Solstice Backup 5.1 管理者ガイド

第 9 章 SNMP モジュール

この章では、Solstice の各製品での、簡易ネットワーク管理プロトコル (Simple Network Management Protocol, SNMP) モジュールの構成方法と使用方法を説明します。SNMP モジュールは、Backup とは別売りのオプションのアドオンモジュールです。

この章は次の節で構成されています。

簡易ネットワーク管理プロトコルの概要

SNMP はネットワークトランザクション用のプロトコルであり、SNMP のマネージャとエージェントとの間の構造化された管理情報の転送を規定するものです。

SNMP マネージャは、ワークステーション (Backup サーバーでも、Backup サーバーのクライアントでもかまわない) 上にあって、SNMP エージェントに対して照会を発行し、状態、構成、パフォーマンスについての情報を収集します。SNMP エージェントは Backup サーバーにあって、SNMP マネージャが出す照会に応答し、動作のレポートを生成します。Backup の SNMP モジュールは、SNMP の照会に応答するほかに、Backup サーバーで通知を出すように設定されているイベントが起こると、任意型のレポート、つまりトラップを SNMP マネージャに送信します。

Backup の SNMP モジュールを使用すると、SNMP トラップというメカニズムによって SNMP の規格に準拠したネットワーク管理ステーション間で Backup のイベント通知をやりとりすることができます。SNMP トラップは、SNMP エージェントからネットワーク管理者のイベントマネージャに対して送信される、要求外の通知です。

SNMP の動作の詳細は、ネットワーク管理ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

Backup SNMP モジュールの機能

Backup SNMP オプションを使うと、システム管理者は、ネットワーク管理ソフトウェアを使用して次のことができます。

SNMP トラップを送受信するには、SNMP のデーモンである nsrtrap が、Backup サーバーとネットワーク管理ステーションの両方で動作している必要があります。

SNMP 通知の構成

Backup サーバーを表すアイコンが、ネットワーク管理コンソール上に表示されます。このコンソールから、ネットワーク管理ソフトウェアを使って次のことができます。

Backup の通知のカスタマイズ

Backup の通知をカスタマイズすることによって、通知の優先順位を決め、トラップを送るイベントのタイプを指定し、特定の宛て先に送るトラップを指定できます。「View」メニューで「Details」オプションを選択すると、「Notifications」ウィンドウに、イベントと優先順位を選択するチェックボックスが表示されます。必要なチェックボックスを強調表示してイベントをカスタマイズし、その通知に固有な名前を付けて、カスタマイズした通知を保存します。Backup 通知とそれに関連付ける優先順位の詳細は、「「Notifications」リソース」を参照してください。

Backup SNMP のデフォルト値

表 9-1 に、Backup に固有の SNMP 関連のデフォルト設定値を示します。

表 9-1 Backup での SNMP 情報

SNMP パラメタ 

Backup でのデフォルト値 

host-name 

ネットワーク管理ステーション名

community 

public 

enterprise object ID 

160 (.1.3.6.1.4.1.160) 

trap-type 

Solstice Site Manager、Domain Manager、Enterprise Manager

Solstice Site ManagerTM、Domain ManagerTM、Enterprise ManagerTM は、Solaris プラットフォームでの SNMP トラップの受信サービスを提供しています。

Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manager で Backup 通知を受信するように構成するには

/var/opt/snm/snmp.traps のファイル形式を次のように変更すると、Backup サーバーからのトラップメッセージと通知が読みやすくなります。

  1. テキストエディタを使って snmp.traps ファイルを開き、編集します。

  2. ファイルの最後に、次の各行を追加します。


    enterprise 1.3.6.1.4.1.160
    1 Backup_Trap
    Using Site, Domain, or Enterprise Manager 
    
  3. Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manager のプログラムを起動します。

    Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manager を起動すると、マネージャコンソールに「Home」ウィンドウが表示されます。

  4. Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manager の「Tools」メニューに「Backup」オプションを追加します。

ツールリストに「Backup」オプションを追加するには

Backup オプションを SunNet Manager のツールリストに追加するには、次の手順に従います。

  1. 「Tools」メニューで「Customize」を選択します。Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manger のコンソールでは、「Custom Tools」ウィンドウが表示されます。

  2. 「Tool Name」フィールドに次の名前を入力して、Backup をツールリストに追加します。


    Backup
    

    ネットワーク管理ステーションで Backup が動作していない場合、あるいは複数の Backup サーバーにアクセスする必要がある場合は、次のようにして「Tool Name」フィールドに Backup サーバーのマシン名を指定します。


    Backup_server-name
    

    Tools List に複数の Backup サーバーを追加する場合は、それぞれに固有の名前を付けます。

  3. 「Command」フィールドに次のコマンドを入力して、Backup 管理プログラムを起動します。


    nwadmin
    

    ネットワーク管理ステーションが Backup サーバーでない場合は、次のように、-s オプションを付けて Backup サーバーのマシン名を指定します。


    nwadmin -s server-name
    
  4. 「Add」ボタンをクリックすると、ツールリストに Backup オプションが表示されます。

    カスタマイズした Backup 通知を Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manager のコンソールに送信して割り込ませる場合は、Backup サーバーの管理プログラムを使って、カスタマイズした通知を作成できます。

Backup サーバーを通知を送信するように構成するには

イベント通知とトラップ通知を Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manager に送信できるように Backup サーバーを構成するには、次の手順に従います。

  1. Site Manager、Domain Manager、または Enterprise Manager のコンソールの「Home」ウィンドウで、アイコンをダブルクリックして、ネットワーク上のサーバーとクライアントにアクセスします。

  2. ネットワークを広げて構成の対象となる Backup サーバーを表示して選択します。

  3. 「Tools」メニューで「Backup」を選択します。Backup 管理プログラムのウィンドウが表示されます。

  4. 「Customize」メニューで「Notifications」を選択します。

  5. イベントが起動された時点で「Action」が追跡できるように nsrtrap コマンドを指定して、新しい通知を作成します。

  6. 変更を保存して、通知を登録します。

    Backup のイベント通知を新たに作成する方法の詳細は、「Notifications」ウィンドウのオンラインヘルプに説明されています。SNMP に関連する Backup 通知を作成する方法は、nsrtrap(1m) のマニュアルページを参照してください。