Solstice PPP 3.0.1 管理者ガイド

PPP 上における IP の確立

PPP リンクが確立すると、各エンドポイントはネゴシエーションを行なって IP 層の共通構成を定義します。各エンドポイントは、希望する構成を含むネットワーク制御プロトコル (NCP) フレームを、IP ネゴシエーションフェーズで交換します。ネゴシエーションの対象となるパラメータとして、IP アドレスを含めることができます。これが、IP アドレス動的割り当ての基盤となります。

同期/非同期 PPP リンクを通して IP データグラムの送信経路には、Solstice PPP と Solaris オペレーティングシステムの IP 層の境界となる論理的 IP インタフェースを定義する必要があります。論理的 IP インタフェースは、ネゴシエーションを行なった構成情報に基づいて初期化されます。

Solstice PPP は、以下の 2 種類の IP インタフェースをサポートします。

ポイントツーポイント IP インタフェース (ipdptpn)

Solstice PPP のポイントツーポイント IP インタフェースは、 /dev/ipdptp です。このインタフェースは、図 1-4 で示すような 2 つのホスト間だけを、直接 IP に接続します。

図 1-4 IP ポイントツーポイント構成

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ポイントツーポイント IP インタフェースを定義するには、1 つの発信元アドレス (アタッチメントポイント) と一意の着信先アドレスを指定します。IP データグラムがポイントツーポイントインタフェースに到達した後の次のホップの宛先は、1 つだけです。したがって、1 つのホストの複数のポイントツーポイント接続に、1 つの発信元アドレスを使用することができます。複数のポイントツーポイント接続を利用すると、複数のリモートホストに同時に接続することができます。

IP ポイントツーポイント接続は、Solstice PPP による同期リンクと非同期リンクの両方によってサポートされています。

ポイントツーマルチポイント IP インタフェース (ipdn)

Solstice PPP のポイントツーマルチポイント IP インタフェースは、/dev/ipd です。図 1-5 で示す 1 つのホストと他の複数のホスト間の IP 接続を 1 個のインタフェースによって作成します。ポイントツーマルチポイントインタフェースを使用することによって、サブネットワーク番号を持つ仮想サブネットワークが作成されます。

図 1-5 IP ポイントツーマルチポイント構成

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ポイントツーマルチポイントインタフェースを定義するには、発信元アドレスだけを指定します。IP データグラムが、ポイントツーマルチポイントインタフェースに到達した後の次のホップにおける宛先は、複数存在する場合があります。したがって、各ポイントツーマルチポイントインタフェースに、一意な発信元アドレスを設定する必要があります。

IP ポイントツーマルチポイント接続をサポートするのは、非同期 Solstice PPP リンクだけです。

同期 PPP リンクにおける負荷分散

負荷分散機能は、標準実装 PPP における Sun 独特の拡張機能です。1 つの IP インタフェースからのネットワークトラフィックを図 1-6 で示す複数の同期リンク間で均等に分散して、帯域幅を増やすことを可能にします。

図 1-6 同期リンクにおける負荷分散

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注 -

高性能を確保するには、負荷分散に使用するすべての同期デバイスの回線速度が等しい必要があります。負荷分散機能を利用するには、リンクの両端に Solstice PPP が実装されている必要があります。


Solstice PPP による負荷分散の例については、「同期リンクにおける負荷分散」を参照してください。