Solstice DiskSuite 4.2.1 リファレンス

RAID5 メタデバイス

RAID は Redundant Array of Inexpensive Disks (または Redundant Array of Independent Disks) の頭文字を取ったものです。

RAID には 0 〜 6 の 7 段階のレベルがあり、それぞれが異なる方法でデータを分散させてデータの重複性を実現しています (RAID レベル 0 はデータの重複性を提供しませんが、使用されている RAID 構成の大半の基礎となっている構成であるため、RAID のレベルに含まれています)。

DiskSuite では、次の RAID レベルをサポートしています。

RAID レベル 5 は、パリティとデータをすべてのディスクに分散させたストライプ方式メタデバイスです。ディスクが故障した場合には、他のディスクに分散しているデータとパリティ情報からディスクを再構築することができます。

DiskSuite では、RAID レベル 5 をサポートするメタデバイスを RAID5 メタデバイスと呼びます。

新しいスライスを追加すると、DiskSuite は自動的に RAID5 メタデバイスを初期化します。また、既存のスライスを交換すると、DiskSuite は自動的に RAID5 メタデバイスを再同期させます。システム障害やパニックが発生した後のリブートでは、DiskSuite は RAID5 メタデバイスを再同期させます。

RAID5 メタデバイスには、他のメタデバイスと同じような名前 (d0d1 など) が付けられます。メタデバイス名についての説明は、表 1-4 を参照してください。

RAID5 メタデバイスの規約

例 - RAID5 メタデバイス

図 2-6 に、RAID5 メタデバイス d40 を示します。

最初の 3 つのデータチャンクがディスク A 〜 C に書き込まれます。次に書き込まれるチャンクはパリティチャンクで、ディスク D に書き込まれます。このチャンクは、最初の 3 つのチャンクの排他的論理和を取ることによって作成されます。このようにデータチャンクとパリティチャンクを書き込むことにより、 RAID5 メタデバイスを構成するすべてのディスクにデータとパリティの両方が分散します。各ドライブは個別に読み取ることができます。パリティ情報により、いずれか 1 つのディスクが故障しても安全です。この例の各ディスクの容量が 2G バイトであるとすると、d40 の合計容量は 6G バイトになります (ディスク 1 つ分の領域がパリティ用に割り当てられます) 。

図 2-6 RAID5 メタデバイスの例

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例 - RAID5 メタデバイスの連結 (拡張)

図 2-7 に、4 つのディスク (スライス) で構成される RAID5 メタデバイスに 5 つ目のディスクを追加して拡張した例を示します。

図 2-7 RAID5 メタデバイスの拡張の例

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RAID5 メタデバイスの作成時には、パリティ領域が割り当てられます。パリティ情報用の領域は、スライス 1 つ分です。ただし、重要な情報が 1 つのディスクに集中するのを避けるため、パリティ情報はすべてのディスクに分散されます。RAID5 メタデバイスにスライスを追加すると、そのディスクにはデータのみが格納され、新しいパリティブロックは割り当てられません。ただし、連結されたスライス上のデータは、デバイス障害に備えてパリティ計算に含められます。

連結した RAID5 メタデバイスは、長期間の使用には適しません。このような RAID5 メタデバイスは大規模の RAID5 メタデバイスを構築できるようになるまでの一時的な手段として使用し、大規模な RAID5 メタデバイスを構築したら、新しい RAID5 メタデバイスにデータを移すようにしてください。


注 -

RAID5 メタデバイスに新しいスライスを追加すると、DiskSuite は、そのスライスのすべてのデータブロックを「ゼロ」にします。この結果、パリティ情報によって新しいデータが保護できるようになります。追加した領域にデータを書き込むと、DiskSuite はそのデータをパリティ計算に含めます。