この章では、Backup Server Edition、Backup Network Edition、または Backup Power Edition で利用できる、オプションのサイロサポートモジュールを概説します。また、Backup でサイロを有効にして使用する方法を説明します。
この章は次の節で構成されています。
サイロは、多数のストレージデバイスをロードした周辺装置です。サイロは、サイロ管理ソフトウェアによって制御されます。このソフトウェアはサイロのベンダーによって提供されるもので、サーバーにインストールします。同じマシンがサイロサーバーと Backup サーバーを兼ねることはできません。
サイロとその内部のデバイスは、複数のアプリケーション、システム、プラットフォームで共有できます。オートチェンジャと同様に、サイロを使用すれば、データ操作とメディア操作をさらに自動化できます。サイロでは、ボリュームのロード、変更、管理、デバイスのクリーニングを自動化できます。
Backup サーバーまたはストレージノードは、サイロ管理ソフトウェアのクライアントとして動作します。Silo Tape Library Interface (STLI) ライブラリを介して Backup とサイロ間の通信が行われます。
Backup では、サイロ内のボリュームやデバイスにアクセスする場合に、アクセス要求は STLI ライブラリコールの形式でサイロ管理ソフトウェアに送られます。たとえば、サイロ内のデバイスにボリュームをマウントする場合は、Backup メディアデーモンによって、サイロの特定のデバイスにボリュームをマウントする要求がサイロ管理ソフトウェアに送られます。その結果、サイロサーバーによりボリュームが実際にサイロにマウントされます。この処理の詳細は、stli のマニュアルページを参照してください。
サイロ管理ソフトウェアによって、Backup がオートチェンジャに対して制御する操作の大部分を制御できます。たとえば、サイロ管理ソフトウェアは、各サイロボリュームが置かれているスロットを追跡しているほか、ボリュームの格納と取り外し、サイロデバイスの自動クリーニングも制御します。
この節では、Backup で使用するサイロのインストールと、構成方法について説明します。
サイロ管理ソフトウェアをサイロサーバーにインストールします。
次に示すモデルでは、Backup のインストール時に、必要なソフトウェアがすべてインストールされています。この場合には手順 4 に進んでください。
Solaris、AIX、および HP-UX 上の StorageTek
Solaris、AIX、HP-UX、および Windows NT 上の EMASS/Grau
Solaris および AIX 上の IBM 3494
サイロが上記モデル以外の場合は、サイロを使用する Backup サーバーまたはストレージノードに、STLI ライブラリをインストールします。
この手順は、ベンダーのマニュアルに従ってください。
Backup サーバーまたはストレージノードが、Backup が使用するサイロ内のメディアデバイスに正しく接続されていることを確認します。
jb_config プログラムを実行して、サイロ内のデバイスを Backup で使用できるように構成します。
手順は、「サイロを構成するには」を参照してください。
サイロサポートモジュールのイネーブラ証明書に記載されている手順に従って、サイロサポートモジュールを有効にします。
サイロサポートモジュールを登録して認証を受けます。
手順は、「ソフトウェアを登録し認証を受けるには」を参照してください。
サイロを構成するには、jb_config プログラムを使います。次の情報を入力するようにプロンプトが表示されます。
サイロのタイプ
サイロの名前 (英数字の文字列)
サイロサーバーマシンのホスト名 (StorageTek、EMASS/Grau の場合)
/etc/ibmatl.conf ファイルに定義されているサイロの記号名 (IBM 3494 の場合)
自動デバイスクリーニング機能を有効にするかどうか (no と入力します。サイロ管理ソフトウェアが、サイロ内のデバイスのクリーニングを制御)
STL ライブラリソフトウェアのパス名 (サイロインタフェースライブラリソフトウェアが常駐する Backup サーバーまたはストレージノード上のフルパス)
構成するデバイスの数
構成するデバイスごとに、次の情報を入力するようにプロンプトが表示されます。
デバイスのパス名
デバイスのメディアタイプ (まだデバイスが構成されていない場合)
デバイスのサイロ名 (各デバイスに対して入力するサイロ名の詳細は、「サイロデバイスの命名規則」を参照)
次に示す例は、Solaris の Backup サーバーで作成されたものです。jb_config プログラムの出力は、オペレーティングシステムとサイロのタイプによってわずかに異なります。
# jb_config 1) Install an Autodetected SCSI Jukebox. 2) Install a Serial Jukebox. 3) Install an SJI Jukebox. 4) Install an RLM Jukebox 5) Install an STL Silo. What kind of Jukebox are you installing? [1] 5 Supported Silo types for this system are: 1) ACSLS Silo (StorageTek) 2) DAS Silo (Emass/Grau) 3) 3494 Silo (IBM) Enter the number corresponding to the type of silo you are installing: Choice? 1 Installing a StorageTek Silo. Name you would like to assign to the Silo device? stk_silo Name of the host running the ACSLS software? [] expo1 Pathname of the STL library for the ACSLS silo? [/usr/lib/nsr/libstlstk.so] [Return] Do you want automated device cleaning support enabled? (yes/no) n How many devices are to be configured for this silo (1 to 64)? [4] 1 Enter pathname of media drive 1: ? /dev/rmt/0mbn This media device has not been configured yet. Please select a media device type for /dev/rmt/0mbn. a) himt b) qic c) 4mm d) 8mm e) 8mm 5GB f) 3480 g) dlt h) optical Choice? h Enter corresponding silo name of media drive 1: ? 0,0,2,0 Since this is a silo, the barcode reader is enabled, and volume labels are set to match barcode labels Jukebox has been added successfully |
サイロの構成結果は、Backup 管理プログラム nwadmin または nsradmin プログラムの「Jukeboxes」リソースで確認できます。Jukeboxes リソースの各属性の詳細は、オンラインヘルプか、nsr_jukebox のマニュアルページを参照してください。
jb_config プログラムによって、ストレージデバイスのサイロ名、つまりサイロ内のデバイス名を入力するようプロンプトが表示されます。このサイロ名は、サイロ管理ソフトウェアがデバイスを指すときに使われる名前です。サイロのタイプによって、デバイス名の形式が異なります。この節では、現在サポートされているサイロの命名規則を説明します。
StorageTek (STK) 用のサイロ管理ソフトウェアは、UNIX システムでは ACSLS という名前で、MVS システムでは Library Attach という名前で呼ばれているプログラムです。どちらも、サイロ内のデバイスの物理的位置を表す座標系に基づいてデバイスに名前を付けます。
テープドライブの名前は、4 桁の数字をコンマで区切って表します。先頭の数字は、ドライブが関連付けられている自動カートリッジシステム (Automated cartridge System, ACS) を表します。2 番目の数字は、ドライブが置かれているライブラリストレージモジュール (Library Storage Module, LSM) を表します。3 番目と 4 番目の数字は、それぞれドライブが置かれているパネルとスロットの位置を表します。典型的な STK ドライブ名の例は、1,0,1,0 です。
Backup に使用できるデバイスのドライブ名については、サイロ管理者にお問い合わせください。この情報は、Backup システムからは得られません。複数のドライブを接続する場合は、各ドライブの SCSI ID を調べて、ID をサイロ名に正しく対応させます。サイロ名にオペレーティングシステムで使うデバイス名を使った場合は、ボリュームのマウントとマウント解除はできますが、マウントしたあとのボリュームの読み取りと書き込みはできません。デバイス名を正しく構成し直すには、Backup 管理プログラムを使って、「Jukeboxes」リソースの「STL Device Names」属性内のデバイス名の順序を変えます。
IBM 3494 のサイロ管理ソフトウェアでは、サイロ内の 3590 ドライブ を識別するために、デバイス名に 8 桁の数字を付けます。IBM 提供の mtlib コマンドを使って、3494 内の全デバイス名を指定します。
# mtlib -l library-name -D |
どのデバイスが Backup 用に予約されているかをサイロ管理者に尋ねるか、あるいはどのサイロドライブ名がどの Solaris デバイス名に対応しているかを調べてください。
EMASSサイロ(北米の場合) または Grauサイロ用のサイロ管理ソフトウェアは、DAS と呼ばれるプログラムです。DAS は、サイロを制御する AMU のプログラムのフロントエンドとして動作します。サイロ管理者は、サイロを構成する際に、各ドライブに記号名を付けます。記号名には、英数字を使用します。
DAS を Backup で使用するには、次のように設定します。
サイロ管理者に、Backup サーバーまたはストレージノードマシンから送るコマンドを受け取れるように DAS を構成するよう依頼します。
サイロ管理者に、次のどちらかを依頼します。
dasadmin allocd コマンドを使って、1 つまたは複数のデバイスを Backup サーバーまたはストレージノードに割り当てます。
Backup サーバーまたはストレージノードを管理者として構成します。こうすると、ユーザーが自分の Backup サーバーまたはストレージノードマシンから dasadmin allocd コマンドを入力して、デバイスを割り当てることができます。
サイロ内のデバイスに割り当てられた名前を探すには、dasadmin ユーティリティを使います。
次の 2 つの環境変数を設定します。
DAS_SERVER - DAS を実行するサイロ管理サーバーのホスト名
DAS_CLIENT - Backup サーバーまたはストレージノードのホスト名
ACI_MEDIA_TYPE - 3480、CD_THICK、CD_THIN、DECDLT、8MM、4MM、D2、VHS、3590、CD、TRAVAN、DTF、BETACAM、AUDIO_TAPE、および DAS_MEDIUM のいずれかで、ACI_MEDIA_TYPE と同じ値
次のコマンドを使って、ドライブと、ドライブが割り当てられているホスト名の一覧を表示します。
dasadmin ld |
サイロは複数のソフトウェアアプリケーションから使用できるので、ほかのプログラムが使っているボリュームが Backup によって上書きされるのを防ぐため、サイロ内のメディア管理には特別な操作が必要です。
この節では、Backup 用にボリュームを指定する方法、ボリュームをデバイスにマウントする方法、サイロ内でボリュームを識別しカウントする方法について説明します。
オートチェンジャでは、Backup は 1 つのスロット番号を使ってさまざまな機能を指定しますが、サイロでも同じです。オートチェンジャではスロット数が決まっていて、スロット番号はボリュームの物理的位置を指すのに使われます。一方サイロでは、スロット数は一定ではなく、最初に構成した時点で 0 番から始まり、上限はユーザーが購入したサイロライセンスによって決まります。サイロボリュームの基本的な識別子はバーコードであり、サイロのマニュアルではよく「volser」と呼ばれています。この volser は、特定のボリュームが存続する間は変わりません。
nsrjb コマンドを使ってサイロの内容を一覧表示すると、同時にスロット番号も表示されます。このスロット番号によってどのボリュームをマウント、マウント解除、ラベル付けし、インベントリを作成するかを指定します。サイロ内では、ボリュームにいつも同じスロット番号が割り当てられるとは限りません。サイロ内のスロット番号は、すでに割り当てられているバーコードのソート順に基づいて、動的に割り当てられます。ソートの順序の前の部分にバーコードをさらに割り当てると、ソート順序のあとの部分にあるすべてのボリュームのスロット番号が変わってきます。
スロット番号ではサイロボリュームを完全に識別することはできないので、スロット番号を変更する可能性のある操作では、スロット番号を引き数として使うことはできません。たとえば、スロット番号を指定してボリュームの割り当てを解除することはできません。これは、割り当て解除によって、そのボリュームのスロット番号が変わるからです。
カートリッジアクセスポート (Cartridge Access Port, CAP) を使うと、サイロのドアを開けなくても、サイロ内のボリュームを格納し、取り外すことができます。CAP を使うと、サイロ全体のインベントリを作り直さなくても、サイロ内でボリュームの追加 (格納) と取り出し (取り外し) ができるので便利です。CAP を使ってボリュームを追加したり取り出したりしても、Backup が自動的にインベントリを作成し、バーコードラベルを読み取り、サイロ内の空きスロットを探すわけではありません。これらのタスクには、サイロのインベントリ作成機能と「Jukeboxes」リソースを使う必要があります。
現在サポートされているサイロ上では、CAP を制御してサイロ内のボリュームを格納し、取り外すには、Backup コマンドまたはサイロ管理ソフトウェアを使用します。通常は、特に大量のボリュームを格納し取り外す場合は、サイロ管理ソフトウェアを使用するほうが効率よく処理できます。
ボリュームの割り当てと格納には、次の Backup コマンドを使用します。
# nsrjb -a -Txxxx -d |
ボリュームの割り当て解除と取り外しには、次の Backup コマンドを使用します。
# nsrjb -x -Txxxx -w |
格納と取り外しの機能は、Backup 管理プログラムの GUI では使用できません。
CAP が自動モードに設定されている IBM 3494 サイロと StorageTek サイロでは、サイロ管理ソフトウェアが自動的にボリュームを挿入します。ユーザーが Backup を使ってボリュームを挿入することはできません。
Backup の内部動作と StorageTek のサイロ管理ソフトウェアの内部動作は異なるので、StorageTek サイロでは、Backup で 1 回に 1 つのボリュームしか取り外せず、ほかのボリュームを取り外すには、その前にボリュームをサイロの CAP から取り出さなければなりません。EMASS/Grau のサイロでは、Backup によって格納と取り外しの両機能を制御できます。
ボリュームを割り当てる場合は、使用できるボリュームを Backup に知らせます。サイロは複数のアプリケーションソフトウェアから使用できるので、Backup 用のボリュームを別のアプリケーションが読み取り、書き込む可能性があります。これを防ぐため、ほとんどのサイロ管理プログラムには、Backup と Backup 以外のプログラムが実行されているマシンのホスト名に基づいて、ボリュームへのアクセスを制限する機能が組み込まれています。Backup にはこの種のアクセス制限は組み込まれていないので、サイロ管理プログラムを使ってこれを構成しなければなりません。
ボリュームを割り当てる場合は、Backup がサイロ管理ソフトウェアに問い合わせて、ユーザーが要求するボリュームが実際にあるかどうかを確認します。ボリュームがあれば、それが Backup 用に割り当てられます。ボリュームがなければ、次のメッセージが表示されます。
barcode xxxxxx is not present in the silo and was not added |
複数のボリュームを範囲を指定して割り当てると、このメッセージの表示後に割り当て処理が続行されますが、この場合のメッセージは参考情報であって、Backup のエラーを示すものではありません。
サイロボリュームを割り当てるには、次のどちらかを使います。
Backup 管理プログラムの「Add Library Volumes」ダイアログボックス - 手順は、オンラインヘルプを参照してください。
nsrjb -a -T barcode コマンド - nsrjb コマンドの詳細は nsrjb のマニュアルページを、バーコードテンプレートの正しい形式については stli のマニュアルページを参照してください。-T オプションの次に指定できるバーコード識別子またはテンプレートは 1 つだけですが、1 つの nsrjb コマンドには -T オプションをいくつ使ってもかまいません。
EMASS /Grau サイロのような手動で格納しなければならないサイロにボリュームを格納し、割り当てるには、ボリュームを挿入部分に置いてから次のコマンドを入力します。
# nsrjb -a -Txxxx -d |
StorageTek サイロ、IBM サイロでは、サイロ管理ソフトウェアが自動的にボリュームを格納します。
ボリュームのデータを読み書きする前に、ボリュームをマウントしなければなりません。ボリュームは、サイロ内のデバイスに自動でマウントされます。
サイロデバイスにボリュームをマウントするには、Backup 管理プログラムか、nsrjb -l コマンドを使用します。ボリュームをマウントする場合は、ボリュームとスロット、およびバーコードを指定しなければなりません。
サイロ内のボリュームのインベントリを作成する場合、あるいは Backup サイロのボリュームを割り当て解除する場合は、その前にボリュームのマウントを解除しなければなりません。マウントを解除するには、Backup 管理プログラムか、nsrjb -u コマンドを使用します。
ボリュームのバーコード識別子またはテンプレートを指定するには、nsrjb コマンドに -T オプションを指定します。
ボリュームが属しているプールと、ボリュームに入っているデータのタイプは、ラベルによって Backup に伝えられます (ボリュームラベルの詳細は、「ストレージボリュームのラベル付け」を参照)。Backup がボリュームにデータが書き込めるのは、ボリュームにラベルが付けられたあとです。
サイロ内のボリュームにラベルを付けるには、Backup 管理プログラムか、nsrjb -L コマンドを使います。
サイロ内のボリュームに付ける Backup ラベルには、標準の Backup ボリュームラベル (ボリュームのメディア上に書き込まれる) と、サイロバーコード識別子があります。ボリュームラベルは、通常、ボリュームプールのラベルテンプレートに基づいて作成されます。バーコード識別子は、ボリュームの外側に貼るラベルに書き込まれ、インベントリ作成時にサイロ内のバーコードリーダーによって読み取られます。
サイロでは、デフォルトで、バーコードの使用と、バーコードラベルと Backup ボリュームラベルの一致が有効になっています。「Match Barcode Labels」属性は変更できますが、「Barcode Reader」属性で「No」を選択しないでください。「Match Barcode Labels」属性と「Barcode Reader」属性の両方を「Yes」にすると、Backup によって各ボリュームのメディアに書かれる内部ボリュームラベルが、ボリュームの外側に貼るバーコードラベルと同じになります。両方のラベルが一致していればボリュームの追跡は容易になりますが、Backup にとっては、内部ラベルと外部ラベルは必ずしも一致する必要はありません。
ほとんどのサイロ管理ソフトウェアでは、ラベルなしのボリュームを使用できます。管理ソフトウェアは、ラベルなしのボリュームに「仮想の」バーコードラベルを付けます。バーコードがなくてもボリュームは使えますが、一貫性のある管理が非常に難しくなります。つまり、サイロからバーコードのないボリュームを削除すると、その仮想バーコードについての情報がなくなり、バーコードのないボリュームが Backup または Backup 以外のアプリケーションによって一部のデータに関連付けている仮想バーコードの付いたサイロに挿入される可能性があるからです。
Backup 用のサイロに不要なボリュームができたときは、そのボリュームの割り当てを解除できます。割り当て解除の操作は、基本的にはオートチェンジャからボリュームを削除する操作と同じです。機械的な機構によってボリュームを自動でロードすることはできませんが、Backup のメディアデータベース内のエントリはそのまま残っています。あとでそのボリュームをもう一度割り当てれば、Backup によってボリュームからデータを取り出すことができます。
使えるスロットの数がサイロのライセンスによって制限されている場合、あるいはさらに安全に保管するためにデータをオフサイトに移す場合は、割り当てを解除します。ライセンスによって使用スロット数が制限されている場合は、ボリュームをサイロに残しておくと、そのボリューム内のデータを使う必要が起こったときに、すぐにそのボリュームを割り当て直すことができます。
割り当て直すための操作は、自動ではできません。ユーザーが手動でもう一度ボリュームを割り当てて、データを Backup によってアクセスできるように、インベントリを作り直さなければなりません。ボリュームをサイロから取り外してオフサイトの保管場所に移す場合は、Backup によってボリュームの割り当てを解除してから、サイロ管理ソフトウェアによってサイロからボリュームを取り出すか、あるいはコマンド行で nsrjb -x -Txxxx -w コマンドを使って、ボリュームの割り当て解除と取り出しを同時に行います。
現在、StorageTek のサイロで一度に取り出せるボリュームは、1 つだけです。サイロのオペレータは、続けて nsrjb -x -w コマンドを出す前に、必ず各ボリュームを取り外さなければなりません。複数のボリュームを指定して割り当て解除と取り出しをしようとすると、ボリュームはすべて割り当て解除されますが、取り出されるのは先頭の 1 つだけです。このような制限は、EMASS/Grau、IBM 3494 のサイロにはありません。
デバイスからボリュームをマウント解除します。
Backup 管理プログラム、または nsrjb -x -T バーコードコマンドを使ってボリュームの割り当てを解除します。
Backup 管理プログラムを使ってサイロボリュームの割り当てを解除する方法は、オンラインヘルプを参照してください。nsrjb コマンドの使用法は、nsrjb のマニュアルページを参照してください。バーコードテンプレートの正しい形式は、stli のマニュアルページを参照してください。
サイロ内のボリュームのインベントリを作成することによって、スロット番号とボリューム名が正しく対応付けられているかどうかを確認できます。あるいは、サイロ内のボリュームを、Backup のメディアデータベースにあるボリュームの一覧に一致するように調整できます。
サイロボリュームのスロット番号は、オートチェンジャ内のスロット番号と違って、サイロ内部で付けられているスロット番号とは異なります。サイロボリュームのスロット番号は、サイロ内のいくつかのボリュームを並べたもので、そのボリュームの位置に付けられた番号です。各サイロボリュームのスロット番号は、Backup 管理プログラムか、「Jukebox Mounting」ダイアログボックスで参照できます。
サイロのインベントリを作るには、Backup 管理プログラム、または nsrjb -I コマンドを使います。Backup によってサイロ内のすべてのボリュームが調べられ、新しく作成されたインベントリが Backup のメディアデータベース内の一覧と比較されます。次に、サイロにはあってメディアデータベースにはないボリュームがある場合には、そのメッセージと一覧が表示されます。
Backup によってサイロのインベントリが作成される際に、サイロのバーコードラベルリーダーが、各ボリュームの外側に貼ってあるバーコードラベルを読み取ります。ボリュームのバーコードが Backup メディアデータベース内のエントリと一致していれば、そのボリュームをデバイスにロードする必要はなく、読み取りとインベントリ作成が非常に速くなります。しかし、あるボリュームでメディアデータベース内のどのエントリとも一致しないバーコードが読み取られた場合は、そのボリュームをマウントして読み取り、正しいインベントリを作成しなければなりません。
時間が逼迫していて、サイロ内の全ボリュームのインベントリを作成できない場合は、一連のスロットまたはバーコードを指定してインベントリを作成することもできます。
多くのデバイス管理タスクには、Backup 管理プログラム、または nsradmin プログラムを使用できます。一部のタスクでは、システムプロンプトでコマンドを入力する必要があります。
サイロに新しいデバイスを追加して、それを Backup が認識し、使用できるようにするには、次の 2 つの方法のいずれかでサイロを構成し直して、新しいデバイスにアクセスできるようにします。
サイロを使用している Backup サーバーまたはストレージノードマシンで、スーパーユーザーになります。
サイロの定義を削除します。
Backup 管理プログラムまたは nsradmin プログラムを使います。
jb_config プログラムを実行して、サイロを構成し直します。
前とまったく同じサイロ名を使い、新しいデバイスを追加します。
サイロを使用している Backup サーバーまたはストレージノードマシンで、スーパーユーザーになります。
nsradmin -c コマンド (ビジュアルモード) を入力して、サイロ定義を変更します。
新しいデバイス名を「Devices」属性に追加します。
デバイス名の間はコンマで区切ります。
「Number Devices」属性のデバイス数を 1 だけ増やします。
次の属性の各行に、行末のセミコロンの前にコンマを付けて空文字列 (, " ") を追加します。
「STL Device Names」属性に新しいデバイス名を追加します。
デバイス名は引用符で囲みます。
「Allocated Devices」属性に次のエントリを追加します。
,No |
次の例では、1 つのデバイスを追加する前後の nsradmin の属性の違いを示します。
デバイス追加前
devices: /op1; number devices: 1; allocated devices: No; loaded volumes: ""; loaded bar codes: ""; loaded slots: ""; STL device names: "0,0,2,0"; |
デバイス追加後
devices: /op1, /op2; number devices: 2; allocated devices: No, No; loaded volumes: "", ""; loaded bar codes: "", ""; loaded slots: "", ""; STL device names: "0,0,2,0", "0,0,2,1"; |
1 つのサイロで複数のデバイスを Backup で使用するように定義する場合は、「Jukeboxes」リソースでそれらのデバイスを特別な順序で並べる必要はありません。ただし、「Devices」属性と「STL Device Names」属性では、デバイスを同じ順序で並べなければなりません。
デバイスの共有に必要な基本的機能は Backup に組み込まれていますが、現在の Backup プラットフォームの SCSI ハードウェアには制限事項があるため、実際にはデバイス共有機能は使えません。デバイスを予約するコマンドを使ってもエラーにはなりませんが、実際にはデバイスは予約されません。Backup 管理プログラムと nsradmin プログラムの「STL Device Sharing」属性と「STL Device Reservation」属性を指定しても、Backup の動作には何も影響しません。
Backup では、サイロに対して自動クリーニング機能を有効にしないでください。サイロ内のデバイスをクリーニングする方法は、サイロ管理ソフトウェアのマニュアルを参照してください。Backup の自動デバイスクリーニング機能は、スロット数が一定であることを前提にしているので、サイロでは使えません。