
setupplatform は、ドメインの使用可能構成要素リストを設定します。domain-id または domain-tag を指定する場合は、ボードリストを指定してください。パラメータの数値を指定しないと、現在の数値がそのまま使用されます。
1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインします。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
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次の例は、SB0、IO1、IO2 のボードをドメイン A で使用可能にする場合です。
ここで、プラットフォーム管理者は、addboard (1M) コマンドを使用してドメイン A にボードを割り当てるか、その作業をドメイン管理者に任せることができます。
プラットフォーム管理者は、addboard コマンドの- c assign オプションの特権だけを持っています。それ以外のすべてのボードの構成にはドメイン特権が必要です。詳細は、addboard のマニュアルページを参照してください。
Sun Fire ハイエンドシステムではドメインを作成する必要はありません。18 個のドメインがすでに確立しています。ドメインは A〜R まであり、大文字/小文字は区別されません。これらのドメインの指示子はカスタマイズが可能です。ここでは、一意のドメイン名の命名方法について説明します。
注 - 先に進む前に、ドメイン構成の条件を参照してください。以下の条件を満たすためにシステム構成の変更が必要な場合は、サービスプロバイダに問い合わせてください。 |
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
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ドメインに命名する新しい名前です。この名前は、SC で制御されるすべてのドメイン内で重複しない名前でなければなりません。 |
次の例は、ドメイン A に dmnA という名前を付ける場合です。
注 - プラットフォーム管理者による -c assign オプションの使用は制限されています。このオプションを使用できるのは、使用可能と分類されたボードに対してだけです (アクティブと分類されているボードではない)。 |
システムボードは、追加するドメインに対して使用可能の状態であることが必要です。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用してください。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
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ドメイン C に対して使用可能であった SB0、IO1、SB1、IO2 は、ドメイン C に割り当てられました。
addboard はタスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまでユーザーに制御を返しません。このコマンドの実行が失敗しても、対象のボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためにはドメインを再起動する必要があります。
注 - プラットフォーム管理者による -c unassign オプションの使用は制限されています。このオプションを使用できるのは、割り当て済みと分類されたボードに対してだけです (アクティブと分類されたボードではない)。 |
システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みの状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用してください。
ドメインに対して割り当て済みであった SB0 は、そのドメインに対して使用可能になりました。
deleteboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためにはドメインを再起動する必要があります。
注 - プラットフォーム管理者による -c assign オプションの使用は制限されています。このオプションを使用できるのは、割り当て済みと分類されたボードに対してだけです。アクティブな状態のボードには使用できません。 |
システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みの状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用してください。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
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moveboard は、タスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまで制御をユーザーに返しません。moveboard を使用するときは、1 つの location だけを指定することができます。
SB0 は、以前のドメインから移動してドメイン C に割り当てられました。
moveboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためには、エラー発生時にそのボードが含まれていたドメインを再起動する必要があります。
SMSの setdefaults(1M) コマンドは、すでにアクティブになっているドメインからすべてのインスタンスを削除します。
プラットフォーム管理者はすべてのドメインのデフォルトを設定できますが、一度に設定できるのは 1 つのドメインだけです。ドメインをアクティブでない状態にして、setkeyswitch を off に設定する必要があります。
setdefaults コマンドは、ネットワーク情報とログファイル以外のすべての pcd エントリを削除します。これには、NVRAM と起動パラメータデータの削除も含まれます。
デフォルトでは、NVRAM と起動パラメータデータを削除するかどうかプロンプトが表示されます。このとき「no」と答えると、データは保持されます。-p オプションを使用すると、プロンプトは表示されず、データは自動的に保持されます。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
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setdefaults についての詳細は、setdefaults のマニュアルページまたは『System Management Services (SMS) 1.6 リファレンスマニュアル』を参照してください。
プラットフォーム管理者は、すべてのドメインのボードステータスを取得することができます。
次の例は、Sun Fire 15K システムでプラットフォーム管理者特権を持つユーザーに対するボード情報の一部です。すべてのドメインのドメインステータスが表示されます。Sun Fire 12K システムでは、9 つのドメインが表示されます。
プラットフォーム管理者は、すべてのドメインのドメインステータスを取得することができます。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
次の例は、Sun Fire 15K システムでプラットフォーム管理者特権を持つユーザーに対するドメイン情報の一部です。すべてのドメインのドメインステータスが表示されます。Sun Fire 12K システムでは、9 つのドメインが表示されます。
Solaris 環境では、ハードウェアの時刻 (TOD) チップが提供する機能に基づいて Solaris システムの日時がサポートされます。通常は、Solaris ソフトウェアは起動時に TOD 取得サービスを使用してシステムの現在の日時を読み取ります。それ以降は、Solaris ソフトウェアは高分解能のハードウェアタイマーを使用して現在の日時を提示するか、時間情報プロトコル (NTP) が構成されている場合には、これを使用してシステムの現在の日時を、より正確であると考えられるタイム資源に同期させます。
SC は、リアルタイムクロックを備えたプラットフォーム上の唯一のコンピュータです。ドメインの仮想 TOD は、そのリアルタイムクロック値のオフセット値として格納されます。各ドメインは、setdate (1M) の代わりに NTP サービスを使用して動作中のシステムの日時を管理するように構成できます。NTP についての詳細は、NTP の構成を参照するか、Solaris 9 Reference Manual Collection の「man pages section 1M: System Administration Commands」にある xntpd (1M) のマニュアルページを参照してください。
注 - NTP は、目的に応じた動作をさせる場合にドメインへのインストールおよび構成が必要な独立したパッケージです。NTP をインストールする前に、ドメインで setdate を実行してください。 |
ただし、システムの日時は Solaris ソフトウェアの動作中に管理されるため、現在の TOD 値と現在のシステム日時との間に誤差が検出される場合は、TOD を設定することによって起動時の TOD 値の精度が保たれます。
Sun Fire ハイエンドシステムのハードウェアは Sun Fire ドメインに対して物理的な TOD チップを供給しないため、SMS は Solaris 環境に必要な時刻サービスを各ドメインに提供します。各ドメインには TOD サービスが提供されています。この TOD サービスは、他のドメインに提供されている同サービスから論理的に分離されています。このような相違によって、Sun Fire ハイエンドシステムドメイン上のシステムの日時は、スタンドアロンサーバーの場合と同様に柔軟に管理できます。あるドメインを実際の時刻とは異なる時刻に構成して稼働させるというまれな状況でも、Sun Fire ハイエンドシステムの TOD サービスにより、実際の時間で稼働しているほかのドメインに提供されている TOD 値に悪影響を与えずに済みます。
時刻設定は、setdate (1M) を使用して行います。setdate を実行するには、プラットフォーム管理者の特権が必要です。詳細は、すべての特権のリストを参照してください。
setdate (1M) では、SC プラットフォーム管理者はシステムコントローラの日時の値を設定することができます。日時の設定が済むと、setdate (1M) はユーザーに対して現在の日時を表示します。
オプションで、setdate (1M) でドメイン TOD を設定することができます。ドメインのキースイッチの位置を、off または standby にしてください。このコマンドをドメインで実行するには、プラットフォームの管理者特権が必要です。
showdate (1M) は、SC の現在の日時を表示します。
オプションで、showdate (1M) で指定したドメインの日時を表示することができます。スーパーユーザーまたはプラットフォームかドメイングループの任意のメンバーは、showdate を実行することができます。
Solaris OS 用のNTP デーモン xntpd(1M) は、SC とドメインの間で時刻設定の同期を維持するメカニズムを提供します。OpenBoot PROM は、ドメインの起動時に SC から時刻を取得します。NTP は、その時点以降はドメイン上でその時刻の同期を維持します。
NTP の構成は、システム管理者から提供される情報を基にしています。
NTP パッケージは、ローカルのリファレンスクロックをサポートするようにコンパイルされています。これは、別のシステムまたはネットワークのクロックをポーリングするのではなく、システムは時刻について自分自身をポーリングすることを意味します。ポーリングは、ネットワークのループバックインタフェースを通して実行されます。IP アドレス番号は 127.127.1.0. です。ここでは、setdate による SC の時刻設定方法、および SC の内部の時刻クロックをリファレンスクロックとして使用するように ntp.conf ファイルで設定する方法について説明します。
NTP は、SC クロックとドメインクロック間の差違を追跡することもできます。NTP は、ntp.conf ファイルでドリフトファイル宣言がされている場合は、SC クロックとの接続を失ったドメインクロックを修正します。ドリフトファイル宣言は、NTP デーモンに対してデーモンが計算するクロック周波数の誤差を格納するファイル名を指定します。ntp.conf ファイルでのドリフトファイル宣言の例については、以下の手順を参照してください。
ntp.conf ファイルが存在しない場合は、次の手順に従ってファイルを作成します。ntp.conf ファイルは、SC とドメインの両方に必要です。
1. メイン SC にスーパーユーザーとしてログインします。
2. /etc/inet ディレクトリに移動して、NTPの server ファイルを NTP 構成ファイルにコピーします。
3. テキストエディタを使用して、前の手順で作成した /etc/inet/ntp.conf ファイルを編集します。
Solaris 9 OS の ntp.conf ファイルは、/etc/inet にあります。
次は、メインの SC の ntp.conf ファイルのサーバー行の例で、クロックの同期をとります。
6. スペア SC にスーパーユーザーとしてログインします。
7. /etc/inet ディレクトリに移動して、NTPの server ファイルを NTP 構成ファイルにコピーします。
8. テキストエディタを使用して、前の手順で作成した /etc/inet/ntp.conf ファイルを編集します。
Solaris 9 OS の ntp.conf ファイルは、/etc/inet にあります。
次は、スペアの SC の ntp.conf ファイルのサーバー行の例で、クロックの同期をとります。
11. /etc/inet ディレクトリに移動して、NTP の client ファイルを NTP 構成ファイルにコピーします。
12. テキストエディタを使用して、前の手順で作成した /etc/inet/ntp.conf ファイルを編集します。
Solaris 9 OS の ntp.conf ファイルは、/etc/inet にあります。
Solaris 9 OS では、以下に示すような行をドメインの /etc/inet/ntp.conf ファイルに追加することができます。
14. 初期設定ディレクトリに移動して、ドメイン上で NTP デーモンを再起動します。
NTP は、現在はドメインにインストールされて実行中です。ドメインごとに手順 10 〜 14 を繰り返します。
NTP デーモンについての詳細は、Solaris 9 Reference Manual Collection の「man pages section 1M: System Administration Commands」にある xntpd (1M) のマニュアルページを参照してください。
構成可能な各ドメインには、ホスト ID やドメインの Ethernet アドレスなどのドメインに関する情報を特定するための仮想 ID PROM があります。ホスト ID は、同じプラットフォーム上のすべてのドメインで一意です。Ethernet アドレスは世界中で 1 つしかありません。
Sun Fire ハイエンドシステムのシステム管理ソフトウェアは、ドメインから読み取りが可能で書き込みはできない識別情報を収めた仮想 ID PROM を、構成の可能な各ドメインに提供します。提供される情報は、Solaris 環境の条件を満たします。
SMS で提供される flashupdate(1M) コマンドでは、システムコントローラ (SC) のフラッシュ PROM を更新することも、SMS ソフトウェアのアップグレード後や適用可能なパッチのインストール後にドメインの CPU と MaxCPU ボード上のフラッシュ PROMを更新することもできます。flashupdate は、どのような更新の前にも、現在のフラッシュ PROM とフラッシュイメージファイルの情報の両方を表示します。
flashupdate コマンドの詳細および例については、flashupdate のマニュアルページを参照してください。
この節では、ドメイン管理者が使用可能な構成サービスについて簡単に説明します。
addboard、deleteboard、および moveboard の各コマンドは、プラットフォーム管理者よりもドメイン管理者に多くの機能を提供します。
1. 該当ドメインで、ドメイン管理者として SC にログインします。
注 - ドメイン管理者がドメインにボードを追加するには、そのボードをドメインの使用可能構成要素リストに登録してください。 |
システムボードは、追加するドメインに対して使用可能または割り当て済みの状態であることが必要です。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用してください。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
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割り当てられたボードを、接続済み/構成解除済み状態に移行します。これは中間状態であり、スタンドアロン実装状態ではありません。 |
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割り当てられたボードを、接続済み/構成済み状態に移行します。ボード上のハードウェア資源は、Solaris ソフトウェアで使用することができます |
-c function オプションを指定しない場合は、デフォルトで configure の状態が設定されます。構成状態についての詳細は、addboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
この例の SB0、IO1、SB1、IO2 は、ドメイン C に対して使用可能な状態から割り当て済みの状態に変更されました。
addboard はタスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまでユーザーに制御を返しません。ボードの電源が投入されていない場合またはボードをテストする場合は、-c connect|configure オプションを指定するとコマンドがボードの電源を投入してテストを実行します。
addboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためにはドメインを再起動する必要があります。
1. 該当ドメインで、ドメイン管理者として SC にログインします。
システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みかアクティブの状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用してください。
割り当てられたボードを、接続済みまたは構成解除済みの状態に移行します。ボード上のハードウェア資源を Solaris で使用することはできません。 |
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-c function オプションを指定しない場合は、デフォルトで unassign が設定されます。構成状態についての詳細は、deleteboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
この例の SB0 は、ドメインに対して割り当て済みの状態から使用可能な状態に変更されました。
注 - ドメイン管理者は、ボードの構成解除および接続解除を実行できますが、ドメインの使用可能構成要素リストに deleteboard [location] フィールドが指定されていない場合、ドメインからボードを削除することはできません。 |
deleteboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためにはドメインを再起動する必要があります。
1. 該当ドメインで、ドメイン管理者として SC にログインします。
システムボードは、削除する予定のドメインに対して割り当て済みかアクティブの状態でなければなりません。ボードの状態の判定には、showboards (1M) コマンドを使用してください。
これは、ボードの移動先となるドメインです。以下を使用してドメインを指定します。 domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
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-c オプションが指定されない場合は、デフォルトの設定状態は configure になります。構成状態についての詳細は、moveboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
moveboard は、タスクを同期的に実行し、コマンドが完了するまで制御をユーザーに返しません。ボードの電源が投入されていない場合またはボードをテストする場合は、-c connect|configure を指定すると、コマンドはボードの電源を投入してテストを実行します。moveboard を使用するときは、1 つの location だけを指定することができます。
moveboard に失敗しても、ボードは実行前の状態には戻りません。dxs エラーまたは dca エラーがドメインのログに記録され、pcd はプラットフォームログファイルにエラーを報告します。発生したエラーが回復可能であれば、コマンドを再試行できます。回復不可能な場合、対象のボードを使用するためには、エラー発生時にそのボードが含まれていたドメインを再起動する必要があります。
SMS の setdefaults(1M) コマンドは、すでにアクティブになっているドメインからすべてのインスタンスを削除します。
プラットフォーム管理者はすべてのドメインのデフォルトを設定できますが、一度に設定できるのは 1 つのドメインだけです。ドメインはアクティブではなく、setkeyswitch が off に設定されている必要があります。setdefaults コマンドは、ネットワーク情報、ログファイル、および (任意の) NVRAM と起動パラメータデータを除き、すべての pcd エントリを削除します。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
setdefaults についての詳細は、setdefaults のマニュアルページまたは『System Management Services (SMS) 1.6 リファレンスマニュアル』を参照してください。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみデバイスステータスを取得することができます。
次の例は、ドメイン A のドメイン管理者特権を持つユーザーに対するボード情報の一部です。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみドメインステータスを取得することができます。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
次の例は、ドメインの newA、engB、domainC のドメイン管理者特権を持つユーザーに対するドメイン情報の一部です。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみデバイスステータスを取得することができます。
次の例は、ドメイン A のドメイン管理者特権を持つユーザーに対するデバイス情報の一部です。
各 Sun Fire ハイエンドシステムドメインには仮想キースイッチがあります。Sun Enterprise サーバーの物理的なキースイッチと同様に、Sun Fire ハイエンドシステムドメインの仮想キースイッチはドメインの電源を投入するかどうか、起動時に強化診断を実行するかどうか、特定の処理 (フラッシュ PROM の更新、ドメインの reset コマンドなど) を許可するかどうかを制御します。
仮想キースイッチで構成されたドメインだけが、起動時に電源が投入され、監視されて、問題が起こったときに自動的に回復処置が実行されます。
仮想キースイッチの設定は、setkeyswitch (1M) を使用して行います。setkeyswitch を実行するには、指定されたドメインのドメイン管理者特権が必要です。詳細は、すべての特権のリストを参照してください。
setkeyswitch (1M) は、仮想キースイッチの位置を指定された値に変更します。pcd (1M) は、SC の電源再投入の間または電源装置の電源再投入の間で、各仮想キースイッチの状態を維持します。
setkeyswitch(1M) は、構成済みの各プロセッサの起動バス SRAM をロードする役割を持ちます。すべてのプロセッサが起動され、そのうちの 1 つが起動プロセッサに指定されます。setkeyswitch(1M) は、Sun Fire ハイエンドシステムドメインのメモリーに OpenBoot PROM をロードし、起動プロセッサで OpenBoot PROM を起動します。
OpenBoot PROM の主な役割は、OS を外部記憶装置から、またはネットワーク経由で起動して構成することです。また、ハードウェアとソフトウェアを対話的にテストするための多彩な機能も備えています。
setkeyswitch(1M) のコマンド構文は次のとおりです。
ASR についての詳細は、ASR (Automatic System Recovery: 自動システム回復)を参照してください。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみ仮想キースイッチを設定することができます。
showkeyswitch (1M) は、指定したドメインの仮想キースイッチの位置を表示します。各仮想キースイッチの状態は、pcd (1M) により SC のパワーサイクルの間または電源の物理パワーサイクルの間で維持されます。スーパーユーザーまたはプラットフォームかドメイングループの任意のメンバーは、showkeyswitch を実行することができます。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみキースイッチステータスを取得することができます。
各ドメインには、OpenBoot PROM 変数などの OpenBoot PROM データを収めた仮想 NVRAM があります。OpenBoot PROM は SC に格納された 2 値画像で、/opt/SUNWSMS/hostobjs にあります。これは、setkeyswitch が起動時にドメインにダウンロードしたものです。すべてのドメインに対して 1 つの OpenBoot PROM のバージョンだけがあります。
SMS ソフトウェアは、各ドメインに仮想 NVRAM を提供し、OpenBoot PROM がこのデータの完全な読み取り/書き込みができるようにします。
ほとんどの NVRAM 変数の読み取りまたは書き込みに使用できるインタフェースは、OpenBoot PROM だけです。例外は、OpenBoot PROM を定義済みの作業状態にしたり、OpenBoot PROM の稼働を妨げる問題点を診断するために変更が必要となる、OpenBoot PROM 変数です。これらの変数は、OpenBoot PROM インタフェースの交換値ではありません。
ドメインの NVRAM にある一定限度の OpenBoot PROM 変数値は、setobpparams (1M) を使用して SMS で読み取りおよび書き込みすることができます。set/showobpparams を実行するには、ドメイン管理者特権が必要です。実行中のドメインで変数を変更するときは、変更内容を有効にするためにドメインの再起動が必要です。
注 - ここで説明した以外の方法での setobpparams の使用は、OpenBoot PROM コマンドおよびその依存関係をよく理解している熟練したシステム管理者に限定してください。 |
setobpparams (1M) は、以下の構文に基づいてドメインの仮想 NVRAM 変数と REBOOTINFO データのサブセットを設定および取得します。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
param=value は次に示す変数の 1 つであり、対応する値は次のとおりです。
false に設定すると、デフォルトの起動ドライブは boot-device で指定され、デフォルトの起動ファイルは boot-file で指定されます。true に設定すると、OpenBoot PROM は診断モードで実行され、正しいデフォルトの起動デバイスまたはファイルを指定するには diag-device または diag-file の設定が必要です。これらのデフォルトの起動デバイスとファイルの設定には、setobpparams は使用できません。OpenBoot PROM の setenv(1) を使用してください。 |
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true に設定すると、ドメインは電源投入または全リセットのあと、自動的に起動します。使用される起動デバイスと起動ファイルは、diag-switch の設定で決まります (前述の説明を参照)。boot-device と boot file は、どちらも setobpparams で設定することはできません。パニックが繰り返し発生している間など、ok プロンプトを使用できない場合には、setobpparams を使用して auto-boot? を false に設定してください。setobpparams を使用して auto-boot? を false に設定すると、再起動変数は無効になります。システムは自動起動せず、OpenBoot PROM で停止します。この時点で新しい NVRAM 変数を指定できます。周期的なドメインパニックから回復するを参照してください。 |
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注 - 大部分のシェル (ただし、すべてではない) では、疑問符が特殊文字として扱われないように、変数の値の前後に単一引用符を付ける必要があります。 |
4. ドメインに OK プロンプトが表示されたら、破壊されていない新しい起動デバイスに NVRAM 変数を設定します。
5. 起動デバイス用の新しいエイリアスを設定したので、ここで以下のように入力してディスクを起動します。
OpenBoot 変数についての詳細は、『OpenBoot 4.x Command Reference Manual』を参照してください。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみ OpenBoot PROM を設定することができます。
security-mode は full に設定されました。go を除くすべてのコマンドに、ドメイン A のパスワードが必要です。変更を有効にするには、動作中のドメインを再起動してください。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみ OpenBoot PROM を設定することができます。
domain-id - ドメインの ID。有効な domain-id は、A 〜 R で、大文字と小文字は区別されません。 |
SMS NVRAM の更新は、OpenBoot PROM の起動時 (またはドメインの再起動時) に OpenBoot PROM に対して行われます。詳細は、『OpenBoot 4.x Command Reference Manual』を参照してください。
ほとんどの場合は、ドメインのクラッシュを引き起こすハードウェア障害は、POST またはそれ以降のドメインの自動回復起動時に OpenBoot PROM により検出され、ドメイン構成から除去されます。ただし、障害が一時的なものであったり、周期的なドメインの障害や再起動を引き起こす障害を起動時のテストで検出できない場合があります。この場合は、Sun Fire ハイエンドのシステム管理ソフトはドメイン管理者が提供する構成または構成ポリシーに基づき、ドメイン環境の安定動作を目的としてドメイン構成からハードウェアを除去します。
以下のコマンドは、プラットフォームまたはドメインの管理者が実行することができます。ドメイン管理者の操作は、特権を持つドメインに限定されます。
setbus(1M) は、ドメイン内のアクティブな拡張ボード上のバストラフィックを動的に再構成してセンタープレーンサポートボード (CSB) を使用します。両方の CSB を使用するのは normal モードです。1 つの CSB を使用するのは degraded モードです。
setbus は、電源が投入されていてもアクティブでないボードをリセットします。その結果、接続可能状態のボードはなくなります。取り付け可能状態についての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.6 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。
setbus を実行するには、指定されたドメインのプラットフォーム管理者特権またはドメイン管理者特権が必要です。
この機能により、システムの電源を落とさずに CSB をスワップすることができます。有効なバスは以下のとおりです。
ドメイン管理者は、特権を持つドメインについてのみバスを設定することができます。
バストラフィックの再設定についての詳細は、setbus (1M) のマニュアルページを参照してください。
showbus(1M) は、アクティブドメイン内の拡張ボードのバス構成を表示します。この情報は、デフォルトでスロットの順番で設定を表示します。showbus は、プラットフォームまたはドメイングループの任意のメンバーで実行することができます。
バストラフィックの再構成についての詳細は、showbus (1M) のマニュアルページを参照してください。
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