この節では、Trusted Solaris 7 ソフトウェアにおける既知の問題を示し、内容を説明し、解決方法を提案します。これらの問題は将来のリリースで修正される可能性もあります。
システムのインストール時に、ディスクレスクライアント用に領域を割り当てると、/export/root または /export/Trusted_Solaris_7 という名前のディレクトリは作成されません。また、OS サービスの一覧を示すファイルも作成されません。
回避方法: インストール時にディスクパーティションをカスタマイズして、その名前を持つパーティションと領域を割り当てます。
root 役割のユーザーが、フロントパネルからもワークスペースメニューからも、アプリケーションを起動できないことがあります。この問題は特定のマシン上だけで発生します。
マウスの右ボタンをクリックして、「ウィンドウ」から「ワークスペース・マネージャの再起動」を選択します。
アプリケーションが起動できることを確認します。
一部の /usr/man ディレクトリのアクセス権が dr--r--r-- に設定されています。
回避方法: secadmin 役割になり、問題のディレクトリに実行権を追加します。
$ chmod a+x /usr/man/sman3n |
libbsm で事前選択が適切に発生しない場合があります。64 ビットの t6 ライブラリへの呼び出し t6peek_attr(3N) と t6last_attr(3N) が libbsm で失敗します。auditwrite(3) は 64 ビットプログラムでは機能しません。
回避方法: 64 ビットプログラムは監査しないでください。
Trusted Solaris 2.5.1 と Trusted Solaris 7 の tnrhtp における msix ホストタイプの監査値は Trusted Solaris 1.2 の定義と対応していません。
表 1-3 Trusted Solaris のリリース間で定義が異なる監査特性
Solaris 1.2 の監査特性 |
Trusted Solaris 7 の tnrhtp における Trusted Solaris 1.2 の監査定義 |
---|---|
def_audit_uid = 4294967294 |
def_audit_auid=3 |
def_audit_mask = 0,0 |
def_audit_mask=0x0000000000000000 |
def_audit_terminal = 0,0 |
def_audit_termid=0x0000000000000000 |
|
def_audit_asid=0 |
回避方法: ありません。
監査属性のため、TSIX ホスト間の TCP が適切に機能しません。
回避方法: ありません。
label_encodings ファイルは読み取り保護されていません。
回避方法: ありません。
label_encodings(4) ファイルにはロケールに依存する情報が含まれています。しかし、このファイルを使用するシステムプログラムは、必ずしもすべてがロケール対応であると保証されているわけではありません。
回避方法: 複数バイト文字を使用するロケールや C 以外のロケールでは、ASCII 文字以外で大文字と小文字の区別のある文字を使用できる場合があります。たとえば、ja ロケールの全角アルファベットがこれにあたります。そのような文字を使用する場合は、格付けと語句名、短形式名、label_encodings ファイル中の代替名、および全データベースのすべての文字列ラベルは、「大文字だけで」記述する必要があります。また、以下のどちらかの場合は、上記の (ASCII 文字以外の) すべてのラベルを大文字だけで入力する必要があります。
コマンド行でロケールが設定されていない場合
コマンドが、正しいロケールでライブラリ関数 setlocale(3C) を呼び出さない場合
パッチ 106748-03 (SPARC)/106749-03 (Intel) をインストールするとき、SUNWxcu4t パッケージにはパッチが適用されません。
回避方法: root 役割になり、上記パッチに含まれる SUNWxcu4t パッケージのファイルを CD からマシンにコピーします。
インストール CD をマウントします (cd-mount-point は、CD のマウント先を示します)。
マシン上にある元のファイルを *.orig としてコピーします。
# cp -p /usr/xpg4/bin/make /usr/xpg4/bin/make.orig # cp -p /usr/xpg4/bin/get /usr/xpg4/bin/get.orig # cp -p /usr/xpg4/bin/sccs /usr/xpg4/bin/sccs.orig # cp -p /usr/xpg4/bin/delta /usr/xpg4/bin/delta.orig |
CD 上の usr/xpg4/bin ディレクトリ内にあるすべてのファイルをマシンにコピーします。
# cp * /usr/xpg4/bin |
次のコマンドとライブラリルーチンは完全に機能しません。
Trusted Solaris 1.2 ワークステーションに接続するためには特権が必要です。
-v オプションを指定して出力ファイルを表示しようとしたとき、出力ファイル内に TSIX SATMP プロトコルがあるとコアダンプします。
バイナリから文字列コードへ (または、その逆) のラベル変換はマルチスレッドに対して安全ではありません。
libtsol() ラベル関数は、ラベル関数を使用するプログラムのログ記録の動作を変更します。つまり、syslog パラメータを変更します。
t6new_attr(3N) が呼び出された場合、t6recvfrom() のマスク引数には新しい属性のビットが含まれるべきですが、実際にはすべての属性が含まれます。
sys_audit
特権を必要とするべきですが、現在はネットワークインタフェースは sys_audit
特権なしでも監査属性を設定できます。TSOL 接続の場合、監査属性は無視されます。TSIX 接続の場合、監査属性はリモートのピアに転送されます。
swmtool(1M) ユーティリティは Trusted Solaris 7 オペレーティング環境では機能しません。
回避方法: pkgadd(1M) ユーティリティを使用します。
一番下のフィールド (CIPSO ドメイン) が画面に表示されません。ウィンドウのサイズを変更してこのフィールドを表示することもできません。
回避方法: フォントを小さくします。
フロントパネルからスタイルマネージャを起動します。
「フォント」をクリックします。
ウィンドウの右側にあるサイズの一覧から「Small(3)」を選択します。
「了解」をクリックします。
新しいフォントを有効にするには、背景ウィンドウ上でマウスの右ボタンをクリックして、「ウィンドウ」から「ワークスペース・マネージャの再起動」を選択します。そして、確認ウィンドウで「了解」をクリックします。あるいは、ログアウトして、ログインし直します。
Solaris 7 環境の情報については、SUNWrdm 内のファイルを参照してください。
回避方法: リリース後に判明した最新の情報については、本書を参照してください。
新しいロケール内で以前のロケールのフォントを読み取ることがあります。たとえば、ユーザーが ja ロケールからログアウトし、C ロケールでログインした後、アプリケーションが C ロケール内で ja メッセージを読み取ることがあります。変更前のロケールのテキストが表示されるため、メニューラベル、タイトル、アイコンラベルなどが正常に表示されません。また、C ロケールで必要のない「Htt」(入力サーバー) が起動されることもあります。
回避方法: C ロケールでは、余分な「Htt」を無視してください。C ロケールでテキストが正常に表示されない場合は、ログアウトして、C ロケールにログインし直します。
SPARC マシン上でホストマネージャを使用して、OS サーバーに Intel アーキテクチャを追加すると、「Error: Error adding OS service Trusted_Solaris 7 i386 i86pc: service modification failed.」というエラーが発生します。
回避方法: Intel サービスの追加は正しく行われているため、このエラーメッセージは無視してください。
インストールサーバーからネットワークを介してインストールを行うと、インストール中またはシステムのリブート中にインストールサーバーがフリーズします。
回避方法: イ ンストールサーバーをカーネルデバッガモードで起動してください。SPARC システムの場合は、ok プロンプトに次のように入力します。
ok boot kadb |
IA システムの場合は、ブート選択時に次のように入力します。
Select (b)oot or (i)nterpreter: b kadb |
回避方法: これらの機密ラベルに対しては、label_encodings ファイルのカラー定義で薄めの色を使用してください。
SPARC OS サーバーに OS サービスをインストールする場合、Intel アーキテクチャ (IA) 用の OS サービスがすでに追加されていると、SPARC 用の OS サービスは追加できません。また、すでに SPARC 用の OS サービスが追加されている IA OS サーバーには、IA 用の OS サービスは追加できません。
回避方法: クライアントのアーキテクチャは、サーバーのアーキテクチャと同じでなければなりません。つまり、IA OS サーバーからは IA 用 OS サービス、SPARC OS サーバーからは SPARC 用 OS サービスを提供するようにしてください。
IA インストールサーバーから SPARC システムにネットワークを介してインストールしようとすると、インストールの起動に失敗し、インストールできません。
回避方法: ネットワークを介したインストールは、インストールサーバーと同一のアーキテクチャのシステムに対してのみ可能です。つまり、IA インストールサーバーからは IA システムのみを、SPARC インストールサーバーからは SPARC システムのみをインストールするように、インストールサーバーを構成してください。
ディスクレスクライアントをブートしようとすると、"NFS server not responding... still trying" というメッセージが表示され、ブートは失敗します。
回避方法: サーバーマシン上のクライアントに対する /export/root/<client>/etc/security/tsol/tnrhdb ファイルに、(tsol テンプレートが割り当てられた) クライアント、サーバー、NIS+ マスターに対するエントリが含まれていることを確認してください (<client> は、クライアント名を示します)。エントリがない場合は、追加してください。