オブジェクトの監視とは、監視対象オブジェクトを定期的に検査、すなわち、ポーリングすることです。ポーリングの頻度は、ポーリング間隔を設定することによって制御します。監視対象オブジェクトのポーリング間隔がどのぐらいが適切かは、監視対象のオブジェクトやその環境、監視対象のオブジェクトが置かれているパフォーマンス条件に関係しています。ファンなどのサーバーハードウェアオブジェクトなど、一部の監視対象オブジェクトについては、デフォルトのポーリング間隔が用意されています。デフォルトのポーリング間隔は、set コマンドを使用して特定の間隔値が設定されていないすべてのサーバーおよびサーバーグループに適用されます。
ハードウェアの健全性や OS リソースの使用、ネットワークの到達可能性のポーリング間隔値は、monitoring.properties 構成ファイルを編集することによって変更できます。
OS 監視が有効でない場合は、ネットワークの到達可能性のポーリングはできません。
monitoring.properties 構成ファイルが存在しない場合は、作成し、/etc/opt/sun/n1gc/monitoring.properties に保存してください。デフォルトでは、インストール時に monitoring.properties は作成されません。
N1 System Manager ソフトウェアには、出荷時設定のデフォルトポーリング間隔が用意されています。これらの値は秒単位で表します。出荷時設定のデフォルト値は、表 5–3 に示すとおりです。
表 5–3 デフォルトポーリング間隔の出荷時設定
監視のタイプ |
デフォルトのポーリング間隔 |
---|---|
ハードウェアの健全性 |
120 秒 |
OS リソース |
120 秒 |
ネットワークの到達可能性 |
60 秒 |
monitoring.properties 構成ファイルを変更すると、出荷時設定のデフォルト値は上書きされます。
設定可能な最小デフォルトポーリング間隔は 60 秒です。
monitoring.properties 構成ファイルは管理サーバーにのみ存在し、プロビジョニング可能なサーバーには存在しません。monitoring.properties 構成ファイルに保存されているデフォルトのポーリング間隔を変更すると、N1 System Manager によって管理されているすべてのプロビジョニング可能なサーバーに影響します。
monitoring.properties ファイルに対する変更を有効にするために、管理サーバーや監視対象のプロビジョニング可能なサーバーを再起動する必要はありません。
monitoring.properties 内のデフォルトポーリング間隔は、コマンド行から特定のサーバーまたはサーバーグループに対して個別に値が設定されていないかぎり、すべてのサーバーに適用されます。「ポーリング間隔の設定」で説明しているように、個別のポーリング間隔は、set コマンドを使用して設定します。
インストールして配備したあと、ある程度の使用期間が経過すると、ハードウェアの健全性属性や OS リソースの使用属性をどのぐらいの頻度でポーリングすべきか、またネットワークの到達可能性をどのぐらいの頻度でポーリングする必要があるかが判明してきます。N1 System Manager の構成は、重要なイベントという観点から何を重視するかによって異なります。ポーリング間隔を設定あるいはデフォルトポーリング間隔を変更する場合は、N1 System Manager ソフトウェアを使って管理するサーバー数を考慮してください。また、プロビジョニング可能なサーバーのアプリケーション負荷、予想アプリケーション負荷およびネットワークの能力も考慮してください。イベントに対する期待応答性も関係してきます。イベントの発生とともに速やかに対処できる場合は、より頻繁にポーリングを行うのが適切です。
導入状況に応じたポーリング間隔の調整に関する詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 インストールおよび構成ガイド』の「N1 System Manager のパフォーマンスを向上させる」を参照してください。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。
show server コマンドを入力します。
N1-ok> show server server |
この手順では、server は、ポーリング間隔を取得するプロビジョニング可能なサーバーの名前です。
サーバーのハードウェア健全性、OS のリソース使用、ネットワークの到達可能性などの詳細な監視ポーリング間隔情報が出力に表示されます。
詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 コマンド行レファレンスマニュアル』の「show server」を参照してください。
サーバーに管理機能を追加 (「基本管理および OS 管理機能の追加」 で説明しています) し、server という名前のサーバーで、管理エージェント IP およびセキュリティ資格を有効にします。
エディタで /etc/opt/sun/n1gc/monitoring.properties ファイルを開きます。
このファイルが存在しない場合は、作成してください。
monitoring.properties ファイル内のデフォルトポーリング間隔を定義している行を変更するか、追加します。
pollinginterval. monitor=value
この構文では、pollinginterval キーワードが必要です。
monitor は、hardwarehealth、osresources 、network のいずれかです。ネットワーク到達可能性のポーリングは、OS リソース監視が有効でないかぎり実行できません。「監視の有効化」に説明があります。
value は秒単位で、最小値は 60 です。
ファイルを保存します。
変更を有効にするために、管理サーバーおよびプロビジョニング可能なサーバーを再起動する必要はありません。これで、N1 System Manager が管理するすべてのサーバーに変更後のデフォルトポーリング間隔が適用されます。
この例は、ハードウェアの健全性の監視ポーリング間隔を 180 秒、OS リソースの使用監視ポーリング間隔を 175 秒、ネットワークの到達可能性監視ポーリング間隔を 160 秒に設定する方法を示しています。monitoring.properties 構成ファイルに次のエントリを入力します。
pollinginterval.hardwarehealth=180 pollinginterval.osresources=175 pollinginterval.network=160 |
ここでは、サーバーまたはサーバーグループにポーリング間隔を設定する手順を説明します。
ここでは、コマンド行で、サーバーのポーリング間隔を設定する方法を説明します。この方法で値を設定すると、出荷時設定のデフォルト値や、monitoring.properties 構成ファイル (存在する場合) 内の値が上書きされます。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。
monitor 属性を付けて set server コマンドを入力します。
set server server monitor monitor interval value |
このコマンドは、指定された名前のサーバーに対して実行されます。ここでは、この名前は server と表記しています。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.1 コマンド行レファレンスマニュアル』の「set server」を参照してください。
monitor は、hardwarehealth、osresources、 network のいずれかです。
value は秒で表されています。
設定できる最小のポーリング間隔は 60 秒です。
この例は、serv1 という名前のプロビジョニング可能なサーバーのハードウェアの健全性監視ポーリング間隔を 280 秒に設定する方法を示しています。
N1-ok> set server serv1 monitor hardwarehealth interval 280 |
この方法で値を設定すると、出荷時設定のデフォルト値や、monitoring.properties 構成ファイル (存在する場合) 内の値が上書きされます。
N1 System Manager にログインします。
詳細は、「N1 System Manager のコマンド行にアクセスする」を参照してください。
monitor 属性を付けて set group コマンドを入力します。
set group group monitor monitor interval value |
このコマンドは、指定された名前のグループのサーバーに対して実行されます。ここでは、この名前は group と表記しています。詳細は『Sun N1 System Manager 1.1 コマンド行レファレンスマニュアル』の「set group」を参照してください。
monitor は、hardwarehealth、osresources、 network のいずれかです。
value は秒で表されています。
設定できる最小のポーリング間隔は 60 秒です。
この例は、grp5 という名前のプロビジョニング可能なサーバーグループのネットワーク到達可能性監視ポーリング間隔を 250 秒に設定する方法を示しています。
N1-ok> set group grp5 monitor network interval 250 |