Trusted Solaris 管理の手順

ホストタイプ、テンプレート、プロトコル

tnrhdbtnrhtp データベースのエントリの組み合わせにより、複数のホストとネットワークを特定のホストタイプに対応付けることができます。このホストタイプによって、カーネルがメッセージの解読に使用するプロトコルが識別され、そのプロトコルによって、カーネルはパケットのヘッダーから検出されるべきセキュリティ属性を知ることができます。次の表は、ホストタイプと、それに対して作成されるトラステッドネットワークデータベースのエントリを示しています。

表 9-1 ホストタイプ名
 ホストタイプ トラステッドネットワークデータベースで使用される名称 プロトコルと注釈
 Trusted Solaris 2.x またはそれ以降sun_tsol TSOL プロトコル。このプロトコルは、Trusted Solaris 2.x またはそれ以降で実行するホスト間のセキュリティ属性の転送を簡易化する。TSOL は TSIX(RE) 1.1 - SAMP プロトコルから派生したプロトコルで、ネットワークプロトコルスタックの同様の場所にセキュリティ属性を渡し、同様のヘッダー構造を使用する。TSOL プロトコルはバイナリ形式でセキュリティ属性を渡すため、トークンマッピングを必要としない。Trusted Solaris 2.x またはそれ以降で実行するホスト間に限り使用される。
 TSIX/REtsix 制限付環境用トラステッドセキュリティ情報交換 (Trusted Security Information Exchange for Restricted Environments (TSIX/RE) ) プロトコル (セキュリティ属性の受け渡しにはトークンマッピングを使用)。
 MAXSIXmsix Trusted Solaris 1.x、MAXSIX が使用するネットワークプロトコル。このプロトコルの使用により、Trusted Solaris 1.2 マシンとのネットワーク接続が可能になる。このプロトコルはもともと MaxSix 1.0 で使用されたもので、トークン形式でセキュリティ属性を IP オプションフィールドに渡す。ラベルは CIPSO のタグタイプ 3 として渡される。
 TSIX(RE) 1.1 - CIPSOcipso Common IP Security Option プロトコルの TSIX(RE) 1.1。IP オプションフィールドに渡されるセキュリティラベルの指定に使用される。CIPSO ラベルはデータの機密ラベルから自動的に取得される。セキュリティラベルの受け渡しにはタグタイプ 1 が使用される (CIPSO)。その後このラベルは、IP レベルでのセキュリティ検査に使用される。また、ネットワークパケット内のデータのラベル設定に使用される場合もある。
 RIPSOripso IETF REC 1108 に記述される Revised IP Security Option (RIPSO)。ラベルを IP パケットに組み込むための DoD IP ラベル付け方式を定義する。また、ネットワーク MAC の検査にも使用される。管理目的で設定された固定式の RIPSO ラベルは、特定のホストと交換されたネットワークパケットに適用される。この機能は REC 規格を完全に満たすものではないが、RIPSO ラベルを必要とする場合に十分な機能を与えるものとされている。
 ラベルなしラベルなしSolaris またはラベルのないオペレーティングシステムを実行するホストに割り当てられる。ラベルなしホストへのパケット転送は、ADMIN_LOW からそのホストのテンプレートのデフォルトのラベルエントリで指定された機密ラベルまでの、すべての有効な機密ラベルで行われる。パケットを単一機密ラベルに制限するには、最下位機密ラベルと最上位機密ラベルが同等でなければならない。受信パケットには、デフォルトの機密ラベルが割り当てられる。

上の表の 2 列目のホストタイプ名称は、トラステッドネットワークデータベースで使用されている名称です。

デフォルトの tnrhtp データベースには、各ホストタイプに 1 つずつサンプルのテンプレートが含まれています。セキュリティ管理者役割は、これらのテンプレートをそのまま使用することも、コピー、リネーム、変更して使用することもできます。tnrhtp データベースに含まれるすべてのテンプレート名は、データーベースマネージャで tnrhdb データベースを使用してホストの IP アドレスにテンプレートを指定しようとすると、画面に一覧表示されます。図 9-3 を参照してください。

たとえば、Trusted Solaris をトラステッドホスト (ホストタイプに sun_tsol を指定したホスト) として構成するとします。この場合、セキュリティ管理者役割は、tnrhdb データベースにそのホストのエントリを追加し、tnrhtp データベースから sun_tsol ホストタイプを持つ適切なテンプレートを割り当てます。

図 9-3 tnrhtb データベースのテンプレート名一覧 : 「追加 (Add)」メニュー

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ホストタイプ別の構成可能なセキュリティ属性は、第 10 章「トラステッドネットワークデータベース におけるセキュリティ属性の指定とルーティング設定」表 10-1 を参照してください。