Trusted Solaris のラベル管理

アクセス制御の決定における SL と認可上限の使用方法

アクセス制御の決定を行うときに機密ラベルと認可上限が比較されます。アプリケーションを実行するプロセスの認可上限はセッションの認可上限と同じです。このプロセスの機密ラベルと認可上限は、アプリケーションがアクセスしようとする対象の機密ラベルと比較されます。機密ラベルの優位性が比較されます。機密ラベルが比較されるときに適用される必須アクセス制御の規則の詳細については、Intro(1) の「定義」セクションを参照してください。

ウィンドウシステム内では、通常、プロセスの機密ラベルがアクセスの対象の機密ラベルと同等でなければ、アクセスが行われません。同位読み取り / 同位書き込み規則に対する顕著な例外は、電子メールの読み手で、これには、上位書き込み/下位読み取り (write up/read down: WURD) 規則が適用されます。上位書き込みはセッションの認可上限によって制限されます。

必須アクセス制御の決定例

機密ラベルが PUBLIC のワークスペースでユーザーがテキストエディタを起動すると、そのテキストエディタを実行するプロセスにもワークスペースと同じ機密ラベルが割り当てられます。

アクセス制御の決定に使用される 2 つの機密ラベルを比較したものを 図 1-1 に示します。ユーザーは、INTERNAL_USE_ONLY という機密ラベルの付いたワークスペースにいます。テキストエディタを起動すると、テキストエディタを実行しているプロセスの機密ラベルが自動的に現在作業中のワークスペースの機密ラベルに設定され、テキストエディタは、INTERNAL_USE_ONLY というラベルを表示します。テキストエディタを使用して編集を行うためにファイルを開こうとすると、そのテキストエディタの機密ラベルとファイルの機密ラベルが比較されます。この例では、2 つの機密ラベルが同等なので、アクセスが行われます。

図 1-1 テキストエディタの SL と編集対象のファイルの SL との比較

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