Sun N1 System Manager 1.1 の概要

第 2 章 Sun N1 System Manager のインストール、設定、および使用

この章では、N1 System Manager の準備、インストール、設定、および実行時の処理を行う大まかな手順を示します。この章では、一連の流れに沿ってそれらの作業を説明しますが、実際にはその多くは並行して行うことも、独立して行うこともできます。

この章で説明する作業は、次のとおりです。

Sun N1 System Manager のインストール、設定、および本稼働の流れ

次の図に、最初のサイト計画から、Sun N1 System Manager ソフトウェアのインストールと設定、プロビジョニング可能なサーバーの検出、プロビジョニング、および管理を行うまでの作業の流れを示します。

図 2–1 N1 System Manager の準備から本稼働までのフローチャート

図: N1 System Manager の準備から本稼働までのフローチャート

この後の各節では、上記の各作業について簡単に説明し、詳しい説明があるマニュアルを示します。

ネットワークの割り当てとシステム要件の決定

N1 System Manager の機器を準備する前に、次のようにサイトのアーキテクチャーとシステム要件を決定する必要があります。

上記の情報に基づき、次のことを決定します。

サイト計画を終了したら、機器を接続します。

次の作業は、プロビジョニング可能なサーバーと管理サーバーの準備です。

プロビジョニング可能なサーバーの準備

N1 System Manager を使ってプロビジョニング可能なサーバーを検出するには、次のように各プロビジョニング可能なサーバーを設定する必要があります。

詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 サイト計画の手引き』「プロビジョニング可能なサーバーの設定」を参照してください。


ヒント –

プロビジョニング可能なサーバーを設定している間に、管理サーバーに OS と N1 System Manager ソフトウェアをインストールします。


管理サーバーへのオペレーティングシステムのインストール

管理サーバーへのオペレーティングシステムのインストールは、手動または自動 (Solaris の場合は JumpStart、Linux の場合は KickStart) で行うことができます。

上記の各節では、選択したオペレーティングシステムに応じた、ディスクドライブに関する考慮事項、JumpStart または KickStart のサンプルスクリプト、スクリプトの設定手順、および手動インストールの手順を示しています。

管理サーバーにオペレーティングシステムをインストールしたら、次の節に従って N1 System Manager ソフトウェアをインストールします。

管理サーバーへの N1 System Manager ソフトウェアのインストールと環境設定

管理サーバーにオペレーティングシステムをインストールしたら、管理サーバーに N1 System Manager ソフトウェアをインストールし、設定します。N1 System Manager ソフトウェアが正常にインストールされたら、運用環境に合わせて N1 System Manager を設定します。

インストール処理では、必要なソフトウェアがすべてオペレーティングシステムにインストールされているかどうかが確認されます。必要なソフトウェアがインストールされていない場合は、通知が表示されるので、問題を解決してからインストールを続行できます。インストール処理は自動で進行し、必要なソフトウェアがインストールされていない場合を除いて入力は必要ありません。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 インストールおよび構成ガイド』の第 1 章「Sun N1 System Manager ソフトウェアのインストールと設定」を参照してください。

設定処理では、プロビジョニングネットワークに使用する管理サーバーのポートを指定する必要があります。また、管理サーバーの DHCP サービスが各プロビジョニング可能なサーバーに割り当てる、プロビジョニングネットワーク用の IP アドレスの範囲も指定します。

管理サーバーの DHCP プロセスでプロビジョニング可能なサーバーのプロビジョニングネットワークの IP アドレスを処理する方法を指定したら、プロビジョニング可能なサーバーの検索ドメイン、SMTP サービス、およびログ情報を設定します。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 インストールおよび構成ガイド』「N1 System Manager システムの設定」を参照してください。

N1 System Manager の設定を終了したら、管理対象のプロビジョニング可能なサーバーの台数に基づいて N1 System Manager のパフォーマンスを調整します。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 インストールおよび構成ガイド』「N1 System Manager のパフォーマンスチューニング」を参照してください。

N1 System Manager の調整を終了したら、最後に、この後の各節に従って N1 System Manager の本稼働を準備します。N1 System Manager にログインし、ユーザーアカウントとロールを設定し、プロビジョニング可能なサーバーの検出とプロビジョニングを行い、保守を設定し、N1 System Manager の保守を行います。

N1 System Manager へのアクセス

N1 System Manager ソフトウェアのインストールを終えると、システム管理者は N1 System Manager アプリケーションにアクセスできるようになります。そのための手段としてコマンド行インタフェースとブラウザインタフェースの両方が用意されています。ブラウザインタフェースには、コマンド行も統合されています。


注 –

このマニュアルの情報の多くは、N1 System Manager のコマンド行に重点を置いています。同じ作業にブラウザインタフェースも使用できる場合は、本文中でそのことを示します。ブラウザインタフェース関連の作業および情報の詳細は、ブラウザインタフェースのヘルプを参照してください。


ブラウザインタフェースの画面構成は、次の図のようになっています。図の後で、番号を付けられた各部について簡単に説明します。

図 2–2 Sun N1 System Manager ブラウザインタフェースの画面構成

ブラウザインタフェースのスクリーンショット (主な部分へのコールアウトあり)

  1. 「表示の選択」メニュー - このメニューを使い、N1 System Manager の表示を、「すべてのサーバー」、「健全性別のサーバー」、「グループ別のサーバー」に切り換えることができます。

  2. 「検出」ボタン - このボタンをクリックすると、N1 System Manager にサーバーを追加するためのウィザードが起動します。「システムダッシュボード」タブをクリックすると、検出されたすべてのサーバーが「すべてのサーバー」表に表示されます。

  3. 「アクション」メニュー - このメニューから、表で選択されているサーバーに対してソフトウェアのロード (インストール) や監視の有効、電源の管理などの操作を行うことができます。

  4. 「ジョブ」および「イベントログ」タブ - これらのタブをクリックすると、N1 System Manager 内のジョブまたはイベントの一覧をそれぞれ表示することができます。「ジョブ」表では、システム上で実行されている操作やコマンドのステータスを監視できます。

  5. 「ヘルプ」ボタン - ブラウザインタフェースでの作業手順や対応するコマンド行の例を含む、検索機能付きのヘルプが起動します。

  6. 「ショートカット」 - 表のサーバーまたはサーバーグループに「ショートカット」内のソフトウェアアイコンをドラッグ&ドロップすると、そのソフトウェアのインストールが開始されます。

  7. 「一覧の編集」ボタン - このボタンをクリックすると、一覧から「ショートカット」区画に表示するソフトウェアアイコンを選択できます。

  8. 矢印 - 「ショートカット」の一覧を展開したり、折り畳んだりできます。

  9. 「コマンド行」区画 - ここから、 N1-ok> シェルが提供するコマンドを実行できます。この内蔵シェルは、コマンドの実行や、「アクション」メニューまたはウィザードから開始した操作のコマンド出力の表示に使用します。

    「コマンド行」区画に「help topic」と入力すると、コマンドのヘルプが表示されます。ここで topic には、ヘルプで情報を知りたいコマンドを入力します。

    コマンドを入力してから Tab キーを押して、情報を補完することもできます。次に例を示します。


    N1-ok> create os [タブキーを押す]
    Potential matches (create os):
        os         OS ディストリビューションを作成 (コピー) します
        osprofile  OS プロファイルを作成またはコピーします
    N1-ok>
  10. サーバーのアイコン - 電源の状態や実行中のジョブを表示できます。サーバーのアイコンをクリックすると、「サーバーの詳細」ページが表示されます。

N1 System Manager のアクセスについては、「N1 System Manager へのアクセス」を参照してください。

N1 System Manager のユーザーとロールの設定

管理サーバーのスーパーユーザー (root) アカウントは自動的に設定され、N1 System Manager にアクセスできるようになります。これは、システム管理者以外のユーザーがプロビジョニング可能なサーバーを管理する場合に必要です。いつでも、新しいユーザーを設定できます。N1 System Manager では、ロールに基づくセキュリティ機能によって、システムへのユーザーアクセスを制限できます。

新しいユーザーの作成とユーザーが N1 System Manager の機能を使用するためのロールの作成については、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「ユーザーの管理」および『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「ロールの管理」を参照してください。

管理するプロビジョニング可能なサーバーの検出

プロビジョニング可能なサーバーを管理するには、N1 System Manager がそれらのサーバーが存在していることを認識し、それらサーバーにアクセスできる必要があります。検出プロセスによって、N1 System Manager にサーバーを追加し、ビジネスや組織のニーズに基づいてグループ化することができます。検出プロセスには、「検出」ボタン (ブラウザインタフェース) または discover コマンドを使ってアクセスします。

検出されたプロビジョニング可能なサーバーは、ブラウザインタフェース内の「システムダッシュボード」タブに表示されます。また、show server all コマンドを使って見ることもできます。N1 System Manager ブラウザインタフェースまたはコマンド行から、プロビジョニング可能なサーバーに対して行える管理作業は次のとおりです。

詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「サーバーの検出」を参照してください。

通知の設定

N1 System Manager では、N1 System Manager 内またはプロビジョニング可能なサーバーでイベントが発生したときに電子メールまたは SNMP の通知が送信されるように設定できます。必要とされるさまざまな状況に応じた通知規則を作成することができます。通知の設定は、コマンド行からのみ行うことができます。

通知の設定については、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「通知の設定」を参照してください。

N1 System Manager の保守作業

この節では、これまでの節で説明した作業を終了した後で、N1 System Manager を使って行うことができる主な作業の概要を示します。プロビジョニング可能なサーバーが検出されたら、次の各項に示す作業を行うことができます。

サーバーへのファームウェアアップデートのインストール

プロビジョニング可能なサーバー上のファームウェアの更新は、主要な管理作業の 1 つです。プロビジョニング可能なサーバーに初めてファームウェアアップデートをインストールする作業は、次の 2 つのステップに分かれます。

  1. N1 System Manager にファームウェアアップデートをインポートします。プロビジョニング可能なサーバーにファームウェアアップデートをインストールするには、N1 System Manager が、そのアップデートにシステムアクセスできる必要があります。

    create firmware コマンドを使用し、Web サイト、または 管理サーバーからアクセス可能なファイルシステムからファームウェアアップデートをインポートできます。ファームウェアにアップデートをインポートすると、ブラウザインタフェースの「ショートカット」にそのアップデートを表示したり、show firmware コマンドで確認したりできます。

  2. 適切なプロビジョニング可能なサーバーにファームウェアアップデートをインストールします。この操作には、ブラウザインタフェースか load serverload group コマンドを使用します。

詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「ファームウェア SP、BIOS、および ALOM アップデートの管理」を参照してください。

プロビジョニング可能なサーバーへの OS のインストール

N1 System Manager の核となる機能の 1 つに、単一のインタフェースから複数のプロビジョニング可能なサーバーに OS をインストールする機能があります。プロビジョニング可能なサーバーに初めて OS をインストールする作業は、次の 3 つのステップに分かれます。

  1. プロビジョニング可能なサーバーに OS ディストリビューションをインストールするには、N1 System Manager が、そのディストリビューションにシステムアクセスできる必要があります。N1 System Manager に OS のバイナリ (OS ディストリビューション) をインポートします。create os コマンドを使用すると、実際の OS インストール CD-ROM や DVD、または ISO イメージから OS をインポートできます。インポートすると、show os コマンドを使用し、N1 System Manager 上で使用可能な OS ディストリビューションを表示できます。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「OS ディストリビューションの管理」を参照してください。

  2. OS プロファイルは、インストールする OS コンポーネントや、OS とともにインストールする追加ファイルおよびプログラム、root パスワードやディスクのパーティション分割などの構成情報を指定します。OS ディストリビューションのインストール方法を指定するテンプレートである、OS プロファイルを作成します。OS プロファイルを使用して、サーバーグループに対し、一貫したインストールや構成ができます。サーバーのインストール方法の相違に応じて、1 つ以上の OS プロファイルを作成できます。


    注 –

    OS ディストリビューションを新しく作成すると、その OS ディストリビューションと同じ名前の OS プロファイルが、デフォルトで自動的に作成されます。


    ブラウザインタフェースには、OS プロファイルの作成手順を案内するウィザードが用意されています。また、コマンド行から OS プロファイルを作成することもできます。どちらの場合も、OS プロファイルを作成すると、ブラウザインタフェースの「ショートカット」の下にそのプロファイルを表示したり、show osprofile コマンドで確認したりできます。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「OS プロファイルを作成する」を参照してください。

  3. ブラウザインタフェースには、プロビジョニング可能なサーバーへの OS ディストリビューションのインストール手順を案内するウィザードが用意されています。OS プロファイルを使用し、単一のサーバーまたはサーバーグループに OS ディストリビューションをインストールします。load server コマンドまたは load group コマンドを使用することもできます。

    詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「OS プロファイルの配備による OS ディストリビューションのインストール」を参照してください。

特定の OS についてステップ 1 を行い、ステップ 2 にある適切な OS プロファイルを作成した後は、OS のインストールは、複数のサーバーであっても 1 つのステップで行えるようになります。

プロビジョニング可能なサーバーへの OS アップデートのインストール

プロビジョニング可能なサーバーに OS をインストールしたら、N1 System Manager で OS アップデートをインストールできます。OS アップデートは、プロビジョニング可能なサーバーの OS によって異なり、Solaris のパッケージやパッチ、または RedHat の RPM から構成されます。サーバーに初めて OS アップデートをインストールする作業は、次の 2 つのステップに分かれます。

  1. プロビジョニング可能なサーバーに OS アップデートをインストールするには、N1 System Manager が、そのアップデートにシステムアクセスできる必要があります。N1 System Manager に OS アップデートをインポートします。

    create update コマンドを使用して、OS アップデートを Web サイトから、または管理サーバー上のアクセス可能なファイルシステムからインポートします。OS アップデートをインポートすると、ブラウザインタフェースの「ショートカット」の下にそのアップデートを表示したり、show update コマンドで確認したりできます。

  2. 適切なプロビジョニング可能なサーバーに OS アップデートをインストールします。この操作には、ブラウザインタフェースか load serverload group コマンドを使用します。

詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「パッケージ、パッチ、および RPM の管理」を参照してください。

N1 System Manager ジョブの監視

ジョブは、N1 System Manager で主なアクションを行うたびに 1 つ作成されます。ジョブのログを使用して、現在実行中のアクションのステータスを監視したり、ジョブが終了したかどうかを確認したりできます。ジョブの監視は、1 つ以上のプロビジョニング可能なサーバーへの OS ディストリビューションのインストールなど、完了するまでに長い時間がかかることがある N1 System Manager のアクションに特に有用です。

ジョブは、ブラウザインタフェースの「ジョブ」タブあるいは show job コマンドで監視できます。ブラウザインタフェースの場合は、ページ最上部のフレームにある「実行中のタスク」欄に実行中のジョブ数が表示されます。

ジョブの管理と監視については、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』「ジョブの管理」を参照してください。

プロビジョニング可能なサーバーの監視

N1 System Manager には、ハードウェアの健全性属性や OS リソースの使用状況属性、ファイルシステム、ネットワーク接続を監視する機能があります。監視対象の OS リソースの使用状況属性については、ポーリング間隔やしきい値を変更できます。単一のアクセスポイントから、すべてのプロビジョニング可能なサーバーのステータスを監視できます。


注 –

デフォルトでは、サーバーが検出されると、ハードウェアの健全性が監視されます。サーバーの OS リソースの使用状況を表示するには、監視を有効にする必要があります。


監視については、『Sun N1 System Manager 1.1 管理ガイド』の第 5 章「サーバーの監視」を参照してください。