Backup サーバー上でバックアップグループを構成するときに、バックアップグループの開始時間をスケジュールします。スケジュールされた時間になると、サーバーデーモン nsrd がサーバープログラム savegrp を起動してバックアップグループを保存します。
savegrp プログラムは、Backup サーバー上で構成済みのクライアントリソースに照会して、次のことを判断します。
サーバー上で構成済みのクライアントのうち、スケジュールされたグループのメンバー
実行しなければならないバックアップ (save) のレベル
並列に実行するセーブセットの数。これは、Backup サーバーで設定されている並列数によって決まります。
グループに対して前回バックアップが行われた時期
これらの情報のうち Backup サーバーで入手できないものがあると、savegrp プログラムはクライアント側の nsrexecd デーモンに要求を送り、バックアップグループに割り当てられているクライアントごとに savefs プログラムを実行して、必要な詳細情報を収集するよう依頼します。
savefs プログラムは、各クライアントのバックアップすべきオブジェクトを savegrp プログラムに知らせます。savegrp プログラムが、バックアップすべきオブジェクトの情報を受け取ったら、サーバー用にワークリストを作成します。このワークリストには、バックアップのために各クライアントに交信する順序が指定されています。この順序は、「Clients」リソースの「Client Property」属性で決まります。「Client Property」属性がもっとも小さい値のクライアントが、最初に交信されます。
前のバックアップセッション中にクライアントファイルインデックスに問題が起こった場合には、nsrd デーモンが nsrck デーモンを起動して、Backup サーバーが持つクライアントファイルインデックスとメディアデータベースの整合性と状態を検査します。そのあとで、nsrd デーモンがクライアントファイルインデックスのエントリ挿入デーモン nsrindexd を起動します。
savegrp プログラムは、サーバーのワークリストにある最初のクライアントに交信します。そのクライアントの nsrexecd デーモンが起動され、サーバーのワークリストにある最初のセーブセットの save セッションを起動します。save プログラムは、グループ、クライアント、セーブセット、ストレージノードのアフィニティ、保存データのレベルなどのすべての保存基準を nsrd デーモンに渡します。nsrd デーモンは、これらの情報によってデータを格納するボリュームのプールを決め、Backup サーバー上か、または Backup サーバーが制御しているストレージノード上の適切なメディアデーモンに、これらの情報を転送します。
メディアデーモン nsrmmd は、次の処理をします。
Backup サーバーのコンソールにメッセージを送り、nsrd デーモンが指定したボリュームプールに割り当てられているメディアをマウントするよう依頼する
save プログラムによって送られたデータをストレージメディアに書き込む
Backup サーバーのメディアデータベースに記録するため、保管情報を nsrmmdbd デーモンに転送する
クライアントから起動されるセーブセットの動作が少しでも休止すると、プロセスの動作に、Backup サーバーはグループ内で別のセーブセットを探そうとします。savegrp プログラムは、Backup サーバー構成の並列処理属性で指定されている上限値に達するまで、できるだけ多くのセーブセットを並行してバックアップしようと試みます。これによって、バックアップデバイスを最大限に活用できます。
savegrp プログラムは、サーバーのワークリストにある各項目の処理を、グループのすべてのクライアントがバックアップされるまで繰り返します。savegrp プログラムの処理が終わる前に、Backup サーバーがバックアップ中のグループに属しているか、あるいはこのサーバーが有効などのグループにも属していないことがわかると、nsrim デーモンが起動され、Backup サーバーの「ブートストラップ」ファイルがバックアップされます。ブートストラップファイルのバックアップが終わると、Backup サーバー用に構成されているデフォルトプリンタに、ブートストラップの出力結果が送られます。この出力結果は、Backup サーバーの復旧が必要になる場合に備えて、安全な場所に保管しておいてください。
savegrp プログラムの最終実行結果はサーバーに送り返され、セーブグループ完了レポートに記載されます。このレポートは、電子メールでスーパーユーザーに送られます。
図 A-1 に、スケジュールされた保存処理時に、Backup サーバーとクライアントのすべてのデーモンとプログラムが、どのように関係し合って動作するかを示します。